虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

拡充学習と教室の活動のまとめ

2020-04-27 12:15:52 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

レンズーリは、子どもの潜在能力を伸ばすために「拡充の三つ組モデル」と呼ばれる

組織化のモデルを用いています。

 

<拡充の三つ組モデル>

 

タイプ1 一般的探索の活動

 

全生徒が対象。一般的探索の活動からなり、普通カリキュラムではあまり取り上げられないような、

新しくておもしろいトピックや考え方、学問分野に子どもが触れられるように計画されている。

その活動は、さまざまな種類やレベルの継続学習への「招待」だと子どもが自覚している。

多様な種類の継続学習のために、種々の機会や物的資料、奨励がある。

 

 

タイプ2 集団訓練の活動


広範囲の「処理技能」を発達させるように計画されている。

①認知的訓練(分析、組織化、批判的思考、創造性)

②感情的訓練(内省的、対人的、人生の危機への対処)

③学習の仕方の学習(聴く、認識する、ノートをとる、要約する、面談・調査する、データーを分析する、まとめる)

④研究と参照の技法

文章や口頭、視覚的手段による発表技法。

 

タイプ3 個人、小集団による現実の問題の探求

 

子ども個人や小集団の興味にもとづく必要がある。

子どもは自分が探求しようとする現実の問題を「抱え」なければならない。

発表相手に糸した結果をもたらすような、本物の成果を発展させる。

種々の学習スキルを自分で使えるように向上させる。

課題への傾倒、自信、達成感、人とのやりとりなどの感情面のスキルを発達させる。

 

三つ組モデルの特徴

 

<一つ目> 自然なやり方で学習する

「外的な刺激」「内的な好奇心」「要求」、あるいはこれら三つの出発点となるものの

組み合わせによって、あるトピックや問題、研究分野への興味を伸ばす。

 

<二つ目> 部分の合計より多い

三つのタイプの拡充間の「相互作用」が、それぞれのタイプの拡充や

それらの合計全体と同じように重要であること。

 

<三つ目> 個人的知識

子どもが自分自身の能力、興味および学習スタイルについて

「個人的知識」を得るように計画されている。

 

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 虹色教室では、小さな教室でできる範囲なのですが、このレンズーリの拡充の三つ組モデルを参考に主な活動(算数レッスンの時間以外の活動)を行っています。

そうすることで、最初に子どもとする活動が、簡単な影絵遊びのようなものでも、

その活動に触発されて興味を深めていく子らによって、大きなスクリーンで映画を映す活動になり、

手作りのプロジェクトマッピングとなり、月の満ち欠けを影絵を使って発表する機会となり、

深海の世界を影絵で表現する取り組みにもなりました。

また虫眼鏡を覗く遊びも、生き物の目の仕組みへに関心やレンズや望遠鏡作りや

地下の生き物への興味などにつながりました。

形を楽しむ工作も、歴史的建造物への興味や図形の探求、

コンパスを使ったさまざまな工作や手作りコンパス、折りたたむしかけ、形を利用したからくりへの

興味へと発展しました。

大阪城へみんなで出かた後には、女の子も男の子も戦国武将や忍者などに夢中になる子が増えました。

 

ほんの一部ですが、日々の活動が、どのように個々の継続的な探求へとつながっているのか、

過去記事を、紹介しますね。

 

<形の発見>

 

 形は面白い!

半分の半分の半分の半分

 

基礎的な発見 <三角形の不思議>

基礎的な発見 <90度を作りだす>

 

基礎的な発見 14 <正方形の対角線は長い>

 

 

<回転への興味>

 

基礎的な発見 <回転>

基礎的な発見 12 <丸い形>

 

基礎的な発見 9 <回すのは楽しい 回転はすごい>

 

 <重さの利用>

 

基礎的な発見 1  <重い>

 

基礎的な発見 <自動的にエレベーターを上げる方法> 

 

基礎的な発見 11 <一方が下がるともう一方が上がる>

 

基礎的な発見 3 <位置をずらす>

<「処理技能」を発達させる>

 

 

基礎的な発見 16 <すでに身につけている技術を別の場面で利用する>

 

基礎的な発見 15 <自分が発見したことを報告する>

 

 

<アイデアを練り、実現する>

 

 

基礎的な発見 13 <貨車に荷物を積み込む方法>

 

<磁石の不思議>

 

基礎的な発見 10 <磁石で浮かべる>

 

基礎的な発見 4 <磁石の働き>

 

<ビー玉コースター(ピタゴラスイッチ)遊びでの発見>

 

 

基礎的な発見 7 <長くしてみる 高くしてみる>

 

基礎的な発見 8 <傾き と 出口の高さ>

 

基礎的な発見 6 <引っかける> と 「基礎的な発見」のカテゴリーについて

 

 

2階建てのビー玉コースター

<光と影>

 

基礎的な発見 5 <光を通す 通さない>

 

年中グループ 影絵のポップアップ絵本作り と 算数学習

<折りたたむ>

 

基礎的な発見 2 <折りたたむ>

 

新選組の池田屋事件のポップアップ絵本

 

<電流の流れ 電気の基本>

 

 

ポケモンゴーのゲーム作りが流行中 (音がでます♪)

 

 

「もう1回!」と「もっと!」の気持ちがはじける瞬間

 

<大きな数>

 

 

100円のひゃくってどれくらい? と 無限大数


個性と才能を伸ばすタイミング

2020-03-11 19:23:21 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

ブロックあそびが大好きな4歳8ヶ月の★くん。

お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんに目に入れてもいたくないほどの

可愛がられようで大切に育てられてきたこともあって、

ちょっと動くたびにシャワーのようにたくさんの言葉を浴びて過ごしていました。

そうした言葉かけに素直に従う一方で、創作物や遊び方からは

思考力の高さがうかがえるのに、自分から発する言葉がすくないことが

気になっていました。

そこで、極力、大人から発する言葉を減らしていただいて、

★くんの発するものをしっかり受信するように努めていただいていました。

 

今回のレッスンでいっしょに遊ぶうちに、★くんの口にする言葉も

アイデアの質も他人の意見を取り入れる柔軟性も問題解決能力も

前回までのレッスンでは考えられないほどしっかりしたものになってきていることに

気づきました。

それを付き添いで来られていた伝えると、

★くんのお父さんもそれを実感していたそうで、

たくさん声をかけ過ぎるのをやめただけで、こんなにもしっかりと自分の意見を言い、

考えを展開していくようになるのかと驚いていたそうなのです。

もちろん、それには、★くんの頭脳活動を好み、

細部にまで気を配るという本人の才能によるところもあります。

でも、そうした個性的なものが芽をだしはじめるのは、

大人が子どもを自分の好きなように動かすのを控えた時でもあるのです。

 

★くんは電車の駅作りに励んでいました。

電車の長さに合わせて、ていねいに駅を作りながら、

自分の作った駅がどのようなサイクルで運営されているのか説明してくれます。

自分の考えをしっかり表現する力がついてきた★くんですから、

今、身近な大人が★くんにどんな見本を見せてあげると、

★くんの世界が広がるのかというと、次の2点だと思いました。

 

①図鑑や本の知識を自分の活動に取り入れるためのお手本をしめす。

●自分のしている活動をより広く多角的な視点から見えるように

●問題解決の方法を身につける

 

②★くんの今の敏感期に気づいて、それに適した活動が

行いやすいようにサポートする。

 

★くんが、駅を作っていたので、

自分の作品作りに新しいアイデアを取り入れるために図鑑を見る時の

コツを教えることにしました。

 

まず、どんな図鑑を見るかです。

大図解のように機械などの内部の仕組みがくわしい図鑑、

駅のなかのさまざまなものが載っている図鑑など、いろいろなものがありますね。

子どもと大きな本屋や図書館で選ぶのも楽しいです。

 

★くんは、駅のイラストの階段を目にしたとたん、

自分の作っている駅を地下にする設定が浮かんだようで、

テーブルの上に切符売り場や改札口があって、そこから階段を下りてきて、

地下が駅になっていて、地下にもさらに下に行くための階段があるんだと

説明しました。そしてユニークな構造の作品を作りだしました。

 

★くんは自分で考えて行動に移すことが好きな子です。

几帳面で完璧主義の性質ため、一度やりはじめたことは、細部に至るまで自分の

イメージ通りになるように根気よくていねいに関わります。

 

そのように自発的に活動することができる長所の反面、

他人の意見に耳を傾けず、自己流のやり方にこだわるため

遊びも学びもワンパターンに陥りやすいきらいもあります。

 

わたしは★くんの個性に配慮して、

自分で新しい知識やアイデアを開拓していけるような

本や図鑑との関わり方を身に付けさせたいと思いました。

 

子どもに何かを教えるには、「タイミング」というのが重要だと感じています。

幼児というのは、いつも一生に通じるような技能を習得するための敏感期にいるもの

ですから。今、その子が何の敏感期であるのか、

よく把握した上で、適切なタイミングで教えるのでなければ、

何も教えない方がまし……だと感じています。

子どもは放っておいても自分で学びますし、子どもの自発的な行動は

敏感期によるものがほとんどだからです。

 

この日、★くんの2歳1ヶ月の妹さんも教室に来ていたのですが、

この子はちょうど数の敏感期に入りかけているところらしくて、

ひたすら椅子を並べたり、重ねたり、数を1対1対応させることに

熱中していました。

 

★くんは、がんばればできそうなレベルの「ふたつ」のことに同時に注意を向けながら、

完璧にできているかどうか確かめられて達成感が味わえる活動に対して

非常に敏感な時期にあるようでした。

文字でしたら、「はみださないでなぞること」と「書き順通りにすること」の

ふたつに注意して作業をすることに面白さを感じる時期ということです。

こうした敏感期のあらわれは、子どものありのままの姿を認めて

自然な成長を大切にすればするほど、はっきりと出てくるものだと実感しています。

「2歳の子に字の書き方を教えよう」「書き順にも注意させよう」といった

敏感期を無視した大人主導の教え方をしていると、

敏感期と思われるものがほとんどなく、何事にも自信がないか、

攻撃的なほどのがんばり方をするかのどちらかで、最終的に無気力になるか

過剰に他人の評価にこだわる性質になりがちだと思います。

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<おまけ>

実は上の記事は、3人きょうだいの一番上のお兄ちゃんが幼かった頃の

話題なんです。↓の写真はそのお家の一番下の弟くんの作品です。

このお家のお父さんもお母さんもさすがに三人目ちゃんを相手にする時は

余裕のある一番いいタイミングで言葉かけや手助けをしています。

そのためか、小学1年生の三人目ちゃんは、

勉強でも物作りでも、自分の頭でしっかり考えて、テキパキと準備を整え、

集中して真剣に取り組む姿があります。

写真は年長の時から何度か作っている

展開図を描いてする乗り物作りです。


「親ができるのは『ほんの少しばかり』のこと」という本

2020-01-26 08:29:17 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

「親ができるのは『ほんの少しばかり』のこと」
山田太一  PHP研究所

という本を読みました。

まえがきに次のような文章が綴られていました。

「うまれて来る子の性別も選べない。容姿も頭のよさも性格も健康も、あるがままに受けとめるしかない。

その上で『親ができること』をさぐりさぐり、
なんとか一緒に生きて行く。

その一緒の歳月では無論、親は子供に影響をあたえるけれど、その影響の大半は意識的な『子育て』によるものではなく、親の『存在』が避けようもなく
あたえてしまう影響だというように思います。

いくら『教育方針』などというものを持って教育に励んでも、結局その親の器量以上のものを、子供に伝えることはできない。

ほうっておく親とそれほど大差はないどころか、ほうっておいた親の方が
『よき影響』をあたえてしまうというようなことが、
いくらでもあるのが子供と親との関係だと感じています。」


「うまれて来たときから、子供は他ならない『その子』です。
他の子と交換可能な個性のない存在ではありません。(略)

親ができることは『ほんの少しばかりのこと』です。親の力の限界を知り、
その中でどう生きるかというのが、子供との関係の基本だと思います。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
子供は個性をもってうまれてくる存在だから、
どこまで行っても、その子はその子。

子供には親の持っている以上のものを伝えることはできない。

そうした言葉を目にすると、
がっくりして、子育てに励む気力が失せる方がいるかもしれません。
一方で、「そんなネガティブな意見は信じない、親の努力次第で子供の将来は豊かになっていくはずだ」と憤慨する方がいるかもしれません。

私は、たくさんの子供に会えば会うほど、
「確かに子供は、交換可能な個性のない存在ではないな」と感じています。

0歳児でも、はっきりとした
どの子とも交換することができない個性を放っていますから。

それなら、「いくら『教育方針』などというものを持って教育に励んでも、結局その親の器量以上のものを、子供に伝えることはできない。」という
考えに対してどんな思いを抱いたのかというと、
「それは真実なのだろうな。
子供をこれこれこういう風に育てたいと思ってがんばっても、
何もしない方が良い結果が待っているのかもしれない。

でも、親が子供との関わりの中で、自分の視野を広げ、
人への理解を深めて、学ぶことへの愛情に目覚めていくなら……
そうして自分自身の器量を大きく育てていくなら、
自分があたえることができる最上のものを伝えていくことができるだろう」
というものでした。


虹色教室で期待通りに成長してくれない子にやきもきして、
悩んだり、叱ったり、あれもこれもといろいろなことを試したり、
イライラしたり、愚痴をこぼしたりしていた親御さんが……

(たいていの場合、親御さんが困惑するのも、ごもっとも……と思われる
子供のやる気のなさや頑固さや困ったちゃんぶりがあるものですが)

この子は、こういう子なんだなとあるがままに納得するときがあります。


その上で、「気持ちが優しいし、素直な性格だ」「こういうときは、きちんとしている」「ユーモアがあって、明るい」などと、子どもの良い面を見つけて、
自立をうながしながら、適度に手助けしはじめる方がいるのです。

すると、それまでダラダラ~グタグタ~していた子が、突然、意欲的にがんばりだすことがあります。

いきなり良い成績を取り出すまでにはならなくても、
その子の個性的なすばらしさが輝き出して、子供のグループの中でも
一目置かれる存在になりはじめることがあるのです。


「親ができるのは『ほんの少しばかり』のこと」の中で
山田太一氏が、次のように書いておられました。

「歩き出したら、片時も目をはなせない。そんな厄介な存在と暮らして
幸福感があるのが不思議でした。
勿論、うんざりして、いなくなってくれないかな、と願ったことも
何十回かはありましたが、何十回ぐらいですんだのは、
子供の可愛さでした。
子供の可愛いのには、何千回も感嘆しました。
すべてが小さくて、しかしぜんぶそなわっていて、無力すぎる故に
抗しがたくて、
ほんとうに生物というものはよくできている、
ちゃんと親の苦労にむくいるように
子供をこんなに可愛くつくってあるんだ、と見惚れました。」

子供って、生きているだけで、
そこにいるだけで感嘆するほど可愛いものです。
でも、子供に、今この場で、いろんなものを求めてしまったり、
自分の子育てに自信が持てなかったり、
親が自分自身の価値を認めて、自分を大切に扱えないときには
子供を可愛く感じられなくなるかもしれません。


でも、そういうときは、「子供がこんな風にしてくれたら……」とか、
「子供がこんな子だったら……」と思うのでなく、
まず子供を可愛く思えない自分の気持ちを認めて
自分をいたわってあげるといいのかもしれません。

そうして自分に素直に向き合えば、
自分の器量が少しだけ大きくなりますよね。
そうすれば、少し大きくなった器量で、
子供に接することができるでしょうから。

私は前にも書きましたが、ADDの特徴をたくさん持っているので、
調子が良いときに限って、自分でも信じられないようなミスをしがちです。
私が調子が良いときというのは、いろんなことを抱えすぎて、
頭の中がいっぱいいっぱいになっているときでもありますから。

そうしたミスをするたびに、
自分で自分に裏切られたような気持ちになるし、
何をしても無意味だという気持ちに飲み込まれそうにもなります。
でも、私は自分がそういう特徴を持っていなかったら、
もっと子育てで間違った方向に進んでたんじゃないかな
とも感じているんです。
うちの子たちも、遺伝なんでしょうけど、同じような失敗が多い子なので、
小学生くらいの頃は、
「何度言ったらわかるの?」「何回ミスすれば気がすむの?」
と喉元までそんな言葉が上ってくるような失敗をたくさんしていました。

でも、私は責める代わりに、
失敗が続いたとき、「どうしたら自分はダメな人間だとやけを起しそうになるときにも、正直に自分の欠点を見つめて前向きにがんばれるのか」
「どうしたら、何度失敗してもチャレンジし続ける勇気が持てるのか」
を伝えるようにしてきました。

それは私がADDの特徴があるからこそ、何度も何度も、
自分の能力に絶望しながら、
その度に、
何とか気持ちを立て直して、自分にとっての最善をつくす方向に
一歩踏み出そうとしてきたからなのです。
それがどんなに苦しいことが、よくわかっているので、
わが子がつまずいたときには、
子供が自分で問題を見つめて、欠点を乗り越えていくまで
大らかに待ってあげることができました。

それで、私の子にすれば、同じ年齢のころの私よりずいぶんしっかりしているし、それぞれの子が何にひるむことなく
自分の可能性を広げ続けることに一生懸命なので、
うれしく感じています。


やる気のスイッチを入れるアイデアいろいろ 7 (おしまいです)

2019-11-19 19:19:28 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

 このページの写真は子どもたちの積み木遊びの様子です。「やる気」の文章とはあまり関係がありません。

↑ (遊びの中でその子の持っている個性的な美的センス

が引き出されてくる時があります)

子どもたちが物作りや勉強に

前のめりになって参加するために教室でしている工夫として

「 ひとりひとりの子のやる気スイッチの入るタイミングを

ていねいに把握するようにしています」と書きました。

 

子どもによったら、やる気の火がつくまでに

かなり時間がかかる子がいます。

また誘われると、まず「やりたくない」という態度を示して、

ずいぶん経ってから、「やっぱりやる」と言い出し、

だんだん楽しくなって熱中する子もいます。

不安が強くて、目新しいことは何であれやりたがらず、慣れてくると

楽しそうに参加する子もいます。

 

そんな風にやる気のスイッチが入るまでに時間がかかる子に

関わる時、

親御さんの対応は「すぐさせる派」と「待つ派」のどちらかに分かれます。

よくあるのはこんな対応です。

 

「すぐさせる派」で多いのは叱ってでもやらせる、しつこく誘う、強要するという対応。大人の言いつけを

とにかく守らせようとする。優しく誘いながら、子どもが活動しないことにがっかりする。

 

「待つ派の」で多いのは、子ども誘導しようとしながらも、まだかまだかと強い緊張感を持って

待ち続ける。子どもの気持ちを気にしすぎて、おうかがいをたてる。

どうすれば子どもがやる気になってくれるかとあれこれ試す。


ただこの「すぐさせる派」の対応も「待つ派」対応も、

子どもの態度をよりぐずぐずだらだらさせたり

ただスイッチが入りにくいだけでなく、「やりたくない!イヤだ!」という強い気持ち

を生むことにもつながりやすいと感じています。

 

ならどうすればいいのかと悩んでしまいますよね。

わたしは「すぐさせる」か「待つ」かという態度で

大人の対応を固定させるよりも、

大人が感情の面で、その子という個性と成長の段階と

物事に取り組み集中していくタイミングのあり方を理解した上で、

とにかく「意欲的にできた」「やってみたら楽しくて達成感があった」

「思ったほど難しくなかった。自分にはこれができそうだ。またやってみたい」という

心で終われるようにサポートするのがいいかな、と思っています。

やる気なんて、「やる気を出そう」という子どもの精神的な努力で生まれるものではなくて

意欲的に取り組んでみて達成感を味わったとか、

活動そのものに興味がでてきて、しらずしらず熱中していたという体験が

何度も重なるうちに、ゆっくりと作られていくものです。

小さな「できた」の積み重ねを土台にして

意欲的な態度が育ってくるのです。

また、遊びの世界での意欲的な態度は、

(おもちゃに遊んでもらうのでなく、創造的に遊びこむ体験)は、

学びの世界での意欲的な態度にもつながっていきます。

 

 

 

教室では「すぐさせる」時もあるし、「待つ」時もあります。

 たとえば、この活動はこの子にとっていい体験になるし、やり始めたらきっと楽しいだろう

というような時も、やる気になるタイミングがくるのをまだかまだかと

待ち構えるのではなくて、

「今日は、いっしょに積み木で何かを作ります。それは今日の決まりです。

何を作るかは自由だから、いっしょに考えよう」と

はっきり言い渡す場合があります。

また、日によっては、子どもが自分から「やりたい」と言い出すまで

自由にさせている日もあります。

 

そんな風に、その日の状況で変えるなら、どうしてわざわざそれぞれの子のタイミングを

把握しているのかといえば、子どもが大人の誘いに乗らなかったり、

すごく嫌そうな横柄な態度で参加したりしたとしても、

どうして他の子のようにふるまわないのかと気をもむのではなく、

その子のペースを信頼して見守るためです。

また、ここぞという時に、その子がスッと活動に入っていけるように支えています。

小さなところで成功させて、より大きなところに

その前向きな態度が広がるように、支援しています。

 

まずいのは、いつもやりはじめてしばらくしてから熱中しだす子に対して、

最初の時点でやる気のある態度を求める思いを大人が抱いたり、

「こうであってほしい」という期待を押し付けたりすることだと思います。

最初はいやいやしはじめても、途中から、誰よりも集中して物事に取り組む

子たちがいるのです。

 

一方、子どもがそれを「やりたい」と思う以上に、

大人が子どもにそれを「やりたいと思ってほしい」と感じている状況も

子どもの意欲を減退させると思います。

子どもは大人の期待に敏感です。

特に自分の感情や思考に対してまで

何らかの期待があると、

たとえ大人が口にださずにひたすら自分がやる気になるのを

待っていてくれたとしても、

強い抵抗を示します。

 

算数の学習時にも同様のことが言えます。

子どもが勉強に対して抱いている意欲以上に、

大人が子どもに意欲的に学んでほしいと期待すると、

その期待のせいで子どもの意欲は減退してしまいます。

子どもの意欲は、それまで意欲的に取り組めた体験の蓄積の上に築かれていきます。

ですから、最初に、

子どもがいやいややりはじめたり、やる気のない態度だったりしても、

子どもの態度を正してあげようとするのでは、

自発的にがんばったという体験がひとつも積めないと思います。

それよりも、その子なりのタイミングで、

実際に集中できるよう支えながら、

子どもがやる気を持って勉強に熱中する達成感を味わえるように

サポートしてあげることが大切だと思っています。

 

 

 


やる気のスイッチを入れるアイデアいろいろ 6

2019-11-10 09:54:56 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

先の話と重複しますが、

虹色教室内では、最初はあまりやる気が見えなかった子も次第に深い集中状態に

入っていきます。

また工作やボードゲームなどに意欲的に取り組むと、その後の

学習態度も真剣なものになっています。

遊びや物作りへの意欲的な態度とと学習へのやる気のスイッチの入り方は

地続きで、強く結びついているものだと感じています。

 

前回までの記事で、

「簡単じゃないと、やりたくないと思うのに、簡単だとやる気がでない」


という複雑な心理と

 「その年代、その年代で、とても敏感になっている

数学的なテーマを工作に取り入れる」

ということについて書きました。

 

それについて、2年生のDちゃん、Eちゃん、Fちゃんの積み木遊びとその後の算数学習の様子から少し補足を

していこうと思います。

教室のレッスンはたいていの場合、かなり自由にやりたい活動を選べるようにしているのですが、

たまに「今日は〇〇で」とざっくりとした縛りを設ける日があります。

この日は後者の方で、「今日は積み木を使って何かを作りましょう」という決まりのも

とで活動しました。

 

どんなものを作りたいかアイデアを出し合う際は、

三人とも制作にあまり乗り気ではありませんでした。

世界の遺跡の写真を見せたり、他の子らが作った

ヨーロッパ風の城や日本の城の縄張り図などの写真を見せたり

しても、「どれも作りたくない~」と言っていました。

それが、らせんの階段を高く高く上がっていった先に建物があるという

ちょっと難易度が高そうな建築物の絵を見て、「作りたい!」

と言いました。

何がこの子たちを惹きつけたのかというと、

「完成するかどうかわからない(まだ誰も作ったことがない)ような未知の難しさ」

「とにかく階段を積んでいけばできそう

という作業に対する親しみ」だったようです。

 

 まずざっくりと大きな土台を作り、それぞれに子が段差を作って

創作に励んでいました。土台作りはけっこう大変で、

かなりの高さを作るのにどうすればいいか

みんなで知恵を作って解決しました。

その「なんかいいものないかな?」「誰かいいアイデアない?」と

ちょっとした飢餓感やみんなで真剣に知恵を絞らなくてならない場面が

子どもたちのやる気を高めていきました。

またそれぞれの子が自分流のアイデアで

作りたいところを作っていたのも楽しさのもとになっていたようです。

子どもたちは、誰かの指示や指導のもとで、決められた作業を

まかせられるのではやる気がでないのです。

自分発の未知の発想を試してみる時、一番、いきいきしています。

教室で子どもたちの様子を見ていると、

幼児期の子たちは、2歳ごろの1対1対応の遊びから始まって、

個々の数えられるものをたくさん扱っていくことに熱心です。

 

それが年長頃から2年生の後半ごろまで

面を扱うことや形に興味がいきがちだと感じています。

 

3年生ごろの子はいったん何か形あるものを生み出すことへの興味が薄れ、

暗号やゲームのルールなどに惹きつけられる子が多いです。

暗号遊びに興じた後の子は、数字を記号に置き換えて

算数問題を解く力がついています。

 同じように色いたを並べている時も

Dちゃんは正三角形の敷き詰めていて、一番端の部分に30度の三角の隙間ができるのを

何とかしようとがんばっていました。

Eちゃんは段差と段差をよりなだらかな段にするのに励んでいました。

Fちゃんは色板を立てた状態で面白い形が作れないかいろいろ試していました。

この日子どもたちは植木算にチャレンジしました。

何本かの棒を等間隔に立てていった時、間がどれくらいの長さを

問う問題です。

子どもたちは積み木遊びの延長で考えていたようです。

「できそうだ」という明るい見通しを持って、真剣に解く姿がありました。


やる気のスイッチを入れるアイデアいろいろ 5

2019-11-05 20:42:41 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

前回は休憩を挟んでしまって申し訳ありません。

 

「その年代、その年代で、とても敏感になっている

数学的なテーマを工作に取り入れる」

ということについて、どうしてうまく説明できないのか……と考えていて、

ひとつ思い当たることがありました。

 

いかにもこの書き方だと、何かをプラスする

というイメージがともなうのですが、

実際に私がしているのは、その反対なんですよ。

 

子どもは本来、その時期その時期で過度にこだわることがあるので、

私は子どもが関心を持っていることだけに

集中できるように余計な情報や手順を減らす

というサポートをしているんです。

これは算数の学習で関わる時も同じです。

何かを教え込もうとするよりも、その子が最も重要な部分に気づきやすいように

情報を減らして余計な負荷をかけないようにしています。

頭で考える作業だけに集中できるように

その子のレベルに応じて、めんどうな部分をはぶいてあげたりしているんです。

そうして、「算数の問題を解くのがすごく面白い」という気持ちになったところで

しっかり最後まで自分で解くよう勧めています。

 

それは簡単にしてあげているのとはちょっと違います。

ひとつひとつの課題を易しくして、スローステップで進めるようにしているのとは

大きく異なるんです。

 

その子が今一番、頭を集中させたいと思っているところに

照準を合わせやすいようにしているので、

実際している内容はその子の最近接領域で、

「できるようになりたい」けど、「自分ひとりではできない」レベルへの橋渡しです。

 

 写真は小学1年生のCちゃんの工作風景です。教室に着くなり、

「クローゼットが作りたい」と

言っていました。

「クローゼットってどんなもの?」とたずねると、

「引き出しとかがあって、こんな風になっていて……」と身振りで説明してくれました。

「どうやって作る予定?何を使って作る?」とたずねると、

「折り紙で箱が作れるから、それを引き出しにしたい」と言いました。

Cちゃんの折り紙の引き出しというのは、3、4歳の頃に何度か作ったことがある

「お風呂」や「プール」を作る時のシンプルな折り方でした。

引き出しにするのなら、最初に折り紙を長方形にしておくことと、

二枚の折り紙を外が表になるように合わせて

両面折り紙のようにして折るときれいな引き出しができるはず、といった話しあいをしました。

(↓の写真は3,4歳の子らのお風呂作りの様子です)

Cちゃんと、作った引き出しより数ミリ大きい幅で

方眼紙で背面の型紙を作りました。

それから、「あと、どんな面があるかな?」とたずねると、

「横のところと下と上」と言うので、側面の型紙を折り紙の箱にひっつけるようにして

サイズを把握して作り、底の型紙を折り紙の引き出しを上に乗せて

作りました。

こんな風に形の型紙を使って作ることにしたのですが、

Cちゃんに「後ろと右横左横の3つをひっつけて

折り筋をつけて折って作る方法と、

ひとつひとつの形をバラバラに切ってテープで合わせていく方法があるけど

どっちがいい?」とたずねると、「バラバラがいい」と言いました。

その後Cちゃんは、型紙を当ててみては、必要だと思う面を増やして

クローゼットを完成させていました。

 

こういう時、仕上がりがきれいかとか、効率的か、ということで選ばず、

子どもが自分の頭で判断しながら

興味を持続させて作れる方法を選ぶと、その後はどんどん集中して

自分で作っていきます。

 

 

 

下の写真は小学2年生のDちゃんが宝箱を作っている様子です。

はじめに材料箱から下のようなひし形の板を見つけて

それにきれいな折り紙を貼ることに熱中していました。

その後、何かひらめいた様子で、

「宝箱が作りたい」と言っていました。

宝箱のサイズやイメージをきいて

作り方の相談に乗りました。

Dちゃんは、ひし形のふたを型紙代わりにして

なぞり、底の面としました。

そしてそこから立ち上がる側面の型紙を作って、それを底の

辺にあてて側面を作って、ふたのない箱の展開図を

実際に紙を折ってイメージの助けにしながら描いていました。

 

こうした工作の後で1年生の子らは

長さの単位の変換を学んでから周りの長さを学び、

2年生の子らは面積の計算方法や方陣算などを学ぶと

やる気いっぱいの姿勢で学んでいました。

 

(↓ 1年生の周りの長さの問題です。自由に自分たちで作った形の周りの

長さを計算しています。)

最初の記事の説明が終わらないまま脱線しているのですが、次回に続きます。

 

 


やる気のスイッチを入れるアイデアいろいろ 4 (途中休憩)

2019-11-03 07:21:42 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

書けば書くほど、うまく説明できていない……というか、

最初のAちゃんの話をするために、Aちゃんのことはほっぽって

脱線しまくって、 長々と読む側には??な話を続けなければ、

伝えたいことを言葉にできない……ということに

途中で気づきました。

 

自分としては、何となく勘でやっていることも、

いざ言葉にしようとすると、さまざまな背景やこれまでの長い経験のもとで判断していることが

複雑に絡み合っていて、「こうやっています」とひとことではとても言い表せない

のだと身に沁みました。

 

ただレッスンに来て、現場で子どもを目にしているお母さん方は、

私が言わんとしていることがスッと腑に落ちたようなので、

もう少し言葉にする努力をしてみます。

 

気持ちが折れかけているので、気分転換に、小学4年生の子らの積み木遊びの写真を

はさんでから、

続きを書いていきますね。


やる気のスイッチを入れるアイデアいろいろ 3

2019-10-31 21:42:16 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

前回の記事で、

その年代、その年代で、とても敏感になっている

数学的なテーマを工作に取り入れる

といったことを書きました。

 

ちょっとまわりくどくなりますが、そのことについて

書いていきますね。

 

小学校低学年の子たちは立体物に関する

独特の感性やこだわりがあるな、と感じています。

立体物の見え方やとらえ方が

大人とはずいぶんちがうようなのです。

そのせいで、この時期の子らの物作りを見ていると、

どうしてそんなめんどくさい作り方をするんだろう?

と首をかしげることがよくあります。

 

下の写真は小学1年生のBちゃんが人形用のベッドに色紙を貼っている様子です。

見ていると、1面ずつ、形を写し取って貼っていました。

こうした作り方は、年長~小学2年生の工作風景ではしょっちゅう見かけます。

 

立体物を真似て形を作る時も、形を全体としてとらえるのではなくて、

一面ずつ形を描いて切り抜いて、それらを隣り同士張り合わせて作っていくのです。

 

その後、展開図もどきのようなものを作る時期もあります。

電車でしたら天井面と側面の2枚の

3面がつらなった形。

それを組み立ててから前と後ろの面を

継ぎをあてるように切り取って貼りあわせるのです。(その時点で底はありません)

家を作る場合、床と側面の壁1~2枚の

つらなった形が多いです。

 

下の写真は3つの面がつらなった形です。

こうした工作上の変化と算数の学習は深くつながっているようで、

小学生になったばかりの子らは『面積』と『まわりの長さ』のちがいが

聞いてもピンとこないのですが、

こうした面に対する独特の関わり方をした後で、

そういった概念が急に腑に落ちるようになるんです。

 

話が「やる気のスイッチ」という話からずいぶん脱線してしまったのですが……。

 

ちょうどその時期、その時期の

子どもが敏感になるテーマは、「物作りがあまり好きじゃない」という子も

工作に惹きつけるし、

「勉強は嫌」という子も、算数に興味を抱くきっかけとなりやすいです。

 

次回に続きます。


やる気のスイッチを入れるアイデアいろいろ 2

2019-10-28 20:45:20 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

たいていの子どもが「やりたい!」と感じるのは次のような場面です。

 

● 最初のとっかかりが簡単で面白そう。パッと見たところできそう。

 

● 好奇心をそそるような目新しさがある。

 

● 自分の得意なこと。もともと好きな分野。それに自信がある。見通しが立つ。

 

● 他の子がやっていて楽しそう。

 

● リラックスできる場所で、信頼できる人といっしょ。

 

Aちゃんはそうしたほとんどの子がすぐに飛びつく場面で、ぐずぐずしていることがよくあります。

というのも、「最初のとっかかりが簡単で面白そう。パッと見たところできそう」

でも、Aちゃん自身が頭を使う面ではかなり難易度が高いものにやる気を感じるところがあるので、

それが「やりたい」につながらないのです。

でも難しそうならいいのかというと、Aちゃんは手先がそれほど器用ではなかったり、

目新しくてイメージしにくいものを嫌うところがあるので、

それもやる気をそぐだけなのです。

 そういう点で、「好奇心をそそるような目新しさがある。」だけでは、

なんとなくしり込みすることがよくあるのです。

 

「自分の得意なこと。もともと好きな分野。それに自信がある。見通しが立つ」

活動は進んでやりたがるのですが、それだと毎回、同じようなことばかりしたがることに

なります。


「他の子がやっていて楽しそう」なものは、

他の子に乗せられるのではなく、自分の心がやりたいと感じたことをしたい

という気持ちが強いAちゃんには、むしろ「やりたくない」という

あまのじゃくな態度を生みもするのです。

 

「リラックスできる場所で、信頼できる人といっしょ」にいることは

Aちゃんにとって(そして他のどの子のやる気にとっても)

大事ですが、気持ちの切り替えが苦手なAちゃんにすると、

好きな遊びだけして過ごしたいというだらだらした態度にもつながりがちです。

 

そんなわけで、Aちゃんというひとりの子を相手にするにしても、

Aちゃんがどんなタイミングで、どのようなシチュエーションで

やる気のスイッチが入ったのか、

よく観察して把握しておくこと、またAちゃんという子を

理解しておくことが、大事になってくるのです。

 

「簡単じゃないと、やりたくないと思うのに、簡単だとやる気がでないという子が、

適度に頭を使う楽しさはあるけれど、手指の巧緻性はさほど求められず、

難しそうなのに思わずやってみたいと思う工作」

物作りの場面で、そんな禅問答にでも出てきそうな子どもの思いにぶつかった時、

役立ってきたのは、

その年代、その年代で、とても敏感になっている

数学的なテーマを工作に取り入れることです。

それと、使ってみたいと思うような

小道具を使うのもいいです。

 

次回に続きます。

 

 

 

 


やる気のスイッチを入れるアイデアいろいろ 1

2019-10-24 15:24:48 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

虹色教室では、どの子もたいていの場合、工作や算数の学習に

すごく意欲的に取り組む姿があります。

熱意や集中力の高さに、周りの大人が圧倒されることも多々あります。

そんな子どもたちの様子を見て、「どうしたらこんな風に

子どもたちのやる気のスイッチを入れることができるんですか?」と

たずねられることがあります。

 

私は子どもが大人の用意した活動や勉強などに

いつでもやる気満々で参加する必要はないと思っています。

気分が乗らない日や、やりたくないと感じる活動は当然あるはずですから。

 そんな風に子どもが大人にとっての『いい子』でなくていいと思うものの

せっかくわざわざ教室に来てくれたのなら、

自分の全身全霊を傾けて何かに没頭する喜びを味わってほしいと願っています。

それと教室での体験を土台にして、家庭や学校での活動に

ワクワクを感じる機会が増えたらとも思っています。

 

前置きが長くなりましたが、子どもたちが物作りや勉強に

前のめりになって参加するために教室でしている工夫を

紹介していきますね。

 

まず教室では、ひとりひとりの子のやる気スイッチの入るタイミングを

ていねいに把握しています。

上の写真は1年生のAちゃんが工作している様子なのです。

Aちゃんは、大人に「こんなことしてみない?」と誘われたり、

他の子らが、「こんなことやりたい!やりたい!」と盛り上がったりしている時は、

ひとりだけ場から離れて、「やりたくない」と主張することがよくあります。

 

ひっぱりますが次回に続きます。