虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもの個性にあわせたおもちゃ選び

2022-11-14 10:55:46 | 子どもの個性と学習タイプ

虹色教室にはさまざまな種類のおもちゃがあります。

そのひとつひとつのおもちゃについて、「遊んだらそれでおしまい」「ちょっと遊んだら飽きちゃった」という結果で終わらないように、いろいろな工夫をしています。

今回は、教室でどんな工夫を凝らしているのか書いていこうと思います。

おもちゃを選ぶとき、木製などの質の高いものを与えなければならないか…というと、必ずしもそうではないと思います。

子どものタイプによって、おもちゃの質より遊び方や自由度が大切で、100円グッズや紙があれば十分…という子もいるのです。

うちの子たちもそうでしたし、特に息子は、紙とえんぴつとハサミさえあれば満足している子でした。

教室の2~3歳の子にもこうした子はいて、おもちゃの扱いは少し雑なのですが、自分のこしらえた工作物は、宝物のように大切にしています。

目で見るものより、想像したことや見立てたこと、アイデアやルールに惹かれるようです。

質のよいおもちゃにじっくり取り組むことも、材質よりもその背後にある想像の世界に遊ぶことも、どちらも優劣つけがたいことです。

どちらが良いかでなく、子どもの個性と気質と学び方によって、おもちゃ選びのポイントはずいぶん変ってくると思います。お金のかかり具合も、雲泥の差ですが…。

感覚が優れていて、クオリティーの高い材質やデザインのものに惹かれる子は、歳、2歳の子でも、ヨーロッパ製の木でできた教具を何度も何度もやりたがったりするのです。

その繰り返しのなかで、ほんの少しのペグの高低や木製ビーズの形の違いを見分けるようになります。

まるで指先に目がついているようで、そうした子の遊ぶ姿を眺めていると、いつも、強い感動を覚えます。

そうした子は、遊ぶごとに数学的な感性が高まっていくようです。 遊びながら科学の法則を学び取っていきます。(幼児は幼いほど材質の違いに敏感なので、まだ自分で選べないような小さな子に知育玩具を買い与えるときは、できればプラスチックではなく、材質もデザインも色の配色も優れたものを選ぶ方が良いと思ってます。)

一方、おもちゃの材質ではなく、目に見えない価値に惹かれる子には、おもちゃを与えるより、道具やアイデア(博物館や人形劇、工作物の展示会などに連れて行ったり、作品集やカタログなどをたくさん身近においておく)や、自由な時間や手助けや褒め言葉、いっしょに遊びに付き合ってあげることなどが大切だと感じています。

お金がかからない分、労力や配慮はたくさん必要です。

この写真↓は小学生の頃、息子が手作りしていたゲーム類(モノポリーらしい)の一部です。

ゲーム好きなので、人生ゲームとかモノポリーなどを気の遠くなるようなエネルギーを注ぎ込んで作っていました。何百枚というカードの全てに、従来のゲームを参考にしながら…自分で考えたさまざまなアイデアを盛り込んで書き込みをしているのです。息子にとっては、おもちゃの質よりも、自分の頭のなかのアイデアと作る過程に魅力があったのだと思います。

おもちゃの与え方について考えさせられるこんな話があります。

17回現代日本美術展大賞を最年少で受賞し、テレビ番組の『ウゴウゴルーガ』や、音と光を奏でる楽器『TENORIーON』などを手がけ、絵本の『100かいだてのいえ』の作者でもある岩井俊男氏の子どもの頃のお話です。

あるとき、母親から「もうおもちゃは買いません」と言われたのだそうです。かわりに工作の道具や材料を与えられたことからものづくりに目覚めたのだそうです。
高価なおもちゃを買うもよし…。おもちゃを与えないもよし…。どちらにしても、想像力と創造性に満たされた家庭内の空気が大切なのでしょうね。

工夫その1
おもちゃで遊んで興味を持ったら、易しいシンプルな作り方で、工作でそのおもちゃを作り、原理がわかるようにしています。

「どんな形をしているのか。どんな仕組みで動いているのか。そっくりに作るにはどうすればいいのか。どんな素材を使えばいいか。うまくいかない時にはどうやって解決するのか」 おもちゃをよく観察して、身近にある材料で再現しています。

工夫 その2

 ひとつのおもちゃでいろいろな遊び方を考えます。たとえば、↓のリンクは「くもんのキューブ積み木」というおもちゃを使った遊び方の工夫です。遊びだけでなく、小学校受験問題や、小学生の算数の教具などにも活用しています。

★くもんのキューブつみき 虹色教室風遊び方!? 1

★くもんのキューブつみき 虹色教室風遊び方!? 2

★くもんのキューブつみき 虹色教室風遊び方!? 3

★くもんのキューブつみき 虹色教室風遊び方!? 4

このように、どんなおもちゃもいろいろな使い方をして遊んでいると、子どもの思考力や発想する力が高まってきます。

また、「新しいおもちゃがほしい」と思った時に、お家にすでにあるおもちゃに少し手を加えたら、その遊びができることがよくあります。

例として、「豪華なドミノ」がほしかった場合、レンガ積み木とブロックを使って遊んだ時の様子と「カナヤック」のゲームを、「生き残りゲーム」を使って遊んだ時の様子を紹介します。

ドミノは楽しく遊びながら、数に強くなったり、指先の巧緻性が高まったりするよいおもちゃです。
おうちにあるドミノをさまざまな仕掛けのある豪華な…??ドミノにする方法を紹介します。デュプロで作る段差です。
台になるブロックを写真のように少しずつずらすことで、安定した台ができます。
小さいサイズのブロックだとだとさらに細かいしかけも作れると思います。

ハバ社のイヌイットの魚釣りをモチーフにした ☆「カヤナック」というゲームがあります。以前、おもちゃコレクターの方から、教室にお借りしていたのですが、とても魅力的で子どもたちが大喜びで遊びました。

ただこのゲーム、つり竿が大きくて、先がとがっているので、つい夢中になって他の子のしているのを覗き込もうとしたり、つり竿を振り回したりすると危険なので、ヒヤヒヤ……。それと、魚の代わりの金属の玉が、あまりに小さいので、遊んでいるうちに無くしやすいという難点もありました。

そこで、生き残りゲームの盤とジオマグの磁石を使って、このゲームを再現。イヌイットの世界の素朴な美しさはほぼ皆無……ですが、子どもたちには大盛況でした。

100円ショップで売っている「ジオマグもどき」と、お家の空き箱でも楽しく遊べるので、おすすめです。

魚釣りの竿にジオマグの棒を使うと、かなり短い状態で遊べる上、長い竿として使っているときも、磁石でついているので、危なくありません。幼い子の魚釣り遊びにぴったりだと思いました。子どもは魚釣り遊びが大好きですが、おもちゃのつり竿は転んだり取り合うと危険なので、安易に渡せないですから。

また、釣ったとき、金属の玉が磁石に引っ付いてくるのを、子どもは喜んで数えます。「落ちそうで、落ちない……」のって、ドキドキして面白いですよね。生き残りゲームでカヤナック遊びをする場合、金属の玉を穴の中に落として仕掛けておき(くぼみがあるので、きちんとおさまります)自分の番のときに、レバーを動かして、魚を探しつつ、魚釣りを楽しみます。


 工夫 その3

まだその遊びをするのは難しい月齢の時には、ルールを「赤ちゃん向け」「幼児向け」に変えて、子どもが楽しめるレベルにしています。

★ブロックを買ったものの、ひっくり返して「おしまい~」です…

★ウルトラマンカードの遊び方♪

★「チケット トゥ ライド」幼児も遊べる遊び方 1

★「チケット トゥ ライド」幼児も遊べる遊び方 2

★「チケット トゥ ライド」幼児も遊べる遊び方 3

★「チケット トゥ ライド」幼児も遊べる遊び方 4

★「チケット トゥ ライド」幼児も遊べる遊び方 5

★「チケット トゥ ライド」幼児も遊べる遊び方 6


「魔の2歳児」落ち着かせる方法

2022-11-06 15:08:46 | 子育て しつけ

★かんしゃくを起こしてばかりの「魔の2歳児」  落ち着かせる方法

『ナチュラルな子ども時代』(産調出版)という本によると、2~3歳児というのは、爆発的に意志が発達する時期なのだそうです。

だから、かんしゃくをしょっちゅう起こすんですね。

自意識が発達するにつれ、ここにいる「自分」と自分に脅威を与える「他人」がいるという状態になります。

「自分の意志」と「他人の意志」の対立に気づきます。

子どもの「意志の力のエネルギー」はとても激しいものです。

どんなに辛抱強くて理解ある親もついていけない…それが「魔の2歳児」(3歳の間もしっかり続く子も…)です。

この困ったおちびさんに、どう付き合えばいいのでしょう?
どうすれば、かんしゃくはおさまるのでしょう?

まず親は、この困ったちゃんぶりが、いつまでも続かないことを知っておかなくてはなりません。

4~5歳になると、「意志」は「創造的な遊び」という新しい方法で表現されるそうです。

それとわがままに見えても、愛情とサポートをたくさん必要としている幼児であることを片時も忘れるわけにはいきません。

かんしゃくを起こりにくくしたり、しずめるには、子どものエネルギーの出口を見つけ、積極的にそこにエネルギーを向けるように仕向ける必要があります。

わが子が2~3歳のころ、私が見つけたエネルギーの出口は、

・水遊び

・ころころ転がる遊び

・ふざけっこ

・豆の移し変えや砂遊び

・適度な散歩

などです。

本で紹介されていたのは、長靴をはかせて、水たまりでばしゃばしゃさせる、草の上で転げまわらせるなどです。

それでも、2~3歳の子どもはかんしゃくを起こします。

うちの子も、食事が気に入らないことからはじまって、作り直させたあとで、ひきつけを起すほど泣いていたことがありました。

幼稚園に上がるまで、夏の間は、毎日2回水遊びをさせていました。

水遊びは危ないので、注意してそばについていなければなりませんが、適度な疲れが、2~3歳児の激しいかんしゃくをしずめるのには効果ありますよ~♪

想像力を刺激する遊びを教えていくと、かんしゃくばかりの時期を早めに卒業するようです。


2、3、4歳の子たちと工作を思いきり楽しむには?

2022-11-01 10:12:11 | 工作 ワークショップ

2~4歳の子との工作が広がらない、「ママ作って」で終わってしまう、導入の仕方がわからない、途中でうろうろして飽きてしまう、発展しない……という相談のコメントをいただくことがよくあります。

そこで、2~4歳の子らの工作する姿を紹介しながら、どんなふうに工作が始まるのか、どんな点に気をつけているのか、どのように発展していくのか書かせていただくことにしますね。

4歳1ヶ月のBくん、4歳4ヶ月のCくんの工作風景です。

『しんかんくん いえにくる』という絵本を読み聞かせている時のこと。

二人とも、しんかんくんの話を聞いていたせんろくんが、「そおれい」と空に向かって、ぐんぐん伸びていくシーンに目を輝かせていました。

そこで二人と一緒に、両手を上げてグーンと伸びをしながら、「そおれい!!」とせんろくんになりきって遊びました。

反り返った自分の身体の上にNゲージを走らせながら、BくんもCくんも大喜びで笑い転げていました。

「そうだ、工作でせんろくんを作ろうか?」とたずねると、「作る」「作る」と小躍りしています。

 

虹色教室の工作は、たいていこんなふうに始まります。

といっても絵本の読み聞かせが工作につながる……というわけではありません。

子どものおしゃべりを聞いているうちに始まることもあれば、ごっこ遊びの最中に必要ができて始まることもあれば、素材と触れ合ううちに、始まることもあります。

共通しているのは、いつも子どもの心が何かに強く惹きつけられた時や、新しい発見をした時、心が大きく揺さぶられた時などにそれをきっかけに物作りをしているということです。

つばめの巣を見つけたこと、空を飛行機が飛んでいくのを見たこと、道で水たまりを発見したこと、エレベーターに乗ったこと、大きな石の下にだんご虫が隠れていたこと、テレビのリモコンスイッチを押すと音量がどんどん大きくなったこと、猫を触ってみたこと、スーパーでバナナを自分で買い物かごに入れたこと、おばあちゃんのお見舞いに行ったこと、お寿司がこぼれたこと、駅で「黄色い線の内側まで下がってください~」とアナウンスが流れたこと……

そんな何気ない出来事や絵本で出会うひとつのシーンで2~4歳の子どもたちの胸はいっぱいになります。

そんなささやかな発見に、心と身体のすべてを使って味わってもまだ足りないほど夢中になります。

 

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では、工作の世界を存分に楽しめるように気をつけていることについて書かせていただきますね。

2~4歳の子と工作する時、その時期、その時期の子が熱中する手先を作業ができるようにしておくと、自分で作ろうとする意欲が身に着きます。

たくさんシールを貼りたい、なぐり書きがしたい、鉛筆の先などで穴を開けていく、ちょっと力のいる作業がしたい、ねんどをこねたい、ちぎりたい、切りたい、トンカチなどで叩きたい、絵具を使ってみたい、セロテープで何でも貼り合わせたい……など、それぞれの子が繰り返しやりたがる活動を普段のいたずらや遊びの中で見つけておくようにしています。

 

 

↑ 子どもたちは、連結作業が大好きです。新幹線を作成中。

例えば、4歳のBくんとCくんでしたら、工作用の木片と木片をぴったり合わせて貼り合わせていく作業やクーピーペンシル2本を同時に使って線路を描く作業などがちょっと難しいので集中できるし、やっているうちに夢中になれる活動でした。

工作のお手本は、「子どもにとって魅力のある作業の一部を見せる」くらいがいいと思います。

子どもが自分でやりたくなったら、自由にまかせます。

お手本通りにできなかったり、お手本とはまったく別のものをを作りだしても本人に任せるのがいいと思います。

お手本を示すのは、子どもに利用しやすい仕掛けや道具の扱い方のアイデアを見せたいからでもありますが、一番の目的は、工作したくなるワクワクする気持ちを引き出すことです。

子どもの作業に極力ダメ出ししないようにします。

子どもなりのアイデアが出た時は、それをいっしょに膨らませるようにしています。

工作に慣れてくると、子どもはお手本がなくても自分でどんどん作品を作っていくようになります。

 

たとえば、Bくんはグーンと伸びたせんろくんが向かう、かんたろうのお家だった紙コップを口に当てて、ウァァァンという音を出しながら、「見て見て!面白いでしょ。」と言いました。

新幹線だった木片も口に当てて、「先生、見て、こうやってプーッてするんだよ」と言いながらハモニカを吹く真似をしました。

そこで、BくんとCくんが自分たちで自由に作る工作に飽きてきたところで、紙コップで作る電車のアナウンスのマイクの作り方を教えることにしました。

紙コップの底に鉛筆で穴を開けて(はさみで穴を少し大きくします)、コップの底にアルミ箔をかぶせて、周囲をセロテープでとめます。

写真を撮りそびれたのですが、上の写真のように紙コップに口を当ててアナウンスをすると、声が不思議なマイクを使ったように変化します。

 

3歳のAくんの場合、本人がひらめいたアイデアは次のようなものです。

粘土を何色か重ねてストローで抜くと、さまざまな色の重なりがストローの中に溜まっていきます。

このきれいなねんどの層を作る遊びは、教室でとても人気があるのです。

お手本を見せると、Aくんは自分でねんどを重ねてストローで抜きました。

 

それから、ねんどを抜いたのとは反対のストローの口から息を吹き込んで、きれいなねんどの玉を飛ばしました。

Aくんのアイデアのねんど鉄砲です。

しばらくねんど鉄砲で遊んだAくん。

↑ 自分で考えたストロー鉄砲に大満足の3歳6ヶ月のAくん

この鉄砲の弾を踏んだらやっかいなことになりそうだったので、紙袋に鬼の絵を描いて口をくり抜いて、玉入れの的を作りました。