子どもの内面に 言葉にできないうっぷんが溜まっている時には?4の記事で
こんなことを書きました。
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「子どもにはいろんな意味で、十分なスペース(余白)が必要だと感じています。
しつけ上のルールにも。
時間にも。
空間も。
人間関係も。
大人の考えにも。
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この日の話でまだ登場していないBくんの話を書かせてくださいね。
最近、保育園に通い出したというBくんは
集団での関わりに少し疲れているのか、他の子らの遊びに近づかず
ドールハウスやブロックでひとり遊びをしていました。
以前は、みんなでするゲームなどの活動をそれなりに楽しんでいたのですが、
今回は、呼びかけても聞こえていないように振舞って、警察署のドールハウスの一室に
金貨のおもちゃを入れることに熱中していました。
そんなBくんの姿を気にかけたBくんのお母さんは、
AくんやBくんのお兄ちゃんが遊んでいる方向を指さして、
「ほらっ、あんな面白そうなことしているよ。ほらっ」と声をかけては
Bくんの注意を他のふたりのもとに向けようとしていました。
そうするのが悪いわけではないし、そうする必要がある場合もあるけれど、
今回は、そうした働きかけを控える必要を感じました。
大人の心が不安に覆われて、子どもを自分の思う方向へ動かそうとすると、
子どもが自分で感じたり、何をしようか決めたり、考えたりする時間を
奪ってしまいます。
人との関わり方も、相手の思う方向へ動かされるかスルーするかといった
限定されたものになりがちです。
とはいえ、子どもが他の子のすることに興味を持たずにひとり遊びを続けていたら、
どうしたものかと戸惑ってしまいますよね。
どうすればよいのかのひとつの答えは、
焦る気持ちを脇において、スペース(余白)を作ることだと思っています。
今回のBくんでしたら、Bくんのひとり遊びをやめて
他の子らのところに遊びに行かせようとするのではなく、
まず「どんなことに興味をそそられているのかな」とBくんの遊びを眺めます。
Bくんはドールハウスのなかに金貨のおもちゃを詰め込んでいました。
大人の目には、やめてほしいこと、無意味なこと、赤ちゃんぽいことをしているように
見えるかもしれません。
でも、よく見ると、Bくんはどんどん金貨を入れると、
金貨に押されてドールハウスのドアが開くのを楽しんでいるのがわかりました。
そういえば、以前、Bくんと、ブロックで同様のビー玉を詰めて、
出口がビー玉の重さで開く遊びをしたことがあります。
そこで、スーパーボールを上から入れて行くと、
下からポコポコ飛び出してくるしかけのブロックタワーを作ってみました。
すると、Bくんは信頼感のこもった笑顔をこちらに向けて、
いっしょに遊びだしました。
今度はBくんのもとにお兄ちゃんやAくんがやってきました。
Bくんはハンバーガーショップのドールハウスに、
ていねいにハンバーガーを分類しておいていく
遊びを始めました。同じ種類のもの同士分類するのが楽しい様子。
ちいさなハンバーガーのおもちゃの感触を楽しむ姿もありました。
お家で、ブロックタワーのようなおもちゃを作る必要はないのですが、
他の人のすることに興味を失っている子やもともと人への興味が薄い子には、
大人の側が、その子のしていることへの強い興味を示すことが
大事だと感じています。
興味を持たせるのではなくて、興味を持ってあげると、
「面白さ」を共有することができます。
その子の見つけた面白さを、もっと別の形でも楽しめないか試行錯誤してみると、
興味しんしんで近づいてくるかもしれません。
そうした関わりには、大人の「こうしてほしい」「こうであってほしい」という
思いからくる窮屈さがないので、人との関わり方に余白が生まれます。
お母さんとの関わりが楽しいと、他の子は何をしているのかなと
気持ちが外に向かいだすものです。