発達に凹凸のある小学1年生の★くん、2年生の☆くんのレッスンの様子です。
★くんのお母さんから、このところ国語のテストの文章が長くなってきたので、
読むのが面倒なのかテスト自体を放棄してしまうため、
0点近い点数になってしまう……という相談をいただきました。
そこで、今回の学習時間には、前回に引き続き
国語の長文問題を解いてもらうことにしました。
(国語の話題は後から書かせていただきますね)
★くんも☆くんも、工作が大好きです。
ふたりとも「こういうことをしよう」とイメージしたり、
どのような手順で取りかかるのか計画したり、状況を把握しながら
柔軟に物事に取り組んでいくことをかなり苦手としている子たちです。
でも工作に親しむうちに、
工作やブロック遊びの中では、目標に向けて計画を立てて、準備から完成まで
自分の力でやり抜く力がついてきました。
☆くんは1年生の後半くらいまで、
ちょっとでも手間がかかりそうだったり、頭を使わなくてはならないような
活動を嫌がって、ゴロッと横になったり机につっぷしたままになってりして、
「え~やりたくない~」と言い続ける癖がありました。
自分の好きな遊び以外、何をするにも消極的なものですから、
「やりたくないからやらなくて、やらないからできない、できないからやりたくない」
という悪循環に陥っていました。
それが、1年生の終わり頃から、
工作やブロック遊びがだんだん楽しくなってきて、お家でもよく作るようになり、
学校でも先生やお友だちから「工作上手」と一目置かれるようになってきました。
工作に関して、自信がついてきた○くん。
急に、それまで嫌がって避けていたことも積極的にやりたがるようになってきました。
ゲーム類もそのひとつ。
「ゲームをしようか?」と誘うと、初めてする少し難しそうなゲームでも
「する!する!」と大乗り気でした。
今回は、えれめんトランプとマティックスという計算ゲームをしました。
どちらも初めてのチャレンジですが、楽しく遊べました。
↑★くん、☆くんの自信の源となっている
「自分の中でイメージしたものを、アウトプットできる」という技能です。
今回は、戦隊物のカードを作っていました。
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それでは国語の学習の様子を……。
★くんは知力が高く語彙力もある子です。
ですから1年生のテストが全然わからない、ということはなさそうです。
ただ★くんの能力には大きな凹凸がありますから、
国語のテストの形式が★くんの凹にあたる苦手な作業を含んでいることが
考えられました。
★くんは、何でも白黒つけたがるところがあります。
何をするにも0か100かで両極端。
「難しそう」「面倒くさそう」と感じた時点で、取り組むのを放棄して
白紙に近い答案を出しているのかもしれません。
そこで、★くんと☆くんに最レベの国語問題集の小学2年生の最高レベルの問題を
プリントして自分たちで解けるところまで解いてもらうことにしました。
どうして国語のテストを白紙で出してしまう★くんにまで、
2年生の難しい問題を用意したのかというと、
ある程度、読む文章が長くて、問われていることの種類が多彩でないと、
どこでどのようにつまずいているのかはっきりしないし、
解き方のコツが身につきにくくもあるからです。
ただ漢字については習ってないものはできませんから、先に教えておきました。
☆くんは少し前まで語彙量の少なさが気になっていた子です。
前回のレッスンでそうした語彙量の少なさを補うために、お家でする取り組みについて
☆くんのお母さんと話しあいました。
<前回のレッスンの様子です>
国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 1
国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 2
国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 3
国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 4
国語の学習につまずきがある子に教える時に気をつけていること 5
このレッスンから2ヶ月半ほど、毎日ではないものの
公文式の小学ドリルの『文章の読解』と
『ちょっと難しい1000の言葉』をお家でしているうちに、
語彙の意味を推測する力がついてきて、
国語の問題が解けるようになってきたそうです。
確かに、☆くんは今回テストした国語の読解問題を解く時も、
以前はつまずいていた「どこで」や「なぜ」や「だれと」といった質問に対して、
ちゃんと正しい答えを書きこんでいました。
★くんにしても、最初はどこから読み始めたらいいのか、どこから手をつけたらいいのか
混乱していたのですが、
解いていく時、どこを読めばいいのか、わからない時どんなことをすればいいのか
話合った後からは、自分で最後まで解いていました。
普段の会話では
自分の思っていることを的確に表現することができる★くん。
長文の読解問題も1学年上のものでも
これといったわからない問題はないようでした。
でも、いったん「わからない、わからない」と言いだすと、
「問題を読み返せばいいんだな」とか、
「わからない問題は飛ばして、次に進めばいいんだな」といった判断が
できなくなって、パニック状態に陥るところはありました。
そうかと思うと、「わからない時は、どうすればいいんだった?」
「どこらへんに問題の答えがあると思う?」と問うと、
「ここらへんを……」と言って、問題文を指したかと思うと、
「わかったわかった」と続きを解き始めます。
★くんは、知的な能力は高い子なのですが、見本通りに図や文字を写していくといった
アウトプットしていく力が極端に弱いことは、
病院で受けた知能検査の結果からも指摘されています。
そうした凸凹ゆえに、頭では理解できていても、できない、ということが
あれこれあるのです。
でも学校に支援をお願いしても、凸凹の凸部分の知能の高さを理由に
困り感に対応してもらえずにいるそうです。
外からは、「できるのに怠けているだけ」「わかっているのに反抗しているだけ」
にしか見えないのですよね。
虹色教室でも、すぐに効果がでるようなサポートはできないのですが、
「実際に長文問題を解いてみてできた」とか
「わからないと思って、困ってしまったけれど、落ち着いて、
こういうふうにしたらできた」といった成功体験を積ませて、
見ただけで拒絶することがなくなるように導いていこうと思っています。