虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

アメリカと日本  専門職に就いている方のプロ意識のちがい 

2011-12-31 10:31:32 | 日々思うこと 雑感

今年のシアトルへの旅行は、日本の良さや日本人の優秀さを

実感するものでした。

アメリカでは、「不便だな」と感じる出来事に

しょっちゅう遭遇します。

ケチャップやジャムの蓋が空かないなんて日常茶飯事。

「ちょっと」欲しい時も、いつも大袋でまとめ買いがあたり前です。

個性を大事にしている国とはいえ、日本のように

かゆいところにも手が届くような個々の要求に対する特別な待遇は望めません。

その代わり、自分の意志で何かを自由に選ぶことには誰もが寛大で、

いちいち他人のすることに目くじらを立てる人はいないようです。

 

↓のパーキングエリアの集金箱は、日本では考えられないようなシステムです。

紙幣を数枚折りたたんで小さな穴に押し込み、

もしうまく押し込めない時は、

手持ちのカギなどで、紙幣を押しこむように

イラスト付きで指示が書いてあります。

アメリカでは改善しようと思う人も、クレームをつける人もほとんどない模様。

食べ物にしろ、機械にしろ、日本の商品の繊細さを 思うと、

日本人って反省したり、工夫したり、分析したりすることが大好きで、

商品を作るときにプロ意識を持っている人が多いんだろうなと感じます。

 

でもそうした日本人の几帳面さや、性急に問題を解決しようとする態度が、

子どもを育てたり、教育したりする場では、 

マイナスに働いてしまうのかもしれない、と感じることもたくさんありました。

 

子どもって成長するもので、長い時間の流れのなかで変化していくものです。

 

でも、日本だと、自分が目にするもの全てに完成品を求めるというか、

欠陥だと感じたものは見過ごすことができないようなところがあって、

人間の子どものように個性的な成長の一過程にあるものまで

小手先でいじって完成品に近付けようとして、結果として不良品扱いしてしまうことがあるように

見えるのです。

 

アメリカでこんなお話をうかがいました。

 

通い始めた学校に適応できなくて、宿題や課題を嫌がって大騒ぎをしていた子のお話です。

その子の親御さんが先生に迷惑をかけていることを謝ったそうです。

すると、その学校の先生は、「ちょっとずつだけど態度が良くなってきています。

大丈夫。この子は高学年になったら、伸びてくるはずです。きっとすばらしい能力を発揮するはずです。

こちらに任せて、もう少し見守ってあげてください」とおっしゃったのだとか。

 

アメリカの学校はシビアで、きちんとしていないと落第を宣告されることもあるようです。

その一方で、

「今」という短い期間で子どもの能力を決めつけず、

「ひとりの人が育つ」「成長していく」「子どもには個性があって、発達の順序はそれぞれちがう」という

長いスパンで子どもを眺め、

教えるプロとして、そこで生じるさまざまなリスクをしっかり引きうける覚悟があることを感じました。

 

うちの子の懇談に行くたびに感じたものですが、

日本の学校の先生って、「どうして……?」と首をかしげたくなるほど、

輪切りした世界のことしか話題にしないものです。

小学1年生なら、1年生、5年生なら5年生、中学生なら中学生で、

その子の人生が終わってしまうかのような……

先生自身が成績表の数値の増減に対する

シングルフォーカスに陥った状態で

話が終始しがちなのです。

 

人間が成長し育っていくという視点に立って、

子どもを教育していくプロとして

「子どもの個性が将来どのように開花するのか」

「今、目の前にいる子がどのように人生を歩んでいくのか」

といった見通しを示していただきたいな、と感じているのは

わたしだけなのか……。

先生って、たくさんの子どもたちと出会い、成長を見守っているわけですから、

親よりずっと

多角的な視点に立って、大きな視野から子どもを眺めることができるように思うのですよ。

工場の製品の検品作業でも行うように子どもを眺めている先生が多くて残念。

 

日本の社会が、学校の先生にそうした能力を発揮することを許さないところがあるのかもしれませんね。

 

もうひとつこんな話もうかがいました。

アメリカの子どもたちは、成績の良し悪しに関わらず

自己肯定感がとても高い子が多いそうです。

発言も自信満々。

確か中学生だったと思うのですが、ある男の子が、

学校の成績はボロボロなのに、「将来、医者になりたい」と公言していたそうです。

それに対して、「そんな成績で医者にはなれない」と叩く人はいないそうです。

でもこれを聞いた日本人の女性は、「いくらなんでもその成績で医者になりたいとは無謀な話」だと感じたそうです。

でも、数年後、その子に会うと、

自分の夢のために精進して、しっかり医者になっていたそうです。

「3歳までに……」とか「9歳までに……」とか言わない社会では、

いくつになっても、がんばり次第で後伸びするのかもしれませんね。

 

 

 


もう大みそかですね。明日はお正月♪

2011-12-31 08:58:52 | 日々思うこと 雑感

 

 

今年は大きな地震があって大変な年でしたね。

来年は良い年になりますように♪

 

この数日、子どもたちもわたしも風邪を引いてダウン。

息子は夏ごろからこじらしていた胃の不調が次第に悪化しているようなので

年明けにはきちんとした検査を受けさせようと思っています。

もう少し早く手を打っておけばよかったです。わたしも子どもたちも

毎日をあわただしく過ごしていて自分の身体に気遣うのを忘れていたかもしれません。

お正月はのんびり過ごしたいです。

 

今年お世話になった方々、本当にありがとうございました。

来年もよろしくお願いします。

 

 

↑シアトルではとても盛んなフェアトレードの商品。

幼稚園に通っている親御さんが園の門のところで販売していました。

 

 

 


大人の言葉のかけ方が、子どもの考える力の弱さを作るとき、 高めるとき

2011-12-30 17:08:03 | 国語

親御さんの接し方や言葉のかけ方が、子どもの考える力に弱さの原因のひとつを作るときがあります。

以前、書いた記事に

少し書き足して説明しますね。

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「子どもとの会話がなりたちません~。思考力の伸びが弱いです。」
という相談を受けることがあります。

1年生ですが、しゃべったとしても、「あれして~これして~!」「うん、それで?」
といった簡単なやりとりばかりで会話になっていません。

「4歳児ですが、うまく言葉で表現できないので、すぐ手がでます。よく泣きます」

といった相談をときどき受けます。
実のところ、とても多くの子どもたちが、ごくごく簡単な言葉のやりとりだけで
日々過していて、
会話のキャッチボールがいい感じに続く子というのは少ないようです。

先日、そうした対話する力が弱いため、「遊び方が幼いし、考える力が弱いようで心配です」と相談を受けた年長さんたちのレッスンをしました。

そこで、いくつか気づいた点がありました。

★ 「短い」「浅い」場合も、「小さい」といった言葉で表現していても、
それで親御さんとの会話が通じてしまっている場合。

いちいち間違いを修正させる必要はないのですが、
語彙を正しく使い、
さまざまな言葉を使いこなせるように、
子どもが「この棒、小さいね」といえば、
「そうよね。短いよね。もう数センチ長ければ、車のタイヤに取り付けることができるのに」と返すなど、

正しい言葉や、別の言い方でのフィードバック+
親の意見や気持ちをひとこと

くらいに、ていねいな返事を返すことが大事です。

家庭では、「この棒、小さいね」に「そうね」と返していたり、「はやく片付けなさい」と返していることが多いものです。
大人がほんの少しでも子どもへの返事に
思考力や創造力を使うようにすれば
たちまち子どもの語彙は増えていきます。

★ 「レゴはブロックじゃない」と言うなど、
概念の理解に弱さがある場合。

「魚は生き物じゃない。生き物は、カブトとかクワガタだから。」など、
自分がこれまで見聞きした狭い範囲で言葉を理解している場合があります。

「金魚が尾をひらひらさせるのはどうしてかな?」
「どうして、あんな風に上手に浮かんでいられるのかな?」といった
子どもの疑問に対し、即座に答えを教えたり、図鑑で調べるのでなく、
いっしょに疑問を追いかけて会話することを楽しんでいると、
どんな生き物がどんな仲間に分類されるかといったことは、
会話の中で、自然と察して学んでいけますよ。

「そして」「だから」といった接続詞を補って
会話をつなぐ方法を自然に示していきます。

もし~だったらどうかな?
といったアイデアを子どもといっしょに、ユーモアもまじえて、ありえないことでもいっぱい出してみます。


子どもとの会話が成り立たない~という場合、
親御さん側は、
「かなりワンパターンの命令かうながす言葉か、簡単な感想や質問
しかしたことがない」
とおっしゃるケースが多いです。
それで、子ども側からは、スラスラと論理的に筋の通った返事を期待してしまうので、

期待が高い分、場が緊張してしゃべりにくくなりがちなのです。

大人の側が、
リラックスして、会話を楽しむ技術を少しずつレベルアップしていくと、
回を重ねるごとに、子どもの表現力は豊かになっていきます。

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子どもの知能を高めるには、身近な大人が

純粋に楽しみながら、子どもの話に耳を傾けるのが一番です。

 

子どもが何か言うたびに、「教えよう」「しつけよう」「評価しよう」として、

性急に大人が価値があると思うものを押し付けていけば、

子どもたちはよく考えもせずに、何でも鵜呑みにして動くようになります。

 

「こうしてごらん」と指示を出すのを控えて、ゆったりと子どもが何かを選択するのを

待っていると、

その子がどんな子で、何に価値を置いていて、どのようなことを望んでいるのか

見えてきます。

↑の写真は、3歳後半の●くんといっしょに過ごしていた

2歳4カ月の★です。

★くんは、言葉が達者で、慎重でよく考えてから行動する子です。

 

この日は初めて会った3歳の男の子を前にして、固まっていました。

心配した★くんのお母さんが、「~したら?」「~したら?」と声をかけようとしていらっしゃいましたが、

お願いして声かけを控えていただいて、

周囲を緊張した様子で眺める★くんをそっとしておきました。

 

年上の●くんが先に遊んでいたものを、

後から必ず★くんが、「~やりたい!」と言っているのがわかりました。

また、自分が遊ぶときには、

先に遊んでいた●くんの遊び方から良いものを吸収してもいました。

観察力や何をしているのか意味を察する力が優れているのです。

 

そうした★くんの性質からすると、

★くんが観察している最中に、「~してごらん」とうながすことは、

せっかく集中して学んでいるところを中断して、

「学ばずに何かするように」とせかすことになりがちなのがわかりますよね。

 

なら、どんな声かけをすると良いのかというと、

★くんでしたら、観察した後で、

何かをし始めた時に、

「よく○○することに気がついたね」とか、

「面白そう。どうやってするのか教えてちょうだい」とか、

本人が触っている物の名前や動作の名前を具体的に表現しながら、

楽しく会話を紡ぎだすことだと思います。

↑の写真では、環状線の本を読みながら、駅名や電車の名前を言いながら、

環状線について説明していた●くんを真似て、同じ本を読み始めたところです。

 

●くんの態度から学んでいる★くんの気持ちを汲んで

「次は何駅かな?次は何駅かな?環状線はぐるぐる回るね」といった

●くんがしていたことを、★くんが引き継げるような声かけをするといいかもしれません。

 

子ともと会話をするときに、

大人が言いたいことを言うのではなくて、

その子の性質を理解した上で、

子どもが自分の意志を向上する方向に向けやすいように

サポートすることが大事ではないでしょうか。

(たとえば、★くんでしたら、

年上の子の行動を見習って目的を定める性質を

尊重していくということです)

 

 

 

 

 

 


ミニカー遊び、お人形遊びで、数学的なセンスを育む働きかけを

2011-12-29 13:10:44 | 積み木  ピタゴラスイッチ

「いつもミニカーでばかり遊んでいて、遊びが発展しません」

「いつもお人形ごっこばかりしていて、別の遊びをしたがりません」

なんて相談をよくお受けします。

何度やっても飽きないほど好きな遊びがあるなら、その遊びを思う存分させてあげると

いいと思います。

そうしたいつもと同じ遊びのなかで、数学的なセンスを育む働きかけ

を紹介します。

 

 

 

コツ1  <できあがったおもちゃをそろえすぎず、

積み木やブロックで小道具を作る>

 

最初は大人が作ってあげます。

車なら車庫、お風呂(車が入ります)、道路など……。

人形なら椅子、テーブル、お風呂など……。

 

空間認知能力が伸びるだけでなく、イメージする力がついてきます。

算数の図形分野の力がはぐくまれます。

 

コツ2 <困った場面に遭遇させて、

サイズや量への気づきをうながす>

 

子どもは最初、大きさについてでたらめな感性を持っています。

教えずぎず、たくさん失敗させて、

「あれ、小さすぎる」「あれ、あふれちゃう」といった体験をたくさんさせます。

 

コツ3 <「こんなものがほしい」「こうしたい」と思ったら、頭と手を使って解決する習慣を>

「こんなものがほしい」「こうしたい」と思ったとき、

自分の頭をひねって考えると、必ず良い解決法があるんだ、と実感する

体験をたくさんさせてあげます。

工作も、工作の時間にさせるものではなく、

日常の一こまやいつもの遊びのなかで、

「こうだったらいいな」と実現するツールとして体験させてあげたいです。

 

ブロックや積み木や紙を使って

問題を解決することは、

数学的なセンスを育むのにとても役立ちます。

 


幼児期、低学年の学習 と それぞれの子の個性に対応すること

2011-12-28 08:57:54 | 教育論 読者の方からのQ&A

「小学生向けの工作のワークショップ」と「中学入試用の暗記物のクイズ大会」を終えて、

幼児期や小学校低学年の時期こそ

その子の個性を見極めた学習のサポートが

とても重要だと実感しました。

 

というのも、数学的な能力が非常に高い子や

思考する力が優れている子に限って

反射的な素早い反応や暗記力を試す学習の場面では目立たず

ミスしたりすることも多々あるのです。

また創造性が高い子は

退屈しやすく、他の子の番に茶々を入れて邪魔することもよくあります。

 

そこで、「暗記物のクイズ大会」では、記憶力を磨くためのクイズが主ではあるのですが、

「文章を組み立てて表現する力」や「解き方を教わらず、自力で推理して問題を解ききる力」などが

発揮できる場面も設けました。

すると、記憶力を問う場面ではもじもじしていた子が、

即興で作文を作って発表する取り組みにはとても積極的だったり、

視覚的な記憶力ではミスがあった子が、解き方を教わらないまま難問を解く場面では、

4学年ほど飛び越えた推理力を発揮したりしていました。

 

また「工作のワークショップ」では、

落ち着きがない創造性の高い子が、確率を考えた新しい形のさいころ作りや

ゲームのルールをより複雑にすることに

高い能力を示したり、

列車の時刻表や路線図に通じることでどのような可能性があるのか、

他の子らにいきいきと説明したりする姿がありました。

 

数学的なセンスが優れた小学2年生の男の子は

易しいレベルの問題を考えている間は落ち着きなく過剰に動き回っていたのですが、

小6レベルの算数問題を次々出していくと、あっという間に理解して解き始め、

それからは深く集中した状態で過ごすようになっていました。

特にひとつひとつの公式がどうして成り立つのか、

自分で定義することに強い関心を示していました。

この子は、今回のワークショップで同年代のお友だちと意気投合し、

帰り際にメール交換をしながら顔を輝かせていました。

 

一般的には幼児期や小学校低学年の間は

基礎作りの時期で

暗記したり、繰り返し書いて覚えたり、音読したりすることが

良いとされています。

もちろんそうした発達をたどる子は多いのですが、

なかには早い時期から

創造性や思考力が飛びぬけて高い子たちがいて、

そうした子らに画一的な教え方ばかりしていると、

口答えをしたり、ガサガサ動き回ったり、他の子のすることに茶々をい入れたりするように

なる場合があります。

 

こうした子たちを落ち着かせるためには、

頭を限界まで使わせることと、その子の個性的な能力を表現する場をたくさん設けてあげること

だと感じています。

また定期的に、身体全体を動かして

リラックスできる時間を作ることも大切だと思っています。

 

なかなか大人の言うことを聞かないタイプの子が

真剣にこちらの話に耳を傾けるようになるには、

その子の自分でも気づいていない才能をアウトプットするチャンスを与えることと、

正確にその子らしさを捉えることが大事です。

誤った評価は子どもを混乱させて反抗的にします。

もし子どもについて正しく理解できないとしたら、

何も評価しない方がよいと感じています。

 

 

 

 

 


中学入試用暗記物クイズ大会

2011-12-27 21:44:50 | 理科 科学クラブ

今日は『中学入試用の暗記物クイズ大会』の日でした。

子どもたちはとにかくやる気満々でした。間違えることを気にせず

よく知らない問いにもどんどん手をあげていました。

それだけ真剣に取り組んでいたおかげで、

どの問題もしっかりマスターした様子。

 

最初にしたのは天体や星に関するクイズ。

冬の大三角や夏の大三角の星の名前やその星が含まれる星座の名前、

太陽系の惑星の名前などを当てていきます。

今日は天体マニアの子らの参加が多かったので、

天体についての問題を出したい子が続出し、

かなり難しいうんちくもしっかり頭に入りました。

ボランティアのお姉さんと漢字クイズ。

それぞれの子が6年生までの漢字辞典から

最高に難しいと思う漢字を選んでホワイトボードに書きます。

それから2秒後に画用紙で隠し、

瞬間で記憶する力を競いました。

子どもたちはこの遊びを通して、

どんなに難しい問題を出そうとしても

たいて2秒で覚えられることを実感していました。

次は『自分のコレクションしているもの』について

作文のように話す時間。

 

自分が集めているもの(好きな物)についての説明。

集め出したきっかけ。

具体的にどのようなものがあるか。

なぜ好きなのか。

みんなに教えたい面白いところ。

など……。

 

この時間は思った以上の人気でほぼ全員が話したがりました。

また自分の番には、他の子の表現方法を取り入れて、

さらに磨きをかけて話していて感心しました。

↑の写真は、時刻表と切符のコレクションを見せてもらいながら、

お友だちが作文を作るように話すのを聞いているところです。

 

歴史のクイズは、

縄文時代や弥生時代、江戸時代などの絵本を見ながら、「縄文時代がなぜじょうもん時代と呼ばれているのか?」

「高床式倉庫が何に使われていたのか?」とか、「江戸時代の漢字を2秒で覚えて書く」などで

盛り上がりました。

他にも理科や社会のクイズをいろいろ楽しみました。

 

特に子どもたちが喜んでいたのは、

てんびんの重り当てクイズ。

最初は意味がさっぱりわからなかった子らも、

他の子らが解答するうちに

直観的に解き方を理解していました。

 

 

 

 

 

 

 

 


勉強の面白さで集中する 

2011-12-26 20:46:17 | 工作 ワークショップ

今日は小学生向けの工作のワークショップ♪

子どもたちの熱心さに旅行疲れも吹っ飛びました。

小学生限定の工作のワークショップだったため(数名の幼稚園児も参加)

「図形」と「分数」をテーマにした学習もたっぷりしたのですが、

どの子も前のめりになって夢中になって考えてくれて

うれしい限りでした。

 

↑ 分度器やコンパスを使わずに

円を3分の1に正確に切り分ける方法を考えているところです。

答えのお手本を見せると、

幼稚園の子らまで息もしていないほど

真剣に観察していました。

 

↑四角柱や五角柱の形や展開図を絵にしています。

お菓子の箱を切り開いて答え合わせをすると、

子どもたちの心に強くヒットした模様でした。

学習タイムが終わっても図を練習し続ける子が何人かいました。

 

↑ 立方体をふたつに切り分けた図を見て、

展開図に切り込み部分の線を入れているところです。

この展開図はこんがらがるような折り方になるので

かなり難しいのです。

子どもたちはいつの間にかぞろぞろ集まってきて

われこそは……と解いていました。

実際に自分の答えを試してみるための

折り紙で作った展開図を配ると、「わたしもいる」「ぼくもいる」と

どの子も手を出して、自分で試していました。

↑小学2、3年生の子たちも初めて学んだ

時速や体積の問題を、はりきって解いていました。

↑みんなで手作りした分数ゲームとさいころです。

さまざまな形のサイコロ……

各面の出る確率が異なるサイコロ、六角柱のサイコロ、一度に2つの面が出せて

足し算して目の数にするサイコロなどオリジナリティーあふれる作品が

たくさん作られていました。

↑ 正確な立方体のさいころを作るのに

真剣です。

↑幼稚園児の弟くんはプラモデルを制作中。


シアトルの私立幼稚園です。

2011-12-25 19:20:47 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)

シアトルで工作教室をするために貸していただいた幼稚園です。

写真は2,3歳児のクラスです。

就学前の子たちの教室は別館で

まるで手作りの科学館のようです。こちらの教室にうかがったとき

カメラを持っていくのを忘れていたので、

後からそちらのレッスン風景の写真を送っていただく約束をしています。

 

 

 

 

 

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↑ ストローで空気を吹き込むと

ティッシュ箱のスノウドームになります。

この女の子は積極的に見本を見に来ては、

熱心に学習し、自分で作るときはまったくオリジナルの作品を作っていました。

 

 

↑はカナダから来てくれた男の子の工作作品です。

コップからコップへビー玉を移して遊んでいたので、

「それを頭を使って工作に生かしてみない?」と提案して

いっしょに作った作品です。

帰宅後、この男の子は急に思いだしたように、

「イメージしたり、頭で考えることが大事なんだよね」とつぶやいたそうです。

子どもは伝えたかった本質的なものをしっかりと

感受しているものですね。

 


自閉症の子たちのための幼稚園の見学   LAKESSIDE CENTER for AUTISM 3

2011-12-25 08:59:40 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

アメリカの教育施設をいくつか見させていただいて(私立幼稚園や私立小学校など)

一番驚いたのが、「えっ、こんなところに?」という場所に

独創的な手作りアートが飾ってあることです。

子どもや先生などの写真をテーマにしたものが多いです。

↑は先生方の子ども時代の写真が飾ってあって、「どの先生の子ども時代でしょう?」と

当てるボードです。

施設長さんは、和風の部屋(でも日本ではありません)をバックに

おかっぱ頭という姿。

とてもかわいらしかったです。

教室の壁に8つの目玉を貼り付けた蜘蛛が……。

 

 

↑教室は、アートをするスペースはアートのスペースとして

構造化されています。

自閉っ子が今からそこで取り組みをすることを

意識しておけるように、テーブルに「自分の顔写真がついている札」(もしかしてその子のマークだったかも)

を貼ります。

↑自閉症の子の幼稚園では、とにかく同じ種類ものものいっぱいあります。

人形の家にしても、ガムのような口のなかのトレーニングに使うお菓子にしても

大量の選択肢から自分の意志で選ぶということが

重要視されています。

一方で、自然な形で集団行動のトレーニングもたくさんあります。

でも、日本のように子どもを集団のひとりとしての枠に閉じ込める感じはなく、

集団の参加者となる振舞いを学ぶという雰囲気です。

 

変な顔の人形は、当てっこゲーム。

耳から手を入れて、触るだけで、

中にあるおもちゃを探します。

部屋は、集団で過ごす場所と個人、個人でトレーニングする場所とで

絨毯敷のコーナーと木製の床に分かれています。

戸棚の間仕切りがあり、気が散らないように布がかけられています。

↑ダンスなどをする部屋で、「日本のソフトを使っています」といって見せていただいた

ゲームソフト。

「とても内容がいいけれど、少し難しいので、

幼児向けのものができるとうれしい!」というお話でした。

外の遊び場は、専門のセラピストといっしょでないと

親といっしょでも入ることはできません。

 

↑前回までの記事で書いた

ひとりの子のために設置された椅子です。

右横は、集団行動がしんどい時に、自分の体調に合わせて選ぶ個室です。

それぞれの部屋はそれぞれできることが異なり、外から遮断された状態で

セラピストと自分だけで

活動したりリラックスしたりすることができます。

 

アメリカでは、独創的な自己表現と、自分で選択することが、

どこでも大切にされていました。

が、一方で、そうした個人主義がわがままにつながらないように

他者に分け与えることや、差別をしないことが、

幼児期から徹底的に教育されていました。

河合隼雄先生が、

『より道 わき道 散歩道』という著書のなかで、

「欧米人と付き合うとき、インテリの人たちが厳しい倫理観を身につけていることに

感心することがある」と書いておられたのを

思いだしました。

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日本人の倫理が「場」に依存しているのに対して、

彼らは「個」に根差した倫理をしっかりもっていると思った。

このような、個人が唯一の神とつながる関係における倫理観は

個人主義が利己主義に陥るのを防いでいる。

これに対して、日本人が自由を求めて「イエ」を破壊し、

「世間様」の目を気にしなくなり、キリスト教抜きで欧米の個人主義を輸入するならば、

それは容易に利己主義になってしまうのではないか

と危惧される。さりとて、一部の人が主張するように、欧米の個人主義を拒否して、

日本の古い「イエ」社会に戻ることは、

もちろんできないことである。

日本人は、個人主義になっていくとしても、それを支える倫理観をどのようにもてばいいのであろう。

 

      (『より道 わき道 散歩道』  河合隼雄 創元社 P112)

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<番外>

ここからは自閉症の子のための幼稚園とは

関係ありません~。

???こういう謎のアートがいろいろな場所にありました。

 

空港に飾ってあるアートも独創的?左の後ろ、巨大な目玉です。


自閉症の子たちのための幼稚園の見学   LAKESSIDE CENTER for AUTISM 2

2011-12-23 21:22:44 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

写真には全て収まってはいないのですが、

広めの部屋の奥に絨毯敷きのグループレッスンをするコーナーがあって

アイパッドを使って朝の会をしていました。

子どもひとりに専門のセラピストがひとり付いています。

自閉症の子たちに混じって

定型発達の子らも朝の集会で学んでいました。

朝の集会が終わると、それぞれその子の発達の課題をサポートするセラピストが

アートコーナー、運動のコーナー、知能の訓練コーナーなどに

子どもといっしょに行って、課題に取り組んでいます。

↑階段を上っていって、飛び降りるコーナー。

そうした取り組みをしたくないときに、

階段の下にもぐってカーテンを閉めることができるようになっています。

感覚遊びのためのコーナー。

米や豆類などを

触って遊ぶためのコーナー。

触って遊ぶ素材は、たくさんの種類が用意されていました。

 

 

 

子どもが読書をしたり、気持ちを落ちつけたりするコーナーが

ところどころにあります。

↑子どもの気分が落ち着かない時、好きな部屋を選んで

そこで活動します。

↑おもちゃの棚の右横の廊下の奥に

椅子が置いてあるのがわかりますか?

言葉がしゃべれない子でこの椅子が好きな子がひとりいるので、

その子のためにいつもその位置に椅子を置いているのだそうです。

ひとりひとりの子の好みや特徴や発達段階がとても

大切にされているからか、

自閉症の子どもたちはどの子も穏やかで笑顔をたくさん

振りまいていました。