4歳までの子は、大人のようにさまざまな体験を積んでいませんし、
身体や感情が自分の思うようにコントロールできるわけではありません。
あたり前のことを言っているようですが、
この当たり前の事実を大人が把握していないために、
子どもが何かするたびに、
きちんと「使い方」や「方法」を教えるのではなくて、
子どもの心に「罪悪感」を植えつけて、先々の困った心の癖の原因を作ってしまう場合がよくあります。
例えば、子どもがはさみを使いだしたとたん、
「そんな持ち方はダメダメ。ゆがんでるって。」
「そこじゃないでしょ」「それは切らないの」「こっちはしないの?」
と、常に、ダメ出しのオンパレードになっているものの、
「正しいきちんとした切り方
どんなものは切っていいのかのルール」などを、
正確に子どもに見えるようにしるすことはほとんどしない
という方が多いのです。
「ダメ!」とダメ出ししようにも、
ダメのもとになる「正しさ」がしるされていないし、子どもがそれをしっかり理解していないので、
子どもの心に残るのは、「ダメなことをする自分」という罪悪感
でしかないのです。
4歳くらいの子の行動は、自由にさせる部分は自由にし、
「ダメ」という場面では、まず、「ちゃんと見てちょうだいね」と言って、
「正しい形」を見せることが大事です。
また失敗すれば、「ダメ」ではなくて、もう一度、「ちゃんと見てね」と
「正しい」ものを見せるのです。
子どもは何かを集中しているときに、ダメ出しすると、「ダメ」という言葉のあらわすものの方向に気が取られて、正しい方法が受け入れにくくなります。
すねてそんな風になるのでなくて、
同時にふたつのことに集中するのが難しいのです。
相手がしぶりそうな内容に「うん」と言わせるのが上手なセールスマンは、最初にその内容とは全然別件で、お互いの意見が一致する話から、話をはじめるのだそうです。
大人だって、そう簡単に気持ちが切り替わるわけじゃありませんから、
いい気分で、「うん」と返事していた相手には、
少しどうかな~?という内容に話がおよんでも、「OK]を出してしまいがちなのです。
子どもの場合、もっと単純です。最初良ければすべて良し~
出だしが悪ければ、何を言っても無駄 となりがちです。
子どもが言うことを聞かない癖がついている場合、お母さんが無意識にいつも
「ダメ出しから入って、優しい説得へ」という逆の流れを作っているケースを
よく見かけます。
危なっかしい方法で、えんぴつ削りを使っているとすれば、
「そんなまわし方はダメ、危ないでしょ。反対にまわしてる~」と言った注意の仕方をするのでなくて、
「静かに見ていてちょうだいね。えんぴつを刺しているときに、えんぴつけずりのお耳を引っ張って、前へいくようにこうして~えんぴつは少し力を入れて中に入るようにね。
ここで、手をはさむから危ないの。ここに手を置くと痛いのよ。気をつけて。
それから、前から向こうへ、ピョーンと跳ぶようにハンドルをくるくるまわしてね。そう~」
ときちんと説明し、正しい方法を集中して聞く姿勢を育てます。
ダメ出しではなく、
「正しい方法」に集中させると、子どもの気持ちは正しいことを身につけよう
とする意欲的な態度で、
物に集中します。
繰り返しになりますが、
最初の話に戻って、
4歳までの子は、大人のようにさまざまな体験を積んでいませんし、
身体や感情が自分の思うようにコントロールできるわけではありません。
それで、きちんと教えていないのに「そんな持ち方は~」といった
ダメ出しから入ると、
「学ぶ、教わる」といった気持ちに切り替わらせるのが難しく、
走り出した「ダメダメ言わないで~」という負の感情に絡み取られているので、
覚えがとても悪くなるのです。
ですから、ダメなことを教えるにしても、
正しい方法から気持ちよく教えて、
本人が「私はこんなお姉さん(お兄さん)のお仕事もできる。怖いことがおきないようにお母さんの話をちゃんと聞いておこう。」と、
自分の有能感を刺激されて、いつもよりお姉さんモード(お兄さんモード)になっているときに、
最後に注意点やどこがどうダメなのか、きちっと納得させておくと、
真剣な態度でうなずくのです。
といっても、この時期は手足がコントロールできないのですから、
頭でわかってもできなくて
当たり前。
大人にしても、足の指で字を書けと言われたら、
コツを教わったって、きちんとはできませんよね。
子どもがやりたがることは、
何度も気長に教えてくことが大事です。
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