虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

広汎性発達障がいの子 と ごっこ遊び (いったん、拒否して、受け入れる)

2016-02-29 22:07:46 | 連絡事項

今日は、自閉症スペクトラムの子と工作 で

2010年12月~2011年7月までのレッスンの様子を記事にしている

広汎性発達障がいの4歳半★くんのレッスン日でした。

幼稚園を一日お休みして通ってくれています。

ささいなことなのですが、上の文の「レッスンの様子」という言葉は、

最初、「成長」という言葉にしていたものを書きなおしたものです。

こうして、レッスンの記事を時間で整理して眺めると、

「★くん、すごく成長したな~。あんなこともできるようになった。

こんなこともできるようになった」と感激するのです。

でも、どうして「成長」という言葉を避けて、書きなおしたのかというと、

「成長」とか「発達」といった目に見える成果にこだわりはじめると、

結果的には、むしろ子どもの育ちを妨害することにしかならないからです。

なら、わざわざ教室に通ってもらって何を目指しているのかというと、

「子どもの世界を広げる」ということ、つまり縦に上方に「伸ばす」のではなくて、

その子を中心に球形のボールが膨張していくようなイメージで、

「広がる」ことを大事にしているのです。

 

ですから、

「わがままが言えなかった子が自分の要求をはっきり出すようになる」とか、

「隣のおばあちゃんに声をかけられると微笑むようになった」とか、

「散歩中、観察する動物や虫の数が増えた」とか、

能力アップとは無関係に思われるようなものも、「広がり」のひとつひとつとして

大切に育んでいるのです。

 

そうする中で、「あれっ?いつの間に?」という縦の上方向の伸びも確認できるのは

うれしいことです。

でも、最初から、それを意識して子どもと関わり始めたり、子どもを観察し始めると、

大きく丸く成長しようとしている畑の野菜を、いびつな型に押し込めて引き延ばそうと

するような不毛な努力に終わってしまう気がするのです。

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お父さんとお母さんといっしょに虹色教室に来た★くんは、

プラズマプレイトというプラズマ光が指先にそって動く科学グッズと

お茶犬のドールハウスで、遊び始めました。

カミナリがピカピカ光っているとき、お人形がトイレに行くという設定で

ごっこ遊び(もどき)を始めました。

今日の★くんは、レッスン開始時から、私と目が合うたびに、

顔いっぱいに笑顔を浮かべて今からすることが楽しみでたまらないという様子でした。

よほど、前回会った時のユースホステルでの体験が楽しかったようなのです。

これまで★くんは、一本調子の、

ちょっと相手を責めるような口調で話をする癖がありました。

「何か嫌なことが起こりそうで怖いので、先に怒っておく」と言ったらいいような

防御が行き過ぎた身構えた物の言い方です。

それが、今日の★くんは、ちょっとおませな女の子がしなを作って笑顔を振りまくように、

小首をかしげた格好で、何ともいえないかわいらしい笑顔を、

何度も何度も、私や両親に向けていました。

 

★くんは、トイレネタが大好きで、

お母さんにも「便器を描いて!」とねだることが多いそうで、

お茶犬のドールハウスを取ってきたときも、遊ぶ前から、人形たちをトイレに

行かせる気満々、私がいっしょにトイレ遊びで盛り上がってくれるだろうという

期待でいっぱい……という様子でした。

 

前回までは、お茶犬ドールハウスといえば、

「トイレ、トイレ」と、あわただしくトイレにかけこむストーリーが

延々と続いていたのですが、

今回の★くんは、プラズマプレイトを持ってきてちょっとだけ新しい趣向を

取り入れる気らしく、

「カミナリだよ。ひとりでトイレに行ったらねぇ、怖いかもしれないよぉ!」と

怪談話でもするような口調で遊びをスタートしました。

私がマイメロディーの人形をトイレに入れると、

「じゃぁ、ぼくは、階段のぼろう」と、先生だけトイレの話で遊んでてね……

とでも言うように、アンパンマンやミニーちゃんの人形を2階に上げだしました。

そこで、私が、「私も2階に行きたいわ。上でいっしょに遊ぼ」と言うと、

「いいよ~」と調子がいい返事が返ってきました。

 

これまで★くんは、人形に会話をさせる形で遊びが続いたことはなかったのですが、

「でも、はしごがないから上に上がれない」と言うと、

手のひらをエレベーターのようにして降ろしてきて、

「さっ、これに乗って!上に行かせてあげる」と言いました。

その後、はしごを取ってきてかけたり、上の階で遊ぶなどのストーリーが展開しました。

 

広汎性発達障がいの子たちとお人形遊びを楽しむようにしていると、

遊びの幅が広がることはもちろん、ソーシャルスキルを教えたり、

双方向の会話のより自然で豊かなものに変えたりするときも、

とても伝えやすいツールになります。

ただ、シルバニアファミリーのお家やシンプルな木製のドールハウスは、

自閉症スペクトラムの子に、白い画用紙を与えたときのような不安を与えることが

多いようです。

トイレ、台所、玄関、階段、お風呂……など、具体的な何をすればよいのかわかる

閉ざされた空間があるもので、ひとつは、子どもがこだわっている好きなものが

含まれているようにすると、遊びがスタートしやすいように思います。

たとえば、子どもが玄関の靴箱を開け閉めするのが好きなら、

ドールハウスの玄関に、開け閉めできる靴箱(手作りOK)を置きます。

電気をつけたり消したりするのが好きなら、プッシュライトを天井に貼り付けます。

最初は、「もう夜だね。暗いから電気つけよ。パチ。」

「まぶしいまぶしい!電気消してー!電気消してー!パチ」の繰り返しで

遊びは、十分だと思います。

子どもは今の状態をしっかり受容していると、それを踏み台にして

自分から次のステップに進みます。

私のマイメロ人形をトイレに残して、自分の人形たちを2階に上げ出した★くんのように。

 

 

★くん、広汎性発達障がいの多くの子どもたちと同じように

他人の指示に従うのが苦手です。

でも、私の誘う遊びに、これまで面白かった体験からか信頼は寄せてくれているようで、

「★くん、見て!こんなのどう?」というと、気乗りしない様子で、

「それはいいんだよ」と、即座に却下することはよくあるものの、

少しすると★くんが、私の提案に似た遊び方をしてみせて、

「見て、見て。面白いよ。奈緒美先生も遊ぼうよ」と

自分発信の案に変えて、こちらを遊びに誘うということがよくありました。

 

私は、こうした広汎性発達障がいの子の対応を、

「いったん、拒否して、受け入れる」態度として大切に扱っていて、

その微妙な差異を調節して、バリエーションを豊かにすることで、

困った行動が減って、お友だちと遊ぶのもずいぶん上手になってくるな、と

感じています。

広汎性発達障がいのの子というのは、たいてい新しい展開を嫌がります。

でも、

そこに、いったん拒否することをOKとする受容的なまなざしがあって、

それを周囲にサラッと流してもらっていて、

(広汎性発達障がいのの子は他人の感情の変化に敏感なので、

子どもの拒否におろおろする大人の態度や、「やりなさい」と強制したり、

「やったら?」としつこく誘う態度で接すると、

頑なに拒否にしがみつくようになる子が多いです)

自分の気もちを新しい展開にならしていく静かな時間があると、

少し前の提案を受け入れたんだな……とわかる自分発信の提案が返ってくるのです。

 

そうやって、「いったん、拒否して、受け入れる」ことを何度も体験するうちに、

だんだん切り替えがうまくなって、拒否の言葉を口にせずに、

少しの間、首をかしげて考えている態度を取る程度で、

「じゃぁ、する」と取り組めるようにもなってきます。

広汎性発達障がいの子と心と心が通じ合う人間関係を作っていくことで、

「人への信頼感」が、「新しい挑戦への不安」を超えて、

素直に場に自分をゆだねることができるようになってくるのを実感しています。

 

広汎性発達障がいの子がそのように一度パターンとして形を学ぶと、

きちんと指示や提案に従えるようになってくる能力を利用して、

大人が次々と自分のさせたいカリキュラムや指導に子どもを乗せる目的で

大人の望む形に態度を変化させることを続けるとしたら、

一時期はうまくいっていたとしても、最終的には、破綻するように感じています。

 

それは、広汎性発達障がいの子が「いや」を乗り越えて指示に従えているのではなく、

「いや」を感じられないよう、「いや」が言えないように

しつけているだけの場合があるからです。

 

広汎性発達障がいの子が自分の好きなことを自由に繰り返し行うことを認めて、

その子の世界に大人の側が降りていって

いっしょにその子のファンタジーの庭で戯れる時間がたっぷりあってはじめて、

苦手なこちら側の指示に従ったり、提案に乗ったりすることも、

本人の達成感や満足感を満たす行動になっていくのだと思っています。

 

上の写真は、ユースホステルで「エレベーター作りが楽しかった」という★くんと、

教室内でエレベーターということにしたかごを

天井に付けているフックに引っかけて、吊りあげる遊びをしているところです。

 

←ユースホステルでエレベーター遊びをする★くん。

 

私はエレベーターの一方の端を椅子に引っ掛けて、その先を車のおもちゃに結びました。

こうすると、車を移動させる力で、エレベーターを上に上げることができるのです。

これを見た★くんは、「ダメだよ。そんなの取って!」と繰り返し、しまいにひもを

工作で使っていたはさみで切ってしまいました。

そうして、しばらく手動で引っぱりあげたり、降ろしたりして遊んでいた★くん。

 

先ほどまで遊んでいたドールハウス(こうしたシンプルなドールハウスは、

取ってもらいたがっただけで遊んでいません)にひもを引っ掛けて、

後ろずさりしながら、「見て、見て。奈緒美先生。

こうすると、エレベーターがあがるんだよ」と得意満面で言いました。

★くんは、自分で運動の方向が変えられたことがうれしくてたまらない様子で、

引っぱったり、手を緩めたりして、満面の笑顔でした。

 

また、こんなこともありました。

★くんは、お片付けがきらいです。

さあ、「自分で出したものを片付けてね」と言っても、聞こえないふりをして

遊んでいます。

その態度そのものが、「いったん、拒否して」という態度なのですが、

そこで、少しすれば「受け入れるだろう」と捉えつつ、

指示は出しつつも、こちらの要求する態度を★くんの呼吸に合わせていって、

ちょっと気持ちが切り替わるような声かけをして、

外側から、そっと包み込んでこちらが望んでいる活動の流れに乗せるようにしていくと

ちゃんと最初の指示に従って片付けをしはじめるようになってきました。

「えっ? 外側から、そっと包み込んでこちらが望んでいる活動の流れに

乗せるようにしていくってどういうこと?」と感じた方もいらっしゃいますよね。

 

★くんは、いったんひとつの考えにこだわりだすと、

なかなか頭を切り替えることができないところがあります。

先日も、こんなことがあったそうです。

 

★くんのお父さんが、★くんを幼稚園に送っていく途中、

ちょうど駅の階段を下りかけたところで、突然、「幼稚園、行かない」と

言い始めたのだとか。どんな理由があるのかはわからないけれど、

★くんが「行かない」と構えた物言いになるときは、

無理強いしたり、説得したり、なだめたりすると、火に油を注ぐようなもので、

かえって頑なに「行かない」と言い張るようになります。

 

そこでお父さんは、これまでもだいたい20分もあれば、興奮状態が鎮まってきて、

気持ちを切り替えることができていた……と考えて、

★くんのイライラした表情が少しなごむを待って、

「ふみきりを見に行こうか?」と誘いました。

 

★くんは、ふみきりが上がったり下がったりするところと、

電車の往来を眺めるのが大好きなのです。

その誘いに素直に従った★くんは、ふみきりを見ているうちに優しい表情に

なっていきました。

 

お父さんが、「ふみきりを見たら、幼稚園に行こう」と誘うと、

★くんは納得した様子で園に向かうことができたそうです。

 

大人の誘いというより、当然の日々の行為である幼稚園に向かうということに、

「いったん、拒否する」をしてみた★くんが、「幼稚園に行く」という行為を

受け入れて、再び幼稚園に向い出したという出来事。

このエピソードからは、終始、無声映画のような静けさが伝わってきます。

 

いったんは拒否してみたものの、

★くんの中には幼稚園に行きたい思いや、行ってあれもこれも楽しかったという

記憶があって、お父さんもそれがわかっていて、

★くんの気持ちが切り替わるのを信頼して待っています。

 

すると、★くんの心は静けさの中で、

自分に求められていることを受容する方向に向かっていったのです。

 

前回の記事のお片付けでは、「★くん、自分で出したものを片付けてね」と言っても、

「ほら、このおもちゃをこの箱に入れて」と言っても、

「イージーチター(楽器)を戸棚にしまってきてね」と言っても

聞く耳持たなかった★くん。

 

けれども、知らんふりしてこちらに背を向けている態度で、

「いったん、拒否して」いるのを、そっとしておいて、それでいて無視したり、

あきらめるのではなく、

★くんの周囲の物が、黙って静かに、少しずつ片付けられていき、

(少し、オーバーに★くんに見せるように片付けています)

★くんの目にも自分に期待されていることが身体でわかるような雰囲気を作りました。

 

ひとつひとつの物がかっちりと元の場所に収まっていく様子に

惹きつけられていた★くんは、私が楽しそうだけど小さなつぶやくような口調で

「こうして、こうして入れるのよ」とおもちゃをひとつひとつ入れながら言うと、

決心したようにイージーチターを手にすると、戸棚に片付けに行きました。

 

  

★くんが比較的、短い時間で、「片付けはいやだ」という気持ちを克服して、

私の指示に従いだしたのは、

この日私が、「手動のえんぴつけずりを使ってみたい」

「えんぴつけずりのけずりかすがどうやって落ちるのか興味がある」

「ベイブレードを自分で回したい」「レストランのメニューを読み取る機械が作りたい」

という★くんの思いが思った通りの形で実現するように、

ゆっくり付き合っていたからでもあります。

 

そのように自分の気持ちを十二分に受け止めてもらっていると、

シングルフォーカスに陥って頑なになっていても、

自分の力でそれを乗り越えようとする意志がみえてきます。

 

期待されていることをわかりやすく目に見える形で提示してもらって、

後は静かに待っていてもらうか、少し落ち着いて、別の切り口から声をかけてもらうと、

自分から「する!」という決意を固めるようです。

 

帰り際、★くんは、ヘリコプターの羽根の部分を回しながら、

「奈緒美先生、ヘリコプターが行くよ。奈緒美先生のところに来たよ」と言いながら、

私の近くにあった箱の上に着陸させました。

この言葉は、★くんなりの私への親愛の情の表現のようです。

 

「はい、バナナと牛丼を届けてくれたんですか?ありがとう」と言うと、

「待っててください。また届けます」と言って、ヘリコプターを飛び立たせると、

今度は2台で戻ってきて、「はい、バナナ。はい、牛丼」とニコニコしながら

何かを差し出す真似をします。

 

★くんは、こうしたおもちゃを介して会話を継続させていくのが

うれしくてたまらないようでした。

 

★くんは、虹色教室で工作をするようになってから、

物のしくみについて説明したり、うまくいかない原因について、ていねいに観察しながら

解説したり、どんなことがしてみたいのか順序立てて表現することなどは

とても上手になっていました。

 

ひとりで一方的にしゃべるのなら、4歳の子とは思えないほど

しっかりした物言いをするようになっていたのです。

しかし、自然な会話のキャッチボールはかなり苦手で、

途中で会話が途切れてしまうことがほとんどでした。

 

が、今回は、ごっこ遊びを通して、会話のキャッチボールを自分から望んでくる

★くんの姿があって、とてもうれしく感じました。

 


本当のことを教えてもらえない時代 言ってもらえない時代

2016-02-29 09:20:15 | 日々思うこと 雑感

保育実践の第一人者である本吉圓子先生が、

『失敗させる!6歳までの子育て』の中で次のようなことを書いておられました。

本吉先生はNHKテレビで、大阪の小学校の学級崩壊シーンを見て

とてもびっくりしたそうです。

あまりにも1年生が走り回ります。

途方に暮れた先生が、一番走る子を抱きしめたら、先生にベターッと抱きついて

きたそうです。

そこで、「あっ、もしかしたら、甘えが足りないのかもしれない。

それで落ち着きがないのかもしれない」と思ったこの先生が、

走り回る子どもたちを次々抱きしめたら、やっと落ち着いてきたそうです。

本吉先生はこの映像を見ていて、「甘え」が足りないのが、学級崩壊の原因だとすれば、

何となくわかるような気がすると感じたそうです。

 

本吉圓子先生の保育所では、

「子どもの甘えや気持ちを十分満たすこと」と

「子どもに自分で失敗する権利を与えること(自分でするのを待ってあげること)」

のふたつを大切にして保育を実践しておられます。

そうして「幼児としての育ち」を守ってもらっている子どもたちというのは、

虐待を受けている子たちも預かっている園なので、

動物を殺すような問題行動を起こした子もいたそうです。

それにも関わらず、

その園から小学校に入学した子たちは、入学した先に小学校の教頭から、

「子どもたちが、ものすごく集中力があって、意欲もあって、思いやりがある。

どういう風にしたら、子どもがこんなに変わるのですか?」とたずねられるほど

しっかりしているのだとか。

本吉圓子先生は保育現場での数多い体験から、学級崩壊が起きるのは、

飛躍するようだけど、スキンシップが足りないのではないか、とおっしゃっています。

でも、そういうふうに言うと、必ず、育児雑誌の方から、

「お母さんの悪口を書いたりしないでくれ。99パーセント親を褒めて、

批判的なことは1パーセントだけにしてほしい。そうでないと雑誌が売れない」と

説得されるそうです。

「確かに親を批判しても何もならない。でも、本当のことを伝えなければ

いつまで経ってもよくなりません。」と本吉先生は言葉を結んでおられました。

 

本当のことを伝えてもらえない……。

 

雑誌も幼児教室の宣伝も、幼稚園の説明会でも、親にとって耳触りのよい、

エゴを刺激して財布のひもをゆるませるようなことはいっぱい言ってくれるけれど、

肝心な部分は教えてもらえない……。

 

いつのまにか幼児を育てている親御さんは

そうした扱いを受けるようになってきたように感じています。

 

うちの子が幼児だった十数年前は、まだそんなことはなかったような気がします。

当時人気だったポンキッキという幼児向けのテレビ番組にしても、

ちょっと親には耳が痛い話も、本当のことや、子どもの未来がかかっていることは、

ごく普通に放送されていました。

ポンキッキでは、「1分間パパ・ママ学」というさまざまな分野で活躍している著名人や

幼児の発達を研究している研究者や医師などが、

幼児を育てている親に伝えたいことを発信するコーナーがありました。

親を喜ばす目的ではなくて、真の子どもへの愛に満ちたメッセージが満載されていました。

 

その時間には、親は購買欲や競争心を刺激されてワクワクするのでなく、

ちょっと静かな気持ちになって、反省したり、子どもを大きな視野で

眺めなおしたりすることができるようになっていました。

「本当のことを教えてもらえない、言ってもらえない」というのは、

商業的な理由だけでなく、

本当のことを知っているし、伝えたいと思っている人がいたとしても、

伝える段階で伝えられることが小さく限られたものになっていて、結果として、

「教えてもらえない、言ってもらえない」状態になってることも多々あるんだなと

感じたのは、次のようなある保育士による子育て支援のエピソードを目にしたからです。

短く要約して紹介しますね。

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0~3歳対象に、週3回、保育室の1室と保育園の園庭を貸し出している子育て支援で。

子ども同士を遊ばせるというより、自分がしんどくてこの場にやってくるという

感じのお母さんが多い印象。

親子で遊ぶというより、子どもが遊んでいるのを横目で見て親同士おしゃべりしたり、

保育士が子どもの相手をしている間に携帯でメールをしたりしているお母さんが

増えてきた印象がある。

外遊びでは子ども同士を遊ばせて、おしゃべりを楽しんでいるお母さんたちが多い。

お母さん同士で話をしたい、子育てから解放されたい、子育てに戸惑っている、

というお母さんの思いを受け止めて、安心してすごしてもらう場を目指している。

Sちゃん(1歳7カ月)とお母さんはこの支援の場にしばしば顔を見せる。

お母さんは顔なじみの友だちもたくさんできて、互いにメールをしあったりしている。

お母さんの知り合いが増えてくると、お母さんが友だちとの話に夢中になっていて、

Sちゃんに目が向かなくなっている様子。

 

<エピソード>

室内でSちゃんがおもちゃで遊んでいると、Tちゃん(3歳2カ月)がそばにやってきて

横から手を出しておもちゃを取ろうとした。

Sちゃんはまだそのおもちゃで遊びたくて、「いやー」と抵抗する。

お母さんはSちゃんのそんな思いには気づかず、

「お友だちに貸してあげなさい、使いたいんだって、Sちゃんはこっちのおもちゃで

遊んだらいいから」と違うおもちゃをSちゃんに渡して我慢させようとした。

すると納得がいかないSちゃんは、床につっぷして泣きだした。

お母さんは「それはSちゃんのおもちゃじゃないの。保育園のおもちゃだよ。

お友だちが遊びたいって言ってるの」と強めの声をかけるが、泣きやまない。

お母さんは困ったなぁという顔をしたが、それ以上Sちゃんには関わらずに、

お母さん同士のおしゃべりにもどってしまった。

保育士がSちゃんに「あのおもちゃで遊びたかったのね」と声をかけると、

Sちゃんは一瞬泣きやんだ。

「もうちょっとあのおもちゃで遊びたかったのね」ともう一度Sちゃんの気持ちを

代弁すると、深くうなずく。

「お友だちにこのおもちゃと換えてもらおうか」と声をかけ、

「Sちゃんはまだそのおもちゃであそびたいんだって。このおもちゃと交換して

くれない?」と相手に頼むと、その子はSちゃんが自分より幼いと思ったからか

交換してくれた。

保育士が、Sちゃんが遊んでいるおもちゃを無理やり取り上げるのではなく、

Sちゃんがまだこのおもちゃで遊びたい気持ちを受け止めてあげてほしいこと、

相手のTちゃんに「Sちゃんがまだこのおもちゃで遊びたいから、もう少し待っててね」

とSちゃんの気持ちを伝えてほしいことをお母さんに伝えた。

お母さんは「無理に譲らなくてもいいってことですね」とうなずいたが、

保育士の真意は十分に伝わっていないようだった。

 

<保育士による考察>

Sちゃんの月例が大きくなるにつれて、子育てのしんどさは緩和されている様子。

けれども、仲良くなったお母さんたちとのおしゃべりが楽しくて、

Sちゃんに目が向かないこともしばしばあるように思う。

子どもの気持ちをしっかり受け止める前に

自分の気持ちにそって子どもを動かそうとする姿が目につくのも事実。

しかしながら、子育て支援の場に来れば、子育てのストレスが発散できるし、

他のお母さんたちから学ぶこともできるなど、たくさんのメリットがある。

お母さんたちがこの場を求めてやってきたときに「ここにきてよかった」と

感じてもらえるような場にしていきたい

 

『子どもは育てられて育つ 関係発達の世代間循環を考える』鮫岡 峻

慶應義塾大学出版会より引用)

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ちゃんと大事な点が伝わっていないもやもやとする思いが残るエピソードですが、

一方で、子育て支援の場の大切さや必要性を感じる話でもあります。

この話を読んで、実は私は

この虹色教室通信の読者や、虹色教室の生徒さんの親御さん、不定期のイベントで

出会う親御さんたちに感謝や尊敬の気持ちを抱きました。

子育てを支援しようにも、この枠は超えられない、ここまでしかわかってもらえない、

これ以上、本当のことを伝えようとすると、関係自体が途切れてしまう……

なんて心配はなく、親御さんたちがひとつひとつの出来事やそこから得る学びを

真摯に受け止めて、自分の対応を改善したり、

深い理解にいたってくださったりしているからです。

この長ったらしいブログにたくさんの方々がつきあってくださっているだけで

うれしいことです。

『子どもは育てられて育つ 関係発達の世代間循環を考える』の著者の

鮫岡峻氏によると、子育ての講演会などに参加しても、子育ての心構えのような話は

ほとんど耳に入らず、「子育てはこうすればよい」式の話ばかりが気になる母親が

多いそうです。

ある程度情報を集めても、まだ他にもあるのではないか、もっと正しいやり方が

あるのではないかと際限がなくなり、不安のスパイラルに陥っているように

見えるそうです。

この不安と自信のなさは、子どもの思いを受け止めることのむずかしさにつながります。

なぜ母親たちがそのような思考法をとるようになったのかは、

「何が正しくて、何が間違っているか」を教えられ、

正しいことを達成すると評価されるという「教育における評価の枠組み」が

大きいのではないかと鮫岡氏は指摘しています。

「子どもを前にしたときも、いまの時代に会った子育ての方法があるに違いなく、

うまくいかないようなことがあれば、もっとよい方法を教えてもらってすればよい、

というふうに考えてしまいます。

目の前の子どもに向かい合い、その子どもとどう関わっていこうか、

まずはその子を一人の人間として受け止めてゆこう、というふうにはならないのです」

と鮫岡氏はおっしゃっています。

その通り……と現代の抱える問題にうなずきつつも、

私は、お母さんたちは、実はかなりどの方も能力が高くて、

目の前の子に本気で関わっていくことも、真の愛情に満ちた関係を築くことも、

わが子もよその子も一人の人間として受け止めていくことも、

きちんとできる方ばかりだと実感しています。

「ただ本当のことが、伝えにくい世の中ではあるんだな。本当のことを教えてもらえない、

言ってもらえない時代ではあるんだな」とも感じています。

「それでも、もくもくと、地味に言いたいことを言い続けていると、

ちゃんと伝わっているし、正確に受け止めてももらえているな」と思うことが

しばしばあります。



前回の記事に次のようなコメントをいただきました。

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ユースホステルでのレッスンとても楽しそうですね。いつも楽しみに拝読しています。

一日、数分でもいいから、しっかりと子どもとの絆を作る時間を持つだけで子どもは

大きな変化を遂げることと思います。

この言葉がとても心に響きました。

弟が誕生して、とてもかわいがってくれてはいるものの、ストレスが溜まっているなぁと

最近感じていました。

昨日は幼稚園の参観でした。

他のお母さん達から見ると、いつもの元気な○○くん(息子)だったと思いますが、

私にはすごくストレスを抱えている息子に見えてしまいました。

赤ちゃんが生まれて、お兄ちゃんを大切にしてあげないとと思っていても、

下の子が寝ている時に「遊ぼう」と誘われても、「少し休憩させてね」と言うことも

多かったです。お兄ちゃんとの会話でも、言葉では優しく相槌を打って話を合わせていても、

私の心は息子と共感していなかったんだなと、この記事を読んで気づきました。

「忙しいからといって、叱りすぎないように」ということばかりに気がいっていたように

思います。昨日は息子の寝顔を見ながら、涙がこぼれました。

「たくさん遊んであげないと」と考えるとしんどいですが、「一日数分でも・・・」なら

気負わず意識できそうです。

いつも勉強になる記事をありがとうございます。

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コメントありがとうございます。とてもすてきな気づきですよね。

ほとんどの方が、「もっと~してあげないと」と子どものことを思っているのに、

それが子どもに伝わりにくくなっているときがあるんですよね。

コメント主さんの気持ちの切り替え方は、他のきょうだいを育てている方の参考になりますね。


「真田丸」は、子どもたちの間でも流行しているらしいです♪

2016-02-28 18:43:20 | 連絡事項

教室の子たち。「真田丸」を見ているという子がかなりいます。

録画して何度も見るという子も。

芸人の「本能寺の変」という替え歌も流行っているそうで、幼稚園の子らも

たいてい歌えます。

今日は、「えー?本能寺の歌~?お兄ちゃんが歌っているけど、わたし嫌い~」と

言っていた1年生の女の子が、結局、最初から最後まで歌っていました。

部屋にいた親御さんから、「歌えるんかい~!!」と突っ込む声が……。

 

そんなこんなで歴史がちょっとしたブームです。

ドラえもんの日本歴史ゲームで遊んでいます。

 

兜も制作しています。

 

 


計算が得意になる遊び♪ トランプでもできます。

2016-02-28 08:21:43 | 算数

子どもがとても喜ぶ計算が得意になる遊びを紹介します。

どこが面白いか…というと、計算ゲームに「夜店」の楽しみのような

「くじびき」とか「買い物」の要素を加えているからです。

このくらいの適当さで、ゲームのルールを子どもといっしょに考えるのも面白いです。

 

10枚ずつラミィカードか、トランプを配ります。チップも10枚配ります。

2~3枚で、足したり引いたりかけたり割ったりして10になったら、

前にそのカードを出して、チップを5枚もらいます。

12と8と6だと12-8+6=10なので、5枚チップがもらえます。

4と6でも5枚もらえます。

10が作れない時は、お店屋さん(10枚のラミィキューブの駒かトランプの表を

向けているところ)で、チップを2枚出せば好きな駒が買えます。

また、くじびき(駒かトランプが裏向き)で、チップを1枚出せば1個裏のまま選べます。

たくさんチップを貯めた人が勝ちです。

 

このゲームは10の合成を覚える時にもとても役に立ちます。

なぜかどの子も勉強好きになる不思議なゲームです。


恐竜の体の中はどうなっているの?

2016-02-27 17:03:28 | 連絡事項

教室で人気の恐竜の解剖図作り。

大まかな作り方は同じですが、子どもによってこだわりどころは千差万別です。

『21世紀こども百科』のティラノサウルスの体内の図解をカラーコピーし、

恐竜の部分を切って糊で色画用紙に貼っています。

風船に綿を詰めて心臓などの臓器を作ったり、細長い風船にモールを通して

腸を作ったりしています。

骨は綿棒で。

こういう作業、どの子も本当に大好きです。

あごの骨をねじでとめて口が開閉するようにしています。

几帳面なAくんは、ねじであごの骨をとめるだけだと口が開き過ぎるのが

気にいらないようでした。

そこでゴムを顔の筋肉の代わりにして、口が一定の幅しか開かないようにしました。

たちまち子どもたちに飛び火した

「中身が見える胃」作り。

風船にビーズ類を詰めています。

 

詰めるのって楽しい、面白い……。

ちゃんと肛門と尿道を分けています。そういうところ、大事みたいです。

足の骨が動くようにしたり、脚の骨を白いモールで作って

工夫しています。

 

 

 


事務Kよりお願い

2016-02-27 12:18:57 | 連絡事項

こんにちは、虹色教室事務担当の『事務K』です。

そろそろ新学期ですので、きちんと名乗ってみました。

 

宜しくお願い致します(^_^)/

 

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※注意※ 【2016年3月追記】

こちらの記事はレッスン募集の記事では御座いません。

分かりにくい内容となっておりましたこと、お詫び申し上げます。

申し訳御座いませんでした。

 

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さて、本日はレッスンご参加者さまにお願いがあり、ブログを書かせて頂いております。

レッスンへご参加頂くには、現在このブログでの募集からのみとなっております。

(様々にお問い合わせを頂いておりますが、ご希望に副うことが難しい状況です。ご理解くださいますようお願い申し上げます。)

 

 

ブログでの募集→参加コメント投稿→ブログでの発表→連絡先のコメント投稿→事務Kからの連絡という流れがレッスン参加までに必要な手順となります。

この際、注意が必要な事が幾つかあり、それについて再度ご説明しておきます。

 

まずは、【連絡先のコメント投稿】です。

保護者氏名・電話番号・メールアドレスの3点は確実にご記載ください。

このうち、メールアドレスを書いたコメント投稿した場合に、ブロックがかかり投稿出来ない事が御座います。

その場合には、@を☆に変えるなど文字を変えて頂き、再度投稿してくださいませ。おおよそ、@を☆変えることで投稿は問題なくなさるかと思います。

 

 

続いて、【事務Kからの連絡】について。

こちらは2点あり、1点目…連絡先のミス。

これに関しましては、電話番号がきちんと記載されておりましたら、届かなった旨を事務Kからお電話にてお伝えいたします。

ですので、出来るだけ連絡が着きやすい連絡先をご記載くださいませ。

 

2点目…事務Kからのメールが受信できない。

此方に関しては、アドレスのミスではなく、迷惑メールとしてブロックされてしまい自動削除などされてしまうということです。

事務Kは、Yahoo!のフリーメールアドレスを使用しております。

 

最近、Hotmailとの相性が悪くほぼブロックされている状況です。

その他のプロバイダでも初期設定から迷惑メールとしてフリーメールをブロックするようになっているようです。

 

ですので、現在レッスンに通っている方、これからイベント等に参加予定の方。

受信出来るように一度設定を確認下さいますようお願い申し上げます。

ご参考になるか分かりませんが、解決策をご提示させて頂きます。

 

 

 

1.受信拒否の設定をしている内容を確認する。

その中にドメイン(@yahoo.co.jp)が含まれている場合、すべてのYahoo!メールを受信できません。

ですので、一度この拒否設定を解除してください。事務Kからの連絡が着きましたら、事務Kのメールアドレスをアドレス帳に登録するか振り分け登録などして個別に受信許可設定後、ドメインでの受信拒否をして頂ければ事務Kのメールは届くようになると思います。

 

2.フリーメールアドレスを作る。

事務Kと同じYahoo!やGmail、Hotmailなどのフリー(無料)のアドレスを一から作ってしまうのもよろしいかと思います。

Yahoo!も簡単に作れるので良いかと思いますが、スマホ(android)の方でしたらGmailなどもご活用できるかと思います。

 

3.振り分け登録をする。

これは、迷惑メールBOXへの振り分け対策ですので、前提として事務Kのアドレスを知っている必要があります。

各社、おおよそ手順は似たようなもので、メールの設定画面に振り分け登録の機能が御座います。

そちらに事務Kのアドレスを登録し、迷惑メール以外のBOXに入るように設定すれば自動でそのBOXに入るようになります。

迷惑メールはプロバイダによっては数日で削除される場合もあるようです。ですので、出来れば振り分け登録などして頂けると有難いです。

この場合は事務Kにメールが返送されないため、未着ということに気付かないので…(^_^;)

 

4.携帯で受信したい場合はその旨ご連絡をください。

特に従来の携帯会社のメールシステムの場合はPCからのメールが容量の都合で全文受信出来ないことがあります。

事務Kからのメールの最後には必ず『事務K』という文字をいれております。

そこまで入っていない場合は、再度分割して再送致しますのでご連絡下さいませ。

 

以上が事務Kからのお願いとなります。

現在も連絡が取れない方が数名おられます。

 

ですので、一度皆様、メールの受信設定のご確認を宜しくお願い致します。

 

それでは、仕事に戻りまーす。

皆様、良い一日をお過ごしくださいませ~

 

(@^^)/~~~☆


『フロー状態』が起きやすいような環境を作るには?

2016-02-27 08:20:44 | 日々思うこと 雑感

ずいぶん前のことになりますが、虹色教室では『ピタゴラスイッチ研究部』と

いうクラブを作って、自分で考えたアイデアを競いあうことをしていました。

競いあうといってもそれぞれの子の自分のアイデアですから、その子の個性が強く出て、

電気やモーターを使った仕掛けに熱中する子、音の出る仕掛けばかり作る子、

ゴールに凝る子と興味の方向が異なります。

優劣決めがたい互いに切磋琢磨する面白い研究報告になりました。

私は基本的に、材料の調達と、『フロー状態』が起きやすいような環境を

作ること以外はあまり手を出さないようにしていました。

「そんなものを使うの?」という子どもならではの変なアイデアが、

すごい動きを生み出すこともよくありましたから。

また、そうした遊びの興奮のあるうちに、レッスンの後半は算数や

数学の学習に集中させるようにしていました。「たくさん学んで、

もっと高度なことができるようになりたい」という気持を引き出したかったからです。

フローとは、人が時間も忘れて無我夢中になって何かに没頭しているときの

精神状態をいいます。

心理学者のミハイ・チクセントミハイによって提唱されました。

やってることにのめりこみすぎて、行為と意識が溶けあうような感覚です。

子どもにフロー状態を体験させるには、管理しすぎず、

成果を求めず、それぞれの子が自然な状態で自分に自信が持てるよう支えることが大事です。

また、友だちと協力しあって同じ目標に向かって努力するときも、

それぞれひとりひとりの子が、

自分自身の好奇心や探究心に突き動かされて取り組めるよう支援します。

この当時、5歳だったピタゴラスイッチの研究部員さんたちは

勉強中もフローの状態を作り出すことができるように成長してきています。

この研究部は、アイデアマンの主力メンバーが受験に突入したことと、

幼い子たちが『化学実験』ばかりやりたがる時期が続いたので、半休部状態のまま

今に至っています。

それが最近になって子どもたちの間に、「面白い崩れ方をするドミノが作りたい」と

いう気持ちが生まれてきたので、ピタゴラスイッチ研究部、復活しそうな気配です。

 

ピタゴラスイッチ研究部の報告 無事にライトがつきました!

ピタゴラスイッチ研究部の報告 無事にライトがつきました!2

ピタゴラスイッチ研究部の報告 運動の向きを変える 1

ピタゴラスイッチ研究部の報告  運動の向きを変える 2

ピタゴラスイッチ研究部の報告 ビー球スライダー 1

ピタゴラスイッチ研究部の報告 ビー球スライダー 2

ピタゴラスイッチ研究部の報告 ゴール地点の工夫 3

ピタゴラスイッチ研究部の報告  ビー球がよくすべる波の形 

ピタゴラスイッチ研究部♪ 音の出る仕組み

ピタゴラスイッチのスタート部分♪

科学クラブでのピタゴラスイッチ研究 1

科学クラブでのピタゴラスイッチ研究 2

 

ピタゴラスイッチ作品のアイデアは、

これ以外にも面白いものがたくさんできたのですが、きりがないのでこれくらいで……。

これは昨日の小1生たちがドミノで遊んでいる様子です。

最初に円の上にドミノを並べてみて面白かったので、

もうひとつ作って、8の字を一筆で書くように倒れるようにしたいと思いました。

が、台にしている円形の板は周りが丸まっていて、

思うように交差しておくことができません。

そこで、8の交差する部分にあたるドミノを吊り下げる作戦に出ました。

よいアイデアではあったんだけど、これは失敗。

すると、ひとりの子が、この吊り下げたドミノを使ったゲームを思いつきました。

下にドミノを重ねておき、ひもをつけたドミノを上から落として

いくつドミノが崩れるか競うゲームです。

改良を加えて棒を1本足すと、カーブを描いてドミノが降りて来て

積んだドミノをはじくゲームが完成しました。

子どもたちが次々にアイデアを出しながら、自分たちで工夫しながら遊ぶようにするには、

子どもたちのひとりひとりが『フロー状態』に入っていけるように

環境や大人と子どもの関係を整えることが大切です。

おまけーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ピタゴラスイッチ研究部♪ 透明ホースの中を走る

ピタゴラスイッチ研究部員さんたちの研究発表です♪

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ピタゴラスイッチ研究部 と フロー

の記事を読んだ方からこんな質問をいただきました。

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『フロー状態』が起きやすいような環境を作ること

→この点について家庭でできること、親としてできることを教えていただけますと

嬉しいです。うちの子(もうすぐ3歳です)は非常に気が散りやすいタイプで、

遊びが長続きしません。おもちゃも次から次へと変えていきます。もう少し集中して

遊び込めないものか・・・と悩んでおります。よろしくお願いします。

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3、4歳の子たちは遊びが長続きせず、おもちゃを次々変えていくことはよくあります。

一つの遊びで遊び込むことができるように導くために、次のような点に注意して

関わっています。

 

① それぞれの子の敏感期に注目する。

手作業で夢中になること。知能面で敏感になっていること。

 

② その子の好み。個性。

色、形、作業の好み。頭の使い方の個性。遊びの好き嫌い。

 

③ 最近の出来事。その日、関心を持ったものなどに注意する。

体験したことを遊びに取り入れる見本を見せる。


④ 遊びのさまざまなシーンで敏感期の活動を満喫できるようにする。

 

今日、レッスンに来ていた3歳と4歳の★ちゃん、☆ちゃんの遊びを例に挙げて、

もう少し具体的に説明させていただきますね。


教室に着いた当初、★ちゃんも☆ちゃんも、

次々と遊びを変えて落ち着かない様子でした。

☆ちゃんは椅子が好きな子で、2歳くらいの頃も、教室にある子ども用の椅子を

部屋中に並べたり、重ねたりして遊んでいました。

 

人形劇の劇場を取ってもらいたがったので、☆ちゃんに渡すと、劇場の前に椅子を

並べだしました。

以前、教室で人形劇の劇場を作って遊んだことがあるのを思い出したようです。

虹色教室では、子どもが何か新しい体験をしたときは、それを

おもちゃや工作で再体験できるようにしています。

 

保育園の発表会を楽しんだ☆ちゃんと発表会の様子楽しんだ日の記事 

この日は2つ年上のお兄ちゃんが主になって、舞台装置の仕掛け作りをするのを

見るのと、お人形を椅子に座らせていくのが☆ちゃんの仕事でした。

 

それを思い出したのか、☆ちゃんは人形劇場を目にするなり、椅子を並べ出しました。

「もっと椅子がほしい」と言いました。

 

椅子とお人形を用意すると、どんどん椅子を並べては人形を座らせていきました。

(椅子は100円ショップで購入したグラグラゲームに入っていたものです)

☆ちゃんは真剣な表情で、「先生、前は小さい人が座って、後ろは大きい人が座るよ。

だって、前に大きい人が座ったら劇が見られなくなるから」と言っていました。

幼い子たちは、手と目を協応させて集中してやらなくてはならない作業を、

何度も何度も満喫するまで繰り返すのを好みます。

その子がやりたがる作業をたくさん行える環境を作ってあげることが大事だと

思っています。

また時折、イメージを育てるために、大人が体験を再体験できるような

見本を作ってあげることも必要です。

 

★ちゃんに、「何がやりたい?何が好き?」とたずねると、「ビー玉」と答えました。

らせんにビー玉が転がっていくおもちゃにビー玉を入れて遊びだしました。

★ちゃんは感覚に訴えることが好きで、こうした遊びをはじめると

いつまでも続けています。

集中しているとはいえますが、こればかりでは発展しない上、知力や想像力をしっかり

使って遊ぶ満足感は得られません。

 

そこで、★ちゃんが熱中する作業の一つひとつを

次の段階に発展させたり、個々の遊びをつないで意味を作りだしたり

する方法をいくつか提案しました。


上写真の左は、★ちゃんが遊んでいたビー玉がクルクルとらせんに滑り降りていく

おもちゃです。高い位置に滑り台を作って、滑り台から飛び出したビー玉が

らせんに滑り降りるおもちゃの中に入るようにしました。

★ちゃんは放射線状に落下するビー玉の動きに大喜び。

滑り台の高さや位置を調整しながら遊んでいました。


ビー玉がポンッと跳びあがるおもちゃと、受ける道具の組み合わせでも、

十分楽しんだあとで、受ける側の穴を滑り台につないだり、

ビー玉を飛ばす道具を椅子の上に設置して遊びました。


ホースをゴムで椅子につないであげると喜んでいたので、最初は転がして受ける

遊びをし、途中から、それまで作っていた線路に貨物列車を作って、

ホースを使ってビー玉の荷物を荷台に入れて、運んで行くというごっこ遊びをする

ことにしました。


このように敏感期の作業的な活動と見立て遊びがつながると、

子どもはとても長い時間、夢中になって遊ぶことがよくあります。

 


いらないCDで虹の万華鏡(もどき?)作り

2016-02-26 19:02:30 | 理科 科学クラブ

いらないCDやDVDを適当にカットすると、

虹色を作りだす小物がいろいろ作れます。

 

CDやDVDははさみで簡単に切ることができますが、

危ないので大人の方が破片が飛び散ったりしない場所で切ってください。

(思ったより柔らかくて、パリンと割れることはありませんが……)

 

普通の折り紙と銀色の折り紙を裏側同士を合わせて半分に折ります。

 

さらに半分に折って、↓の写真のような三角柱の側面だけの形になるよう折って

セロテープでとめます。

CDやDVDの銀色の面が少し動くように貼るとできあがり。

 

 

実際の虹の色は写真よりずっときれいです。

切った部分をテープでくるむと安全です。

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<おまけ>

レンズでいろいろなものを拡大するのが流行中です。

 

 

 

「これは何でしょう?」

 


他の子が遊んでいる物をすぐに奪い取る癖がついてしまった子に

2016-02-26 08:00:13 | 幼児教育の基本

他の子が遊んでいる物をすぐに奪い取る癖がついてしまった子への

しつけに困ることがありますよね。

そんな時に教室でしている工夫をいくつか紹介します。

 

① 既存のゲームのルールに、

「相手の子持っているものと自分の持っているものを交換してもらえないか相談する」

というルールを加えて交渉する場面をたくさん体験させています。

 

おもちゃのやりとりを始終大人が見守るのは難しいです。

ゲームのように大人の監視下で遊んでいる場面で

何度も交渉する練習ができるようなルールをたくさん加えると、

すぐに相手の物に手を出さずに言葉で交渉することや

「イヤだよ」と言われたら断念することや、

状況や相手の気持ちを考えることなどを繰り返し学ばせることができます。

機械的に交換させるのではなく、

「それちょうだいって言われても、大事だからダメだよ。今はあげられないよって

時があるんだね」とか、

「それなら、いらなくなったら後でちょうだいねって言えばいいね」といった

アドバイスをしながら付き合います。

 

上の写真では、カードを引いて、連結させることができるカードを集めて、

電車を完成させるゲームをしています。

相手の子が自分のほしいカードを手にした時に交換を持ちかけて交渉しながら

遊んでいます。

 

トランプでもかるたでも

途中でこうした交渉して交換するルールを加えると

相手にものを頼むのが上手になってきます。

最初のうちは、交換場というスペースを作って大人が交渉相手になるといいかも

しれません。

その際「これは大事だから交換したくない」といった返事もするようにします。

 

 

②ごっこ遊びで

人形に向かって何かを借りるシーンや交換を申し出るシーンや

頼んだのに断られるシーンなどを作って遊ぶ。

その際、断られる場面にユーモアを加えて、

そうした事態に柔軟に対応できるようにしていきます。

 

③人形やイラストを使って

相手の子の持ち物がすごくほしくなったシーンを作って、

「こんな時にどう言えばいいかな?」とか

「こんな時にどうすればいいかな?」といったクイズを出します。

「ほしいけれど、相手の子もほしいはずだから

こんな時はがまんしなくてはならない」という状況で

自分自身をなだめる言葉や「それに似たものではダメか考えてみる」

「ブロックなどで作ってみる」「誰か相談できる人に言う」

「その場からいったん離れる」などさまざまなバリエーションの気持ちの切り替え方を

教えるようにします。

 

④友達間でトラブルが起きる度に

他の子らにも考えて意見を言わせて、こんな時にどうすればいいのか考えさせます。


⑤ゆっくりじっくり子どもの言葉に耳を傾けます。

子どもの思いや気持ちをたくさん表現させます。


「そうなんだね。それはつらいね。だんだんお兄ちゃんやお姉ちゃんになっていくん

だからね。しまいにお父さんやお母さんになって、おじいちゃんやおばあちゃんにも

なるしね。ずっと赤ちゃんのままだったり、毎年毎年、2歳のお誕生日ばっかりして、

ろうそくを2本だけケーキに乗せてお祝いするんだったら、いろいろがまんしなくても

いいのにね。大きくなっていくと、いっぱいがんばらないといけないし、

何かほしい時も、ちょうだいって奪い取るんじゃなくて……

えっと、どうするんだっけ?

お兄ちゃんやお姉ちゃんになると、どうするか知っている?」などと問いかけています。


それでもいったんついた癖を修正するのは難しいけれど、

家族ではなく第三者や友だちと過ごしている場で、

そうした働きかけをしていると、次第に場に適した行動を取れるようになっていきます。

 


潜水艦の設計図。ろうそく作り。(科学クラブ)

2016-02-25 21:05:47 | 理科 科学クラブ

科学クラブの3年生の★くんが「潜水艦を作りたいから設計図を描いてきた」

と言いました。

アイフォンで操作し、底に取りつけたネズミ捕りで魚を捕まえるという

壮大な計画のようですが、

取りあえず、教室にあるペットボトルやモーターや電池なんかを用意してあげました。

 

100円ショップの潜水艦のおもちゃがあったので、それを分解して、

プロペラ等の部品に役立てました。

★くんはモーターに水が触れない作りにするために全力投球していました。

モーターをラップで包み、ペットボトル内に水が入らないようにペットボトル側の隙間も

がっばって埋めていました。

「モーターの線が短いから電池のところに届かない」と落胆していたので、

ビニールの導線を出してあげると、それをつないで、電池を取り付けて

「できた!」とのこと。★くんいわく、完成したらしい。

 

できた……んでしょうか?

 

設計図とはかなり違う出来だったようですが、★くんなりに

水中でも水に濡れない状態でモーターが回転してとてもうれしかったようです。

 

★くんが潜水艦を作っている間、同じく小3の☆くんと●くんは、

ろうそく作りにいそしんでいました。

市販のろうそくを細かく砕いて、空き缶に入れて、

缶を湯につけた状態で温めて溶かします。それをろうそくの型に入れて固めます。

 

この実験に、ふたりはそれほど乗り気ではありませんでした。

やりたいことがみつからないし、しょうがないから取りあえずそれでもするか……

という感じだったのですが、蝋がジュースのように完全に液体になって、

それを注いだ後で周囲から徐々に固まっていって、

途中で子どもたちいわく「半熟たまごみたい」という過程を経て固まっていくのを

見たとたん、「今度、紫のろうそくと、赤とかの毒の色みたいなので作ってみたい」

「もう一回やらせて」と、すっかりこの実験に夢中になっていました。

結局、3回も蝋を溶かすことになりました。

 

火傷のないように慎重に扱っています。

 

ついでに実験の本に載っていた「バターろうそく」も作ってみました。

が、タコ糸にバターがついてしまっていたのかうまく燃やすことができませんでした。

いつも思いますが、失敗から学ぶこともたくさんあります。

 

3人とも算数タイムもまじめにがんばっていました。自分の思いこみに

引っかからないで、問われていることを正しく読みとって

考えていくのが今の課題です。