レンズーリの拡充学習について 2
の記事で、「同じ見本を見せても、それぞれの子どもへの響き方は違います。」とを書きました。
そこで、ここで紹介したポップアップの見本に他の子らはどのように反応したのか、
別のグループのレッスンの様子を紹介してみようと思います。
年中の女の子たちのグループの様子です。
年中のAちゃんは基本のポップアップを作った後で、
「ここに絵を描いて、開けたら立つようにしたい」と言っていました。
そこで、開くと絵が立ち上がるように
折った紙で一定の角度を作って貼る方法を教えようと思っていると、
こちらがアドバイスする間もなく、Aちゃんはちゃっちゃと紙を切って折って、ハートを描いて、
テープで貼り付けていました。
それから、「ナオミ先生、ここをこうやって折っておいて、開いたときに
こうしたらちゃんと立つよ」と説明してくれました。
開くと自然に立ち上がるわけではないけれど、「折りたたむ」ということを
利用したいいアイデアです。
そこで、ここはAちゃんが自分で考えたアイデアを優先して、
紙が自然に立ち上がる方法を教えるのは、また次の機会(Aちゃんがそれを必要とするとき)
に回すことにしました。
Aちゃんは独創的な自分のアイデアを追うのが好きな子です。
「どのように見えるか」に
非常に繊細な感性を持っています。
年少の頃から、
輪ゴムやモールやひもで、球形、らせん形、幾何学模様と
いった形を作っては、さまざまな方向からそれを眺めて遊んでいました。
また、「自分がどのようにしたいのか」を言葉で説明することに熱心で、
問題を解決するための知恵を絞っては、どうやって問題を克服したのか、
事細かに解説するところが、この子の際立った個性だと感じています。
わたしに、自己流ポップアップを披露した後で、Aちゃんは、
「ここから覗いたら、ハートが見えるのよ」と言いました。
わたしが、四角い枠を覗き込んで、「見えた、見えた、すごいね。」と言うと、
Aちゃんは急に神妙な顔になって、
「手で立つようにするんじゃなくて、開いたら自分で立つようにするのはどうするの?」とたずねました。
四角い枠から見える位置にある状態でポップアップにするのは
難しい問題です。紙を継ぎ足して、折り方を工夫したら立つだろうかと考え込んでいたら、
Aちゃんが、「輪ゴムをつけておいて、開いたらポンッと開くようにしたい」と言いました。
Aちゃんが言うように、切った輪ゴムをポップアップさせる紙と土台に貼り付けると、
開くと同時にハートの絵が、
ゴムに引っ張られて立ち上がるようになりました。
そういえば、1年前、Aちゃんたちのグループについて、こんな記事を書いていました。
(輪ゴム交差させて覗き込んでいるのはAちゃんです。)
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毎日いっしょに過ごしているわが子でも、その子ならではの才能や資質に気づくのは難しいと
いう話をよくうかがいます。
才能や資質を見つけるために、何を習わせようか、何を体験させようか
と悩む方もいるようです。
でも、ちょっと肩の力を抜いて、子どもの視線が釘付けになっているものに注意を向けたり
子どもの言葉にていねいに耳を傾けたりしていると、
日常のさまざまな場面でその子ならではの才能や資質が顔をのぞかせているのに
気づくはずです。
写真は年少グループのAちゃんが、輪ゴムを交差させて「見て!」と言っているところです。
輪ゴムを触っていると偶然こんな形ができたようです。
よほどこの形が気に入ったのか、Aちゃんは長い間これを見続けていました。
大人が子どもにやらせたいことや教えたいことがせわしなくある場合、
Aちゃんのこんな発見は時間の無駄や手遊びの一種にしか見えません。
でも、普段から大人の側が、子どもの興味やアイデアや言葉を
関心を寄せていて、子どもから発信されたものを取り上げたり膨らませたりする
余裕を随所に作っていたら、その子ならではの才能や資質の輝きを目の当たりに
するにちがいありません。
Aちゃんは形の美しさや素材の性質や物の動きの面白さを探究するのが好きな子です。
この日も教室内で、一方に玉がはまって取れなくなっているラップの芯を見つけて、
ビー玉を入れて芯を左右に傾けては、「玉がはまっている方向に傾けるとビー玉が出てこず、
もう一方に傾けるとビー玉が出てくる」という様子を
しつこいほど何度も試していました。
そこで、このラップの芯を使った工作にAちゃんを誘うと、
「ボチャンと水の中に落ちるようにしたい」と言いました。
ラップの芯を傾ける方法は、年少さんのレッスンにつきあっていた
Bちゃんの年長のお姉ちゃんのアイデアで、お菓子の箱の内側部分を使いました。
ポリテープで水面を作ると、どんぐりやビー玉を水の中に飛び込ませる
おもちゃができました。
Aちゃんは、これまで自分が見つけた動きや形や素材の性質を
発展させて工作をしたことが何度かあります。
そうするうちに、積極的に自分の発見をよりくわしく説明しようと
するようになりました。
また、何かを発見した時、こちらがそれを取り上げて
工作したり遊んだりするよう提案すると、
非常にねばり強く取り組むようになりました。
輪ゴムを交差させると球形の面白い形ができることに夢中になっていたAちゃんに
モールで輪っかを作って、輪ゴムと同じように交差させて球形を作ることを提案すると、
喜んで↓のような作品を作っていました。
お友だちのBちゃんも真似してたくさん球を作っていました。