虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

学ぶことを愛する気持ちと 科学する心

2010-06-30 20:41:15 | 教育論 読者の方からのQ&A
『楽園のつらい日々』という本を知ってますか?

ラジカルな政治信条ゆえに、大学を追われた社会学者のデビッド・コルファックスが、家族を連れて、カリフォルニアに移住した話です。
水道も電気も電話もないなかで、自分たちで家を建て、一から田舎暮らしをを学んでいった一家。

四人の子どもたちは、学校に通わず、日々の労働から興味を広げて自学自習し、生きるために必要な知恵を身につけていきました。
四人の子のうち、二人は実子で、二人が養子。養子の子たちは、アフロ・アメリカンの子と、エスキモーとインディアンの混血の子です。
やがて、学校に行かない四人の子どもたちのうち三人までも独学でハーバード大学に進学したことから、全米から注目を浴びるようになりました。

働かないと生きていけない現実と、大自然との対話のなかで、
大人も子どもも本気で頭をしぼって、
全力を使って暮らしています。
子どもが何かに興味を持ったら、
図書館の本で徹底的に学ぶために、
月に一度、オンボロワゴン車で図書館に行って、
ありったけの本を借りてくるんです。
極限状態の生を生きながらも、どんなときも学ぶことへの愛情を
忘れない姿が感動的でした。

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今日は、小3の★くんとお酢で実験しました。(写真)
試験官にお酢を入れて、いろんなものを入れてみて、どんな風になるか確かめる簡単実験です。
お酢に重曹を入れる実験は、教室中の子が大好きな定番の実験で、
幼い子たちも「博士の実験がしたい!」と注文を出してくるのです。
(ブクブク泡が出てくるところが、
映画に出てくる博士の実験室っぽいらしい……)
今回は重曹だけでなく、「入れたらどうなるかな?」と興味があるものを
いろいろ入れて、どうなるか確かめてみることにしました。

「卵の殻を入れるのどうかな?」って最初に浮かんだのだけど、
あいにく卵がきれてました。
酢卵って流行りましたよね~♪
卵殻の構成成分は炭酸カルシウムがほとんどです。
そのままでは水に溶けないのですが、お酢に入れると

炭酸カルシウム+酢酸 → 酢酸カルシウム + 二酸化炭素 + 水

という化学変化が起こって、溶けるんです。
 
             
「何か溶けそうなものないかな……卵の殻の代わりになるものは……」と探していて、
カルシウムの錠剤と、鳥用のボレー粉(カキの殻です)を見つけました。
後は、溶けなさそうだけど、★くんがやりたがったので、きゅうり、
アボガドの皮、米なども入れて、変化を観察しました。

「ボレー粉がいったん沈んでから浮かんでいくよ」と★くん。
「どうしてだと思う?」
「溶けて、軽くなったのかな?
ボレー粉の周りに泡がいっぱいついてる。」
「それは何だと思う?どこから出てきたんだと思う?」
「空気じゃない? でも、どこから出てきたんだろう?」
「ボレー粉の周りの気体が何なのか知りたいね。
どうしたら、その気体が何かわかるかな~?」
といった会話を★くんとしました。

実験そのものは、実験と呼べないような簡単なものですが、
観察した結果を表にしたり、
実験道具の扱い方やめもりの読み方を学んだり、
自分で興味を持った点に着目して、今後どのような実験や観察をしていけばよういのか自分でプランをたてたりすることができるように教えています。

↓は、科学クラブの一回のレッスンの様子です。
子どもたちの興味の流れにそって、学習内容は変えています。


☆4歳半~6歳児 科学クラブのレッスン一通り 1

☆実験失敗!  (4歳半~6歳児 科学クラブのレッスン一通り 2)


☆ついでにちょこっと算数  (4歳半~6歳児 科学クラブのレッスン一通り3)


☆両生類と爬虫類 (4歳半~6歳児 科学クラブのレッスン一通り4)

☆人気者のイモリくん (4歳半~6歳児 科学クラブのレッスン一通り5)

☆ギアトロニクス (4歳半~6歳児 科学クラブのレッスン一通り5)

☆最後はちょこっと算数 (4歳半~6歳児 科学クラブのレッスン一通り7)

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英語が苦手で、英語にずっと足を引っ張られていた息子。
この1ヶ月、集中的に英単語の暗記に努めていたようでしたが、
「調子でないな~あんまり力がついてないな~」とため息。
めったに弱気にことを言うタイプじゃないので、よほど暑さでバテているのかと気にかけていたら、今日は上機嫌で二階から降りてきました。
「センターの設問って、簡単なのしか出ないんだね~。完璧に本文を和訳しようとし過ぎて、混乱してたよ。気にせず問題解いていったら、この年度のテストだと、1問だけ3つ選んで解答するののひとつを間違っただけだった。
これなら、センターの英語は満点狙ってける。
問題は2次だけど、ひとまず安心したよ」と笑顔。
立ち直り速い~
それにしても、苦手教科の目処が立ったのなら……よかったです。

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やんちゃくんをどうしつけたらいいでしょう? 2

2010-06-30 19:44:32 | 教育論 読者の方からのQ&A

やんちゃくんへのしつけ、くわしく知りたいという声が多かったので、過去記事から、やんちゃくん、ワガママちゃんのレッスンの様子をいくつか拾ってみました。
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毎月、やんちゃくん2人に、芯が強くておとなしい女の子1人の
3歳前半の子たち3人で、
グループレッスンをしています。(一人が遠方へお引越しのため、次回からグループの組み合わせが変わりますが)

この3人、とても個性が強い子たちなので、レッスンのたびに、

短所は長所の裏返し♪

という思いを新たにしています。

3人の中で一番のやんちゃくん★くんは、声が大きくて、自分の意志をはっきり表現し、いつでも元気いっぱいです。
その分、何でも自分が一番得していないと気がすまないし、ルールや決まりごとも
「やぶってもいいの!!」「ぼくがー!!ぼくがー!!」とどなれば通ると感じているところがあります。
この子はとにかく怖いものしらずで、大人も友だちの仕返しも怖くないのです。
欲求を抑えようとすれば、たちまち戦闘体制に入ります。

こうした性質を直さなければならない欠点と捉えて、
力で抑えようとするなら、大人ががんばればがんばるほど
★くんは、わがままで反抗的な態度を強化していくことでしょう。

なら★くんには、どのような態度で接すればいいのでしょう?

★くんは、とにかくエネルギッシュな子どもです。怖いもの知らずなので、できないかもしれないという恐れなど抱かずに「ゲームがしたい!」「ゲームがしたい!」と騒ぎます。
そこで、少し年上の子用のなぞなぞ博士ゲームなんかも、一度すると、同じ月齢の子たちは疲れてしまって、「もうしない」というところ、
「もう一回する!もっとする!」と大騒ぎです。
★くんは新しくて魅力的でチャレンジしがいのある山が目の前にあるときは、
いつも明るくやる気満々で、ききわけの良い子なのです。

こうした強気な子は、お片づけなんか、無視して次々新しいことをしようとしますから、

新しくて魅力的でチャレンジしがいのある山を意識させて、

「次にそれをする準備として前に遊んだものを片付けをする」ことをきっぱり提示すれば、
さっさと手伝えます。
また、お友だちへのいじわるも、これからある楽しいことのために、
今は我慢するのか、今日はいじわるしてすべての楽しみをあきらめるのか選ばせたら……すっきりやめることができます。

★くんのようなタイプの子がグループにいると、放っておくか、叱って抑えようとすれば、常にけんかになるか、★くんがいつも得をして周囲が我慢するかになっていくことでしょう。
でも大人が同じようにエネルギッシュにきっぱりした態度で関われば、
グループ全体が、どの子も、勇気を抱いて困難なチャレンジにも挑んでいこうとする雰囲気が生まれてきます。

もうひとりのやんちゃくん●くんは、★くんのように他の子に力を誇示する面はありませんが、
鉄砲のような男の子のおもちゃが大好きで、
自分がしたいこと以外は無視して聞こえていないふりをする
『自分』が強い子です。
●くんは、お母さんには王子様のように振舞いますが
お友だちとは協調して遊べ、
なかなかのアイデアマンです。
鉄砲が好きな子というのは、あるひとつの目標達成に非常に注意を集中させたりすることができます。ですから、集中力が必要な秩序のある作業にも
スイッチさえ入ればどんどん集中していきます。
●くんがお母さんの意見に素直に従えない理由は、
裏を返せば、自分の発想があるということでもあります。
ですから、●くんの思いつきを大事にしてあげて、
●くんがやりはじめたことを、みんなでまねしたり、
●くんがやりはじめたことに対して、「お友だちにどうやってするのか教えてあげてね」と言うと、
とてもていねいに教えてあげたり、今度はお友だちから学ぼうとしたりするのです。●くんは、親切でさっぱりした性質でもあります。

ブロック遊びで、●くんは、アイスの棒をていねいに並べていって、
草を表現することを思いつきました。
それで、根気よく自分の作品を仕上げてから、みんなにもやり方を教えてあげて、
満足そうでした。
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戦隊物~「買って!買って!」を減らす工夫 1

見たところ我が強いやんちゃな子のようだけど、
愛着の形成に問題があったり、自分の気持ちをうまく伝えることができないストレスから気が荒くなっていたり、
上手に甘えられないことからくるストレスでかんしゃくを起しがちになっているときがあります。
そんな場合は……↓
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3、4歳の子のわがまますぎる要求にどう対応したらよいのか、
困っている親御さんによくお会いします。

さまざまなおもちゃがあるのに、
わざわざそこにないおもちゃを欲しがって泣き喚く、
お友だちのもおもちゃを全て独占してしまう、
椅子をたおす、おもちゃを投げるといった、乱暴な行為が目立つ、
弟や妹をたたいていじめるなど……

こうした目に余るわがままな姿を見ると、
子どもを厳しく叱ったり、にらみつけたり、子どもがかわいく思えなくなったりして、子育てにさまざまな迷いが生じてくることと思います。

わがままな子には、厳しく叱れば良い。

何でも受け入れてあげれば良い。叱らずしつけると良い。

飴と鞭でしつけていくと良い。

こういうときには、こういう対応。こんな場合は、こうすれば良い。

など~さまざまな意見がありますよね。

そうした意見は意見でどれも一理ありますが、
やはり子どもはそれぞれ個性的ですし、置かれている環境も違いますから、
「こうした場合は、こう対応」というマニュアル通りにてうまくいくようには思えません。

私自身は、子どもの問題行動が気にかかるときは、
それを子どもからの「ひとつのサイン」として受け取って、

その問題に対する
「叱る、注意する」といったその場限りの対応を超えた

もう少し「積極的な対応」をするように親御さんに勧めています。

たとえば、赤ちゃんの妹や弟をたたく子には、
「たたいちゃダメ」と叱るというレベルの対応ではなく、

上の子の寂しさや嫉妬心を感じ取って、
毎日、上の子だけを、ひとりだけでかわいがってあげる時間を取ったり、
家に上の子の友だちをできるだけ呼んであげて楽しい時間を増やしてあげたり、
言葉で上の子をかわいく感じていることを伝えたりするという

「積極的な対応」です。

もちろん、悪いことをすれば、善悪を教えるために、叱ることは大事なのです。

でも、叱ることは、親の気持ちを不安定にし、子どもとの関係が悪化していく引き金にもなりがちです。

悪いと思われることを繰り返さずにはいられない行動のもとを
できるだけ正確に察して
「積極的に対応」すると、親子ともに気持ち良く、物事が改善していくことは多いです。

3歳児のグループレッスン(前回の子たちとは別のグループです)
中、こんなことがありました。
☆ちゃんだけがいつも他の子の欲しがるおもちゃを独占して、
次々遊びを変え、
ここにないものを欲しがって大騒ぎしていました。

3歳児さんのグループですから、
ひとり甘えて私のひざに乗ってくる子がいると、他の子も負けじとひざに座ってきて
「先生~先生~」と自分の要求を次々口にします。
それでも、そうして甘えてくる子たちは無茶は言いません。かなえてもらえそうな要求を口にしているのです。すぐに対応してもらえなくても、いずれ自分の望みは聞いてもらえると感じているので、のんびりしています。

それが☆ちゃんだけは、イライラしはじめると、
大人に肩や髪の毛を触れられただけでも過敏になって暴れだし、
かなえることができないような要求ばかり出して
まるで大人の怒りを引き出すことだけを目的に、
ごねているように見えるのです。

こうしたとき、現状だけの判断で、この場合は叱る、この場合はこういう罰という対応をすると、根本的な解決法を逃してしまうように感じます。

☆ちゃんを見ていると、疲れた~お友だちのできることができない~といった
思い通りにいかない場面にぶつかって
負の感情が湧いてくるとき、

他の子のように大人を頼って、甘えて、
イライラや悲しみを解消したり
自分の感情を癒したりする術が絶たれているのです。

また、無茶な要求の裏に見え隠れするのは、
小さな要求を十分にかなえてもらったという体験の少なさです。
といって、☆ちゃんの親御さんが、子どもの要求を聞いてあげていないというわけではないのです。

とにかく子どもは個性的です。
要求が多い子もいれば、要求をうまく出せない子もいます。
また親御さんだって個性がありますから、気づきやすいこと、気づきにくいことがあって、
大きな要求をかなえることに悩んで、
小さな要求に気づいていない場合もあります。

ささいな要求が大人の都合で通らないことが多いと、
どれくらいの要求なら大人は快く聞いてくれて
どれはだめなのか
把握できません。
ストレスがたまって、自分でもコントロールできないような
爆発にむすびつきます。

ですから、こうした子どもが無理難題を突きつけてくる、
無茶な要求が多いという場合、

叱る、無視する、といったその場限りの対応でなく

「積極的な対応」をして、
子どもの気持ちを満たす「小さな要求」には、
毎回きちんと応えてあげるように
つとめると、わがままがどんどん減っていくことがよくあります。

また、感覚過敏と見える態度が
発達障害に寄るものか、
上手に甘えが表現できない親子関係に寄るものか見極めて、

どっちにしろ、フォーカスする部分を
子どもの問題行動から、
大人を信頼して甘えることができているかどうかに移すようにすると、
問題は劇的に解決しはじめます。
「小さな要求」をかなえるって、具体的にはどのようなことをすればいいのですか
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<ちょっと注意!>
自己主張は「自己形成」に必要なプロセスです。
けれども、激しく自己主張し「自分で~!」を連発する時期に
気をつけなくてはならないこともあります。

何でも子どもに決めさせ
子どもの要求を全て受け入れるのはNG!!

ということです。
自己主張が盛んになるこの時期の子の判断は、まだまだ未熟。
自己主張をし、大人から修正されていくなかで、適切な判断を学んでいきます。

「泣き叫べば自分の思いが通る」と覚えさせるような
甘やかしは厳禁です。
大人は自信を持って「大人が決めること」をはっきりしるす必要があります。

発達障がいがある子の育て方の本に
『決定権を誤解する子 理由を言えない子』湯汲 英史 小倉尚子 かもがわ出版
というものがあります。
発達障がいのない子の子育てにも非常に役立つ内容です。

決定権を誤解する子
理由を言えない子
社会的感情を育てる
の3つのポイントに絞って書かれています。
発達障がいがない子も現在はこの3つのどれもに問題を抱えて成長する子が
多い気がします。

それには親の子育ての誤解が原因しているようです。

親は自分の意志を押し通す子の姿を見て「成長した」と誤解を持つことがあります。「早く自分で決められる子に」という願いが誤った認識を支えるのです。

虹色教室通信ではワガママを言うこと、反抗すること、自己主張を見守っていく大切さを繰り返しています。しかし、そうしてワガママを見守ることは、
ワガママを推奨して、定着させることではありません。
子どもが誤解しないために、
見守る親には、子どもと大人の境界線をきちんと引いて、
毅然としてダメはダメと提示する必要があります。

そこで泣き続けるなら、しっかり泣いてもらうことが
大事なのです。

また子どもを誤解させ、成長をとどまらせる親の思いに
「赤ちゃんでもいい」という気持ちがあります。
子どもが大きくなりたい、成長したいと願うのは自然の姿です。
大人の気持ちで、子どもの成長を妨害しないように気をつけなくてはなりません。


学習の 効率 をよくするにはどうすればいいのですか?

2010-06-30 07:44:57 | 記事のまとめ(リンク)
☆幼児期には最上位のフレームワークの要素に注目して教育することが大事!
☆幼児期には最上位のフレームワークの要素に注目して教育することが大事! 2

の記事に、
「遊びと学びの中間ゾーン」に踏み込んでいくことで「効率」は
鍛えられるのでしょうか? というコメントをいただきました。

「遊びと学びの中間ゾーン」に踏み込んでいくことと「効率」には深い関係があると思います。
それとは別に学習の全体像をつかんで、急所を押さえて学ぶということも大事だと感じています。

虹色教室には、月1回だけレッスンに通ってきていて、中学入試の学習内容をどんどんマスターしていっている3,4年生が通っています。
宿題を出すわけでもないので、本来、月に2時間学ぶだけでそれほど能力が上っていくのは難しいことだと思います。
でも、現実に急速にさまざまなことができるようになっています。

なぜか……?というと、
まず私はどんどん魚を食べさせるのに力を入れているのではなく、
「魚の釣り方」を教えているからだと思います。

ゆるやかな階段を作って確実にマスターさせるのではなく、

問題がどんなに複雑になってもシンプルな線分や面積図になおす方法……

複雑なものを赤ちゃんでもわかる簡単なシンプルなものに翻訳する方法を
教えているので、

ひとつ覚えれば何にでも応用が利きます。

また宿題は出さないけど、プラモデル作りやボードゲームでの遊びを
お家で十分できるようにして、
子どもが自分から喜んで
設計図を読み取ったり、ルールの本を読み解いたりして
能力を高められるようにしています。

また☆「脳が喜ぶ」勉強法の記事でも
書いた

人間の脳は 簡単でも 難しくても働きが悪くなるので、
今の自分のレベルにちょうど合った学習をして
脳内で快楽を感じる物質 ドーパミンがどっとでるようにしていることです。

自分でレベルを合わせる…
というのが大切。
それを繰り返すと 脳そのものが
とても優れたものに 変わってくるそうですから。

虹色教室の子たちには難なく難しい問題を解いていく年長さんたちや
かなり難解な問題をささ~っと解いてしまう小学生がいます。
そうした子たちと、易しいレベルの問題にもつまずく小学生の子を見ていると
能力そのものはあまり変わらないです。

かなり違うのは、易しいレベルの問題にもつまずく小学生の子は
いつもはじめにヒントや答えがしるされている簡単な学習からスタートして
反復練習をしているので、
問題を見たとたん、頭をぼや~っとさせて、
普段、おもちゃをねだるときや、テレビゲームをするときには
発揮できるような集中力や思考力を使わないで
催眠術にかかったような穴を埋めてく作業感覚で
学習をしているのです。
勉強に対する錯覚や思い込みがたくさんできている様子です。
文章題は、よく読まなくても出来る問題ばかり解くうちに、数字だけ見て解くくせがついています。見たことがないものは解いたことがないので、「やったことがないから解けない」と言って考えようともしません。

虹色教室の子たちは、問題の急所を押さえる練習をして
短時間に問題の全体像を把握する練習をしているので、とても効率がいいです。
いつも少ない量だけど、やったことのない問題にチャレンジしているので、
毎回本気で考えて解いていきます。

力の注ぎどころがわかっている感じです。
そうした集中力をつけるために、
私は幼児や低学年の子にだらだら何十分も勉強させるようなことは
絶対させないようにしています。

まずこの時期の子は、お勉強モードに入ったら
全力投球して考えさせたいからです。
子どもの気持ちが盛り上がって
問題を解きたい!という気持ちが伝わってくる以上には知的な問題はさせません。
「もっとやらせて!」というところで、さっさと終わらせます。

持久力をつけるために、本人が楽しめる遊び……
折り紙やトランプゲーム、積み木遊びなどをたくさんすることも大事です。

それと☆幼児期には最上位のフレームワークの要素に注目して教育することが大事! 2
の記事でも書いたように

遊びを通して脳そのものの性能を良くして
少しのがんばりで、すばやく学べ、たくさん吸収できるようにしておくことも
効率を大きくアップさせてくれると思います。

学習の急所を押さえて解く

魚を食べさせるのに力を入れているのではなく、
「魚の釣り方」を教える

ことで効率的に難しい問題も解けるようになる……ということを書かせていただきました。
でも、ちょっとわかりにくいですよね。

そこで、年長さんの3人さんのレッスンの様子から
学習の急所を押さえる方法をどうやって教えているのか説明しますね。

今日はSくんが田舎に帰省中で、TくんとYくんのふたりのレッスンです。

最レベ1年生の

和差算の問題にチャレンジしました。

だうすけくんと かなこさんが といた さんすうのもんだいの かずをあわせると、11もんになります。
だいすけくんは かなこさんより 3もん すくなく もんだいを ときました。それぞれなんもんときましたか。

という問題です。

こうした問題は、いつも考えずに作業のように問題を解いている子だと、11-3とか、11+3などと、とんでもない計算をすることがあります。

TくんとYくんには、まず問題をよく読んでもらって、
最初の設定のあわせて11もん……とある11個の積み木を手元に用意して、

だいすけくん

かなこさん

のふたりのために問題にそって、積み木を分けてもらいました。
そうしたとき、大事なのは、

だいすけくんは かなこさんより 3もん すくなく ……の部分。

積み木だと3個ちがうわけですから、まず、3個をだいすけくん、かなこさんのどちらが多くて、どちら側に3個を置けばいいのかを最初に集中して考える。

その後で、残った積み木は同じ量ですから、
同じ数に分ける。

という手順で解いてもらいました。

算数の問題は、
こうした問題の解き方をひとつしっかり理解すると、問題が難しくなってきても
どんどん解けていけるような部分があります。

算数は、おもちゃの剣と剣を比べて……どっちが長い?ってするのの延長線上にあります。
そこで、大事なのは
どれだけ長いのか、ちがいのある部分にきちんと注目すること。
AはBより少ない~なんて言葉も、ならこっちが多いんだとシンプルなまぎらわしくない形にすぐ変えれること。

に慣れていくと、
問題を読んでいるうちに何がなんだかわからなくなって、エネルギーの注ぎどころがぶれて、解けなくなった、間違ったとならなくなります。

最初に何から手をつければいいのかな? 確定しているものは何かな?
比べる形に線であらわすとどうなるのかな?

そうした考えていく上で必要な手順さえ
身につければ、6年生の問題であっても
それほど複雑なわけではないのです。
複雑に見せられているだけです。
そうした錯覚を、簡単な手順の中で、シンプルに整理していけば、
こんがらがることはありません。

といってもTくん、Yくんは、これまで遊びやゲームのなかで
こうした概念にたくさん慣れているので、こうした問題に触れていますが、
お家で子どもに教えていく場合、小学生になってからで十分だと思います。

それより幼児期は工作やゲームで
量の多い少ないを感覚で捉えたり、
自分の損得を言葉によってだまされたりしないようにしていくことが、
算数の得意な子を作ると思います。

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創作活動で育むイメージする力、考える力、意欲  1

2010-06-30 07:16:20 | 記事のまとめ(リンク)
サンテグジュペリの『星の王子様』は、

「子ども時代、何度か読んだことがあるけれど、
当時はよく意味がわかっていなかったな~
今だと心の深い部分でしっくりするな~」

と感じる童話のひとつです。

サハラ砂漠の不時着した主人公が
星の王子様に
「羊の絵を描いて」とたのまれて、
しまいに投げやりになって、
簡単な箱を描いて、「君の欲しがっている羊はこの中にいる」と告げると
王子様が顔を輝かせて

「これはまさに私が欲しかったものだ!!」と大喜びし、
「中に羊の餌も一緒に入っていますか?」とたずねるシーンが、
あります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ただの箱」の中に
想像するものをありありと見て、
心を躍らせる

のって、子どもだからこそできる
すごい才能だな~っと思います。


虹色教室通信 別館  つくるんクラブ
で、ティッシュ箱に折り紙2枚貼って、少し切り込みを入れただけ……
という「へんてこりんなゴミ収集車の工作」を
紹介したところ、
次のようなコメントをいただきました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
先日このごみ収集車を一緒に作ったところ、めちゃめちゃ喜ばれました~!ありがとうございます!
初めは、かなりいい加減な仕上がり具合になってしまい「こ…これを大好きなごみ収集車(息子はごみ収集車大好きなんです)だと言って納得するんだろうか」と心配しましたが、とんでもない!すごく喜んで遊びました♪そして今日またこのごみ収集車を出してきて「[息子]のごみ収集車…カッコイイ☆」とうっとりしたカンジで言ったんです~!つくづく簡単工作ってすごいな~と思いました。それにこの作品の魅力がイマイチ把握できてなかった自分…まだまだだなぁと思いました(笑)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そうなんですよ!
子どもって……

想像力で補う部分が多いほど
目を輝かせるんですよ~

子どもって、どの子も星の王子様そっくり!

おりがみをくるくる丸めて、「まきずし」「望遠鏡」なんて作品でも
とっても満足して、大事そうに持って帰りますから。

そういえば、今朝、
うちの子たちと携帯のゲームについて話していたとき、
息子がこんなことを言ってました。
「ゲームで自分の技を磨いて、攻略していくことに喜びを見出すのじゃなくて、
誰かに自分の代わりに点数を稼いでもらって、
とにかく得点だけ競いたいって子が増えているんだね。
(私のは話を聞いて言ってます)

最近さ、もうどの子も受け身な遊びには飽き飽きしてきては、
いるんだよね。
ゲームするのも、テレビ見るのもめんどくさい~て声もよく聞くから。

遊びって、結局
自分で主体的に創造的に関わらないと
本気で楽しいって思えないものだよ。
でもさ、最近は、
自分でさあ、何かしよって思うと、外遊びでも
ハードルが高くなってるよね。
あれやってみよ、これやってみよって
気楽に何かできない雰囲気があるじゃない……」

そうか……ハードルが高いのか……と考えていて、
あっという間工作に子どもが目を輝かせる理由がちょっとわかった気がしました。
「またやりたい」「お友だちにできること見せてあげたい」「自分で遊びを提案したい」と子どもが思ったとき、
ハードルが低いのですよ~
簡単な工作は……!!
簡単実験もです。
たくさんこうした体験を積むと、
自分自身で、自分の時間を豊かにしたり、
自分の欲求を満たしたり
自分で自分を喜ばせることが上手になってきます。

それで、いつもいきいきとして意欲的で
情緒が落ち着いた子になってくるのです。


☆工作をさせるときのポイント (3、4歳児3人レッスン)

☆ミニティッシュの箱で作る工作♪ と算数学習

☆工作と勉強の中間ゾーン

☆Sくんのプロペラマシーン改造案♪

☆ブロック教室で学んでいる 5つの機械を作る基本的なしくみ です。


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(過去記事から♪)
仲の良い……とても信頼できる友だちや知人、数名から、相田みつをの本を
いただいたことが何度かあります。
口を揃えて言うのは、「大衆的だと思って敬遠していたけれど、とてもよかったの」という言葉。
私も、読むたび、年々、
その良さが、心に響くようになった気がします。

一番好きな著書は、

相田みつを 書 
佐々木 正美 著 

の『育てたように子は育つ』

この本には、子育ての実話が相田みつをの書といっしょに載っていて、
とても考えさせられるものです。

ささいな親の注意にカッとして、母親のろっ骨を折ってしまったり、窓を割ったりする若者に共通しているのは、
小さい頃「素直ないい子」なのだそうです。
「やらなければならないこと」を優先する習慣がついて、
本当にやりたいことをやる能力を失ってしまったのです。

それに大きな悔いと不満を感じ、混乱し、人生をやり直そうとしているかのような行為。
両親は自発性や創造性が育つよう、干渉し過ぎないやり方で根気よく
やりなおさなくてはならないそうです。

相田みつを の 待つ という美しい書に、
佐々木氏が次のような話をそえています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
子どもに限らず草花でも農作物でも、何でも育てることが上手な人は、
待つことが上手な人だと思う。待っていることに喜びや楽しみを感じていられる人である。
日常で、最善をつくしているという実感があれば、待つことの楽しみは最大になるであろう。結果を問わない気持ちができていれば、待つことは安らぎでもある。

子どもを育てるとき、努力と結果を問題にするならば、先の結果より、努力の「今」に共感してやりたい。
休息の「現在」であれば、その現在を静かに見守ってあげたい。

休息が終わって活動を再開するのを、いつまでも待ってやりたい。
はた目には待ってやったことが無駄だったように見えても、かけがえのない親子のような関係の者にとっては、苦楽を分かち合ったものにしかわからない
存在の重みの感動が必ず残る。
だからじっと待ってやりたい。

子どものなかの自律性や自立性は、待ってやるからこそ育つ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
わが子も、教室の子も、とてもすばらしい成果を目の当たりにするとき
というのは、他のようにできなくても
のんびりゆっくり待ってあげた結果だな~と思います。

好きなことばかりして、苦手なことから逃げてばかりいる
すぐお友だちに手が出る
かんしゃくを起す
よく泣く
何をするのも遅い
よく忘れる 

子どもが大人の期待通りに動いてくれないときに、
しつけたり、子どもに正しい見本を見せたりして最善はつくす

でもできるできないは、時を待つ~

とのんびりゆっくり構えていたら、どの子もすばらしい才能をしるし
はじめます。
特に、他の子の何倍も時間がかかって、それを待っていてあげた子は
本当にすばらしい力を発揮し始めるんですよ~。

わが子にしても、「この子のこういうところすばらしいな~」と感激する
部分は、教えた結果でなく、「待った」結果、身についたことばかりなのです。

「小さい頃にきちんとしつけないと、わがままな子に育つ」と言って
おどす人は多いと思います。
でも、小さい頃に親の言いなりでいい子をしていても、
思春期になれば、ほとんどの子は生意気で軽はずみな行動が多くなってきますよね。
でも、待ってあげる という親の姿勢は、
子どもの心に深く届いて、義務ではなく自分の本心から生じる
優しさを生むように思います。

かつて勉強を見ていた近所の子に、
大きくなって久しぶりに会うとき、
小中学生の頃は
好き放題言うので、私もずいぶん勝手を聞いてあげたものだけど、
本当に優しくしっかりした子に育って、
自分で考え、ばりばり仕事しながらがんばっている姿を見て
うれしくなるのですよ~
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
写真はブロックで前方後円墳を製作中の男の子。
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息子とおしゃべり

2010-06-29 20:24:10 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)
夕食時、
「今日の現国の小プリントで取り上げられてた文、けっこう面白かったよ。
設問はアバウト過ぎて、答えにくかったんだけどさ」
と息子。
「今の日本は、思考停止したまま何も考えなくても生きていけるほど、
合理的な世界を作りすぎてしまったんだってさ。
財産のある上の人に、従ってさえいけば暮らしていける封建社会ができがっちゃってるのが、現代社会の無気力の原因じゃないかってさ。」
「オートマチック車に乗って生活してるみたいな人が多いってこと?
自動操縦で進んでいける……と?」とふざけた質問をすると、

「そう。きっとさ、政治に無関心な人が多いのも、そこに原因があると思うよ」という返事が返ってきました。
「だってさ、見えない部分でそんな封建社会ができあがってたんじゃ、
たとえそれに保護されているとしても、
自分の側から何か発して変化を起すなんて不可能に思えてくるじゃん。一個人が何しても無駄って思ったら、
投票に行く気も失せるよね。」

「無気力の原因……ねぇ。
お母さんはさ、フランチャイズの店が当たり前になって、教育現場みたいな
人間とか個性とかを相手にしていく職場まで、マニュアル化というか、フランチャイズの店みたいに扱われてきてるのが、
やる気が萎える原因やと思うわ。
以前は先生にしても生徒にしても、もう少し個人として尊重されていたのよ。
自分の思想というか、自分なりの考えを持つ自由が許されていたと思うわ」
(家族と会話中の私の話は、飛び過ぎてて、意味のわからないものが多いのですよ~閃くと口にしてしまうので……)

「そうだな……。学校がフランチャイズ化してるっていうか、
先生は生徒を、生徒としてじゃなくてアルバイトとしかみなしてないのは確かだよ。
修学旅行に行ってもさ、学んで来いって言う割に、行った先で生徒が
どんなものを見て、何を体験して、何を学んだかなんて内容は
先生にとっちゃどうでもいいんだから。
集団移動の際、きちんとしてたかってとこだけ、
学ばせたいポイントなんだよ。」とぶつくさ。
夏バテ気味で、「調子でないな~」とぼやきつつ
受験勉強に励む息子。「調子でないの、ぼくだけじゃなかったよ。
友だちもみんなバテ気味だった。試験のこと思うと気が急くしさ」
「★はさ、テストの点なんて気にしなかった分、他人より
ダメージが少ない状態で勉強してこれてるんだから、
点のこと気にかけるのから気持ちを解放してみたら?」と言うと、

「そうしてるよ。歩きでいい。走ることとか考えず、とにかく歩いてく……と思ってやってる。
でもどうしてもさ、目標のことを思うと、これくらいの問題、簡単に解けなくてどうする?ってあせっちゃって、よけい解けなくなるときがあるんだ。
答え見るとさ、どうしてってくらいどれも簡単なのにさ、調子悪いときは、気持ちのせいで解けなくなるな。まぁ、またミラクルに解けるときがくるよ。」
笑いながらこんな返事が返ってきました。

受験って、苦しいけど、苦しい中で心を持ち直す方法を学んだり、
生き方を考える文章にであったり……。
それはそれでいいもんだな~と感じた会話でした。

☆高校生の学習意欲を奮い立たせてくれるホームページ


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やんちゃくんをどうしつけたらいいでしょう?

2010-06-29 09:34:33 | 記事のまとめ(リンク)

声が大きい、自己主張が激しい、剣を振り回したり鉄砲のおもちゃで遊ぶのが好き、お友達からすぐ物を取り上げる、年中けんかしている、
親に言い返す、
物を取ったあと「●ちゃんのだよ。ちょうだいって取ってもいいのかな?」とたずねると、ちゅうちょなく「いいの!」と答える。
誰にでも話しかけていき、主張して、結局みんなからちやほやされがち

といったやんちゃタイプの子も、虹色教室には
たくさんいます。
私との相性が比較的いいので、虹色教室ではこのタイプの子の問題は
ほとんど起こりませんが、
親御さんのそうしたやんちゃくんへの対応には
「問題あり」と感じることが大いにあります。

私とその子で過している限り、快活さ、リーダーシップ、決断力、強い意志、
やりぬくエネルギー、何にでも食いついてくる好奇心、疲れ知らず、機敏、集中力、潔さ、

といったそうしたやんちゃタイプの子の良いところが全面に出ているのに、
お母さんかもしくは他の大人たちのいるところでは、

わがままさ、自己コントロールができない、乱暴、大人への反抗、無視。
強がり、かんしゃく、しつこさ、その場の快楽的な楽しみばかり追う
暴力的な遊びばかり好む、あまのじゃく、

といったやんちゃくんの負の部分がどんどん引き出されてくることがよくあるのです。

どうして、同じひとりの外向型のやんちゃなタイプの子が、
こんなにも良い子であったり
困った子であったりするのでしょう?


私は現在の日本のお母さん、お父さんのこのやんちゃタイプの子に対する対応の仕方が
他のタイプの子の子育ての中でもきわだってまずい場合が、
よ~くあるからだと思っています。

やんちゃくんを相手するとき、周囲の大人がしるす必要がある態度は、

快活さ、リーダーシップ、決断力、強い意志、
やりぬくエネルギー、好奇心、疲れ知らず、機敏、集中力、潔さ

といった態度だと思っています。
やんちゃくんって親が、どうしようかな~と迷いのある態度で、
叱っていると、
相手の許容範囲の限界まで……時にはそれを超えて、
自分の我を通してくるものです。

大人がハキハキしない決断できない態度だと、その隙を
見つけてワガママの限りをつくしてきます。

けれども意志がはっきりしていて、ぶれたり揺れたりしない相手には、
気持ちがいいほど「潔い」態度で返してきます。

日本は、集団の色によって子どもに求める態度がコロコロ変わるので、
このやんちゃくんタイプの子が親から見れば最低最悪の態度を、一番得した、うまくいった方法と誤解して、習得していきます。

「やめなさい」と言っても、しつこく悪さを繰り返すときは、
「●と○とどちらがいいの?」と質問して、子どもに選ばせて、子どもが
選んだ方をぐずぐずせずに実行します。
そうしたとき、できるだけ創造的でユーモアのある解決法もひとつ用意しておくと、
子どものかたくなになった心がほぐれて、気持ちを切り替えて良い選択をしやすくなります。

日本風子育てでまずいな~と思うのは、こうしたとき、子どもが
大人がすすめる方法じゃないものを選んで、
最終的に悲しい損した気持ちになっているときに、
「ほら、お母さんが言った通りでしょう?」などと、いやみっぽく
潔い態度から程遠い言葉を吐いてしまうことです。
これだと、「どっちにする?」という質問の答えは、お母さんの気持ちや判断によってきまるもの……と教え込んでいくことになりますよね。

また、遊びのあとで、たくさんもめたけれど
子どもなりに我慢もした時間のあとで、
「は~ぁ~」やれやれ……といった、ため息のような
今日もあなたのせいで疲れたわ~というメッセージを送ってしまうことです。
それよりも、ちょっとでも我慢できたのならそこにスポットを当てて
自分のイメージを作っていきやすいように、
終わりには「きちんと良い判断ができたね。~のときは、お兄さんだったね」と誇らしい気持ちになれるような言葉をかけます。

そうしたときは私は、2つの視点でその子に接します。

たとえば、おもちゃを投げてふざけることを繰り返す場合、

投げるのをやめて楽しくおもちゃで遊ぶか、子どもにはつまらない地味な遊び道具と交換するかを選ばせる……など、まず子どもに自分で自分の態度を選んでコントロールできるような選択をさせて、悪いことが及ぼす悪い結果を体感させて、学ばせます。
そのかわり、いやみを言ったり、普段から実行しない脅し文句は使いません。

また、投げてふざけるには、
やんちゃくんの体力にすれば、遊ぶスペースが室内で狭すぎたり、
運動不足だったりすることがありますから、
その子にとって必要な環境が整うようにします。

また、大きな声を出す、投げるなどひとつひとつのことが、
より上手になって、上手にコントロールできるように教えます。

たとえば、剣やゴムでっぽうなどの使い方を教えて
危なくないように意識を集中して扱えるようにしていきます。

乱暴だから……とこうしたおもちゃを与えないでいると、
いつまでも力をコントロールできずに、めちゃめちゃで破壊的な遊び方ばかりしてしまいます。
そうではなく、遊びでも、スポーツでも極めさせて、
自尊心を高めて、自分の強い力を無駄に使うことのばかばかしさを教えるのです。

何かが上手になると、それまでのワガママな態度は
子どもにとってたちまち赤ちゃんぽい魅力の薄いものに感じられてきます。

強いエネルギーを抑えるのではなく、
磨きをかけて上手に扱う方法を教えるのです。

こうしたことは、方法ばかりにとらわれても
親がその「本質的なこと」を体得できないうちは
うまく子どもに伝わらないと思います。

やんちゃくんというのは、スーパーヒーローに育てる可能性と
悪のヒーローに育てる可能性の二つを持った子です。

もし大人が想像力を豊かにして、

子どもの中にスーパーヒーローの
性質のいくつかを見出して、それが育つスペースを与えずに、

悪のヒーローの部分ばかり指摘して、子どもをそちらに導いていくなら
そのようにしか「なりようがない」ですよね。

もし親御さんが「わたしはすなおでかわいいあかちゃんと、言うことをきくペットと、優しいお父さんとお母さんが登場する「ままごとあそびの世界」が好きだから、
ヒーロー物は私の世界の登場人物として認めない!」という
態度でこのやんちゃくんに接したなら、
やんちゃくんはこの「ままごと世界をぶっつぶしにくる悪のヒーロー」にしか
なりようがありません。

現代は、日本中の大人が、ガキ大将も、
やんちゃな子ども軍団も、汚れてどろんこの子も、
けんかばかりして次第に人の気持ちがわかってくる子も、挫折して根気を学んでいく子も「子ども」というイメージから、追い出し抹消して、

CMに出てくるキラキラ光る夢の世界の子ども
大人の話をワクワクして聞く子
素直でてきぱきした子だけ
しか認めませんというルールを、

お家でも公園でも幼稚園でも小学校でも勝手に作り上げて
子どもに押し付けがちです。

でもそれって、
日本にはウルトラマンもスーパーマンもいらない、「ママ」の言葉に
有無を言わずに従う子だけが必要です。

と子どもたちにメッセージを伝えていることにはならないでしょうか?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「愛情の次にたいせつな子育てのルール」主婦の友社
によると、
子どもに接する態度で親がミスを犯すと、

子どもが「親の関心をひくための戦い」に夢中になって、
何を言っても聞く耳持たない状況に陥ってしまうことがあるそうなのです。

そこで、してはならない子育てのミスを紹介しますね。

愚痴をこぼす親(子どもの態度が悪いと文句ばかり言う親)

子どもは愚痴を言われるたびに、「ママはぼく(私)のことがいやなんだ。もっと悪いことをして、ママの注意をひかなくては…」と
なるそうです。

「なぜ、こんなことをするの?」と聞く親。
親の怒りを感じた子は「自分は受け入れられていない」と思い、
親が困っていると感じた子は「自分の方が優位な立場だ」と
思うそうです。

お願いをする親

子どもがやってもやらなくても同じ結果になる指示を出す親
「☆ちゃん。片付けなさい!」
☆ちゃん、無視。
「☆ちゃん、片付けなさい」
☆ちゃん、無視。
といった子どもに指示を出し、子どもが従わないことを容認していると、
「親が自分に要求することはあまり重要なことではない」と思うそうです。
徹底しない指示や要求を繰り返すと、子どもは親の言うことを
まったくきかなくなる危険性があるそうです。

予告を実行しない親

おどすけれど、おどしておしまい。
予告の乱用は、「親の言うことを聞くべきではない、と
教え込む」のと同じだそうです。

無視する親
問題行動を見て見ぬふりをするのは、
子どもの行動だけでなく人格を無視することにもつながります。

子どもを非難する親
脅かす親 罰する親
体罰は親子の信頼関係を破壊します。

こうしてミスを並べていると、ならどうすれば良いの…・?
と悩んでしまう方もいますよね。
↑の間違いを、「受容」や「愛情」と間違って捉えている
方もいるかもしれません。

今回はくわしく、正しいルールのしるし方を紹介できないのですが、
簡単に言うと…

子育ての基本は「愛情」と「手本」をしるすことなのだそうです。
でも、それだけでは子どもは言うことを聞きません。
そこで必要なのが、「しつけのテクニック」です。

こうした子育て技術を具体的に伝えていける子ども向けの施設ができたらよいな♪と思っています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


教育の場で『地頭力』を育むには?  3

2010-06-29 07:02:59 | 教育論 読者の方からのQ&A
私はひとつのジャンルの本が、「面白かった~」となると、
同じジャンルの本を片っ端から集めて、読んでいく癖があります。

最近のマイブームは、ビジネス書。

こういう本って、私の暮らしから遠くかけ離れている感じがして、これまでは
見向きもしなかったのですけど、
地頭力について調べ出してから興味に火がついて、
チームマネジメントの本やら、議論のルールの本やらリーダーシップ論、ロジカルシンキングのノウハウ、ビジネスシンク、建築家や実業家のお仕事論、プレゼンテーションの仕方やらコーチングやら企業戦略やら……
主婦の日常と何の接点もないようなものを、
あちこちからかき集めてきて読みまくっています。

「主婦の日常と何の接点もないようなもの……」と書いたものの、
これだけ面白くなって読みまくっているのも……

「接点がない」と思い込んでたけど、実はものすごく関係が深かったからで……

これまで解決不可能だわ……とあきらめかけていた
身近な「あの問題」「この問題」に、
解決の糸口をしるす光明がさした気持ち
なのですよ。

今、一番、私が頭を抱えているのは、
教育の場で『地頭力』を育むには?  2コメントで代表されるようなものです。

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そういった子供らしくさせられるシーンがあったとしても(児童館や公園等等)、
書かれている通り親が牽制してしまい、子供同士で解決するということが難しくなっています。
また、最低限以外は関与しないという気持ちで行っても、
『けんかを止めない親は非常識』という雰囲気がなんとなく出来ている(決して険悪にでなく、当然のようにそうなっている)ので、ことある事にお互いの子供の気持ちを代弁する方も多いです。

余程手を出して怪我でもしそうな場合は別ですが、取り合い位で親が即立ち入るのはどうにかならないものか・・と思いつつ、どうにも出来ない状況です。
周りと一緒に成長出来ないものか。

子供が自由に友達関係を築けていけそうな施設がどこかにないかな、と考えておりますが、
ど田舎にある実家に帰るのが今のところ一番ましな考えっぽいです

先生、身近な施設や公園でこんな感じで子供を見守れますよ♪
というアイデア等がありましたらまたお教えください

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以前、私も↓のような記事を書いているんですが……ずっとこの十数年、悩んで考え続けているものです。
実際、いろんなグループに入って支援の活動をしてみたり、
親同士の会議に参加したり、わが子や生徒の子を通じて、園や学校の姿を観察したりしているけれど、
年々、幼児や子どもをめぐる環境は悪化する一方。

もはや個人の親や、支援者や教師がどうもがこうと、
解決が不可能なようにも見える問題も山積みだったのです。
手を出さず 口を出さず がまんするための施設? 
大阪に(日本に)こんな子供向けの教育施設が欲しい!!
大阪に(日本に)こんな子供向けの教育施設が欲しい!! 2

「施設」なんて言葉を聞くと、大金つぎこんで、
新しい箱物作らなきゃならないようなイメージがあるのですが、
近所にある老朽化した児童館でも、子ども向け施設でも
経験のある職員や支援者が、親たちと
子どもの身体、心、知能、社会性の発達を育む最適な方法を
共有しながら、学んだり、問題解決したりさえすれば
できていくことなのです。

そして、数年前まで、そのようにきちんと機能している子どもの集まる場をあちらこちらに
見かけました。

が、そうした蓄積した知恵や長い時間かかって作られてきた人の関係を、

ある日、突然、人事異動があって、
児童館の館長が、育児や幼児教育に熟練した館長やスタッフから、
老人介護施設で仕事をしてきた方やら、事務員のようなパソコンの前から動かないようなスタッフに変わって、
館内はおもちゃの貸し出し施設と化しちゃう……ということが起こっているのですよ。
あっちでもこっちでも……。

そんな形だけの施設が増える中で、
幼い子を育てている方々が、
周囲に遠慮して、子どもの社会性の発達に良くないとわかっていながら、手出し口出しの多い過干渉な
子育てをせざるえなかったり、
子どもへの接し方をちょっとアドバイスしてもらう場が減ったため、
ネグレクトに近い放任になってしまっている現状があるのです。

話が硬くなっていますが、次回に続きますね。
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番外 ホームセンターでお買い物♪

2010-06-28 14:52:07 | 番外(自分 家族 幼少期のことなど)
夏休みの科学クラブや算数クラブのため準備に、ホームセンターに
買出しに行ってきました。

お目当てはでっかいダンボールと長いエッジ。
「どこの引越しセンターの人かしら?」って格好で、
ショッピングカートの上にどでかい畳みたいなサイズの物を乗せて
買い物にいそしんでいると……
数十年前の風景とデジャブ!

若い頃、身内のデザイン事務所でアルバイトをしていたことがあるのですよ。
バイトの私を入れてたった3人で働いている
ちっちゃい事務所ですが、
抱えている仕事は大きなものが多くてとても面白かったです。

メインの仕事は、ショッピングセンターの設計なんですが、
バブル前ですから、
億ションのモデルルームのインテリアコーディネートとか、
会社のロゴデザインとか、
新しいデパートのショーケース内の飾りつけとか、
何でも屋さんをしてました。
私は雑用係とはいえ、少人数で動いてるもんですから、
どの仕事も買出しから、飾りつけ、後始末までほとんど関わることができて
楽しかったです。

私も、新しいショッピングモールの駐車場の壁のデザインや、
個人のジェラートショップのショーケースや看板風のアイスのデザインなどを
任されたことがあります。
そんないい仕事任されているのに、
若くてまだ仕事ってものがわかってなくて、
自分目線でデザインして、駐車場の壁デザインは没になっちゃいました。
今思うと、「働けない」バイトだったな~と
穴があったら入りたい気分です。
正社員になることを勧められていたのですが、
作家になる夢を捨てられず、結婚して家庭に入る道を選びました。
子育てしながら文章書くぞ~!と心に誓って!

そこからたらたらたらたら~とその夢を追いつつ、
マンガ描いたり、絵本作ったり、詩を書いたり……
(本当に作家になる気があるのか……
子どもたちの勉強見たり、スーパーやらパン屋のパートをしたりして
今に至ってます。

そして、夏の準備に……とホームセンターに行けば、
まったく20年以上前と同じようなことしている自分を発見したのですよ。
昔抱えてたのは、「竹!!!です。」
新しいデパートのショーケース内に飾られた竹はおしゃれですよ~。
上部からスポットライトを交差して当てて、金粉を散らした背景に竹を
ダイナミックに配置して……。
でも、竹を抱えてうろつくのは、おしゃれじゃないんですよね……
誰、この人? 何してるの?
という感じ。
そんなでしたが楽しかったです。
そして、今もやっぱり、誰、この人? 何してるの?
って買い物にいそしんでいるのですから、人っていくつになっても
することは変わらないものですね。

写真の線路に使っているのがエッジです。

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軽度発達障害児をどう育てていけばよいでしょう?

2010-06-28 09:35:16 | 教育論 読者の方からのQ&A
『地頭力』が育つ幼児期 4
の記事に次のようなふたつのコメントをいただきました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
>現在は、軽度発達障害児の問題行動なんか  も、
 つぶさに大人に観察されています。
 特別な配慮が必要なので、
 それも大切だったりはするのです。
 でも、それが、かえって子どもの成長の足を
 引っ張っていないのでしょうか?

確かに過干渉は良くないのは判ります。
でもこの部分はよく判りません。
特別な配慮は必要。
でもそれがかえって成長の足を引っ張るとは?
では軽度発達障害児はどうすればいいのでしょうか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ひかるママさんと同じく、そこで混乱しました。
愛着の記事以降、1才半からグレーと言われている息子(3才半)にどう関わればいいのか分からなくなっています。
「丁寧な関わり」が、かえって関わりすぎて、言葉のシャワーを浴びせすぎたのかなぁと。
弟(1才3ヶ月)は人見知りもするし、後追いもする。寝るときだってギューッと抱きしめながら寝るのが好きです。
でも、兄は正反対。1才半以前に知らない子にも抱き着いてました。今は、初対面の人にはヒーローに成り切りポーズを決め、戦いを挑みます。

どっちも多動傾向はあるけど、発達障がいか違うかは、まだ分からない。だけど、この先どう関わったらいいのかしらと悩んでしまいました。
ここに書かれたことが、全てのこどもに当てはまるとは思わないけれど、ヒントを頂けるなら頂きたいです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
軽度発達障害の診断を受けている子や疑いのある子を育てていると、
「ある診断名」の子向けの育て方のマニュアルがあるように
錯覚しがちです。
教師や支援者も、この診断名の子にはこの対応……とステレオタイプな接し方に終始することがあります。

けれど、たとえ発達障害があったとしても、やはり子どもはひとりひとり個性的で、それぞれ異なる道筋で成長しますし、
見守る部分は見守って、手をかし、
叱ったり、厳しい現実にぶつからせるときはぶつからせる……と、
その都度、引いたり押したり柔軟に対応していく必要があるように思います。

軽度発達障害の子についての情報は、
大人の急ぎすぎや、
即断して決め付ける態度に、
「待った」をかけて、よく考えて、
ていねいに子どもに接することをうながすためにあって、
「このように接しなさい」というひとつの答えをしるすものではないのでしょう。

私が、軽度発達障害児の問題行動が大人につぶさに観察されることが、
成長の足を引っ張る場合がある……と書いたのは、

今、大人になってバリバリ働いている男性の方々が、
「子どもの頃は、やどかりを足でふんではつぶしてた」とか、
年中、けんかばかりして怪我だらけだった」などと、子ども時代を振り返る言葉をよく聞くことに由来しています。

現代なら、発達障害児というレッテルを貼られ、そういう目で観察され、
問題行動を直すために周囲からさまざまな指導を受けるはずの行為を、
一昔前の子はけっこう平気でやっていて、
そのままきちんと大人になって働いているわけなのです。

もし、当時、そうした行動をしたから発達障害児だと、
決め付けられて、「普通の子ではない」という目で見られて育てられたり、
発達障害がある子だからと、過保護に育てたり、
過干渉に育てたりしていたとしたら、
責任感を持って働ける大人になれたのか疑問も残るのです。

発達障害のある子として、支援を受けつつ、
学校で適応していたとしても、
親も教師もそれだけで満足せずに、
将来、そのハンディーキャップを乗り越えて生きていくたくましさを
与えてあげる義務を忘れてはならないと
感じています。

ただだからといって、昔のように発達障害に関する情報に無知なままの
方がよかったのかというと、そんなことはなくて、
以前次のような記事でその問題を言葉にしたことがあります。
★発達障害児は多すぎる?  1
★発達障害児は多すぎる?  2
★大人の手をやかせる子はみんな病気なんですか? 1
★大人の手をやかせる子はみんな病気なんですか? 2
★大人の手をやかせる子はみんな病気なんですか? 3


また、次のような記事を書いたこともあります。
--------------------------------------------------------------------

<「生き辛さ」を抱えて生きるということ>

大人になって、自分は発達障害ではないかと疑いを持ちました……とおっしゃる方々からコメントをいただくことがあります。
そうした方のコメントは、いつもとても深い洞察を含んでいます。

発達障害児を育てる親御さんのコメントとは少し異なる
「生き辛さ」を抱えて生きるということを自分で経験してきた方の
生の言葉です。

発達障がいを持った子を育てていると、
どうやって普通に近づこうか、困った癖をやめさせようか、
ひとつでも何かできることを増やそうか、自立への道を歩ませようか
とそればかりで頭がいっぱいになってしまうかもしれません。

少しでも生きやすくなるためにそうした支援は必要ではあるけれど、

実際、「生き辛さ」を抱えて生きている当の本人にすれば、
何が何だかわからない
安心できない世界から、毎時間毎分、
ダメな自分、できない自分、
足りない自分、変わらなくてはならない自分を
つきつけられて、

自分を信じる
自分を受容する

という人として生きていく基盤となるような部分が
いつもぐらついた状態で、
生きていることが周囲に対し申し訳ないような思いまで抱きながら暮らしているのが現状です。

運動オンチの人がオリンピック選手を養成する体操クラブに入れられれば、
たとえ、バカにされたり、期待されたりしなかったとしても、
周囲のようにできない自分に自信を失い、
苦しみを感じて生きるようになりますよね。
発達障がいを持って生きるということは、支援を受けていても、優しくされていても、
挫折感とコンプレックスと疎外感と誤解される悲しみと絶えず向き合いながら
それを受容し、呑み込んでは、
一歩、一歩、前に進んでいく作業です。
障害特性ゆえに苦しい、感情がコントロールできないという事実とは別に、
現実がむごすぎて、
苦しくて、感情がコントロールできなくなるのです。

それでも一生懸命、生きている子がいて、
そうした苦しい受容を途方もないほど繰り返しながら、
大人になって、一生懸命生きている方がいます。

私たちは、自分が持っている「ふつう」という固定観念と比べて、
経済的に自立しているかとか、
社会的に認められているかとか、
人間関係が上手にこなせているか、
とかで人を比べたり、評価したり、人を社会のお荷物とみなしたりします。

でも、もし、人類というひとつのまとまりのなかで、
何割かの人が、
必ず 自分たちが過去に汚した環境の影響をかぶって
障害を持って生まれる役を引き受けなくてはならなかったり、
誰かは必ず、進化しようとする遺伝子の影響で、
ある部分だけ特化した
生きずらい生を引き受けなければならないとしたら、

人類が自分も含んで確率的に持っているもののひとつを
引き受けてくれた人に対し、
あれこれ比べたり評価するというのはどうなのでしょう?

そうした生をバカにする人や、変わるように急かす人が、
なら次は自分がそうした苦しい生を引き受けて、
最後まで生き抜きます~と簡単に言えるのでしょうか?

こうした生き辛い生には、苦しみとひきかえに、
ひとつのすてきなプレゼントが用意されています。

ジョージア州に、成功者と億万長者を20年間調べ続けて、
自分もその仲間入りをした方がこんなことを
おっしゃっています。

『人とちがうことは利益をもたらす』
トマス・J・スタンリー

人が褒めてくれるような長所は、意外に、利益をあまりもたらさないのだそうです。なぜなら誰もがあこがれる見栄えの良いところには、
人が群がって競争が激しくなるからです。

『戦って勝つのは下策。戦わずに勝つのが最上』と孫子も言っています。

本田宗一郎は、

『私は世間でいう゛悪い子゛に期待している。なぜかといえば、そういう子どもこそ ゛個性の芽生え゛を持つ頼もしい可能性に満ちた本当の意味での
゛いい子゛なのである』

『失敗もせずに問題を解決した人と、十回失敗した人の時間が同じなら、
十回失敗した人をとる。
同じ時間なら、失敗した方が苦しんでいる。それが知らずして根性となり人生の飛躍の土台となる』

と語っています。
生き辛さは、このように、きちんと生き抜けば、それだけで価値があるものなのです。
---------------------------------------------------------------------


子育ては、発達障害がある子はもちろんですが、発達障害がない子を育てていたって、
いくつになっても迷いの連続です。

私のように社会に出る寸前の
子どもと呼んでよいのかわからないような年齢の子を育ててたって、
迷いから開放されることはないのです。
門限を決めれば……いったい、いくつになるまで、子どもを縛るつもり?友だちは一人暮らしをしているというのに……と言いかえされる始末ですから。
そこで、迷っても、簡単に周囲に流されるわけにもいかず、
自立しようとする子どもの声をきちんと聞かないわけにもいかず、
だれか子育ての専門家に答えをたずねるわけにもいかないのです。

自分の子と自分の目の前の問題にしっかり向き合って、
自分で決断をくだすしかありません。

発達障害を持った子を育てる場合も、
さまざまな専門家の意見を参考にしつつも、
やはり、最終決定権は親自身が握っているのです。
失敗しつつ、
少しずついい感じに子どもとの関係ができていけばいいんだと思います。

そうだからといって、子育ては苦しいばかりじゃありません。発達障害のある子もそうでない子も、自己肯定感を育み、「自分」で生きている実感を味合わせていけば、
たいていの問題は、自分で悩んで、自分で解決して、
勝手にひとまわり大きく成長していくものです。

子育ての迷いをふっきるため書いた詩です。↓よかったら読んでくださいね。
ある日の娘 ある日の息子

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教育の場で『地頭力』を育むには?  2

2010-06-27 17:57:45 | 教育論 読者の方からのQ&A
昨日、レッスンに来てくれたばかりのもみじクンくん。(よかったら作品を見に行ってあげてくださいね)お家でブロックでノートパソコンを製作中。開閉をスムーズにするために悩んでいます。マウスに、カメラに、充電器、SDカード、腕時計といった周辺機器まで作って、よく考えてますね。


★『地頭力』が育つ幼児期 9
の記事に次のようなコメントをいただきました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
子供の頃って無茶をしてましたね。でもそういうときに頭をいっぱい使っていたんでしょうね。
先日、子供とおたまじゃくし取りにいきました。(もうカエルになりかけのおたまちゃんがいますよ)息子は汗を掻きながら、必死でおたまじゃくしを捕まえていました。息子のお友達は、自分では取れないと思ったのか、「おばちゃん取ってよ。あそこにいるよ!!」というので、「自分でとってみぃ~」と促しましたが…「前の公園にいってくる」と行ってしまいました。う~ん、あまり興味がないのか、諦めが早いのか、私の声かけが悪かったのか ちょっと寂しい気分になりました。

今は雨の量を測っています。以前、なおみ先生のプログで「雨の日にバケツをおいて雨水がこんなにたまったよ。」と見せるだけでも子供は喜ぶものです。という内容があったので、やってみたら、息子&娘、はまっています。
息子が、その日の天気、雨の量を表にしています。梅雨も楽しいですよ♪
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「自分でしてみたら?」とうながすと、
諦めが良すぎるでしょ?ってくらいスーッと興味が引いて、
次の何かを探しに行っちゃう子って、
とても多いのです。

特に小学生になると、
それまでいろいろと熱心に関わっていた子でも、
たちまち燃え尽きたように「だるい」「めんどくさい」が口癖になる子たちをよく見かけます。

子どものやる気について、以前次のような記事を書きました。
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最近、保育や教育の現場では、
やる気のない子どもが増えているのだそうです。
学校も、技能や知識よりも
関心・意欲・態度の方が大切!!
という考えに変わってきているようです。


☆子育て情報ボックス 脳と身体 ~興奮と抑制のバランス~ 
によると、
やる気は大脳新皮質の前頭葉の働き。
この働きの強さを「前頭葉の土台」というそうです。

興奮と抑制のそれぞれの強さ
興奮と抑制のバランス
興奮と抑制の切り換え

上の3つが組み合わされて「神経の型」といわれる特徴が現われます。

子どもの成長は、

幼児期には興奮と抑制のそれぞれの強さがどちらもそれほど強くないため「そわそわ型」
その後、興奮の強さが勝る時期に入り→
抑えのきかない「興奮型」に→
もう少し年齢が上がると抑制の強さも発達し→
バランスが保たれるようになります。、

興奮の強さが発達する時期に、抑制の強さの方が先に発達してしまうと、

やる気がない…

という状態になるのだそうです。

火が燃えるからこそ、消火したり、火力を小さくする努力が必要なのですが、
最初から火そのものが燃えなかったら…??
どうなるのでしょう?

子どもはわがままで、いたずらで、暴れん坊で、きかん坊なのが普通で
それを環境や親に抑えられたり叱られたりしながら
さらに興奮を大きくしつつも
抑制を学びバランスをとっていくのが順番です。

かなり幼い時期からの集団保育や
習い事
暴れられない家庭環境
おとなしさを求められる公園でのお友だちとの遊び
大人の子どもへの接し方やまなざし

などが、子どもの成長の順番を狂わせていないか注意が必要です。

私も身近なところで、
幼児期から大人の言いつけに従順で
学力も高い子が
中学生になるまでに燃え尽きたようになったり無気力に陥る話を
よく耳にします。

この話とはそれますが、とにかく順序は大切です。
自分で思考することを身につける前に
知識を与えすぎると、「考える」という基本の頭の使い方が
発達しません。

けんかをさせないように遊ばせすぎると
社会性の発達が遅れて
小学生になっても幼児のようなお友だちとの関わり方が続くようです。

幼児に関わるときは、いつも少し引いて、自然にまかせる態度が
必要ではないでしょうか。その時期しか通れないこと、マイナスのようでもプラスのことが、とてもたくさんありますから……。
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私は、今、小学校で立ち歩きや学級崩壊などの問題がよく起こっている原因
として、幼稚園教育が変化してきたのも多少は関係があるのではないかな?
と思っています。
幼稚園は、年々、親たちの「知的な付加価値もつけて欲しい」「運動や音楽などの技能を身につけたい」といったニーズに応えるために、
商業的になり、
子どもが、外から見るとでたらめで、でこぼこした
その子その子の成長の道筋をたどることができなくなっているように
感じるんですよ。
自由遊びや自由工作をする園が減ってきて、
自由遊びをさせている園は園で、遊びを豊かに発展させる工夫をしなくなってきているように感じます。

幼児期って、脳の中身の成長や身体の成長のために、
子ども固有のプログラミングが、内から外へあらわれてくるとき
でしょうから、
そうした生物として、生命として、
その時期に課せられた宿題があるのにもかかわらず、
大事な幼児期の環境を、親も幼稚園や保育園も
商売っ気やお得感でデコレーションしちゃうと、
結局、子どもの身体や脳が、やりのこした宿題は小学校に入ってからの問題行動としてあらわれてくるのではないでしょうか。

地頭力の根本的なベースとなるものって、
大人に言われたから……とか習慣で義務化されてるから……とかでなくても、
幼児が本来持っている「水たまりがあれば、何十分でも長靴でバシャバシャしていたい!」と思える心の内部から湧き上がってくる好奇心やエネルギーが
しっかり出てくるか、出しきれるか
なのだと思います。
「あれもだめ」「これもだめ」と本能的なものを
止められてばかりだと、
興味を持ったものですら、自分でするのはめんどくさい~
面白そうでも、自分でするのはだるい~という感じるように
成長していくようです。

子どもに豊かな幼児期を経験させてあげるために、
遊びが発展しやすく、好奇心がいっぱい刺激される環境を作ってあげたいですね。


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