虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

友だちとの雑談が楽しい 授業が面白い (息子とおしゃべり) 1

2014-06-30 06:41:03 | 日々思うこと 雑感

夕食後、息子が、「今日、Aと、ライフゲームについてしゃべっているうちに、

物理学も演繹的だろうかって話題になって、ずっと話込んでたんだ。

面白かったよ」と言いました。

 

Aというのは、息子と仲のいい友だちのひとりで、

自分の興味のある分野は学校で習う範囲をはるかに超えた、

専門的な内容にまで精通している一方で、自分が知らなかったことも息子が話を始めると

強い関心を示して、いろいろな疑問を投げかけながら熱心に耳を傾けてくれる子なのだ

とか。

また、他の友だちにはさっぱり通じないような内容でも、即座に急所を捉えて理解して

「……こういう意味だよね」と的確な返事が返ってくるそう……。

物作りが好きな息子の周りには、作曲や料理やプログラミングなど、何であれ

創ることが大好きという友だちが集まっているようで、

一緒にイベントを計画して実行するのを楽しんでいます。

 

 『物理学も演繹的だろうか』という話題は、

息子がゼミでプレゼンするために読んでいる

『ライフゲイムの宇宙』 という本で取り上げられていた疑問なのだとか。

 

息子 「現実の世界と物理学が自由度を持っていたのか、

宇宙は今の状態と違うものになった可能性があるか、考えていくと面白いよね。

物理法則は信じられないほど単純なものだけど、現象も単純かというと

そんなことはないよね。世界はとても複雑だ。

この複雑な世界が、単純な物理法則からできたなんて信じられないくらいだけど、

ライフゲームのさ、パラドックスが生まれないように循環してく……

再帰的に定義したってあるんだけど……2次元の幾何学物体が生み出すシュミレー

ション結果の複雑さを見ていると、納得できるな。

それにしても、シュミレーションの結果が予測できないところはすごいな。

 

情報理論がこれまでの物理学で答え出せなかった概念にどんな影響を与えるのか

すごく興味があるよ。

……前にお母さんの本(『ユーザーイリュージョン』)を借りて読んだあとで、

マクスウェルの悪魔の話をしたことあるじゃん。

あの時は、情報をエネルギーに変換するなんて話を聞いても、

たいして面白いと思わなかったんだ。

でも、情報のこと勉強するほど、いろんな可能性が見えてきて、

物理学がどうしても解決できなかった問いの答えに、情報理論が新しい方面から

近づくんじゃないかと考えるとワクワクするよ」。

 

わたし 「お母さんは意識の話に興味があるから、『ユーザーイリュージョン』を

持っているけど、情報の話題はあまり実感がないのよ。

情報理論のこと、S(息子)は面白い面白いっていつも言っているけど、

何だかピンとこないわ」

 

息子 「情報理論は、シンプルに言うと、質でしか表せないと思われているデーターを

数量化していく理論だよ。

質を数量化しようとするなんて机上の空論かと思われるかもしれないけど、

ジョン・ナッシュのナッシュ均衡って理論にしても、後の経済に大きく貢献しているし、

行き詰っている日本の経済を救う鍵も、この分野の発展が担っていると思っているんだ。

一番の魅力は、有限のものを無限に変える可能性を持っているところかな?

そうだな……バベルの図書館って聞いたことがある?全て同じ大きさで同じページ数で

行数や文字数が決まった本が納められているっていう小説に出てくる

架空の図書館のことなんだけど。

そこの蔵書は、どれもアルファベットで書かれているんだけど、

ひらがなで書かれているとして説明すると、

あああああ……と全て「あ」で書かれた本、

一文字だけが他の文字に入れ換わって、残りは全て「あ」で書かれた本、

次は2文字入れ換わって、残りはすべて「あ」……という具合に、

全ての文字の組み合わせパターンで成り立っているとする。

数学的な文字の組み合わせだけを考えると、文字が変わってもエネルギーデーター量は

同じだし、そこで生まれるものは有限なんだ。

 でも、情報という面を考慮すると、意味のある組み合わせを持つ本と意味のない

文字の羅列で成り立っている本のエネルギー量の大きさは同じとは言えないし、

組み合わせによって生まれるものは無限でもあるよね。

単純に考えても、100ページの本と200ページの本があった時、

文字数というデーター量は200ページの本の方が100ページの本より多いのは確か

だけれど、内容の希少価値とか意味のある情報がどれだけ書かれているかという点を

考慮すると、当然、100ページの本の方が情報量が多い可能性があるよね」

 

 

最近の息子の口癖は、「数理意思決定の授業はいつ聞いても面白い!」で、

ちょっと時間があると、授業で習ったことや自分が思ったことを熱く語っています。

 

何をそんなに面白がっているのか、そういう分野に疎いわたしにはピンとこないこと

ばかりだったのですが、その授業で学んでいるという内容を聞くうちに、

「相手のいる状況下で、合理的に戦略的にどんな行動を取れば

ベストか考えたり、シュミレーションしてみたりする……」って、

息子の性格と脳内にあるものを可視化したような研究がよくあったものと、

妙に納得しました。

 

思い返せば、ごくごく幼い頃から、

遊びの好みもおしゃべりもおこづかいの使い道も、

おもちゃから進路までの選び方にしても、

 「交渉」と「戦略」と「確率計算」につきる子だったし、

ずっとなりたがっていたゲームクリエーターへの夢は、

この数年、「物理や社会実験のシュミレーションのプログラムを作りたい」という

より具体的なものへ変化していましたから、

そりゃ、自分の興味がてんこ盛りの授業があるとなれば夢中になるのも当然ですよね。

 

数理意思決定の授業で世界の金融詐欺のからくりや日本の経済が抱える問題や

他国の政治のあり方を学ぶうち、息子なりに日本の政治や経済の行方について

真剣に考えるようになったようです。

 

 


2、3、4歳の子たちと工作を思いきり楽しむには?  2

2014-06-27 15:53:17 | 工作 ワークショップ

前回の記事で、2~4歳の子たちが工作を始める時や

テーマの決め方について書かせていただいたので、

今度は工作の世界を存分に楽しめるように気をつけていることについて

書かせていただきますね。

 

2~4歳の子と工作する時、

その時期、その時期の子が熱中する手先を作業ができるようにしておくと、

自分で作ろうとする意欲が身に着きます。

たくさんシールを貼りたい、なぐり書きがしたい、

鉛筆の先などで穴を開けていく、ちょっと力のいる作業がしたい、ねんどをこねたい、

ちぎりたい、切りたい、トンカチなどで叩きたい、絵具を使ってみたい、

セロテープで何でも貼り合わせたい……など、それぞれの子が繰り返しやりたがる活動を

普段のいたずらや遊びの中で見つけておくようにしています。

 

 

↑ 子どもたちは、連結作業が大好きです。新幹線を作成中。

 

例えば、4歳のBくんとCくんでしたら、

工作用の木片と木片をぴったり合わせて貼り合わせていく作業や

クーピーペンシル2本を同時に使って線路を描く作業などが

ちょっと難しいので集中できるし、やっているうちに夢中になれる活動でした。

 

 

工作のお手本は、「子どもにとって魅力のある作業の一部を見せる」くらいが

いいと思います。子どもが自分でやりたくなったら、自由にまかせます。

お手本通りにできなかったり、お手本とはまったく別のものをを作りだしても

本人に任せるのがいいと思います。

 

お手本を示すのは、子どもに利用しやすい仕掛けや道具の扱い方のアイデアを

見せたいからでもありますが、一番の目的は、

工作したくなるワクワクする気持ちを引き出すことです。

子どもの作業に極力ダメ出ししないようにします。

子どもなりのアイデアが出た時は、それをいっしょに膨らませるようにしています。

工作に慣れてくると、子どもはお手本がなくても自分でどんどん作品を

作っていくようになります。

 

たとえば、Bくんはグーンと伸びたせんろくんが向かう、

かんたろうのお家だった紙コップを口に当てて、ウァァァンという音を出しながら、

「見て見て!面白いでしょ。」と言いました。

新幹線だった木片も口に当てて、

「先生、見て、こうやってプーッてするんだよ」と言いながら

ハモニカを吹く真似をしました。

そこで、BくんとCくんが自分たちで自由に作る工作に飽きてきたところで、

紙コップで作る電車のアナウンスのマイクの作り方を教えることにしました。

 

紙コップの底に鉛筆で穴を開けて(はさみで穴を少し大きくします)、

コップの底にアルミ箔をかぶせて、周囲をセロテープでとめます。

 

写真を撮りそびれたのですが、上の写真のように紙コップに口を当てて

アナウンスをすると、声が不思議なマイクを使ったように変化します。

 

3歳のAくんの場合、本人がひらめいたアイデアは次のようなものです。

粘土を何色か重ねてストローで抜くと

さまざまな色の重なりがストローの中に溜まっていきます。

このきれいなねんどの層を作る遊びは、教室でとても人気があるのです。

 

お手本を見せると、Aくんは自分でねんどを重ねて

ストローで抜きました。

 

それから、ねんどを抜いたのとは反対のストローの口から

息を吹き込んで、きれいなねんどの玉を飛ばしました。

 

Aくんのアイデアのねんど鉄砲です。

 

しばらくねんど鉄砲で遊んだAくん。この鉄砲の弾を踏んだら

やっかいなことになりそうだったので、紙袋に鬼の絵を描いて

口をくり抜いて、玉入れの的を作りました。

 

 

 


2、3、4歳の子たちと工作を思いきり楽しむには?  1

2014-06-27 08:07:56 | 工作 ワークショップ

 

↑ 自分で考えたストロー鉄砲に大満足の3歳6ヶ月のAくん

 

2~4歳の子との工作が広がらない、

「ママ作って」で終わってしまう、導入の仕方がわからない、

途中でうろうろして飽きてしまう、発展しない……という相談のコメントを

いただくことがよくあります。

そこで、2~4歳の子らの工作する姿を紹介しながら、

どんなふうに工作が始まるのか、どんな点に気をつけているのか、

どのように発展していくのか書かせていただくことにしますね。

 

4歳1ヶ月のBくん、4歳4ヶ月のCくんの工作風景です。

 

『しんかんくん いえにくる』という絵本を読み聞かせている時のこと。

二人とも、しんかんくんの話を聞いていたせんろくんが、

「そおれい」と空に向かって、ぐんぐん伸びていくシーンに目を輝かせていました。

そこで二人と一緒に、両手を上げてグーンと伸びをしながら、

「そおれい!!」とせんろくんになりきって遊びました。

反り返った自分の身体の上にNゲージを走らせながら、

BくんもCくんも大喜びで笑い転げていました。

「そうだ、工作でせんろくんを作ろうか?」とたずねると、

「作る」「作る」と小躍りしています。

 

虹色教室の工作は、たいていこんなふうに始まります。

といっても絵本の読み聞かせが工作につながる……というわけではありません。

子どものおしゃべりを聞いているうちに始まることもあれば、

ごっこ遊びの最中に必要ができて始まることもあれば、

素材と触れ合ううちに、始まることもあります。

共通しているのは、いつも子どもの心が何かに強く惹きつけられた時や、

新しい発見をした時、心が大きく揺さぶられた時などに

それをきっかけに物作りをしているということです。

 

つばめの巣を見つけたこと、空を飛行機が飛んでいくのを見たこと、

道で水たまりを発見したこと、エレベーターに乗ったこと、

大きな石の下にだんご虫が隠れていたこと、

テレビのリモコンスイッチを押すと音量がどんどん大きくなったこと、

猫を触ってみたこと、スーパーでバナナを自分で買い物かごに入れたこと、

おばあちゃんのお見舞いに行ったこと、お寿司がこぼれたこと、

駅で「黄色い線の内側まで下がってください~」とアナウンスが流れたこと……

そんな何気ない出来事や絵本で出会うひとつのシーンで

2~4歳の子どもたちの胸はいっぱいになります。

そんなささやかな発見に、心と身体のすべてを使って味わっても

まだ足りないほど夢中になります。

 

 

次回に続きます。 

 


やる気に火をつける小さなきっかけ

2014-06-25 09:40:51 | 通常レッスン

過去記事です。

小学2年生の★くん。

教室内をうろうろそわそわしながら

やりたいことが見当たらない様子。

ピタゴラスイッチ風のおもちゃを組み立てたり、

歯車が回転するおもちゃを広げてみたりするものの

見本の通りに作っておしまい……となっていました。

 

「あ~ねむくなっちゃった。寝てもいい?」とたずねるので、

「3分だけね」と答えて、

わたしは、算数タイムに★くんに解かせる予定の問題のコピーを取ることにしました。

すると、印刷機がインク切れでした。

そこで、だれっとしている★くんに

インク交換をしてもらうことにしました。

 

子どもって、こんなちょっとした作業を任されるの

好きですよね。

本当にささいなことなんですが、大人がすぐにやってしまわずに

子どもにできるところまでやらせてあげると

たとえ失敗して物が無駄になっても、それに勝る

いいものが残ります。

 

箱の裏の説明書を見ながら、

カバーをはずしたて、

機械にセッティングした後で、★くんはいきいきとした

やる気いっぱいの表情になっていました。

 

やる気に火をつけるきっかけって、

本当にこんなささいなことの中にあるものです。

 

 

この日、わたしが提案した遊びは、少し前に科学クラブの男の子たちが

作っていった玉飛ばし機に

上下運動する仕組みを取り付けて、

新しい価値を加えることです。

この上下運動する機械は、綱渡りするピエロ人形を動かすために

壁に設置していたものなのですが、

かなり年代物の電子工作キットで作ったため、

きちんと動作しませんでした。

子どもたちの工夫でかろうじて動く状態です。

その上、ピエロ人形を幼い子たちが触るうちに

バラバラに壊してしまいました。

 

そのため、この装置は使われないまま壁に残されていたのですが、

★くんに取り外してもらい、玉飛ばし機の側面に取りつけて

利用することにしました。

段ボールを接続するのに

六角ボルトは重宝します。

くぎのように危なくないし、

えんぴつで段ボールに穴を開けるだけでも

簡単に接続できます。

幼稚園児さんたちの大工遊びにもお勧めです。

 

 

段ボールに取り付けるだけとはいえ、

上手くいかないことの連続。

その都度、針金を使ったり、木片で補強したりして

問題を解決しました。

 

★くんは

かごをぶらさげて、動きながら玉をキャッチする機械を作りました。

が、玉飛ばし機のパワーが足りず、

かごに玉が届きません。

自分なりにさまざまな改善案を出して、

解決していました。


4歳児さんを中心にした工作 知恵遊び

2014-06-23 21:41:38 | 記事のまとめ(リンク)

4歳児さんを中心にした物作り 知恵遊び をまとめました。

興味のある方はリンク先に飛んでくださいね。

 

3、4歳児さんの知恵遊び 物作り

 

4歳児さんたちのゲーム、算数、ブロック、好奇心を広げるための活動

 

 

 算数遊びが楽しくてたまらなくなってきました♪ カードゲーム、理科遊び、物作り

 

 

グループレッスン2年目 成長した2歳半~3歳だった子たち

 

 

ボードゲームがとっても楽しくなってきた

 

 

4歳になったばかりの子 数の取り組みは? 1

4歳になったばかりの子 数の取り組みは? 2

4歳になったばかりの子 数の取り組みは? 3

 


3歳児さん(を中心にした)工作 知恵遊び

2014-06-23 12:47:29 | 記事のまとめ(リンク)

工作記事や通常レッスンの記事を年齢別の分けて探ししやすいようにしてほしい、という要望が

あるのですが、工作や知恵遊びやレッスンの内容はだいたいの年齢で分けられるものもあれば

年齢を超えて10歳くらいの子から1歳前後の子まで同じ活動を楽しんでいるものもあるので簡単に分けることができません。

年齢別のものを見たいという方には、定期的にまとめの記事を紹介していますので、

そちらからリンク先に飛んでくださいね。

 

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3歳児さんたちの工作や知恵遊びの様子をいくつか紹介します。

あやつり人形のお散歩ワンちゃん と 幼児用手作りトランプ

 

 

3歳児さんたちのグループ 工作 ゲーム ごっこ遊び

 

 

ひとつひとつの活動に集中する2歳児さん お友だちの反応を楽しむ3歳児さん

 

 

3、4歳児のグループレッスン 個性に合わせた働きかけ 1

3、4歳児のグループレッスン 個性に合わせた働きかけ 2

 

 

3歳半~4歳半の子のグループレッスン ミッション

 

 

子鉄くんたちのごっこ遊び、工作、算数

 

 

年少さんと工作、知恵遊び

 

 

小さな力で大きな破壊力

 

 

排水設備に興味しんしん

 

 

3歳半 ひとつひとつの遊びにじっくり関わり、発展させることができるようになりました

 


自閉っ子 の 遊びが生まれる時 

2014-06-19 17:10:05 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

 

明日から、神奈川の自閉症のトムくんのところへ行く予定です。6月22日まで

ブログをお休みします。


自閉っ子が成長する時

自閉っ子が成長する時 2

で記事にさせていただいたAくんとBくんのレッスンの様子です。

前回のレッスンで、自分の思いついた言葉にそって工作してから

遅延エコラリアと場にあっていない発言が激減したというAくん。

今回も、遅滞エコラリアや場や状況に合わないひとりごとはほとんどありませんでした。

お母さんの話では、これまでおもちゃで遊ぶことがなかったのに

電車のおもちゃを線路の上で動かして遊んだり、お人形を使ってごっこ遊びをしたり

する姿が見られるようになったそうです。

教室でも、ブロックの線路をつないだ後で、電車のおもちゃをすべらせたり、

『メイシーちゃんのおうち』というドールハウスになるポップアップ絵本で上手に

遊んでいました。

ベビーレッスン用のおもちゃの箱を探っていたAちゃんが見つけた

扉が開く車。メイシーちゃんを乗せるとピッタリサイズなのに気づいて大喜びしているAくん。

前回のレッスンで、Bくんがトンネルの中のページになるたびに

教室の電気を消しても、

自分が見ている絵本の場面と教室が暗くなることのつながりが

さっぱりわかっていないように見えたのですが、

今回は、トンネルの場面になると電気を消すことを期待するような表情をみせ、

再びトンネルに電車が入る場面になった時は、自分で電気を消しにきていました。

これまでもAくんがBくんが遊んでいたおもちゃに後から触っているところを見ることが

何度かありましたが、今回は、Bくんのすることは何でも真似してみたい

という意志がはっきりと感じられる遊び方でした。

 

 

 

粘土を重ねて、ストローで抜いて遊んでいるBくん。

完璧主義で美しいものが大好きなのに

手先が不器用なBくん。

ただ型を抜くだけで美しい作品ができることが

うれしくてたまらないようでした。

型を抜いた後の粘土の塊は汚く感じたようで「いらない」と言っていたのですが、

ガチャポンの容器を用意してあげると、中に粘土を入れてからセロテープで密封して、

「地球だよ。やっぱり、どろ団子だよ」と満面の笑みでした。

 きれいな粘土でできる模様に夢中になっていたので、

水が自ら塗り絵をしているように見える実験をしました。

Bくんはすっかり心を打たれた様子です。

算数タイムの一コマ。前回までは、自分発で始めた遊びはするけれど、

こちらが「算数の時間だから席に着いて」と誘うと、頑なに拒否して座ろうとしなかったBくん。

今回は、粘土遊びに使ったガチャポンを見て、「この中に何が入っていたの?」とたずねるので、

「ないしょよ。算数の勉強の時間に中に入っていたおもちゃを使って勉強しようか?」と声をかけていたためか、

粘土の作品作りに心から満足していたからか、

素直に席について、算数の問題にいろいろ取り組みました。

わたしが出した5本の止まり木に鳥をとまらせてから、とまっていない鳥を数える問題も

きちんと解くことができました。

問題が終わった後で、Bくんはセロテープで積み木をピッタリ貼り合わせていってから

鳥を乗せて行きました。

積み木で列車の連結を表現して鳥を乗せていくのも

Bくんのアイデア。

Bくんは何でもセロテープできっちりと貼り合わせて

大好きです。鳥を入れる蓋つきの箱が作りたかったそうです。


劇遊びブーム

2014-06-18 17:42:05 | 通常レッスン

年中と年長の子たちのレッスンの様子です。

 

ヘアードライヤーの冷風で風船を空中にとどまらせることができます。

それを利用して、お化けがふわりと浮きあがる……という

短い劇を演じて遊びました。

その後、劇遊びに火がついた子どもたち。

 鬼が大好きなAくん。分厚いスケッチブックに何枚も鬼の絵を描いてきてくれました。

お家で描いた鬼の顔に身体をつけて、巨大な鬼を作ることにしました。

 力いっぱい鬼の身体を塗るAくんの顔には自信がみなぎっていました。

鬼の金棒を作っています。

最初、Aくんは段ボールにブロックを貼りつけていました。が、偶然、いいことを思いついた模様。

セロテープを丸めて金棒のぶつぶつにしていました。

天井につけているフックに力作の鬼を吊り下げて

ご満悦のAくん。

Aくんが、鬼を作る間、Bくんはこの日みんなで読んだ『しんかんくん いえにくる』の絵本の

ストーリーをおもちゃや工作道具を使って再現しようとしていました。

かんたろうに会いたくなった しんかんくんが、

電車に乗ろうとしたシーン。

電車がしんかんくんが重くて動けません。

線路くんが空に向かって伸びて、かんたろうの家まで送りとどけてくれます。

工作上手のBくん。最近はカラーセロファンを使った工作に凝っているそうです。

しんかんくんのお部屋のベッドやおもちゃを

布や折り紙で表現していました。

巻いた模造紙を鼻につけておちょけていたCくん。

模造紙を嘘をついたら伸びるピノキオの鼻ということにして

劇を演じて遊びました。

「駅でオーシャンアローを見たよ!」という嘘をついて

鼻を伸ばしています。

CくんとDくんは、トッキュウジャーの武器を作っていました。

(Dくんの作品、すてきなのができていたのに写真を撮りそびれてしまって

ゴメンネ。)

算数タイムの一コマ。

全て異なる絵札を出していき、

5枚目の絵札を出した人が得点チップをもらうゲーム。

ラッキーカードや2種類の絵からどちらかを選ぶカードなどを

どのように使うかがポイントです。

最後に得点チップを手の中に隠して

数の増減のクイズをしました。

 


緊張が強い子 と 心と心が近づく時、お互いの絆が生じる時 5

2014-06-17 16:14:20 | 日々思うこと 雑感

緊張が強い子 と 心と心が近づく時、お互いの絆が生じる時 1

こんなことを書きました。

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そんなときに、外からは、雰囲気が悪くなっていく中で

これといったことをするでなく、後味が悪いまま時間が過ぎていったように見えても、

緊張が強いその子とわたしの心と心は、それまでにないほど近づいて

絆のようなものが生じたのを実感することがあります。

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突然のアクシデントに気を取られているときも

子どもの出す「小さなサイン」に気づくことの大切さをいつも感じています。

 

「気づく」なんて、外からはわからないほど地味な行為ではあります。

でも、子どもとの信頼の絆は、「気づく」というささいな行為の重なりの上に

築かれていくのを実感しています。

 

「小さなサイン」には、こんなものがあります。

 

一緒に活動するのを頑なに拒絶している子が、ずいぶんあとになって

ほかの子らのしていたことを真似ようとしたり、

ほかの子の遊び道具に触れていたりすることがよくあります。

そうした姿から、「だんだんほかの子のすることに興味が生まれてきている」

「好奇心が動き出している」という子どもの気持ちに気づくことがあります。

そんな時期に、集団への活動に参加することを無理強いすると逆効果です。

自分から集団に入っていきにくい段階の子には、その子のところへ

ほかの子に来てもらうのもひとつの方法です。

それより、後から遊びを真似ようとしている子のもとに、ほかの子を呼んで、

「どうやってするの?教えてちょうだい」と頼んだり、

遊びが成り立つように取り持って人との関わりの成功体験を積ませていきます。

こんなとき、ユーモアがとても役立ちます。

ちょっとしたことをきっかけにいっしょにゲラゲラ笑う経験をすると、

緊張の強い子たちも関わり方のコツをつかんでいきます。

 

残酷なことを口にしたり、遊び方が乱暴でお友だちを驚かせてしまうような子には、

子どもと子どもの間に入って、大人が適度なクッション材になるようにしています。

緊張が強い子たちがお友だちと関わり始めた時、ちょっとしたことで攻撃的に相手を

ののしったり、おふざけのつもりや、思い通りにいかない場面の仕返しに、

相手に手をあげることがあります。

繰り返すので反省がないように見えても、感情がコントロールできないことを

その子自身が一番気にしていることはよくあります。

声が裏返るような興奮した口調で残酷な言葉を吐いていた子が、

次第に冗談半分に甘えた様子で残酷な言葉を口にするようになったなら、

子どもの心は変化しはじめています。

 

次回に続きます。

 

 


メタ認知力を育てる働きかけ で 脳はそれ自身が向上する 1

2014-06-14 19:19:10 | 通常レッスン

前回の続きは、明日か明後日に書きますね。


 『滅びゆく思考力(J.ハーリー著/大修館書店)』では、

思考力の向上と「メタ認知力」の関わりについて、

さまざまな重要な指摘がされています。

 

『メタ認知力』のキーワードは『方略』。

新しいことを学んだり理解したりするときに、

自分自身を援助するために用いる、知的なプロセスのことです。

 

現在の環境は心の混乱を引き起こし、子どもたちの内言を失わせています。

また、子どもたちが大人たちとあまり長い時間を過ごさない家庭や、

データーの記憶を学習(知識偏重の学習法)している学校は、

メタ認知力という脳の特別な長所を無視し、

注意の持続の問題で子どもたちを危機に陥れているそうです。

 

イスラエルのルーベン・ヒューエルスタインは、

変化する環境に対して人間をより抵抗力や適応力があるようにする

「メタ認知的方略の訓練」によって、脳はそれ自身も向上するもの

と確信しています。

 

ヒューエルスタインは次のように語っています。

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脳は、個人の自己保存を可能にする構成的な方法によって

変容することができるのです。人間は自分自身を変容させることができる点に

特徴があります。

私はこれを『自動的可逆性』と呼んでいます。

しかし、学校へ通うようになる前であっても、子どもたちは意味というものを

入力する大人を必要としています。

さもなければ、子どもたちは意味を捜し求めて世界をさまようことになるのです。

 『滅びゆく思考力—子どもたちの脳が変わる(J.ハーリー著/大修館書店)P320

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ヒューエルスタインは、部屋におもちゃを置くだけで、あとは子どがそれで

遊ぶことを期待する親のもとでは、適切な思考技能が育たないと主張しています。

親も教師も子どもの理解を組み立てるように援助し、それを通して意味を教えていく

必要があるのだとか。

 

といっても、それは今の早期教育ありがちな、

一口サイズ刻んだ「思考技能」の要素を押しつけるやり方とは違います。

「思考」過剰に分割すると、創造性を犠牲にすることにつながるのです。

 

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虹色教室の年中さんと年長さんの子どもたちのレッスンの様子から

遊びの中で子どもたちが思考を広げ、柔軟に考えていく姿を紹介します。


年中のAちゃんが「葉っぱ」の形をしたブロックのパーツを見つけて

「畑を作りたいわ」と言いました。

ブロックで畑を作ろうというアイデアを思いついたのはAちゃんが初めてです。

家庭菜園をしている年長のBちゃんが

すぐにそのアイデアに飛びついて、いっしょに畑作りをはじめました。

「きゅうりとかミニトマトとか植えようよ」と話しています。

ブロックの穴にさせるサイズにストローを用意してあげると、

器用な年長のCちゃんがはさみで切っていきました。

めいめいブロックの穴にストローをさしては、「ほら、伸びてきているよ。

よく育っているねぇ」と本物の植物を眺めるような感情のこもった声で

話しあっていました。

 

このグループの子たちは、それぞれ独創的なアイデアを思いついては、

さまざまな場面で工夫を凝らす子たちですが、

お友だちと協調しあって、遊びをストーリーのあるものへ作りあげていくことも

とっても上手です。

 

畑を作ったお友だちの姿を見て、畑にかける水が出てくる水道を作っているAちゃん。

ビー玉の水が透明のホースを通って飛び出します。

 

アイデアマンのAちゃん。工作材料の網を見つけると、

「魚を捕まえる網にする」と言いました。

そこで、海に魚を捕るワナを仕掛けることにしました。

ワナの中にはパンが入れられていました。

すると、BちゃんとCちゃんが、さんまとたいの人形を手にして、

誤ってワナにかかってしまうストーリーで遊びだしました。

「先生、もっと魚はいないの?」とCちゃん。

「大きいまぐろならあるけど、これは一本釣りね。」と答えると、

「まぐろも捕まえたい!」と子どもたち。

 

別グループのやんちゃな男の子たちがやっていた

まぐろの一本釣り?(天井のフックに引っかけて、吊り上げています。)

 

 

「工作したい」という子らと、「たつまき」ができるおもちゃを作りました。

 

発泡スチロールの玉やスパンコールなどをペットボトルに入れて

工作するうちに、Bちゃんが、「粘土でキャンディーとか作りたい」と言いました。

 

以前、遊んだことがあるベルトコンベアーで

食べ物を移動させたことを思いだしたAちゃんが、工場の機械を作りたがりました。

写真を撮りそびれたのですが、空き箱に画用紙を挟んで動かす形で

面白いベルトコンベアーができました。

 

年中や年長さんのおしゃべりを聞いていると、自分たちはどんなことがしたいのか、

それには何が必要で、どんなことをすればいいのか、あることからどんなことが連想され

るのか、あるものの背後にはどんな意味があるのか、非常によくわかっているし、

互いのアイデアを響かせあって遊ぶ中で、それをどんどん広げていくのがわかります。

一方で、大人との会話や一緒にする活動を通して、意味の理解を深め、

内言を育み、さまざまな思考パターンを身につけていくのを感じます。

 

↑ 算数タイムの一コマ。