グループで遊ぶ姿を見ていると、お友だちにちょっと出遅れると
★ちゃんはたちまち自信なさそうに立ちすくんでいます。
何をすればお友だちに気に入ってもらえるのかと
途方にくれている様子です。
幼稚園に通い始めた★ちゃんが、
お友だちとうまくいっていないことを感じた
★ちゃんのお母さんから、
「今まで、この子を甘やかしすぎたんじゃないでしょうか?」と
相談を受けたことがあります。
その時期、★ちゃんのお母さんは★ちゃんの欠点にばかり目が
いっているように見えました。
★ちゃんは力が強くてがんばりやな一方で、加減がわかりにくく
物の取り合いになると強く引っ張りすぎたり、
言い張るとしつこくなったりする面があります。
といって、激しくダダをこねるわけでも、お友だちにいじわるするわけでも
ありません。
この年齢の子ならあたり前に持っている弱い一面を、普通程度に持っているだけなのです。
それでも、★ちゃんがお友だちの輪に入りにくい現実を目にすると、
いてもたってもいられない★ちゃんのお母さんは、
★ちゃんがちょっと乱暴におもちゃを扱ったり、お友達に対して自己主張するだけでも、厳しく★ちゃんの悪い点を指摘して直させようとしていました。
たびたび注意を受ける上、実際にお友だちとうまく遊べないストレスが重なって、★ちゃんは自分の一挙一動に自信が持てなくなっていました。
それまでちょっと動きが粗雑だったとはいえ、
自信に満ちた様子で自分のやりたいことをしていた★ちゃんが、
グループレッスンでも私の表情をうかがいながらでないと何かはじめられなくなったり、
お友だちにちょっと邪険に扱われると自傷行為に近い行動を取ったり、
お友だちに迎合しすぎて暴れたり、
好きなものも「嫌い!」と主張したりしてがまんしたり……と、
緊張してぎくしゃくしているのです。
そんな★ちゃんの不安気な表情を見て、
他人の心を読むことにたけている☆ちゃんは、
わざと「遊べない」と言って、★ちゃんが仲間に入れてもらいたがって
じりじりする姿を楽しんでいます。
といって、☆ちゃんはまだ3歳。けっして意地悪な子でも
なんでもないのです。
お菓子を持っているときも、「先生にもわけてあげるね。~にも、~にも」と
言ったり、次々新しい遊びを作り出して配役を決めたり……と、
人と人との関係を作ったり、相手の心の動きに気づいたりする能力が
高いだけなのです。
☆ちゃんの言葉にいちいち動揺する★ちゃんの姿が面白くて、悪気なく「入れてあげない」発言が続いているのです。
問題は「☆ちゃんが始める遊び」に入れてもらえないと
「遊べない」と思いこんでいる★ちゃんの方にもあるのです。
そこで私が少しフォローして、★ちゃんが思いつく楽しい遊びに、
他の子を誘ってみるという状況を作ると、
「私も入れて!」と☆ちゃんも、他の子も★ちゃんと遊びたがりました。
また、★ちゃんはつい自分の今していることに熱中しすぎて
他の子たちの動きに気づいていないことが多いので、
時折、「みんな何をしているかな?」「お店やさんに来てよ~と言っているときに、遊びに行ったらいっしょに遊べるよ」と
ちょっとしたアドバイスをしながら、具体的にうまく遊べた経験を積ませました。
そして、
「楽しく遊べたね」「いっしょに遊べたね」と、自信につながる
実感が残るようにつとめました。
お父さんがお迎えにくると、
★ちゃんは、
呼ばれてもグループの活動には参加せずに、赤ちゃん返りしたように、
おとうさんに甘えてぐずぐず言ったり、「帰りたい」と騒いだりしました。
★ちゃんはこれまで、反抗期らしいものはなく、こうした形で、お父さんに甘えたり、活動を拒否することは一度もなかったことなのです。
★ちゃんのご両親に、「いろいろストレスが多い時期で、エネルギーを充電する必要があるので、
まず受け入れてあげてください」とお願いしているので、
★ちゃんのお父さんは、ワガママに見える姿も叱らず受け入れていました。
すると、「帰る~」と騒いでいた★ちゃんが、お友だちの中に戻り、
カゴから人形を出しながら大きな声で数える遊びを始めました。
すると、お友だちも同調して、笑いながら★ちゃんの真似をし始めました。
★ちゃんはもともとちょっとお勉強チックな活動が好きなのですが、これまでお友だちといっしょのときは、それを控えていました。
が、自分の自信を取り戻した★ちゃんは
私の手を借りずに
自分の得意なことにお友だちを誘ってみたのです。
するとみんな喜んで参加してくれました。
自信がなくなったときや、ストレスが高まったとき、
子どもはちょっと赤ちゃん返りをしてそれを受け入れてもらうと、
また果敢に現実の世界に飛び込んでいきます。
いろいろと失敗しつつも、自分の感情と、
判断に自信が持てるようになると、
自分の喜びや良いところを犠牲にしない形で
お友だちと仲良くしていく方法を
微調節しながら創り出していきます。
急いで解決しようとして、
「あんな意地悪な子と遊ばなくて良いよ」と言ったり、「遊んであげなさい」と強制したり、「あなたの~が悪いから遊んでもらえないのよ」と脅したりするのは逆効果。
子どもの心に耳を傾けて、「遊びたい」という思いがあるなら、
子どものチャレンジをその都度少しだけ支援してあげ、
うまくいかない時の悲しみを十分受け入れてあげていると、
いつの間にか上手に友だちの輪に溶け込んでいるはずです。
次回にもう一回だけ続きます。
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★ちゃんはたちまち自信なさそうに立ちすくんでいます。
何をすればお友だちに気に入ってもらえるのかと
途方にくれている様子です。
幼稚園に通い始めた★ちゃんが、
お友だちとうまくいっていないことを感じた
★ちゃんのお母さんから、
「今まで、この子を甘やかしすぎたんじゃないでしょうか?」と
相談を受けたことがあります。
その時期、★ちゃんのお母さんは★ちゃんの欠点にばかり目が
いっているように見えました。
★ちゃんは力が強くてがんばりやな一方で、加減がわかりにくく
物の取り合いになると強く引っ張りすぎたり、
言い張るとしつこくなったりする面があります。
といって、激しくダダをこねるわけでも、お友だちにいじわるするわけでも
ありません。
この年齢の子ならあたり前に持っている弱い一面を、普通程度に持っているだけなのです。
それでも、★ちゃんがお友だちの輪に入りにくい現実を目にすると、
いてもたってもいられない★ちゃんのお母さんは、
★ちゃんがちょっと乱暴におもちゃを扱ったり、お友達に対して自己主張するだけでも、厳しく★ちゃんの悪い点を指摘して直させようとしていました。
たびたび注意を受ける上、実際にお友だちとうまく遊べないストレスが重なって、★ちゃんは自分の一挙一動に自信が持てなくなっていました。
それまでちょっと動きが粗雑だったとはいえ、
自信に満ちた様子で自分のやりたいことをしていた★ちゃんが、
グループレッスンでも私の表情をうかがいながらでないと何かはじめられなくなったり、
お友だちにちょっと邪険に扱われると自傷行為に近い行動を取ったり、
お友だちに迎合しすぎて暴れたり、
好きなものも「嫌い!」と主張したりしてがまんしたり……と、
緊張してぎくしゃくしているのです。
そんな★ちゃんの不安気な表情を見て、
他人の心を読むことにたけている☆ちゃんは、
わざと「遊べない」と言って、★ちゃんが仲間に入れてもらいたがって
じりじりする姿を楽しんでいます。
といって、☆ちゃんはまだ3歳。けっして意地悪な子でも
なんでもないのです。
お菓子を持っているときも、「先生にもわけてあげるね。~にも、~にも」と
言ったり、次々新しい遊びを作り出して配役を決めたり……と、
人と人との関係を作ったり、相手の心の動きに気づいたりする能力が
高いだけなのです。
☆ちゃんの言葉にいちいち動揺する★ちゃんの姿が面白くて、悪気なく「入れてあげない」発言が続いているのです。
問題は「☆ちゃんが始める遊び」に入れてもらえないと
「遊べない」と思いこんでいる★ちゃんの方にもあるのです。
そこで私が少しフォローして、★ちゃんが思いつく楽しい遊びに、
他の子を誘ってみるという状況を作ると、
「私も入れて!」と☆ちゃんも、他の子も★ちゃんと遊びたがりました。
また、★ちゃんはつい自分の今していることに熱中しすぎて
他の子たちの動きに気づいていないことが多いので、
時折、「みんな何をしているかな?」「お店やさんに来てよ~と言っているときに、遊びに行ったらいっしょに遊べるよ」と
ちょっとしたアドバイスをしながら、具体的にうまく遊べた経験を積ませました。
そして、
「楽しく遊べたね」「いっしょに遊べたね」と、自信につながる
実感が残るようにつとめました。
お父さんがお迎えにくると、
★ちゃんは、
呼ばれてもグループの活動には参加せずに、赤ちゃん返りしたように、
おとうさんに甘えてぐずぐず言ったり、「帰りたい」と騒いだりしました。
★ちゃんはこれまで、反抗期らしいものはなく、こうした形で、お父さんに甘えたり、活動を拒否することは一度もなかったことなのです。
★ちゃんのご両親に、「いろいろストレスが多い時期で、エネルギーを充電する必要があるので、
まず受け入れてあげてください」とお願いしているので、
★ちゃんのお父さんは、ワガママに見える姿も叱らず受け入れていました。
すると、「帰る~」と騒いでいた★ちゃんが、お友だちの中に戻り、
カゴから人形を出しながら大きな声で数える遊びを始めました。
すると、お友だちも同調して、笑いながら★ちゃんの真似をし始めました。
★ちゃんはもともとちょっとお勉強チックな活動が好きなのですが、これまでお友だちといっしょのときは、それを控えていました。
が、自分の自信を取り戻した★ちゃんは
私の手を借りずに
自分の得意なことにお友だちを誘ってみたのです。
するとみんな喜んで参加してくれました。
自信がなくなったときや、ストレスが高まったとき、
子どもはちょっと赤ちゃん返りをしてそれを受け入れてもらうと、
また果敢に現実の世界に飛び込んでいきます。
いろいろと失敗しつつも、自分の感情と、
判断に自信が持てるようになると、
自分の喜びや良いところを犠牲にしない形で
お友だちと仲良くしていく方法を
微調節しながら創り出していきます。
急いで解決しようとして、
「あんな意地悪な子と遊ばなくて良いよ」と言ったり、「遊んであげなさい」と強制したり、「あなたの~が悪いから遊んでもらえないのよ」と脅したりするのは逆効果。
子どもの心に耳を傾けて、「遊びたい」という思いがあるなら、
子どものチャレンジをその都度少しだけ支援してあげ、
うまくいかない時の悲しみを十分受け入れてあげていると、
いつの間にか上手に友だちの輪に溶け込んでいるはずです。
次回にもう一回だけ続きます。
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