なつかしい記事があったので、再度アップさせていただきます。
この時、ご相談いただいていたなおくんは、もう小学校の4年生。
物作りが大好きでとてもしっかりした子に成長しています。なおくん、それは魅力的な子に育っています。
先日、お会いした際は、なおくんの成長ぶりに、お母さんは終始、目を細めておられました。
「なおくんのように自分のやりたいことがたくさんあって、それらに熱中できる子に成長してくれたら」と願う幼い子を育てる親御さんの声を耳にしました。
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親子のボタンの掛け違い……10
の記事に なおハハさんから次のようなコメントをいただきました。
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息子は4才の年中児であるのに、友だちに対する壁があって、他の子を遮断するような遊び方をします。そして揉め事でキーキー喚く。
お友達との時間を心地よく感じていない
等々、4才になってもそのような言動(寧ろ酷くなっています)があると言う事は、私が息子にとっての『最優先課題』にずっと気づいていないのですね。
気づいていない、という事は息子の本質や内面に向き合っていなかったからでしょう。
5才を前に、向き合うよりも威圧的に抑え込む事が度々あり感情的になるのですが。
まずは、感情を爆発させる息子の気持ちを受け止め発散させる事で治まるものでしょうか?
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ハンドルネーム、お子さんの年齢等が熊本の遊びのアトリエさんのところでおこなったワークショップに
参加してくれていた なおくんのお母さん からのものと思われるので、
そのように考えてお返事させていただきますね。
(もし違っていたら同じハンドルネームの方との勘違いです。ごめんなさい。コメント欄でお知らせください。)
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4歳の息子さんが、他の子を遮断するような遊び方をしたり、揉めてキーキー喚くのは、
なおハハさんが、息子さんの『最優先課題』にずっと気づいておらず、
息子の本質や内面に向き合ってこなかったからではないか……というお話ですね。
子どもの問題行動にはさまざまな原因があるでしょうから、
何か気になることがあるたびに、「それは親のわたしが至らないからではないか。このように育てたからではないか。
自分に何か足りないから子どもに問題があるのではないか」
と案ずるのは
間違っていると思います。
その一方で、実際、熊本で会ったなおくんの姿を思い返すと、
もしなおハハさんが、なおくんの『最優先課題』に気づき、
なおくんの本質や内面に向き合うように努めたら、
今悩んでおられるなおくんの気になる態度は軽減するようにも感じました。
それは矛盾のある意見のように聞こえるかもしれませんが、
たいていの親子関係はそのようなものだと感じています。
子どもは常に何らかの問題を外の世界に投げかける存在です。
成長過程ですから、
全て円満で、その地点で完成してしまって
後は何の心配もなく安穏と暮らすだけ……
となるわけがないのです。
3度3度の食事でお腹がすくから
ごはんを食べるのと同じで、
いろいろと足りないところや、欠如感に悩むから、
それを周囲に充たしてもらったり、
自分で乗り越えたりしながら
しっかり成長していくのです。
ですから、「何かが足りない、うまくできないことがある、うまくいかないことがある」のは
誰のせいでもありません。(何らかの原因はあるかもしれませんが)
でもそこで、子どもから投げかけられたものに
周囲がしっかり向き合って、子どもからのSOSがあればそれに答え、
子どもの長所や良い面が発揮できる環境を整えてあげると、
雨降って地固まるじゃないですけど、
気になった問題をきっかけに、親子関係が改善されたり、
子どもが劇的な成長を遂げたりすることはよくあるのです。
それではなおくんの話に戻りますね。
熊本でのワークショップを終えて、積み木やおもちゃをアトリエのジジさんの車に
運ぶ時のこと、
他の子どもたちはみんな帰ってしまった後も、なおくんだけが
おもちゃを抱えて後片付けのお手伝いをしていました。
ジジさんの「なお、これしまうの手伝ってくれるか?」の声かけに
表情を輝かせてこっくりしたなおくんは、
「重い」とか「疲れた」といった弱音を一度も吐かずに
積み木を抱えて駐車場までついてきてくれたのです。
なおくんはジジさんが自分のことを心から信じて信頼してくれていることを
よく知っていて、
ジジさんのまなざしのなかでは
すなおでがんばり屋の自分でいることができるのです。
ワークショップの間のなおくんは
とても集中して参加できていることと、
活動の輪からはずれて、参加できずにいることが
ありました。
なおくんが集中して参加できていたのは、身近に大人や親しくしてくれるお友だちが
ひとりいて、
安心できる1対1の人間関係が保証されている場での活動でした。
一方、参加を渋っていたのは、
子どもたちだけでワアッと盛り上がって群れて
遊んだり、発言したりしていた活動でした。
その様子から、もう少しの間、もうお腹がいっぱいだ、と本人が感じられるくらいまで、
お母さんとなおくん、
ジジさんやボッスさんのようななおくんに存分に愛情を注いでくれる大人となおくん、
なおくんといっしょに根気よく遊んでくれるひとりのお友だちとなおくん
という1対1の関係を密に豊かにすることを心がけては
どうかと思いました。
「5才を前に、向き合うよりも威圧的に抑え込む事が度々あり感情的になるのですが。
まずは、感情を爆発させる息子の気持ちを受け止め発散させる事で治まるものでしょうか?」
というなおハハさんの質問を読んで、
今、なおハハさんは「わが子のことを理解し、感情爆発させても優しく受け止めてあげるような
すばらしい母になろう!もっといい親にならなくちゃ!」
と焦るよりは、
少し肩の力を抜いて、
子どものことで気になることは信頼できる遊びのアトリエのスタッフの方々などの判断におまかせして、
「自分に優しくする」ということや
「自分に優しいまなざしを向ける」ということを練習する必要があるんじゃないかな、
と感じました。
「自分に優しくする」「自分に優しいまなざしを向ける」大切さについては
かつて次のような記事にしたことがあります。
よかったら読んでくださいね。
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ハンドルネーム『わからない』さんから、次のようなコメントをいただきました。
私はもう どうしていいのかわかりません
何度言っても出来ない、同じ過ちをする子供
中1ですが、今まで何も変わらず
今日は食事を与えていません
もうどうして良いかわかりません
診断下してくれる病院は1月まで予約が一杯です
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『わからない』さんは、今、食事抜きを言い渡したことで、
自分自身がとても傷ついているのですね。
そんな風に心が深く傷ついているときは、
何とか子どもを正しく諭そうと、子どもの方にフォーカスせずに、
まず自分が今、何でどれほど傷ついているのか、
それは子どもの起した事件によるものなのか、
がんばってもがんばっても成長しないわが子への怒りによるものなのか、
じっくり自分の心と向き合ってみるのが良いように思います。
『わからない』さんがこんなにも混乱しているのは、
非常に子どもを愛していて、
叱ったり、食事を抜いたりする子どもへの攻撃が
そのまま自分の痛みとして感じられているからだと思います。
まず、自分の心を癒して、
傷つくという悲しい気持ちを実感すると、
今度はがんばってもがんばっても周囲の期待に応えられない
子ども自身の深い悲しみが
しんみりと伝わってきて
きちんと受け止めてあげられるかもしれません。
混乱と悲しみの渦中にあるときは、
自分の本当の心を見失っています。
将来への不安や恐怖心、
周囲の人々の冷たい視線や心無い言葉
そうしたものにまどわされて、
子どもに対するイライラする心の底にある
深い愛情が、
見えなくなってしまうのです。
恐怖心でパニックになっている状態です。
ですから、パニックを沈めるために、
まず、自分自身にもっと優しくしてあげなければ
ならないのです。
そうして、恐怖が薄らげば、
何をすればよいのか
一番知っているのは自分だということに気づくはずですよ。
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前回の記事に次のようなコメントをいただきました。
二歳8ヶ月の息子と6ヶ月の息子を持つ母です。
私も、わからないさん同様混乱の中にいます。
私をなんとかしなきゃなぁ…と思いつつ、「自分に優しく」っていうのが、分かりません。
一歳半で発達障害の可能性を保健師に指摘されています。初めて会う子や、
自分の勝手なテリトリーを乱す子に威嚇する息子(ウルトラマンなんかに変身して、
格好つけてパンチしたりしてます)にイライラしてしまい、キツく叱りつけたり、怒鳴ったり、手をあげてしまいます。
本人は、きっと「カッコいいでしょ?」って思ってやってるんですけど、
された方は怖がったり、泣き出したり…
関わりたい気持ちが、そうさせてるのは分かってるつもりなのに、
なんで怖いのが分からないかなぁ…と悲しくなってしまいます。
自分に優しくとは、どうする事なんでしょう?
息子にどんな関わり方をしていったらいいのでしょう?
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「自分に優しく」するひとつの方法は、さまざまな義務感や、緊張や、外野の声を
手放して、
自分を甘やかすこと、自分がうれしくなってリラックスできること
だけをしばらくしてみることです。
ご質問者さんは、子どもは公園に連れて行ってあげなくてはならないもの、
今から輪に入れておかないとお友達ができなくなる、
自分もママ友から置いてけぼりを食ってしまう……
といったさまざまな縛りから
無理してそんな辛い公園通いをしているのかもしれません。
でも、いったんそうした義務感を
捨ててしまうのです。
子どもと一緒に「人のいない自然の多い場」にピクニックに行くのもいいです。
そのとき、お弁当を作ろうなどと思わず、
ちょっと贅沢しておいしいパン屋さんでサンドイッチのセットを買っていくのも
楽しいです。
もともと子供というのは危険な遊びが好きで、攻撃的で暴力的な
一面があります。それがおかしいと思う気持ちも手放します。
そうした子どもの野性味を強さとしてたくましく感じられる
山登りなどに行くのもいいです。
そうして、混乱のもととなっているさまざまなノイズから遠ざかって
自分と子どもで楽しめることだけを
しばらくしてみるのです。
そうして子どもとのかかわりが良いものになってくると
子どもは、お友だちを欲するようになってきます。
社会性はゆっくり発達するでしょうが、
少しずつ我慢もできるようになってくるでしょう。
私は発達障害のお子さんを持つ多くのお母さん方に会ったことがありますが、
どの方もこの難しい子育てを通して精神的な成長を遂げて
凛としたところのある賢い方々です。
こうした先天的な困難を持って生まれてきた子たちは、
親御さんにたくさんの成長をプレゼントしてくれる存在でもあります。
また社会全体が精神的な成長していくための
問題を提起してくれる存在でもあります。
だれもが誇りを持って働いていける世界はどういうものなのか
模索していくチャンスをくれているのです。
そうした話の全てがむなしい言葉として響いたり、
全てを拒絶したい混乱した気持ちにあるときは、
自分で自分を責めていじめている場合がよくあります。
そうしたときには、やはりしばらくは
自分を喜ばせることと、気分がおちつくことだけをして、
それに罪悪感を持たないことが大事だと思います。
そうしてパニックがおさまれば、
個として懸命に生きている子どもの姿が
正確に見えてくるはずですから。
私が出会った
凛としたところのある賢いお母さん方というのは、
どの方も一度は混乱しパニックを起し、
子どもを攻撃してしまった辛い経験を通ってきている方々です。
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なおハハさんからていねいなお返事をいただきました。
身近に頼れる人々がいるのは心強いですね。
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遊びのアトリエでお世話になったナオの母です。
奈緒美先生の書かれている「1対1の関係を密に豊かにすること」や「子どもへの攻撃がそのまま自分の痛みとして感じられている。」
という言葉が胸に突き刺さりました。
最近の私は、沢山のお友達と遊ばせなければ、色んなタイプのお友達と関わりを持たせなければ・・・もっともっと、とばかり考え焦っていました。
その一方で、沢山のお友達の中で遊ぶ息子の気になる部分や他のお友達より劣ると感じてしまう部分にばかりフォーカスをおいてしまい、イライラ感を募らせる事も多くありました。
そして、息子の『☆君とだけ遊びたい』と言う言葉に耳も貸さず、『どうして、あなたはそうなの?、皆と遊べるようになったほうが良いし、楽しいのよ。』と自分の意見を押し付けていました。
その上、息子に対するイライラが二人きりになった時に爆発してしまう事の繰り返しで、愛おしくてたまらないのに、怒鳴ったり手が出たりするのが息子を傷つけるのと同時に自分の心も傷つけていました。
最近、私だけでなく幼稚園の先生やお友達に対しても怒りをあらわにする息子に『どうして、あなたはそんなに大きな声で怒るの?』『なんで、我慢出来ないの?』と言う度に、まるで自分に言い聞かせている様でどうすれば良いのか分からなくなっていました。
確かに、まずは自分を癒す事が必要なのかもしれません。
幼稚園のママ達とも息子の為に上手く付き合わなければ!と頑張りすぎていたのかもしれません。
そして、何もかも息子の為にという表面的な言葉の奥底に自分の中の深い傷、どうしたら良いか分からない辛い思いがあるのも事実です。
先生の仰る通り、少しずつでも『自分に優しくする』練習をしていきます。
そうすることで、息子にも穏やかに接する日々が続けば息子も私もお互いにとって良い関係を築き、親子ともに成長出来るのかもしれません。
息子の気になる部分も出来るだけ遊びのアトリエの皆さんにおまかせして、まずは自分を甘やかしてみます。
深く温かいお言葉の数々、本当に有難うございました。