虹色オンライン教材について、次のような質問をいただきました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この度、日帰りレッスンでお世話になります。
その時に伺ってもと思ったのですが、時間のこともあるので、この場で質問、相談させていただきます。
1年ほど前から虹色オンライ教室の作品を参考にごっこ遊びの中で工作をすることが多いのですが、
順調に作業がすすんでいても、、工作をする過程が、あまり楽しそうでないのが気になります。
娘は、感情タイプや感覚タイプにみられる特徴があるように思います。
ひとつは、写真などの完成見本がある場合は完成度の高いものを求める傾向があり(色や形、大きさを同じにしたい)そのようにできないことへのストレス
もうひとつは、自分で考えるということをやっていってほしいので、「どうやってするの」と興味はあるような場合に、「こうやってね・・」と、詳細に説明したい気持ちをおさえて、「どうなってるかな」と聞いてみたり、「一緒に考えてみようか」などと、働きかけるのですが、試行錯誤することを楽しんでいない様子があります。
そのストレスフルな様子を見ていると、もっと手助けや、教えてあげた方がいいのかな と 思うのですが
「何か手伝おうか」とか「(セロテープを)しっかり貼れる方法お話しようか」とか問いかけても、拒否されることも多く、工作の際に、どのように接していいか、かなり悩んでします。
また、私が作品をつくって提示されることもあまりうれしい様子ではなく、最終的には自分も作ったりするのですが、最初は「おもしろくない」とか「やりたくない」など、拒否の言葉が聞かれるので、提示の仕方もよくないのかなということも悩んでいます。
(これをつくろう!と提示すると拒否が多いので、子どもが本を読んでる間に、さりげなく作ってみるとか、ごっこ遊びの中で作ってみるとかするのですが・・最終的には作りはじめる事が多いのですが、最初に否定の言葉が聞かれるのが気になっています。)
ただ、工作が嫌いな様子ではなく、幼稚園で発表するオリジナリティのある作品を創作して(私はほとんど手伝いません)毎朝せっせと作っていっています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
オンライン教材をご利用いただきありがとうございます。
ひとりひとりの子はとても個性的ですから、お子さんに会ってみないことには正しい状況がわかりにくく、
「こうすればいいです」といった解決法を書くことはできないのですが、
いただいた質問の文面から想像できる範囲で答えさせていただきますね。
工作が嫌いな様子ではなく、幼稚園で発表するオリジナリティのある作品を創作して
いる子なのに、
お母さんが工作に誘ったり、工作見本を見せたり、工作過程に付き合っている時に
嫌がったり、ストレスを感じているように見えるというお話から、
次のようなことが考えられます。
ひとつには、オンライン教材ということで、親御さんの側に
「この工作を通して思考力をアップしたい」「ちゃんと考えさせたい」という思いがあって、
子どもには何を求められているのか漠然としていてわからないのに、
何か正しいアウトプットを期待しているように子どもに伝わっている場合です。
もうひとつは、子どもが親御さんとの間で、
会話をしながら、疑問やアイデアを口にしたり、知的な好奇心を満たしたり、
考えを深めていったりする楽しさを味わった体験が
少ないのかもしれないと思いました。
普段、親子間でそうした気持ちと言葉のキャッチボールがうまく行われていない場合、
「何か手伝おうか」とか「一緒に考えてみようか」といった
何気ない言葉からも、
親からコントロールされるわずらわしさを感じたり、
はっきり言葉にされない状態で、何か自分に求められている気がして緊張したり
することがあるのです。
また、子どもの性質によっては、自分の好きなようにすることはするけれど、
相手から何か教わったり、活動を共有したり、提案を受け入れたりすることが
とても苦手な子もいるし、
発達上、まだその段階に達していない子もいます。
「子どものストレスフルな様子を見ていると、もっと手助けや、教えてあげた方がいいのかな と 思う」
ということですが、そうしてあげた方がいいと思います。
ただ、手助けする際の助けは
大人の工作にしてしまわず、その子ができそうな方法で見せるのがいいと思っています。
たとえば、セロテープを貼るにしても、
見栄え良くていねいに貼るよりも、
テープでとめるので精いっぱいの子なら、大人もそのように貼ってみせてあげればいいと思っています。
そうすると、手伝ってもらって、気持ちがりラックスしている時に、「自分でできそうだから、やりたい」という気持ちに
切り替わりやすいからです。
手伝う、教えるという場面で、わたしはユーモアや言葉の力を利用して
子どもの意欲が高まったり、我慢が持続するようにサポートしています。
発達の凹凸のある子たちのレッスンで、こんなことがありました。
水遊びの道具を工作していたため、セロテープではなく
ビニールテープを使用していました。
すると、セロテープのようにハサミで簡単に切れないものですから、
ひとりの男の子が「切れない!切れないよ、もう!いやだ、こんなの!」とかんしゃくを起こしかけていました。
そこでわたしが、「だって、そのテープは、セロテープよりパワーがあって強いんだもの。
●くんにね、どうせ切れないだろう、切れるもんなら切ってみろ、おれさまは強いからなって挑戦しているのよ」
と言うと、この子は笑いだし、それからは弱音を吐かずに
がんばってやり遂げていました。
うまく切れなくて、まるではさみがテープと決闘でもしているように
見える度に、含み笑いをしながら、いきいきと取り組んでいました。
工作を「提案する」という場面では、次のような点に注意していると、
子どもは意欲的に能動的に振舞うようになってくると感じています。
子どもがやる活動がどんなにささいな小さなものでも、
子どもがその結果から得る楽しさや満足感が大きなものになるようにするのです。
写真は、子どもが型で抜いたハートを紙に貼ったシーンです。
お母さんがそれを利用して、太陽が登って沈んでいくプラネタリウムを演じたり、
なぞなぞクイズをしたりして遊んであげています。
写真は、アイスのカップにポリテープを貼って、本人いわく
「宇宙船」(わたしはくらげかと思ってましたが……)を作ってきた一シーンです。
宇宙船にストローを貼って、ひもを使って空中を動かしています。
幼い子や工作体験の少ない子ほど、
小さい労力で多くの満足感が得られるようにしてあげないと、
「もっともっと、こんなこともしてみたい」という気持ちを膨らませたり、
がんばりを持続させたりするのは
難しいからです。