虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

知的な ゆっくりさんの 長所の見つけ方

2011-03-31 21:34:14 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子
知的なゆっくりさんの子をお持ちの親御さんから、
「個性的な才能や強みを伸ばしてあげたいと思うものの、
何をさせたらよいのか見当もつかない」という声をお聞きします。

同学年の子より優れているものはないかと周囲と比べたり、
いきなり習い事をさせてみたりしても、
できないところばかり目についてがっかりしてしまうかもしれません。

「絵は上手か?」「音楽は得意か?」「得意な科目があるか?」といった見方で
才能や強みを探そうとすると、
ハンディーを持った子でなくても
「この子はこの分野の才能がある!」なんて子はそうそういないものです。

けれども、まだ磨いていないけれど、
磨けばきっと輝くだろうと感じられる才能は
気質とか態度とか好みといったものから透けて見えるときがあります。

↑の写真は小学2年生のダウン症の○ちゃんが『ブロックス』で遊んでいるところです。『ブロックス』で遊んでいるといっても従来の遊び方どおりに対戦ゲームをしているのではなく、
『ブロックス』の盤上に、
テトリスでもするようにコマを敷き詰めているのです。

○ちゃんは全てのコマを置き終えるまで熱心に敷き詰めていました。
きちんとはまらずに残ったコマは、置いたコマを移動して隙間を作って
でも置こうとしていました。

○ちゃんは、他の遊びや学習時には、
「間違うのではないか?」「難しい問題にぶつかるのではないか?」
と終始お母さんの確認を取りながら
おそるおそる作業をしていました。

けれども、『ブロックス』をする時には、
考える場面にぶつからずに、
どんどんやり続けていけるという状況が心地よかったのか、

「積極的で、自信に満ちていて、根気がある」

という
この子独自の良い性質と思われるものが引き出されていました。

「疲れた?もうやめてもいいのよ」と言われても、
達成感を求めて最後までやりぬこうとする姿もありました。

このことから、本人がひとつひとつの作業を心地よく感じられて
続けていくことに不安がなく
達成感が得られるようなものにいろいろチャレンジさせてあげると
この子の『大好き!』が見つかるように思いました。

易しい手芸やお料理を喜ぶかもしれません。
『絞り染め』とか、『デコ』とか、『白玉だんご作り』とか『フルーツジュース作り』とか、
ひとつひとつの作業が難しくなく面白そうなものをいろいろ試してみるといいですよね。

また、『ブロックス』に触れるのを楽しんでいたことから、
算数の計算を学ぶとき、
計算式を見ながら、その数をタイルで表すといった
見て触ってする学習を大切にすると、
かけ算割り算へといった
今やっていることから新しい概念に移行するとき、
スムーズになるかもしれません。


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自分らしさ と 自分の考え方がはっきりしてくる5歳児

2011-03-31 12:44:50 | 日々思うこと 雑感
今日は5歳の★ちゃん、☆ちゃんのレッスンでした。

ふたりとも2歳の頃から虹色教室で工作に親しんできたので、
遊んでいて足りないものがあると、
「なら私たちで作ろうよ」といって、
ドールハウスでもままごと道具でもベビーカーでも、
あっという間に作ってしまいます。
この間は、お家でいっしょに遊んでいる最中に、(ふたりはご近所さん)
大きな自転車を作ったそうで、それには私もびっくりしました。



今日作っていたテレビ↑
これ以外にも、自分で着れる洋服と首飾りも作っていました。

5歳の誕生日を迎えた頃から、
それぞれの個性がきわだってきて、
何かを決めたり、問題を解決したりするときには、自分でよく考えて
はっきり自己主張するようになってきました。

★ちゃんは論理的に考えるのが得意で、几帳面で創造力豊かな子です。

☆ちゃんは語彙が豊かで、理解力が高く、想像力と創造力が優れた子です。

★ちゃんはよく考えては理詰めで説明することがよくあり、
それに対して☆ちゃんは、
感情やイメージの世界を含んだ意見で言い返します。
それでしょっちゅう、「私はこう思う」「私はこう思う」という言い合いになっているのですが、
どの意見にもそれぞれの子の考え方や個性がはっきり表れていて面白いです。
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今日、ふたりは、たくさんの子どもたちの顔が描かれているプリントで、
ある男の子の顔には○、ある女の子の顔には×をつけるという課題をしました。あまりにも見分ける数が多いので、見る順序によって
間違いが出てしまうような問題です。

★ちゃんは間違いや見落としがないように
自分なりの戦略を言葉にしながら、確実に解いていました。
☆ちゃんは、こうしためんどくさい作業が苦手ですから、
適当に○や×をつけて終わらせると、
「★ちゃん、まだやっているの? 遅いね~!」と言いました。

すると、☆ちゃんが、「あっ、これもまだしるしを付けていなかった」と言って手を動かしながら、「私は頭の中で考えながらやっているから遅いんだよ。☆ちゃんは真似してやっているから先にできたんじゃないの?」
と言い返しました。

「真似なんかしていないよ」と☆ちゃん。

「真似しているよ。だって、行きしなの車でも、私が『火星に行こうっと!』って言ったら☆ちゃんも『私も火星に行こう』って言ったじゃない。
それは真似だよ」と★ちゃん。

すると、☆ちゃんは、それはおかしな意見だわ……と言いたげな表情で、
「だって、その後で、私たちふたりとも笑ったじゃない?
ふたりとも!」と☆ちゃん。

私は☆ちゃんに、「笑った場合は、真似じゃないの?」とたずねてみました。

すると、次のようなややこしい意見が返ってきました。
「ううん、真似は真似だけど、笑ったときは悪い真似と違うでしょ。面白いことを言って笑わす言葉の~真似の言葉だから」と☆ちゃん。

ジョークを飛ばしたり、微妙な感情の機微を感じ取ったりするのが得意な☆ちゃんですから、おそらく「ふざけあっている時に使った言葉を、ここで持ち出しちゃダメでしょう?」という気持ちで、
言っているのでしょうね。


そんな風に、それぞれ自分の考えをぶつけ合いながらも、
相手の意見にもしっかり耳を傾けて、最後にはお互いに納得しあっている★ちゃん、☆ちゃん。
とっても仲良くいきいきと遊びます。

2,3歳の頃は我をはりあって、それはすざまじい取っ組み合いのけんかをして、しょっちゅう感情を爆発させていたおふたりさん。

けれど、今では同学年の子たちの輪に入ると、
「落ち着いてますね」「何でもできるし、物事がよくわかっていますね」「誰にでも優しくできるし、しっかりしていますね」
と言われることが多く、
お友だちからは何歳も年上のお姉さん的な存在のように
見られているそうです。

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↑は、自分で判断したり決めたりしたことに意欲を出す★ちゃん向けに考えたトランプゲームのルールです。

5枚ずつトランプを配ります。
自分の番の人は、「一番大きい数が勝ち」か「一番小さい数が勝ち」か「一番大きくも小さくもない真ん中の数が勝ち」のうち
どれにするかを決めて宣言します。

それから、カードを出し合って、
「一番大きい数が勝ち」の時には3枚のうち一番大きい数が勝ちで、
「一番小さい数が勝ち」の時は、一番小さい数を出した人を勝ちというルールで、勝った人が、出したカードを3枚とももらいます。

★ちゃんも☆ちゃんも、このゲームがとても気に入りました。

★ちゃんは、今『トランプの手品』にはまっているそうで、ゲームの後で、
手品をしてくれました。
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語彙が豊かになる遊び 

2011-03-31 09:24:45 | 日々思うこと 雑感
語彙を豊かにするために、『ぼうし』『かぶとむし』『すべりだい』などの
シンプルな絵が描かれた絵カードでする遊びを紹介します。

次のような問題を出して、カードを取って遊びます。

「遊具の仲間です。
ことばの頭に『す』がつきます。
すべって遊びます。」

「昆虫の仲間です。
足が6本とオスにはつのがあります。
樹液が大好きです」

その子にとって「わかるレベルの内容」と、「少し難しいレベルの内容」を混ぜて出題します。

先日、ダウン症の☆ちゃんと、このカード遊びをしました。
遊具とか家具とか昆虫といった概念は難しいようでしたが、
質問の中に必ず☆ちゃんがわかる言葉も入れるようにしていたので、
指示をしっかり聞いてうれしそうにカードを取っていました。

少し難しいレベルの新しい概念を学ばせるとき、
子どもが自信を持って取り組める易しいレベルの内容を中心にして、
『新しい概念はそこに含まれている』という状態で遊ぶようにしています。

そうすると、子どもは、「失敗するかもしれない」「難しくてわからないかもしれない」と怖気づくことなく、
いつも「自分にはできる」という自信を抱きながら
新しい知識を学ぶことができます。

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あわせて 10 レストラン♪

2011-03-30 17:22:38 | 算数
10の合成への理解を深める遊びです。

3つ、4つ、9つと、1~9までのデコレーションボールを乗せたお皿(紙皿など)と、何も乗せていないお皿を用意します。

「空っぽのお皿に、合わせて10になるようお料理を乗せてね」と言います。
「7個入りのお皿と3個入りのお皿」のように合わせて10の
組み合わせができたら、右手と左手に、(レストランのウェイターやウェイトレスがするように)お皿を乗せて、
お客さんのもとに届けます。

お客さん役の子は、きちんと10になっているか数えて確かめてから、
受け取って食べる真似をします。

応用編

「30個ください」と注文を出し、
10の組み合わせを3セット作り、
皿を3枚ずつ積み上げて運びます。
今にも落ちそうなお皿を運ぶのは、とっても面白いですよ。

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「遊びが幼い ゲームのルールを学ぼうとしない」とき

2011-03-30 09:52:35 | 日々思うこと 雑感

4~6歳の子をお持ちの親御さんから、
「いっしょにゲームを楽しみたいのですが、
ルールを教えてもきちんと話を聞こうとせず
ゲームのコマやチップやカードをバラバラに散らかして遊びます。」
という相談を受けるときがあります。

そんな場合、子どもが喜んでやっていることをヒントに
ゆるめのルールを設定するといいかもしれません。


写真は、チップをグチャグチャバラバラ~とかきまぜて遊んでいた子のために
考えたゲームです。
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『グラグラゲーム』

赤いブロックの上に赤いチップ、黄色いブロックの上に黄色いチップを
乗せていきました。チップが落ちたら負け。
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ルールが複雑なゲームをする前に、このくらいのルールの遊びで

★ルールの説明を聞く
★順番を守る
★ルールがあることの楽しさに気づく

ことに慣れていくと、市販のゲームをするときも
ルールを理解する姿勢が育ってきます。


4~6歳の子で、遊び方が幼くて、積んでいたものを崩したり、投げたり落としたり散らかしたりすることから
いっこうに遊びが発展しないという子がいます。
そんな場合、身近な大人が
本人がいつもやりたがることと、もう少し創造的な遊びの
橋渡しとなるような
ゆるめの物作りを提案するとよいかもしれません。

↑写真のおもちゃに山ほどチップを入れては、ザーッとひっくり返していた★くん。
「また、こんな遊びばかりしている……」と嘆くより、
紙コップや紙箱で回転する仕掛けや
エレベーターのようにチップを入れて上下させる仕掛けを
作ってあげるといいかもしれません。
(くわしい作り方はオンライン教材の『回転』のコーナーでも
いろいろと紹介しています。)


大人が教えたいことに、無理矢理 子どもを引き寄せようとしても
うまくいかないことがあります。
そんな時は、子どもが楽しんでいることの方に大人が近づいて、
より広い世界との橋渡しをすることを考えてみると
うまくいくかもしれません。



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勉強のこと 教育のこと 親子の会話 2

2011-03-29 20:34:07 | 日々思うこと 雑感

今日は、午後からレッスン記事をアップします。

勉強のこと 教育のこと 親子の会話 1の続きです。

親子の会話……といっても、最近 息子との会話は増えたものの、娘と話す機会はめったにありません。
娘は今、自立の時期のようです。
コンタクト代、携帯代、服代や通学費といった費用を自分のアルバイトでまかなうことに一生懸命です。ボランティアへの関心も高い様子。
私が娘くらいの時は、もっとポヤーッとして親に依存していたので、
どんどんしっかりしていく娘に、ちょっと驚いています。

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虹色教室では今、いろんなものを混ぜ合わせる化学もどきの遊びが流行中。

それを見た息子が、
「遊びみたいな実験でも、気づくことはいろいろあるよ。
混ぜたり熱したりして、食塩と砂糖についてよく調べてみるだけでも奥が深いよ。食塩と砂糖って見た目は良く似ているのに、
食塩は無機物で、砂糖は有機物だから、ちょっとした実験も結果がずいぶんちがうからね」
と言いました。

それから、こんなことも付け加えました。

息子 「受験勉強を始めるまで、化学ってただ暗記するだけじゃんって軽く見ていたんだけど、確かにある所まで丸暗記なんだけど、ひとつの到達線に達した時点で、そこから先は、レゴブロックを組み合わせる遊びやパズルのようなものなんだ。ある時点から急に易しくなるし、面白くなる。

大学受験って馬鹿にならないよ。
途中で疑問に思ったことを調べていると、
たいてい研究中のまだ解明されてないことの場合が多いんだ。
大学受験で学んでいることと、最先端の研究はそれほどかけ離れていないんだな。

化学の勉強をすればするほど、
錬金術師がしようとしていたことって、
ありえない無謀な試みじゃなかったんだなって思うときがあるよ。
原子モデル同士を見比べると、1個の電子の数が異なるだけで
まったく異質の物質だからさ、あくまでの想像上のイメージの世界だけで遊ぶなら、
空気中に存在する酸素の電子を操作することで何でも作れるなんてことを
考える人がいても、気持ちとすればわかるから」

私 「そうよね。マクスウェルの悪魔が実験で成功しちゃう時代なんだから。
私はあれだけはてっきり理論上の議論だけで終わる話かと思っていたわ」

息子 「今、いろんなものがFREEになって、等価交換が成り立たない時代になってきたよね。
物理や化学では存在しないような無から有を取り出すことも、社会学の世界なら存在しているのかも。」

私  「受験勉強をしていると、それまで関心がなかったことにも興味が広がっていくね」

息子 「そうだな。早く働きたいって思ってたけど、勉強するにつれて、
大学院に進むのもいいなって感じることが増えてる。
ぼくがセンター向けの勉強するより難関大の問題を解くのが好きなのは、
試験問題の制作者が学力をふるい分けるために問題を作っているんじゃなくて、
もっと広い世界や最先端の研究で議論されていることなんかに
興味を抱いてほしいって思いを絡ましているのが伝わってくるからだよ。
国語の問題にしても、京大の問題なんかだと、
もっと昔の文化に触れてほしいとか、現代の社会問題について考えてほしいというメッセージが含まれていてさ、問題を解いた後で、深く考えさせられるものが多いよ。」

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学力をつけること と 個性的な強みを伸ばすこと 1

2011-03-28 12:57:20 | 日々思うこと 雑感
先日、次に年長さんになる女の子たち3人グループの親御さんたちと
それぞれの子の今後の教育について話し合う時間を持ちました。

年長さんともなると、
それぞれの子の個性的な才能や強みといったものが
かなりはっきり見えてきます。弱点もしかり。

小学校受験用のテストの出来不出来とか、音楽ができる、手先が器用、スポーツが得意といった
外から測定したり 評価したりできる能力とは別に、
ひとりひとりの子にはその子ならではの特別な強みといったものがあります。

そしてそうした個性的で特別な強みを伸ばすには、
身近にいる親御さんが、
「この子は算数が得意」とか、「この子はプールが○級」といった表面的な子どもの能力の捉え方ではなく、
その子が『どのような子』で、『どのような可能性を秘めている』のか
よく見極めて理解してあげることが大切だと感じています。

この3人の女の子たちは、2歳、3歳の頃から虹色教室に通ってくれています。
それで 私は、まだヨタヨタ歩きながら片言でおしゃべりしていた時期からの

遊びの好みや集中の仕方、
困ったことにぶつかったときの解決の仕方、
人との関わり方や記憶の保ち方、
何をするときどれくらい熱中するか、
柔軟性や創造性、
想像力を使ってどのようなことをするか、
物の選び方や判断の仕方、
色や形への敏感さ、身の回りの世界への興味の持ち方

などを具体的なエピソードを記録しながら見守ってきました。

すると、どの子も、他の子と比べようがないくらい突出した強みを持っていて、
子どもの多様な個性と才能のすばらしさに目を見張るのです。

それは既存のテストでは測りようがない種類のものです。

このグループの女の子たちはあと1年ほどで小学生です。
親御さんたちに、「小学校の6年間で、学校や習い事での成績を上げることだけを教育としないで、
『その子独自の個性的な強みを伸ばす』という視点で、
環境や体験させたいことを
考えてみてはいかがでしょう。」と提案し、それぞれの子の
能力や伸ばし方について話し合いました。

『その子独自の個性的な強みを伸ばす』というのは
「音楽が得意そうだからピアノを購入して、レッスンに通わせる」という意味ではありません。
もう少し大人が想像力を使って子どもを眺めたときに
見えてくるもののことです。

女の子のひとりは、明るくて活発で次々遊びを思いつき、おしゃべりで
よく知恵が働く子です。
その遊ぶ姿からわかるのは、
『想像力』と『思考力』と『社会性』の高さです。

こうした能力を生かせるものに、「作文」があります。(他にもいろいろあるでしょうが……)

もしこの子が文章を書くことに興味を持ったなら、
身の回りのさまざまな出来事にアンテナを張って、自分の心で感じ取り、自分の頭で考えたことをどんどん言葉にしていくことでしょう。

だったら、「作文指導のある通信教材を取る」とか
「国語教室に通わす」とかするといいのか……というと、
それはかえって強みをつぶすことにもなりかねません。

子どもは個性的ですから、
何をさせたらよいか考えるときも、
その子の得手不得手や好き嫌いについて
よく考えてから選ぶ必要があります。

私は、あまり急いて外注することに頼らず、親が無理のない程度に
その子専用のオリジナルの教育をしてあげるのがいいのじゃないかと思っています。

たとえば、この女の子でしたら、
活発に動き回ることやおしゃべりは好きだけど、
机に座ってする地味な作業はめんどくさがるタイプですから、
無理強いすれば文章を書く力がつく前に、
作文嫌いにさせてしまうかもしれないのです。

この子にとって文章力をつけることが才能を開花させるために
とても大切だと思うなら、

「低学年や中学年の間は、子どもには自由におしゃべりさせて、
それを親御さんが書き取って
読み物に仕上げてあげて、自分が体験したり考えたりしたことを
文章として読める楽しさに気づかせてあげる」

くらいの教育が、家庭で大事になってくるのかもしれません。

こんな風に書きましたが、
必ずしも、
子どもの才能を伸ばすために
親ができるだけのことをしてあげないと……と必死になる必要は
ないと思っています。
子どもは自分に必要なことを自分で探し出してくる力がありますから。

それならどうして、年長さんの親御さんに、
個性に応じた教育の必要性を説いているのかというと、
それを意識しないまま小学校に入学すると、
さまざまな外の評価に翻弄されるうち、その子が持っていた特別な才能は
跡形もなく消えてしまった……ということが
よく起こるからなのです。

その子がもともと持っているものの価値をきちんと把握しておいて、
子どもが成績がふるわなくて自分に自信を失いかけているときも、
親御さんはぶれずに支え続けてあげることが大事だと感じているのです。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


こうした話をすると、ハンディーキャップを持った子を育てている親御さんが、「うちの子には、特別な才能らしきものはひとつもありません」とおっしゃることがあります。
でも実際は、そうしたハンディーを持っている子こそ、そうした特別な能力を持っているものです。
才能や強みというものを狭い選択肢の中で限定して捉えているために、
隠れている能力が磨かれずにそのままになっている場合が
ほとんどなのです。

才能や強みに関しては、
また次の機会に少しずつ記事にしていきますね。

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今日からオンライン教材の発売を開始します♪

2011-03-28 08:42:11 | 日々思うこと 雑感
今日からオンライン教材の発売を開始します♪

楽しみに待っていてくださった方々、ありがとうございます。
このブログの左上の
『虹色オンライン教室学ぶことが好きになる工作遊び』
の文字とイラストの部分をクリックしていただくと、
サンプルが見られるページにつながっています。
ぜひごらんになってくださいね。
どうぞよろしくお願いします。

科学クラブ と プログラミング

2011-03-27 15:51:46 | 日々思うこと 雑感

科学クラブの★くん(今年小2です)が、お家で駅の電光掲示板を作ってきてくれました。
工作慣れている★くんは、回転の仕掛けを考えたり、
パソコンで文字を打ち込んだりする作業も全て自分でしたそうです。
感心したのは、円周を直径×3.14で計算して、
巻く紙のたての長さを計算し、それに合わせて文字のサイズを考えて作っていたことです。

↑時間ごとに、さまざまな場所の温度を調べて表にしてみたそう。
興味を持ったことがあると、自分で表を作って整理してみる習慣がついてきたようです。


はじめてC言語チャレンジする★くん。
頭の回転が速くて完ぺき主義の★くんは、
たちまちプログラミングのコツを覚えて、
自分で『明解 C言語』本を見ながら課題通り作りはじめました。
見たことがない漢字は、手書きに切り替えて(親御さんがしている姿を見て覚えたそう)ちゃんと打ち込んでいました。

それを見た息子が、
「ただ本を見て試していくだけでは、しまいに飽きてしまうかもしれないし、C言語の場合、数学についての知識がある程度ないと、
できたからといって意味が感じられなくなるかもしれないよ。
だから、どんどん新しいものを試していくという方法ではなくて、
4つくらいの使い勝手のいい形式を覚えて、少ない知識で、いろんなことを幅広くやってみるというのがいいんじゃないかな?」
と言って、
最初に覚えたら良いというものを4つカードに書いて、
科学クラブの子たちが喜びそうな会話遊びのプログラムを考えてくれました。

カードは次のようなものです。(ひとつだけ、この画面に書き込むことができないものがあったので省略します)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
purintf("こんにちは");

「こんにちは」と表示する
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
scanf("%d",&x);

xに数字を入れる 変数x
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
if(x==1){ことばA}else{ことばB}

x=1なら、ことばAをする
それ以外なら、ことばBをする
変数x
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


息子が作ってくれたプログラムは、
パソコンに話しかける言葉を次のような4択から選ぶと、
パソコンが返事を返してくるというものでした。

1こんにちは
2いい天気だね
3「あ」ってなんのこと?
4こんばんは

子どもたちは、最初に話しかける言葉と、その言葉に対して返ってくる言葉からなる会話のパターンを考えるのに大盛り上がり。
「パソコンにはあまり興味がない」と言っていた女の子まで、夢中になって文字を入力していました。
息子の作ってくれたカードを使って、子どもたちは元のソースプログラムを応用させて会話が次につながっていくようにしたり、
同じ会話を10回も繰り返させたりして喜んでいました。


今回の科学クラブでは、他に片栗粉を使ってダイラタンシーの実験をしたり、植物の標本作りをしたりしました。
片栗粉を使ったダイラタンシーの実験は簡単にできて幼い子たちもとても喜ぶのでおすすめです。
『片栗粉 ダイラタンシー 実験』で検索すると
実験の仕方や実験の動画が見つかると思います。

科学クラブの手伝いをしてくれた息子は、
子どもたちが心から楽しそうに熱中してくれていたことがうれしかったようです。
「一見難しそうに見えるものに物怖じしない……という態度が身についているかどうかで、できることが全然違ってくるよ。
面白い、もっと学びたいって気持ちを壊さない工夫は大事だね。
大学に入ったら、ボードゲームやカードゲームを使って数学の面白さを子どもたちに教えるボランティアでもしようかな?」と言っていました。

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勉強のこと 教育のこと 親子の会話 1

2011-03-26 19:58:16 | 日々思うこと 雑感

「教室に子どもたちが触れて遊べるように
いろんな立体を置いておくといいよ。
三角錐とか正二十面体とか……。
図形問題を解いていると、子どもの頃に遊んでいたかどうかで
得意不得意がはっきり分かれるなって思うことがよくあるんだ。
ぼくは幼稚園くらいの頃、よく さいころ作りしていたじゃん。
だから立方体が出てくると難問の場合でも、自在にイメージできるから
すぐ解けるけど、
実物を見たことがないものだと、形はわかっていても
それを切断したり回転させたりして考える段になると
思うようにいかないときがあるよ」
息子からそんな話を聞いていたので……

今日のレッスンで4歳の★くんが、工作で列車を作っているとき
正面がカーブになっているのにこだわって改良している姿を見たとき
ちょっとうれしくなりました。
工作って図形や角度と触れる良いチャンスですね。




もうひとつうれしかったのは、
リニアモーターカーの模型を見てきたという★くんが、「リニアモーターカーの線路を作る!」と言いながら
裏にテープがついている磁石とクリップを並べていき、
最後に折り曲げて、(折り曲げるときは少し手伝いました)
「そんなアイデアがあったの?」とびっくりするような作品を作ったときです。
★くんが言うには、リニアモーターカーの線路はこんな風になっていたそう……。
★くんはこれまで何度か工作のワークショップに来てくれていたのですが、
(わざわざ東京から大阪まで)自分で作ろうとせずふざけてばかりだったので、
親御さんが「いつか ちゃんと作る日がくるのでしょうか?」心配していたのです。
それが、4歳を過ぎた頃から、
ワークショップで見たお兄ちゃんおねえちゃんの作品を思い出しては、どんどん作るようになったそうです。

「ずいぶん経っても覚えているものですね……」
と★くんのお母さんは驚いた様子で話しておられました。

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大学受験の勉強をしていると、高校受験までと一線を画する問題と出会うことが多いという息子。
そうした大学受験で初めて目にする問題を見るたび、
今の小中高で習う学習内容のバランスの悪さに気づいて、
母である私が、『適当』とも『いい加減』とも見える無計画な方法で、
子どもたちに教えたいと思っているものが何なのかわかる……
といったことを口にします。

レッスン後に、子どもたちが混ぜ合わせて実験した
かたくり粉やわらびもち粉や紅茶の茶葉などを片づけていると、
小腹がすいたんで一服しにきた……という息子が話しかけてきました。

息子  「今の時代、演繹的な方法だけに偏って教育しすぎ
なんじゃないかな?
まず公式や正しい方法を教えて、そうした普遍的な前提から、
それぞれ個々の結論にいたるって方向だけが
勉強だと子どもに信じさせている。
でも、日常のいろんな場面や実験してみた結果から、
帰納的な判断をするような学習が、
もっとあってもいいと思うんだよ」


私  「帰納的な判断をするような学習って、どんなもの?」


息子 「子どもっていろんなことを実験するのが好きじゃん。
実験室でするような実験じゃなくても、
物を投げてみたり、いろんなものを混ぜてみたり、引っ付けて見たりさ。
そうして、いろいろやっているうちに、
ボールが下に落ちるのは何でだろう?
こういう結果が得られるということは、
こういう法則やルールがあるんじゃないかな?って、
最初に公式や法則を生み出した人の思考を、
子どもが自分でたどってみるのも必要だと思うんだ。

もちろん間違いもあるだろうけど、
帰納的な方法で考えるって方向で考える経験していると、
演繹的に考えるときにも、
メタな視点からそれを眺めつつしっかり理解するってことが
できるようになるんじゃないかと思ってさ。

京大の過去問でも東大の過去問でも、
その問題の問うていることが、
シンプルな形にするとどのような種類のものなのか
察することができると、
とても簡単になることがよくあるんだ。
たとえば、京大の有機化学の問題でも、その背後に
『これは赤くて丸くて甘すっぱいものです。なんでしょう?(答えはりんご)』という幼児向けのひねりのないなぞなぞのような形が
透けて見える場合がよくあってね。
それさえ見抜けていれば、
後はひとつひとつ見落としなく確認していけば解けるんだよ。

今日、解いていた同志社の過去問にしても、
Cランクのn次方程式の問題だから、
問題の式そのものはすごく難しいものなんだけど、
大まかなグラフを描いて、
接線を引きつつ、どんなに式が複雑になっても
たったこれだけの線と、
その関係を表しているっていう
背後にあるシンプルな形がわかっていると、
こうすれば解けるって手順が見えてきたよ。

つまり何が言いたかったのかというと、
問題がどんなに難しくても、
『それって要するにどういうこと?』っていう幼児や小学生でも感覚的にわかってるものをつかんでいくことが大事だと思うんだ。

そのためには、子どものときから演繹的に考えるだけじゃなくて、
帰納的に考える体験もいるよ。」


私 「ああ、それは、私も教室で大切に思っていることよ。
この間も、子どもたちが、『先生、いろいろ混ぜて実験したいから、しょうゆとか酢とかブクブク泡が出てくる粉とか、片っ端から持ってきてよ』と言うから、危険な気体が出ないものと、
あまり食べ物を粗末にすることがないようにっていう最低限の気配りだけして、いろんな固体や液体を用意してあげたの。

そしたら、それは喜んで、ベタベタの何かわからないようなのをいっぱい作っていたわ。
こんなの理科の実験でも勉強でも何でもないっていえば、返す言葉もないけれどね。

そんな風に好き勝手に『あれも入れてみようよ』『それも混ぜちゃえ』って遊んだ子たちに、
日能研の中学受験用の問題集の
『水溶液とその性質』の範囲の問題を見せて、
『もっともっと粉ちょうだい!もっと溶かしたい!溶けなくなったからお湯ちょうだい!って大騒ぎして、いっぱいいっぱい粉放り込んでたのが、このグラフの縦軸のどんどん数字が大きくなってくところよ。

横軸は温度。温度が上ると、溶けるよね~なんて説明すると、
突然、意味のわからないグラフや言葉の羅列だった理科の入試問題が、
身近なわかるものになるのよ。

いろいろ溶かして遊んだ後で取り出すとき、
火にかけたらいいとか、コーヒーフィルターでこしたらいいとか、子どもたちに自由にアイデアを出させて、

いろいろ実験してみると、その実験が教科書とはかけ離れた無意味なものでも、
そこでも★(息子)が言う『それって要するにどういうこと?』を
複雑そうな問題から読み取ることができるようになるの。

でも、理科実験室で教科書の実験を先生の指示通りしてみたんじゃ、
『それって要するにどういうこと?』がわかるようになる子は少ない
はずよ。

実験でめちゃくちゃさせれば良いって言ってるわけじゃないの。
★(息子)が言ってたように、帰納的な方法で頭を使ってみる場が
そうした気づきにはいるんでしょうね」


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