前回の記事の終わりに、「具体的な内容は、続きの記事で書かせていただきますね」と書いておきながら、
★くんのお母さんのコメントにあった合気道の話がとても興味深かったので、少し脱線して紹介させてください。
★くんのお父さんもお母さんも合気道の世界に本格的に取り組んでこられた方々です。
おふたりの師範は合気道の世界ではトップクラスの実力者で、海外にもあちこち指導にいかれている方でなのだそうです。
その方の言葉に、
「自分で気づいている欠点は欠点ではありません。それは怠慢です。
気づいていない欠点を探す事が本当の修行ではないでしょうか」というものがあって、
若い頃の★くんのお母さんは頭を打たれたような気持ちになったそうです。
「あくまでもわたしたちの師範の目指す合気道の話です。」という前置きをされた上で、合気道について
こんな話を教えていただきました。
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合気道は普通とは全く異なる体の使い方をします。
年配者や女性、子どもに向いていると言われる所以でもあります。
身体能力の高い人が必ずしも達人にはならず頭打ちになる事も多々あります。
試合がありません。
我をすてること、力で割って入らない事、が最も重要です。
私は本当に性格的には向いていないのです。
合気道で自分の思い込みを壊す事、気づかない欠点を知る事で
世界がキラキラ輝いて見えるような変化を何度も体験してきました。
素直になれ、壊せ、信じろ、といった世界でした。
守破離はどんなものにもつきものですが、
合気道は正解や強さが解りにくいというか、試合がなく白黒つきにくいため、
気とか精神論で誤摩化し、摩訶不思議なものように伝えられる悪徳商法のような道場もたくさんあります。
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合気道の世界で大切だとされている
「我をすてること、力で割って入らないこと、
自分の思い込みを壊すこと、気づかない欠点を知ること」は、
子育ての中で、思い通りにいかない事態に何度も直面しながら、
体験したり、気づいたりしていくことでもあります。
でも同時に、子育てでは、
自分をしっかり持って、親としての力をはっきり示して、決定権が子ではなく親にあることを教えること、
思い込みにも見える子どもを信じる気持ちを保つこと、親も子も欠点を直すのではなく受容していくことが
重要でもあります。
子どもを育てていく過程は、そんな風に矛盾だらけです。
だから難しいし、だから面白くて魅力的でもあるんでしょうね。
「ワガママな振舞いが目立つ子」に対するわたしの気持ちも
それと同様、相反する矛盾したものが入り混じったものです。
一方では、その子の頑固さやしつこさや、親の心の隙につけいったり、
感情を操作して振り回したりする態度が、
その子の体験を狭め、同年代の友だちから遠ざけてしまうことを苦しく思い、
身近な大人として、きちんとしつけていかなくては……という責任感を感じています。
でももう一方では、そうした激しい気性や気難しさや過敏さを持っている子たちを、
特別にかわいく思い、
その子たちが、体験の中で鍛えられていって、非常に魅力的でしっかりした子に成長していくことを
信じてもいるのです。
実際に、そうした成長を遂げていった子たちとたくさん付き合ってきたからでもありますが。
次回に続きます。