虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

段ボールハウスの増築で教室がえらいことになっています。

2018-06-28 19:31:12 | 工作 ワークショップ

街づくりイベントのアートフェスタを教室内に再現しようとしていた小学生のお姉さん方。

途中で面倒になって、「家を作ろう」と、街並みだったものをぐるりと囲んで、

モンゴルの遊牧民のゲルのような丸い家を作りました。

屋根にらくがきしながら、笑う、笑う。

何がそんなにおかしいのかとあきれるほど、笑っていました。

創造力があふれているときは、うれしいものですね。

そのご、2,3歳のちびっこちゃんたちが来た時に、家に穴をあけて、適当なまどをつけてあげると

大喜びでした。壁に光を当てると見える不思議なペンでらくがきして遊んでいます。

ヘンテコな窓から出てくる手。

 

小3の男の子が本当に音の出るインターホンや表札、ポストなどを作ってくれました。

小1の男の子が来た時、「おうちを改造する?」とたずねると、

「自分の家が新しく作りたい」と言われました。

段ボールハウスと段ボールハウスは、通路をもぐっていくと

行き来できます。

教室が段ボールハウスに占領されてえらいことになっています。

 


困り感のある子(大人も)を隠れた強みからポジティブに支援する研究会

2018-06-26 15:27:52 | 連絡事項

↑1年生の男の子作 マリオのステージ



最近、困難を抱えた子どもや大人を4つの“隠れた強み”から見立てることで、

ポジティブな視点から支援するための枠組みを提供するためのワークショップを

行っているストレングス・トーク研究会というものを知り、とても共感しています。

 

もうすでに開催日を過ぎてしまったのですが、先日、お医者さんはなぜ、発達障がいの「診断」をするのか? という

このストレングス・トーク研究会をしておられる横浜市南部地域療育センター所長の井上祐紀先生(児童精神科医)

による講演とワークショップが開催されたそうです。

聞きそびれてしまったけれど、とても興味があります。

 

虹色教室では困難を抱えた子にしろ、ごく一般的な適応力のある子にしろ、それぞれの子の

個性にフォーカスして、その子の持つ強みとつきあい続けるということをしてきました。

それがどれほど深く意味のあることか、日々実感しています。

 

よかったら、

ストレングス・トーク研究会

https://www.facebook.com/Strength.Talk.Kenkyukai/

のフェイスブックをのぞいてみてくださいね。

 

 

ついでに、興味深かったこんなイベントの紹介を。

 

<発達障害×起業×プレゼン×脳科学>

https://www.kokuchpro.com/event/ourstartup/

2018年6月30日(土) 19:00〜21:00

経営者と精神科医、起業家が語る発達障害と起業講話+パネルディスカッション。

発達障害当事者は生まれつき脳機能に偏りがあり、一般的なコミュニケーションが苦手であったり、

ストレスに弱く十分社会適応ができない人も多くいます。無理に社会に合わせるのではなく、

自分で起業するという選択は自由にやりたいことをでき、発達障害当事者にとって

最適ではないかという視点で開かれたイベントです。

発達障害当事者ながらも起業した人、起業を志す人、また起業をサポートする人

3名がそれぞれの経験とアイデアを語り、パネルディスカッションするそうです。

後半では参加型で質疑応答・起業に関するディスカッションの時間も設けるとのこと。

 

 

 


 


勉強が好きになるまでのプロセス 続きの続き

2018-06-24 19:47:25 | 日々思うこと 雑感

前回の記事の続きを書く前に、虹色教室のことについて、少し触れさせてください。

虹色教室の特徴は、ひとりひとりの子と長い期間関わることが多いことです。

1,2歳の頃出会って、それから10年あまりの年月、見守り続けることもめずらしくありません。

もうひとつの大きな特徴は、子どもとの関わり方が多岐にわたっていることです。

工作したり、実験したり、ゲームをしたり、ブロック遊びをしたり、ごっこに興じたり、

算数を学んだり、お泊まりのレッスンに行ったり、それぞれの子のその時期の興味やニーズにそった

活動をしたりしています。

 

 そんな風に、幼い頃から大人のような口をきくようになる頃まで、

その子がどんな風に成長していくのか見守りながら年月を重ねるうちに、

子どもというものやそれぞれの子の個性、

子どもの育ちというものに対して、

深い信頼感や安心感や自然を前にして感じるような敬虔な気持ちを抱くようになりました。

 というのも、どんなに今、目の前の子の問題行動が目立っていても、できないことばかりが目についても、

子どもは成長の過程でそれを取り戻すかのような劇的な成長の時期が訪れたり、

個性の力で、不利な条件を利用して、他の子らが真似できないような面を大きく伸ばしたりする

姿を何度も目にしてきたからです。

 

戸塚滝登著の『子どもの脳が学ぶとき』に、数学者のシーモア・パパートの

『パパートの原理』がの一部が紹介されています。

 

「子どもの脳は単に知識を詰め込まれるだけでは

発達できず、その知識を使うための知識

(より良い方法を見つけたり、発展させたりする体験などの知識)を与えられない限り、

うまく成長することはできない」という考えのことです。

 

子どもの脳は単に新しいスキルや知識を身に付けるだけでは成長できない。

「知識を使いこなすための知識」

「知識についての知識」を学ぶことも、

子どもの脳の発達にとってかけがえのないステップになる。


               『子どもの脳が学ぶとき』戸塚滝登著

 

この著書には、脳神経科学者、ジュディス・ラポポートとジェイ・ジードの脳スキャナーを

使った脳発達の研究の話題も取り上げられています。

ララポート博士が、普通のIQの子どもたち、ややIQが高い子どもたち、最もIQが高い子ども

たちの3つのグループに分けて子どもの脳発達と知能指数との関係を追跡したところ、

もっとIQが高い子どもたちにだけ、奇妙な現象が見つかりました。

それは、

IQの高い子どもたちの脳ほどスロースペースで成長し、思春期がやってくるまで

成長をやめなかったということです。

 

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虹色教室では、先に書いたように長い期間、多岐にわたる活動を通して

子どもたちとかかわるため、

知識を使うための知識、つまり知恵を獲得していく場面にしょっちゅう遭遇します。

また、教室では、子どもがよりよい方法を見つけたり、オリジナルアイデアをひらめいたり、問題の解決法に気づいたり、

それらを繰り返しによって洗練させ、より高度なものへと発展させていけるように

環境を整え、私自身や親のスキルアップに努めてもいます。

 

 

最近、10年以上続けてきたそうした活動が実を結び、思った以上の成果を得るようになったのを肌で感じています。

その一方で、新たな問題に頭を悩ませてもいます。

「教室での子どもたちとの関わり」という現場の仕事について経験知が上がるにつれて、

ブログを読む不特定多数の人々に伝えることがより難しくなってきたのです。

 

子どもの成長のスイッチはいつどんな時、どのような条件で入るのか、

子どもとの関わりでどんな点に気をつけていけばいいのか、現場の子どもとのやり取りのなかでは正確に

把握できても、それを言葉でさらっと説明すると、どうしても言葉足らずになってしまうのです。

 

虹色教室通信は、そうした 現場での気づきを日誌のようにつづっているものです。忙しい日は日誌というより

メモの状態でアップしています。

 

  <補足>

断片的な日々の話題なので、もしもう少しまとまった形で読みたいという方は、

 PHP研究所で、『子どもの考える力をぐっと引き出すお母さんの話し方』という本にこれまでの気づきをまとめていただいたので、

手に取ってみてください。

 

「前回までの内容について、具体的な例をあげて、くわしく説明を……。」という心づもりはあるのですが……。

これから書こうと思うことは、あらかじめ子どもとの関わりの土台部分を共有しておかないと、

「読めば読むほど、何のことやらわからなくなった」となりがちな内容なのです。

 

 

そこで、子どもとの関わりの土台となるものをわかりやすい言葉で

解説しておられる他のブログの記事を引用させていただくことにしました。

 

(先に書いた「相手と自分の気持ちが強烈に迫る状態」の話は、この土台について

十分理解していただいた上でのより繊細な対応を扱っているため、後ほど書かせていただくことにします)

 

人気ブログ 『保育士おとーちゃんの子育て』に、

大人は「結果」をつくりだしたくなる というテーマで書かれた一連の記事があります。

 

大人は「結果」を作り出したくなる

 『大人は「結果」を作り出したくなる』のお話からふたつのこと 

『大人は「結果」を作り出したくなる』のお話からふたつのこと  vol.2 

『大人は「結果」を作り出したくなる』のお話からふたつのこと  vol.3 

 

 『保育士おとーちゃんの子育て』のブログにある一連の記事は、

子どもの勉強について書かれたものではありません。

 

でもここに書かれている

 

★  「できるようにしないこと」が子供を「できるようにしてくれる」


★ 「教えない・させない」でも子供は伸びていく


という保育の本質に触れる言葉は、そのまま子どもの学びを支える上での本質を言い当ててもいます。

 

直接的に子供の姿をこねくり回すことで、大人の望む「結果」を子供に短絡的に持たせる関わりが、

子どもが自主的に主体的に自分で考えていこうとする姿を奪ってしまうことは、

保育の現場だけで起こっている問題ではありません。

教育現場でも、まだ十分に準備のできていない子に大人の望む結果を即座に求めるあまり、

自分の頭で考えようとせずに、言われるままに丸暗記していく姿や

ただ作業として習ったことをなぞっていくだけの姿につながっているのです。

 

大人の管理や支配は、教育現場から、

自分のアイデア、疑問、知への感動、より高度な内容に踏み込んだ質問などを

発信していく姿、自分の思考の筋道を苦労しながら表現していこうとする意欲を根こそぎ奪ってしまいます。

 

 「なにが必要かを伝え、子供にどうすべきかを考えさせ、そして実行させる。

それでもうまくいかなかったり、失敗したら、そこにサポートをする。
それでもできなければそこから大人が手を貸すのでも遅くはありません。」

という保育士おとーちゃんの言葉は、

子どもの学びを支える際にも通じる言葉なのです。

 

 

勉強が好きになるまでのプロセス 1

 

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子どもが「習ってない!くんタイプ」だった場合、

次にとおるべきプロセスは、間違っていてもいいからやる気があふれだしている状態で、

それを存分にやりつくしてから、次の

「理解した上で答えを導きだす」「慎重に忍耐強く考え抜いていく」「考えるための技能を身につけて解く」

というプロセスへと移っていくといいのかな……と考えています。

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間違っていてもいいからやる気があふれだしている状態とは、

ある意味、学びを支えている大人に対する信頼感がある状態とも言えます。

 

間違っていても、待ってもらえる、

間違っても、大人は自分の思考の筋道を信頼してくれていると安心している、

間違っていても、それは終わりではない。間違っても、できなかったと烙印を押されるわけではない。

なぜ間違ったのか考えたり、

もう一度チャレンジしなおせば、リベンジできる、

 

ということを体験的に知っている状態と言えるのです。

 

また、学んでいる自分自身に対する信頼感が十分ある証拠でもあります。


勉強が好きになるまでのプロセス 続き

2018-06-24 07:31:52 | 日々思うこと 雑感

↑でっかい釣り竿

 

前回の記事にこんなコメントをいただいたので紹介します。

 

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 「間違っていてもいいからやる気があふれだしている状態」
↑これがすごく大事なんだな〜って最近ひしひしと感じています。

先生もご存知の通り、娘の書く漢字の中には不思議な形の物がチラホラ、、、(;^ω^)
でも何故か漢字の練習を頑張らせよう、とかいう気になれず、しばらく様子見、、、

すると案の定、個人面談で先生に
「漢字がちょっとね、、、漢字の書き取りをご自宅で頑張らせて下さい」
言われました、、、
勿論、はい! と返事をし、で、そのまま何もやりませんでした(;^ω^)

それから約一年は見るも無残な点数ばかりで酷い状態でしたが、何故か私も娘もち〜っとも気にならず、、、

そうこうしているうちに娘の方が自発的に漢字の書き取りをするようになり、今ではほぼ毎回満点(*^^*)
しかし、私は勉強の事で特に褒めた訳でもなく、どちらかというと、
「プリントくらいやりなさいよ!」
と怒っていましたが、、、

では、何が娘をヤル気にさせたんだろう、、、???

「○○はいつも頑張ってるね!頑張り過ぎてない?息抜きも必要よ〜」と、毎日労いの言葉をかけていたから?
はたまた
突然ヤル気を出してほぼ毎日やっている習い事のおかげ???
↑これがヤル気が溢れ出した状態なのかしら、、、?

理由はよく分からないままですが、一つだけわかっている事は、私が無理矢理漢字の書き取りをやらせていたらこうはならなかっただろうな、、、
です。(;^ω^)

漢字のみならず、他の勉強も自発的にやってくれる日が来るのかな、、、にわかに信じがたいのですが、、、今は淡い期待を抱きながら日々過ごしています(*^^*)

 

前回までの記事で、

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遅ればせながら大逆転を遂げる子たちには

それが先に書いた「間違っていてもいいからやる気があふれだしている状態(やる気がからぶり状態)」を

しばらく過ごしているという

共通点があります。

また、親や学校の先生や友達から

一目置かれて認められていて、

周囲の愛情を肌で感じられる状況があり、

ありのままの自分を表現できる場がある点も共通しています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

といったことを書きました。

 

書きたかったらとは、子育てで同様の経験をした方以外には伝わらないだろうな……と思っています。

どうして伝わりないなどと消極的なことを言うのかというと、

この状態は、「できなくてもくじけずに意欲的に取り組んでいる」という

一般的に言葉からイメージするであろう状態とはちがって、

はっきりとはわからないけれど、「子どもの脳の中で新しい回路が開発されつつあるんじゃないか」

「幼い子たちの敏感期や集中現象に似ている」と感じさせるもので、

これまでそれについて言及されるのを見たことがないからです。

 

これについてもうひとつ伝えづらさを感じる理由は、

この話題が、「敏感さを持っている子」の、極端から極端に走る時のひとつの姿とも関わっていて、

「敏感さを持っている子って何?」と思った方には、説明不足を詫びつつ、

ハイリーセンシティブな子たちについてくわしく解説してくださっている方の文章を読んでください、というしかないからです。

 

そんな伝えづらい話をしているものの、それでも興味があるから、もう少しくわしく……と思ってくださった方のために、

言葉にできる部分を書いていこうと思います。

 

いつも読ませていただいているマイコーさんのブログに

「敏感な子」にありがちな昨日の出来事、相手と自分の気持ちが強烈に迫る葛藤の中で踏み出していく体験を

 という記事が紹介されていました。

ここで書かれている、「相手と自分の気持ちが強烈に迫る状態」

がんじがらめになって、身体も頭も動きが鈍くなったり、落ち着きなくあちこちに意識をめぐらせて

ひとつのことにコミットメントできなかったりする子は、

かなりの数いるんじゃないかと思っています。

 

虹色教室でわたしがしている仕事の大半は、この「相手と自分の気持ちが強烈に迫る状態」を解除していくことと

相手と自分の気持ちを強烈に味わいながらも、それを楽しみ、

それによって自分のエネルギーを最大限に発揮していける状態にしていくことです。

 

勉強が好きになるまでのプロセス 

2018-06-21 15:52:23 | 算数

過去記事です。

 

 熊本の遊びのアトリエさんのところにお邪魔してきました。写真は、連れて行っていただいた素敵なカフェです。

「九州に行く際は必ず寄りたい!」と感じた素敵なお店でした。

 

熊本の子どもたちと工作や算数をとおして

わくわくする時間をたくさん過ごしてきました。

虹色教室で人気の「高さ(長さ)と重さ」のバトルカードは、

熊本の子どもたちにも大好評でした。

バトルカードの裏には、

ポケモンの体重と身長が書いてあります。(ポケモン以外に、身長(長さ)と体重がわかれば、

どんなものも参加しているカードです。船舶や人間の子どもなども参加中。)

 

<遊び方> 

順番に、高さで勝負するか重さで勝負するかを宣言し、

カードを出しあいます。

基本は、一番大きい数値のカードを出した人が勝ちですが、

逆転勝ちのチャンスもあります。

体重の勝負で 負けてくやしいから逆転勝ちしたい場合、「勝ったカードの体重が、

自分のカードの体重の何倍か」

近い数字を当てられたら逆転できます。

正しいかどうかは、電卓で出します。

(勝ったカードの体重÷負けたカードの体重)

 

↑すごく上手に描いたカードとイラストをおみやげにもらいました。ありがとう!

 

 

学校で習ったりワークを解いたりする前に こうした学習ゲームで遊んでおくと、

苦手感が薄れて意欲的に学習に取り組めるという声をいただいています。

AはBの□倍か?といった問題は、4、5年生が、

「どっちからどっちを割ればいいんだったかな?」と首を傾げたり、

「難しい!無理!」と突っぱねたりする部分です。

でも、電卓を使ってでも、こうした遊びで触れていると、

「何倍か?」という問いにどう対応すればいいか、すぐにピンとくるようになります。

 

熊本で算数のレッスンをしていると、見慣れないものを目にするたびに、

よく見もしないで……また、数秒、考えてみることもしないで、即座に、「習ってない!そんなのわからん!」と

突っぱねる子……(「習ってない!くんタイプ」とします。) と

やる気まんまんで、積極的に参加しているんだけど、考えていく手立てが身についていなくて、

答えを間違ってばかりいる子……(「やる気がからぶりくんタイプ」とします。)の2タイプの子たちがいました。

 

「習ってない!くんタイプ」と「やる気がからぶりくんタイプ」が、

能力もできていることも同じくらいだったとすると、

これから先の伸びとか可能性という面では、「やる気がからぶりくんタイプ」の方が

利があるのです。

「習ってない!くんタイプ」は、チャレンジする前から、耳をふざいで、目を閉じて、心にシャッターをおろしちゃってますから。

でも、「やる気がからぶりくんタイプ」の方は、夢中になって関わっているうちに、

体感が身についていったり、気づきが生まれたり、

的確に指導することで、理解に至ったりするでしょうから。

 

ここで書きたいのは、だから、こんな口癖の子はダメだとか、

この子の態度は丸でこの子はバツといったことではありません。


そうではなくて、子どもが「習ってない!くんタイプ」だった場合、

次にとおるべきプロセスは、間違っていてもいいからやる気があふれだしている状態で、

それを存分にやりつくしてから、次の

「理解した上で答えを導きだす」「慎重に忍耐強く考え抜いていく」「考えるための技能を身につけて解く」

というプロセスへと移っていくといいのかな……と考えています。


よかったら続きも読んでくださいね。

勉強が好きになるまでのプロセス 2



ひとつの不思議から、次の不思議が生まれる

2018-06-20 21:05:00 | 理科 科学クラブ

地震のご心配いただきありがとうございます。

教室は大丈夫です。

みなさんのご厚意に感謝しています。

 

年中のAくんは、不思議に感じるものを見つけて、それをじっくり探求するのが

好きな男の子です。これまでも、のび縮みするバネを使った工作や氷の変化などに

夢中になってきました。

今回のレッスンで、Aくんが、ラップの芯を覗いて、潜水艦のについている覗き眼鏡だということにして

遊んでいたので、100円ショップの眼鏡を曲がる部分につけてあげると大喜びでした。

見栄えは悪いですが、後で自由にはずすことも考えてそのまま取り付けています。

下から、天井の方向に芯を覗いているのに、部屋の壁面にあるものが見えるのが、

不思議でたまらない様子。

Aくんは筒を倒してみたり、上に向けたり、斜めに向けたり、曲がった先の方向だけ

変えてみたりして遊んでいました。

面白くてたまらない様子です。

 

Aくん、今度は、「もっともっと筒を長くしたい!」と考えていました。

それから、「これ、お風呂で見ることができる?」とたずねていました。

 

もっと筒を長くしたり、もう一度曲がるところを作ってもう一枚鏡を取り付けたり

すると、もっといろいろ探求できますよね。

Aくんが、お風呂の中の様子を覗きたがっていたので、

牛乳パックで同様の覗きめがねを作ることを提案しました。

 

鏡の不思議に夢中になっているAくんと、簡単な万華鏡もどきを

作って遊びました。

3枚の鏡を三角になるように置いて、中央に小物を入れたり、下に絵柄を敷いたりして

覗きます。

顔を近づけて中を覗きます。

自分で作るので、万華鏡の仕組みがよくわかります。

 

 


考える方法 と 行き詰った時の解決法 

2018-06-16 20:56:43 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

年長のAくん、Bくん、年中のCくんの算数の時間にこんなことがありました。

サピックスのぴぐまりおん(1・2年生)の『のりものけん』という問題を

解いていた時のことです。

この問題は、園児にはいきなり解くのは難しいので、問題を解く前に、

12枚綴りの切りとることができるチケットを作り、

おもちゃを並べて作った遊園地の乗り物を選んで遊びました。

 

コロコロカー    のりものけん 2まい

コーヒーカップ   のりものけん3まい

メリーゴーランド  のりものけん 4まい

グライダー      のりものけん6まい

ジェットコースター  のりものけん8まい

という決まりです。

 

「グライダーに乗りたい」と言って6枚の乗り物券を切りとって渡し、

残りの6枚で何に乗ろうかと考える……

という遊びをしてから、ワークの問題を読みます。

 

ワークの問題を読む時、一区切りごとに、「どういう意味かわかる?」とたずねて、

理解度を確認しています。

 

「みんなは ゆうえんちに きています。どういう意味かわかる人?」

「はい、みんながゆうえんちにきたってことでしょう?」とAくん。

「そうよ。みんなっていうのは、すすむくん、だいちくん、かおりちゃん、

がんちゃん、めぐちゃん、けいこちゃんね。」

 

「のりものけんを 12まいずつ かいました。どういう意味でしょう?」

「のりものけんの、この点々って切ってある券が12あるから、

それを買ったってことでしょう?」とBくん。

 

「次は難しいよ。ちょうどなくなるように みんなはのりものに のりました。

ちょうどなくなるってどういうことかな?ちょうどじゃない場合ってどんなことかな?」

この質問には、Bくんが必死になって答えてくれました。

「あの、ジェットコースターに乗って8枚出して、それからコロコロカーに乗って、

もういっかいコロコロカーに乗って全部なくなるのは、

『ちょうどなくなる』ってことで、もし、ジェットコースターの後で、

コーヒーカップに乗ったら、ちょうどじゃない」

「そうね。Bくん。よくわかったね。コーヒーカップに乗ったら、

券が1枚だけあまるから、1枚だけで乗れる乗り物はないものね」

「のりものに 1かい のるのに ひつような のりものけんの まいすうは 

右のとおりです。意味がわかる人?右のとおりってどういうこと?」

「この右の絵のところの、コロコロカー2まいとかいうところでしょ」とAくん。

 

こんなふうに一区切りごとにわからない部分がないかていねいにたずねた後で、

『れい』をしっかり見るようにうながします。(『れい』を見て気づいたことを

言葉にしておくのもいいです)

 

「グライダーに 1かい、 コロコロカーに□かい のったよ。」と

すすむくんの言葉から、12枚のチケットの色を塗り分ける問題で、

3人とも考え込んでいました。

 

すると、Aくんが、「先生、ブロックを使ってもいい?」とたずねました。

許可すると、グライダーの6枚を除いた6枚分のブロックを持ってきて、

コロコロカーに何回乗れるのか考えて、きちんと解けました。

BくんもAくんからブロックを譲り受けて、解くことができました。

 

 

Aくんがブロックを使うことを思いついたように、考える方法のレパートリーを

いろいろ持っているといいですよね。

子どもたちが、考えるためにいいアイデアを思いついた時は

みんなでその良さを確認して、アイデアを共有できるようにしています。

 

 小2のDくんがレゴでコマを飛ばすマシーンを作っている時、

こんなことがありました。

初めて、ギアや滑車を使ったレゴに挑戦したDくん。

解説書の絵を見ながら、意気揚々と作っていました。

中盤あたりに差し掛かった時、

「ずいぶんできたね。どう?面白い?」とたずねたところ、ため息をつきながら、

「途中でわかんなくなってきた。やっぱ、難しいな。」とつぶやきました。

どうするのかとしばらく様子を見ていると、「はぁ~」と深くため息をついてから、

何やら決意した様子で、「いいや!戻ろっ!」というと、

それまで作っていたパーツをバラバラにしだしました。

それから、説明書の3の図を指して、「先生、ここからやりなおすことにした」

と言いました。

「それなら、今度は、1手順終わるごとにあっているかチェックしようか?」

ときくと、「そうする」とのこと。

そうやって、1手順ずつチェックする間、わたしはチェックしている内容を

「穴の位置は、左から3番目、うん、あっているね」

「ギアとギアがきちんとかみあっているかがポイントよ。ちゃんとかみあって

いたらクルクル回るからわかるわ」などと、口に出して確認しました。

 

 

そうして前にため息をついていた中盤あたりに差し掛かった時、

Dくんは、「もう自分でできるよ。チェックしなくても大丈夫」と

自信ありげに言うと、最後まで自分の力で仕上げました。

Dくんはうれしくてたまらない様子で、

「もっともっと作りたい」と言っていました。

 

このコマ飛ばしマシーンを他の子らにも見せる時、

わたしはみんなに

Dくんが自分で考えた行き詰まった時の解決法について話しました。

「Dくんはね、最初、自分でどんどん、どんどん作っていったの。

でも、途中でだんだんやり方がわからなくなって、どうしたらいいか

わからなくなったのよ。

そうして、行き詰ってしまった時、Dくんはどうしたと思う?」

他の子らは首をかしげて聞いていました。

「Dくんは、こんな風にしたの。

まず、せっかく作ったブロックをバラバラにしていって、最初の方の3番目の図に

戻ってやりなおすことにしたの。

それから、ひとつの図を完成させる度に、先生のチェックを受けて、

ちゃんとあっているかどうか正確に確かめるようにしていたの。

簡単でわかりきっていることも、そういう意味があったんだなって

理解しながら進んでいったら、先に進めば進ほど簡単になっていって、

途中からは自分ひとりで全部仕上げることができたのよ」

 

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ピッケのつくるえほんのワークショップで小2のAくんが

『くりんの木さがし』というすてきな絵本を作りました。

下の写真は、作品の一部です。

 

りすのくりんの家であった木が倒れてしまったため、

新しい家にする木を見つけにいくストーリーです。

 

 

この作品を作る過程で、Aくんは最後のシーンを作った後で、

先に作ったシーンに戻って手を加えました。

「倒れて枯れた木と周辺の環境」と

「新しく探し出した木と周辺の環境」の変化を際立出せるためです。

 

Aくんは、下の「新しい家にすることにした木」のシーンと

上の「倒れた木」のシーンについて、他の子らに説明しました。

 

「(下の)この絵の木は、いろんな実がなっていて、花も咲いていて、

木のまわりもいろいろな草や花があって、どんぐりも落ちている。

初めは、(上の)前の絵にも、どんぐりとか草とかもっと置いていたんだけど、

最後の絵と比べた時に、どんなふうにちがうかわかるように、

きのこのついている切り株と草だけにしたんだよ。

青い倒れている木は枯れているから青いんだ」

 

最後の作業を終えてから、

それまでしたことを振り返って、おかしな部分はないか、もっとよくなる方法はないか、

と考えてみるのはすばらしい知恵ですね。

 

工作をする時も、算数や他の学習をする時も、とても役立つ頭の使い方だと思います。

 

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年中のBちゃんの頭の使い方は、まるで見ているものに吸い込まれてしまうほど

真剣に物を眺めて、相手の言葉に全身全霊で耳を傾けることから始まります。

 

Bちゃんは、誕生日のプレゼントにシルバニアファミリーのお家を

買ってもらう予定だったそうです。

でも買い物に行った先で、上の写真のような

広げるとお城の中とお庭があらわれるポップアップ絵本を見つけて、

「どうしてもこれがほしい、シルバニアのお家よりもこっちがいい」と

言い張ったのだとか。

Bちゃんは工作が大好きなので、プレゼントにこの絵本をもらうやいなや、

「これと同じものが作りたい」と言いました。 

といってもBちゃんの手に余る大掛かりなポップアップの仕掛けです。

そこで、「虹色教室で作る」という流れになりました

 

Bちゃんといっしょに長い間、うっとりとこのポップアップ絵本を眺めた後で、

「Bちゃん、どの部分が作りたいの?どこがすてきだと思う?」とたずねました。

Bちゃんは庭にある六角形の噴水と植物で作った迷路を指さしました。

 

Bちゃんの指さすそれは、とても魅力的なポップアップの仕掛けでした。

 

「六角形の秘密」とでも名付けたいような

六角形という形を生かした仕掛けなのです。

 

作り方は単純です。

紙を帯状に切って折って、六角形のわっかを作ります。

 

六角形はふたつの向かいあう辺が平行ですよね。

Bちゃんとは、「平行」のことを、手のひらと手のひらの間に少し隙間を開けて

向かいあわせて表現しています。

向かいあわせの平行な辺の上も下も山の形に辺がつながっていますから、

それがぺったんこになったり広がったりするのです。

 

この平行な辺と辺をセロテープでとめて、他はとめません。

すると、とめていない部分の辺が開いたり閉じたりして、

ぺったんこに折りたたまれたり、六角形に広がったりするのです。

 

できた部分はプレゼントとしてもらった絵本に比べると、ほんの一部です。

でも、Bちゃんは、心から満足した様子でした。

真剣に、ポップアップ絵本を覗きこみながら、

「次はこことここを作る」と夢を膨らませていました。

 考える方法 と 行き詰った時の解決法 3

 

考える方法 と 行き詰った時の解決法 4

 考える方法 と 行き詰った時の解決法 5

 

考える方法 と 行き詰った時の解決法  6


年中さんの「なぜ?どうして?」

2018-06-13 20:35:06 | 幼児教育の基本

年中のAちゃんは、さまざまな活動にマイペースにじっくり関わる子です。

この日も他の子が作ったビー玉コースターで、長い時間遊んで、どこがどうなっているのか、隅々まで観察して

うまく転がる理由や転がらない理由について熱心におしゃべりしていました。

Aちゃんのお母さんの話では、最近、「どうして?」「なぜ?」と一日中たずねているそうで、

工作や実験を通して物を観察する目が高度になってきたためか、

「このおもちゃの(さしこんである人形部分)あんぱんまんは、

どうやって入れたの?こっちを先に入れて、それから次にここを作ったのかな?

どういう順番で入れたのかな?」とか、

「どうして線路に石があるの?どうして線路に石がいるの?」とか、

どうして電車の上にひも(架線)があるの?どこまで(架線は)あるの?」

疑問が、以前より具体的なものになっているそうです。

Aちゃん、教室でも「なぜ?なぜ?」を連発していました。

この日は年中の女の子ふたりのレッスンだったのですが、年小時代に比べ、

何かやり遂げると、「もう一回」「もう一回」と繰り返しやりたがる熱心さが目立ちました。

 

上の本は、「1はウラパン、2はオコサ」と言いながら数を数えていく数遊びです。

けっこう難しいのですが、ふたりとも一生懸命参加していました。

ちょっと難しいことにチャレンジするのが楽しい時期のようです。

 


今年のユースホステルのレッスンについてお詫び(Nature様への連絡追記)

2018-06-13 15:51:10 | 連絡事項

(6たす6を手を使って表現して見ながら、計算中↑)

 

Nature様

 就学前のお子さんでしたら、8月28日、29日のユースでしたら、あと1家族くらい大丈夫そうです。もし参加希望でしたら、アドレスをコメント欄にお願いします。

さっそくご応募くださりありがとうございます。

募集は人数に達したので終了します。

ことりママさんのアドレスに連絡のメールを送ったところもどってきてしまいます。

申し訳ありませんが、再度別のアドレスを打ち込んでください。

毎年、夏のユースホステルのレッスンを楽しみにしていただきありがとうございます。

非常に申し訳ないのですが、

年々、応募していただく人数が増えており、

今年は教室の生徒だけで、ユースが埋まってしましました。

 

 

 

 

 


子どもの中の「自然」が 見えない 愛せない

2018-06-09 08:07:45 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう
昨日は3歳の☆ちゃんのレッスンでした。
写真を撮りそびれたので過去の画像から……。(なかよしの☆ちゃん、★ちゃん)

☆ちゃんは、リズムのあるゆったりした暮らしと、
広々とした自然公園で時間を忘れて遊ぶことを繰り返しながらこれまで成長してきました。
虹色教室のレッスンには、1歳代から月1回通ってくれています。

3歳になって、自分の中で「こんなことがやりたい!」「こんなものが作りたい!」とイメージし、それに必要な材料を集めて、実行していく力が
目覚しく発達しました。(仲良しで同じような遊び方をしている★ちゃんも、そうした力がすばらしくのびています)
それこそ、この企画し、想像し、準備し、実現する能力に関しては
小学生も大人もなかなかかなわないほどなのです。

とにかくエネルギーが強い子なので、
2歳のころはおともだちとの喧嘩や物の取り合いもかんしゃくもすざまじい
ものがあったのですが、
そうした成長過程のすべてをお母さんといっしょに大切に見守ってきました。

3歳を過ぎてからはそれが創造性と
強い好奇心へと変化していきました。
虹色教室で忍者の勉強をしたあと、
寝ても冷めても忍者になって暮らし、
地図を学んだあとは、自作の地図をたくさんこしらえたあとで、
ぼくらの地図旅行という小学校高学年向けの絵本を隅々まで読むほどの
熱中ぶりでした。
人の身体を学んだあと、化石と身体の話に熱中し、
じしゃくで遊んだあとは、一日中、じしゃくでつくものとつかないものを調べていました。

☆ちゃんのお母さんは、☆ちゃんのお友だちとお母さんを
自然公園に誘うと、
ショッピングセンターも物も刺激もなにもない「自然」のなかで、
何も楽しめない、
何をしたらよいのかわからない、
どこが面白いのかわからない、
自然からなにも引き出せない
という方が多い……(子どもはいつのまにか上手に遊びだします)
というお話をうかがいました。

自然のそのままのよさを見出せない、感じれない
ということは、

「自然」のひとつである「子ども」の本来の良さや面白さを感じられない
ことにもつながってきます。
ただゆっくりと子どもが幸せそうにしていることの
価値が感じられず、

子どもの心の変化や望みや考え、想像の世界、愛情、感情

が大人に伝わらず、

何かさせよう、目に見える何かをマスターさせよう、子どもの時間を有意義で刺激的で効率的なものにしようとあせってしまいます。

そのため、
2歳、3歳で生まれてくるその子の「個性の中心」「意識の中心」が、
ワガママとも見えるエネルギーの爆発を起しながら
だんだん目覚めてきて
自分らしく成長していくのを壊してしまいます。

親のちっちゃなコピーを作ろうと努力しすぎてしまうのです。

子どもは、際限なく広くて奥深くて全てを含んでいる「自然」の姿と
同じ種類のものです。
生命であって、人間だからです。
けっして、良い行為をインプットしながら大人がこしらえていく
ロボットではないのです。
結婚したとたん、お姑さんから「嫁」として、評価されたり、「良い嫁」を他の人と競わされたり、「嫁教育」という働きかけだけで、接しられると、
がんばれないし、幸せに生きられないですよね。

それぞれの人が「自分」という意識の中心を持っているのですから、
他の人にいつもいつも心をいじられていると、
自分を否定する気持ちしか持てなくなってしまうのです。

☆ちゃんは、ただただ自分のしたいことを、寝ても冷めても追いかけ続ける
自由な時間の流れの中で、
個性的で利発で、しっかりとした自分の言葉と考えを持った子へと
成長しつつあります。