虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもの個性にあわせたおもちゃ選び

2022-11-14 10:55:46 | 子どもの個性と学習タイプ

虹色教室にはさまざまな種類のおもちゃがあります。

そのひとつひとつのおもちゃについて、「遊んだらそれでおしまい」「ちょっと遊んだら飽きちゃった」という結果で終わらないように、いろいろな工夫をしています。

今回は、教室でどんな工夫を凝らしているのか書いていこうと思います。

おもちゃを選ぶとき、木製などの質の高いものを与えなければならないか…というと、必ずしもそうではないと思います。

子どものタイプによって、おもちゃの質より遊び方や自由度が大切で、100円グッズや紙があれば十分…という子もいるのです。

うちの子たちもそうでしたし、特に息子は、紙とえんぴつとハサミさえあれば満足している子でした。

教室の2~3歳の子にもこうした子はいて、おもちゃの扱いは少し雑なのですが、自分のこしらえた工作物は、宝物のように大切にしています。

目で見るものより、想像したことや見立てたこと、アイデアやルールに惹かれるようです。

質のよいおもちゃにじっくり取り組むことも、材質よりもその背後にある想像の世界に遊ぶことも、どちらも優劣つけがたいことです。

どちらが良いかでなく、子どもの個性と気質と学び方によって、おもちゃ選びのポイントはずいぶん変ってくると思います。お金のかかり具合も、雲泥の差ですが…。

感覚が優れていて、クオリティーの高い材質やデザインのものに惹かれる子は、歳、2歳の子でも、ヨーロッパ製の木でできた教具を何度も何度もやりたがったりするのです。

その繰り返しのなかで、ほんの少しのペグの高低や木製ビーズの形の違いを見分けるようになります。

まるで指先に目がついているようで、そうした子の遊ぶ姿を眺めていると、いつも、強い感動を覚えます。

そうした子は、遊ぶごとに数学的な感性が高まっていくようです。 遊びながら科学の法則を学び取っていきます。(幼児は幼いほど材質の違いに敏感なので、まだ自分で選べないような小さな子に知育玩具を買い与えるときは、できればプラスチックではなく、材質もデザインも色の配色も優れたものを選ぶ方が良いと思ってます。)

一方、おもちゃの材質ではなく、目に見えない価値に惹かれる子には、おもちゃを与えるより、道具やアイデア(博物館や人形劇、工作物の展示会などに連れて行ったり、作品集やカタログなどをたくさん身近においておく)や、自由な時間や手助けや褒め言葉、いっしょに遊びに付き合ってあげることなどが大切だと感じています。

お金がかからない分、労力や配慮はたくさん必要です。

この写真↓は小学生の頃、息子が手作りしていたゲーム類(モノポリーらしい)の一部です。

ゲーム好きなので、人生ゲームとかモノポリーなどを気の遠くなるようなエネルギーを注ぎ込んで作っていました。何百枚というカードの全てに、従来のゲームを参考にしながら…自分で考えたさまざまなアイデアを盛り込んで書き込みをしているのです。息子にとっては、おもちゃの質よりも、自分の頭のなかのアイデアと作る過程に魅力があったのだと思います。

おもちゃの与え方について考えさせられるこんな話があります。

17回現代日本美術展大賞を最年少で受賞し、テレビ番組の『ウゴウゴルーガ』や、音と光を奏でる楽器『TENORIーON』などを手がけ、絵本の『100かいだてのいえ』の作者でもある岩井俊男氏の子どもの頃のお話です。

あるとき、母親から「もうおもちゃは買いません」と言われたのだそうです。かわりに工作の道具や材料を与えられたことからものづくりに目覚めたのだそうです。
高価なおもちゃを買うもよし…。おもちゃを与えないもよし…。どちらにしても、想像力と創造性に満たされた家庭内の空気が大切なのでしょうね。

工夫その1
おもちゃで遊んで興味を持ったら、易しいシンプルな作り方で、工作でそのおもちゃを作り、原理がわかるようにしています。

「どんな形をしているのか。どんな仕組みで動いているのか。そっくりに作るにはどうすればいいのか。どんな素材を使えばいいか。うまくいかない時にはどうやって解決するのか」 おもちゃをよく観察して、身近にある材料で再現しています。

工夫 その2

 ひとつのおもちゃでいろいろな遊び方を考えます。たとえば、↓のリンクは「くもんのキューブ積み木」というおもちゃを使った遊び方の工夫です。遊びだけでなく、小学校受験問題や、小学生の算数の教具などにも活用しています。

★くもんのキューブつみき 虹色教室風遊び方!? 1

★くもんのキューブつみき 虹色教室風遊び方!? 2

★くもんのキューブつみき 虹色教室風遊び方!? 3

★くもんのキューブつみき 虹色教室風遊び方!? 4

このように、どんなおもちゃもいろいろな使い方をして遊んでいると、子どもの思考力や発想する力が高まってきます。

また、「新しいおもちゃがほしい」と思った時に、お家にすでにあるおもちゃに少し手を加えたら、その遊びができることがよくあります。

例として、「豪華なドミノ」がほしかった場合、レンガ積み木とブロックを使って遊んだ時の様子と「カナヤック」のゲームを、「生き残りゲーム」を使って遊んだ時の様子を紹介します。

ドミノは楽しく遊びながら、数に強くなったり、指先の巧緻性が高まったりするよいおもちゃです。
おうちにあるドミノをさまざまな仕掛けのある豪華な…??ドミノにする方法を紹介します。デュプロで作る段差です。
台になるブロックを写真のように少しずつずらすことで、安定した台ができます。
小さいサイズのブロックだとだとさらに細かいしかけも作れると思います。

ハバ社のイヌイットの魚釣りをモチーフにした ☆「カヤナック」というゲームがあります。以前、おもちゃコレクターの方から、教室にお借りしていたのですが、とても魅力的で子どもたちが大喜びで遊びました。

ただこのゲーム、つり竿が大きくて、先がとがっているので、つい夢中になって他の子のしているのを覗き込もうとしたり、つり竿を振り回したりすると危険なので、ヒヤヒヤ……。それと、魚の代わりの金属の玉が、あまりに小さいので、遊んでいるうちに無くしやすいという難点もありました。

そこで、生き残りゲームの盤とジオマグの磁石を使って、このゲームを再現。イヌイットの世界の素朴な美しさはほぼ皆無……ですが、子どもたちには大盛況でした。

100円ショップで売っている「ジオマグもどき」と、お家の空き箱でも楽しく遊べるので、おすすめです。

魚釣りの竿にジオマグの棒を使うと、かなり短い状態で遊べる上、長い竿として使っているときも、磁石でついているので、危なくありません。幼い子の魚釣り遊びにぴったりだと思いました。子どもは魚釣り遊びが大好きですが、おもちゃのつり竿は転んだり取り合うと危険なので、安易に渡せないですから。

また、釣ったとき、金属の玉が磁石に引っ付いてくるのを、子どもは喜んで数えます。「落ちそうで、落ちない……」のって、ドキドキして面白いですよね。生き残りゲームでカヤナック遊びをする場合、金属の玉を穴の中に落として仕掛けておき(くぼみがあるので、きちんとおさまります)自分の番のときに、レバーを動かして、魚を探しつつ、魚釣りを楽しみます。


 工夫 その3

まだその遊びをするのは難しい月齢の時には、ルールを「赤ちゃん向け」「幼児向け」に変えて、子どもが楽しめるレベルにしています。

★ブロックを買ったものの、ひっくり返して「おしまい~」です…

★ウルトラマンカードの遊び方♪

★「チケット トゥ ライド」幼児も遊べる遊び方 1

★「チケット トゥ ライド」幼児も遊べる遊び方 2

★「チケット トゥ ライド」幼児も遊べる遊び方 3

★「チケット トゥ ライド」幼児も遊べる遊び方 4

★「チケット トゥ ライド」幼児も遊べる遊び方 5

★「チケット トゥ ライド」幼児も遊べる遊び方 6


感覚、思考、直観、感情タイプで違う勉強のモチベーション

2022-05-23 13:30:08 | 子どもの個性と学習タイプ

私が子どもたちの学習を見ていてしみじみ感じるのは、それぞれの性格タイプによって「やる気のもと」となるものは異なるし、「勉強嫌いの原因となるもの」もずいぶん違うということです。

十把ひとからげに「子どもは競争を好むもの」とか、「子どもは褒められればがんばる」といった捉え方をしている場合には、性格タイプによる勉強との付き合い方の違いを知ると、少し考え方の幅が広がるかもしれません。

 

それでは、算数の学習について、それぞれの性格タイプの「やる気のもと」と、「勉強嫌いにさせないコツ」について私の考えを書かせていただきますね。

 

感覚タイプの子は、コツコツと几帳面に作業をこなしはじめると、そうした作業そのものにモチベーションを感じることが多いです。

幼い頃、パズルをしたり、モンテッソーリの教具のようなもので遊びだすと、ひとりで何度も繰り返す時の達成感が、そのまま学習の動機となりやすいです。

感覚タイプの子は同じペースで持続していくことは好きだけれど、直観的なひらめきを求められる頭脳パズルのような問題は、慣れないと嫌がることもあります。

感覚タイプの子を勉強好きにしようと思えば、毎日自然に繰り返したくなるようなスローステップの良質の教材を与え、手で触れる教具で五感から学ばせ、このタイプの子を不安にさせる無理な負荷をかけないことだと思います。

黙々と同じことを繰り返す期間が長いので、進歩していないように感じるかもしれませんが、そうした易しい作業を通して、単にそれができるようになるだけでなく、多い少ないや増減の感覚を自分の内面に発達させていきます。

すると、「この子、天才?」と驚くような数学的なセンスを発揮するようになる子が多いです。

感覚タイプはお金の計算をするのも大好きなので、おこづかいを与えることも算数好きにするポイントです。

 

思考タイプの子は、思考を必要とする「考える」問題を与えことが強い学習意欲につながります。

思考タイプは圧倒的に男の子が多いようです。(ユング派の心理学者の秋山さと子さんが、「女性の思考タイプはほとんどいない」と書いているのを読んだことがあります)

すでにできている漢字を何回も書かされたり、作業的な学習が続くと勉強を嫌がることもあります。

放っておいても高学年くらいからは成績が伸びてくるはずです。

 

直観タイプは、好奇心を刺激される算数クイズのような問題や、ボードゲームやカードゲームで頭脳を使うようにしていると、勉強好きになっていきます。

当てずっぽうで解いているように見えるときもあるので、調子よく学習しているときも、答えを出すまでの道筋を言葉にするのを手伝っていると、思考が発達してきます。

このタイプに易しい問題ばかり解かせると、考えずに勘で言い当てることが勉強だと思い込むので、そこそこ骨のある問題を絵を描いて解かせるなどの工夫が必要です。

また、漢字練習や計算練習などの地味な作業を極端に嫌い、かなり思考力のある子に限って、作業の量が多すぎると、深刻な勉強嫌いに陥るかもしれないので注意が必要です。

 

感情タイプは、人から褒められることや認められること、みんなの注目を集めること、友だちといっしょにわいわい活動することが学習のモチベーションとなります。

人と関わるのが好きで要領もいいので、言語能力や記憶力が高い子が多いです。

(言語能力や記憶力があまりよくない感情タイプの子は劣等感を抱きやすく、非常に繊細で、言葉を介さない面では、大人並みに人を観察していて、人が自分をどのように評価しているかなどに敏感なため、特別に気をつけて育てる必要があると思います)

感情タイプの子は、場の空気を読むのがうまくタイミングよく物事をこなすのが得意ですが、ひとりで「考える作業に集中する」ことを極端に嫌います。

感情タイプの子は、感覚が補助機能でもあるので、コツコツする作業もそれほど苦手ではないので、記憶力がよい子の場合、「先に解き方と答えを覚えてしまって、さっと答えを出して、即座に周囲からの注目や賞賛を浴びる」というスタイルで、ある時期までは、たった1分間すら考える作業を持続できないまま優等生として過ごしていることもよくあります。

でも、感情タイプの子は抽象的な思考を毛嫌いすることが多く、いつも満点を取っているような子でも、ほんの少しの時間でも「考えを練る」ことが耐えられない……熟考なんてとんでもない……という子もよくありますから、小学校高学年以降の学習でつまずきがちなのです。

特に、親御さんも感情タイプの方だった場合、一度つまずくと、なかなか持ち直せないときがあります。

というのも、感情タイプの親御さんは、子どもが幼児期や小学校中学年くらいまでの期間に、効率的に「できるようになること」や「よい成績を取ること」だけに注目して、自分で工夫したり、遠回りでも自分で考えたりすることを、時間の無駄だと捉えて子育てしていることがよくあるのです。

生活の場面でもそうした傾向は強いです。

親御さんのそうした合理的に効率的に良い結果を出そうとする態度は伝染して、もともと「学習内容への興味は薄いけれど、そこから得る結果には強い関心がある感情タイプの子」に対して、

「華々しい結果を出せないなら、全く何もしない方がまし。でも、考えることは嫌」

「自分の勉強ができないのは、先生の教え方が下手だから。塾や家庭教師を変えるといい成績が取れるはず。でも自分で考えるのは嫌。自分が変わるのは嫌」

という考え方をするように仕向けてしまうことが多々あるのです。

順調に物事が進んでいるときにも、親が自分の性格タイプの長所と弱点を把握しておくことが大事だと思っています。

人の心から影響を受けやすい感情タイプの子らは、堅実でぶれない大人の考え方の下では、着実に苦手な面を克服していって、人を惹きつける魅力ある性質に磨きをかけていきます。

感情タイプの子の多くは、「あんなふうになりたい」というあこがれの人を見つけて、努力します。

良い出会い、良い人間関係が大事です。

でもせっかくあこがれるような人と出会っても、それまでに強い劣等感を抱くようになっていて、嫉妬や憎しみしか感じられないようになっていては、せっかくの感情タイプの子の長所が発揮できません。

感情タイプの子は、憧れの対象を見つけると、火事場の底力のようなすごいパワーをみなぎらせてがんばりだすことがあるのです。

このタイプの子はたいてい、「思考ができない」のではなくて、「思考が嫌い」なのです。

食わず嫌いみたいなものなのです。

『ユングのタイプ論』に次のような一文があります。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

感情タイプが思考できないと考えるのもまた、大きな間違いである。

彼らはとてもよく考えるし、深くて素晴らしい本物の思考や非凡な思考すすることも非常に多い。

しかし彼らは気まぐれなのだ。

たとえば、感情タイプにとって試験の間に適切な種類の思考を引っぱりだすことは難しい。

(『ユングのタイプ論』M.L.フォン・フランツ J.ヒルマン/創元社P 27より)

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

親はこのタイプの子の自己肯定感を高めるために、勉強の成績とか、特技とか、態度といったものと関係なく、子どもが存在するだけで、その子の存在を丸抱えにあるがままで愛して認めることが、他のどのタイプより大切なのでしょう。

 

感情が優れている子 と お勉強 1

感情が優れている子 と お勉強 2

感情が優れている子 と お勉強 3

感情が優れている子 と お勉強 4


拡充学習 と教室の活動のまとめ

2022-04-03 13:09:36 | 子どもの個性と学習タイプ

虹色教室ではレンズーリの「拡充学習」を参考にして活動しています。

レンズーリは、子どもの潜在能力を伸ばすために「拡充の三つ組モデル」と呼ばれる組織化のモデルを用いています。

 

<拡充の三つ組モデル>

タイプ1 一般的探索の活動

全生徒が対象。一般的探索の活動からなり、普通カリキュラムではあまり取り上げられないような、新しくておもしろいトピックや考え方、学問分野に子どもが触れられるように計画されている。

その活動は、さまざまな種類やレベルの継続学習への「招待」だと子どもが自覚している。

多様な種類の継続学習のために、種々の機会や物的資料、奨励がある。

 

 タイプ2 集団訓練の活動

広範囲の「処理技能」を発達させるように計画されている。

①認知的訓練(分析、組織化、批判的思考、創造性)

②感情的訓練(内省的、対人的、人生の危機への対処)

③学習の仕方の学習(聴く、認識する、ノートをとる、要約する、面談・調査する、データーを分析する、まとめる)

④研究と参照の技法

文章や口頭、視覚的手段による発表技法。

 

タイプ3 個人、小集団による現実の問題の探求

子ども個人や小集団の興味にもとづく必要がある。

子どもは自分が探求しようとする現実の問題を「抱え」なければならない。

発表相手に意図した結果をもたらすような、本物の成果を発展させる。

種々の学習スキルを自分で使えるように向上させる。

課題への傾倒、自信、達成感、人とのやりとりなどの感情面のスキルを発達させる。

 

三つ組モデルの特徴

<一つ目> 自然なやり方で学習する

「外的な刺激」「内的な好奇心」「要求」、あるいはこれら三つの出発点となるものの組み合わせによって、あるトピックや問題、研究分野への興味を伸ばす。

 

<二つ目> 部分の合計より多い

三つのタイプの拡充間の「相互作用」が、それぞれのタイプの拡充や、それらの合計全体と同じように重要であること。

 

<三つ目> 個人的知識

子どもが自分自身の能力、興味および学習スタイルについて「個人的知識」を得るように計画されている。

 

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虹色教室では、小さな教室でできる範囲なのですが、このレンズーリの拡充の三つ組モデルを参考に主な活動(算数レッスンの時間以外の活動)を行っています。

そうすることで、最初に子どもとする活動が、簡単な影絵遊びのようなものでも、その活動に触発されて興味を深めていく子らによって、大きなスクリーンで映画を映す活動になり、手作りのプロジェクトマッピングとなり、月の満ち欠けを影絵を使って発表する機会となり、深海の世界を影絵で表現する取り組みにもなりました。

また虫眼鏡を覗く遊びも、生き物の目の仕組みへに関心やレンズや望遠鏡作りや地下の生き物への興味などにつながりました。

形を楽しむ工作も、歴史的建造物への興味や図形の探求、コンパスを使ったさまざまな工作や手作りコンパス、折りたたむしかけ、形を利用したからくりへの興味へと発展しました。

大阪城へみんなで出かけた後には、女の子も男の子も戦国武将や忍者などに夢中になる子が増えました。

 

ほんの一部ですが、日々の活動が、どのように個々の継続的な探求へとつながっているのか、過去記事を紹介しますね。

 

<形の発見>

 形は面白い!

半分の半分の半分の半分

基礎的な発見 <三角形の不思議>

基礎的な発見 <90度を作りだす>

基礎的な発見 14 <正方形の対角線は長い>

 

 <回転への興味>

基礎的な発見 <回転>

基礎的な発見 12 <丸い形>

基礎的な発見 9 <回すのは楽しい 回転はすごい>

 

 <重さの利用>

基礎的な発見 1  <重い>

基礎的な発見 <自動的にエレベーターを上げる方法> 

基礎的な発見 11 <一方が下がるともう一方が上がる>

基礎的な発見 3 <位置をずらす>

 

<「処理技能」を発達させる>

基礎的な発見 16 <すでに身につけている技術を別の場面で利用する>

基礎的な発見 15 <自分が発見したことを報告する>

 

<アイデアを練り、実現する>

 

基礎的な発見 13 <貨車に荷物を積み込む方法>

 

<磁石の不思議>

基礎的な発見 10 <磁石で浮かべる

基礎的な発見 4 <磁石の働き>

 

<ビー玉コースター(ピタゴラスイッチ)遊びでの発見> 

基礎的な発見 7 <長くしてみる 高くしてみる>

基礎的な発見 8 <傾き と 出口の高さ>

基礎的な発見 6 <引っかける> と 「基礎的な発見」のカテゴリーについて

2階建てのビー玉コースター

 

<光と影>

基礎的な発見 5 <光を通す 通さない>

 

年中グループ 影絵のポップアップ絵本作り と 算数学習

 

<折りたたむ>

基礎的な発見 2 <折りたたむ>

新選組の池田屋事件のポップアップ絵本

 

<電流の流れ 電気の基本>

ポケモンGOのゲーム作りが流行中 (音がでます♪)

「もう1回!」と「もっと!」の気持ちがはじける瞬間

 

<大きな数>

100円のひゃくってどれくらい? と 無限大数


内向的直観タイプのわかりにくさについて

2022-04-01 22:19:45 | 子どもの個性と学習タイプ

教室でひとりひとりの子とじっくり関わっていると、その子が「感覚」、「感情」、「直観」、「思考」、どれを主にしてものを考えていくのかよく見えてきます。

とはいえ、見えやすいタイプ、見えにくいタイプというのはあって、子どもの姿の一部分だけ捉えて、「この子は○○タイプだろう」と決め付けてもあまり意味はないと感じています。

「こういう面があるから、この子は○○タイプじゃないかな」という印象は持っても、「やっぱり、○○タイプなんだろうな」と実感するのは、何年もの期間、遊んだり、物を作ったり、考えたり、おしゃべりしたりする姿を見守り続けた後となります。

「この子は、○○タイプじゃないかな」と思っても、関わる時間が増えるにつれて、「最初の印象とは別の○○タイプの子にちがいない」という確信を持つようになる子もいます。

 

教室でスーパーボールすくいのような遊びをする時でも、性格タイプによって、何に熱中するか、何をもっとも面白いと感じているか、どんなことに気づくか、そこから何を学びとるかなどはずいぶん違います。

わたしが、「ちょうど100グラムぴったりになるようにスーパーボールをすくってね」とはかりをだすと、直観タイプの子たちは、コップに入れたスーパーボールを何度か試しに量ってみてから、戦略的に100グラムちょうどになるような方法を編み出そうとします。

「スーパーボールをひとつ取り除くと、はかりの針がこれくらい後ろにさがるから、3個くらい取るといいだろう」とか、「ボールがコップにいっぱい入っている時は100グラムのところよりこのくらい過ぎているから、コップの半分と残りの半分の半分くらいまで入れたら100グラム」といった具合に。

遊んでいるうちに、新たな「こうしたい」を見つけて熱中しだすことはあるものの、本人なりのねらいがあるあたり感覚タイプの子たちとの違いを感じます。

感覚タイプの子たちの子の場合、ひとつのねらいというより「網羅したい」「できるまでやりたい」というあたりにモチベーションがあるので、最初に「100グラムにぴったりになるように……!」と告げていても、スーパーボールを乗せてははかることを繰り返して、1回、1回、「あっ、○グラムだった」「今度は○グラムだった」と確認することが遊びのメインになっていきますから。

 

思考タイプの子たちは、活動そのものには熱心でない場合が多いけれど、はかった重さをまとめた表を見ながらデーターを分析したり、原因や理由について考えさせる場面でいきいきしています。

感情タイプの子たちは、お友だちと同じ目標で動いたり、他の子らをびっくりさせたり感心させたりすることにモチベーションにしやすいです。

見えにくいタイプのひとつに内向的な直観タイプの子が入ります。

 

外向的な直観タイプの子たちは、次々と新しいことに興味を移して「ひらめいた!」とばかりに自分のアイデアを口にするけれど、内向的な直観タイプの子たちは、頭の中は忙しくてしていても、行動はおっとりしていたり、直観の使い方にしても、自分の内面での「あっ、そうだったのか」というひらめきが主なので、外からわかりにくいのです。頭の中で自分の考えを追っている時は、フリーズしたようにボーッとしているので、考えている時ほど、何も考えていないようにも見えます。

 

わたし自身は内向的直観タイプなので、「自分の内面の動きや頭の働かせ方に似ているから内向直観の子じゃないかな」と感じるのですが、他のタイプの子たちに比べて、はっきり目に見える判断材料がほとんどないので、「うちの子の性格タイプは?」とたずねられると、幼児期は、「たぶん、……でしょうけど」「おそらく……でしょう」とあいまいな返事を続けることになりがちです。

たいてい小学校中学年くらいになると、読書の好みやおしゃべりの内容に、内向的直観の子らしさがはっきりしてきます。

 

大学生の息子と話をしていると、「この子はやっぱり内向的直観タイプだな。内向きの直観をよく働かせるんだな。」と実感することが多々あります。

物事が行き詰った時にしろ、普段のちょっとした問題解決にしろ、自分の内面に光を当てることで答えを見いだす姿がありますから。

 

先日もこんなことがありました。

学校で自分の名前をテーマにした作品をプログラミングで作る課題があったそうです。

他の課題の提出時期と重なっていたため、一夜漬けで、「自分以外の人(友人等)の名前の集合体が、クリックボタンを押す度にまぜあわさって、だんだん自分の名前に確率的に近づいて行き、最終的に何クリックかで自分の名前ができあがる」というアルゴリズムを組んでいました。

評価自体はよかったようですが、その出来に、短い時間で慌てて作ったこともあって、何かが足りないという不全感を抱えていました。

そこで、他の作品提出の機会にそれをもう少しいい形で練り直して出すことにしたようです。

再度、作品に手を加えるにあたり、息子なりに、何が足りないのか、これから何に最も力を注ぎ、どういう方向性で作っていったらいいのか、もんもんと考えていました。

というのも、親しい友人に、「○○くん(息子)が60%の力で作ったものは、周囲から絶賛されるけど、100%の力を注いだものは、理解されないよな」と冗談交じりに指摘され、「そういや、いつもそうだなぁ」と苦笑しつつ、単純に、だったら肩の力を抜いて作ればいいんだなとも取れなかったようです。

それについて、息子とこんな会話をしました。

 

息子 「大学にしろ、学会にしろ、評価の場ではあって、現時点に終始していて、すでにどれだけ完成されたものかだけで考えるからさ。

もちろん、社会に出ても、それが重要なのはわかっているけど、作品発表での評価基準が、どうしてもパッと見の受けのよさや外から見た印象……宣伝広告で扱われるような部分だけに重きがおかれててさ、中身の質とか、アルゴリズムの新奇性とか、実際に使っていくなかで引き込まれていく部分なんかはほとんど注目されないのは残念だな。

ぼくが全力を出す時は、自分のなりのビジョンを追ってて、未来に価値を置いているからなぁ……これから面白くしていきたいいろいろな可能性を見ながらさ」

 

わたし 「自分のビジョンの価値に気づいて、守って、温めていけるのは自分しかないんじゃない?」

 

息子 「そうだけど、これまで何か納得できなかった理由は、そうした評価のあり方に不満や不信感を抱いていたというより、あまり考えずに全面的にそれをよしとしてしまって、そうした評価と自分の関係のとり方についてよく考えてこなかったからじゃないかと思ってるよ。

ぼくが中身のアルゴリズムや内容を一番重視するのは、今後、どうあったって変わらない部分だけど、同時にデザインや周囲にどう印象づけるか、外から見て魅力的なものに感じられるようにするのかだって、すごく大事だと思ってることなんだ。

そして、内部になんか少しも興味がないっていう一般的な人が、パッと見で惹きつけられるようなものを作っていく上で、今、先生から得られるアドバイスはすごく役立つし、ぼくに足りない部分だ。

ただ、自分のあり方について何も考えないまま学んでいると、周囲の価値観を取り込みすぎて、自分が一番重要だと思うものが侵食されていくのも事実でさ。

そうすると、成功すればするほど、自分を苦しめる悪循環が生じるよ。

だから、自分の強みであって、長い時間をかけて自分のなかで育てていきたいものを持ちつつ、外の意見に耳を傾けて、足りない部分を学びとっていこうと思って」

 

息子 「名前の作品をもう一度見直してみて、内容はそう悪くないんじゃないかと思って。

これまでもの作品もそうだけど、言葉で説明したり、自分の表現したいことを正確な言葉におきかえる面で全然足りていないんだ。

デザインとか使いごごちの修正ももちろんするつもりだけど……。

たとえば、タイトルを、『他人と自分の境界線』ってのにして、他人の名前だけから自分ができていく様子を、アイデンティティーがあいまいになっていく状態とするとか。

まぁ、これはちょっと行き過ぎたタイトルだけどさ。

『情報から生成される自分』くらいがちょうどいいかな?」

 

息子の話を聞きながら、問題を解決する時に、自分の内面を探索するのは、内向きの直観ならではだな……と妙に納得しました。

 

性格タイプについて興味のある方へ、まとめ記事(記事リンク集)です。↓
子どもの性格タイプについてまとめました


子どもの個性と学習タイプ 見極め講座3

2021-11-28 13:39:00 | 子どもの個性と学習タイプ

今回取り上げるのは
「聞き分けの良い素直で従順な子」
「おじいちゃんおばあちゃん子」
「お母さんといっしょに何かするのが好きな子」
です。

このタイプの子は
利発な子も、甘えたなぼんやりさんもいるでしょうが、親とすれば扱いやすいかわいくてたまらない子ですね。

お手伝いを喜んでするし
「だめ!」と言われたことは2度としない。
習い事も、親のすすめに従って
嫌がらずにきちんと通います。

周囲から「お行儀が良いですね」と褒められ、先生からも特別かわいがられている様子。

子どもにトラブルが起きたら
まず相手が悪いんじゃないか?と誰もが疑ってしまいますし、実際相手が悪い…。

そんな「おりこうさん育て」
実はなかなかやっかいな一面もあります。

まず注意しなくてはならない点は
親が注意したことを、視界や興味から遮断する習慣があることです。

お買い物中、「触っちゃダメよ」と言われたからと
静かに待つことに集中できる子は
常に好奇心ではちきれそうな子に比べて
周囲への関心が薄い状態。

こうした聞き分けの良いタイプの子の小学生が
100円と50円の違いがわからなかったり
基本的なくだものや魚の名前を知らなかったりして、びっくりすることがあります。

また、何でも良く知っているんだけど
大人の受け売りで
少しも自分で考えようとしない子も、このタイプに多いです。

もちろん、外出先でのしつけは大事です。
しかし、もともと聞き分けの良い子をたくさんのタブーで縛ってしまうと、
親の考える小さな枠の中でしか成長しない子になってしまいます。

親自身が周囲から褒められる快感に酔って
必要以上に「理想の良い子作り」に励むことだけは避けたほうが良いようです。

そんなおりこうさんに合う学習法と教える上での注意点など書きますね。

「従順で素直な子」とひとことで言っても
隠れ自己流の子
大人の考え=自分の考え の子と
さまざまだと思います。

また利発でよく本を読み、我慢強く
自分から進んで何でもこなす 
どう見ても何の心配もないでしょう?という子もいます。

ただ、どの子も‥特に利発な子は
思春期以後に
メンタル面(精神面)での
問題を抱えやすいので注意が必要です。

いい子がメンタル面で障害を抱えやすいのは
周囲の期待を先取りして
自分の願望や欲求と取り違えてしまうために起こります。

親がワークを進んでするいい子を期待していると
親が止めても「ぼく、いっぱいいっぱいワークがやりたい!」と言ったりします。

親が選んだ習い事もニコニコして通います。

なら、取り違えてたっていいじゃない?
自分の子に 何よりも素晴らしいものをコーディネートして与え続けていきたい!
と心の底で考えてしまう親御さんもおられるかもしれません。

でも、子どもが成長して自立する時
親と自分の心の境界線があいまいな子は
自分が何がやりたいのかわからなくなって
社会に出るのが不安になってしまいます。

いい子は、元がいい子なので
放っておいてもいい子です。
いろんな価値観の(親が良いと思う人も悪いと思う人も)の中で、
おおらかに自由に育てるのがいいと思います。

学習習慣は比較的付きやすいと思うので
最低限のことを済ませたら
子どもの自由な発想に付き合ってあげます。

勉強も
おばあちゃんにお手紙を書く
お料理を手伝いながら はかりの使い方を覚える
クッキーを焼いてお友達にプレゼントする
お使いに行ってお金のやり取りを学ぶ など
その優しく素直な心が満足する活動を中心にするといいと思います。


子どもの個性と学習タイプ 見極め講座2

2021-11-22 08:09:53 | 子どもの個性と学習タイプ

次に取り上げるのは
「競争好きな子」
「負けず嫌いな子」
「することが効率的で利発な子」です。

習い事や幼稚園で
すでに他の子より数歩先をいっているので
わざわざ個性について学ぶより
次の習い事は何をさせようか?
とそのことで頭を悩ましているかもしれませんね。

まだ学習面で目立ったところはないけれど
おかたづけで
「さあ だれが一番早く片付けられるかな?よーい、どん!」
とか言うと 
我先にテキパキ働く子!
スポーツもがんばって チームの勝利のために全力を尽くす子。
大人にすると、扱いやすい良い子です。

が、このタイプの子をわざわざ取り上げたのは
幼児期から気をつけないと

テストはできてもわかってない子

になる可能性が高い子でもあるんです。

効率的な子というのは
今周囲から期待されていることに100パーセント
力をそそげるので
良くできる子でいられる確率は高くて当然です。

しかし、無駄や道草の中にある
本当のものや感覚的な気づき、深い思考を
常にスルーしての1番!2番!でもあるので、後々その
無駄と道草をまとめてすることになりやすいようです。

そこで親が無駄に見えることの価値に気づかせ
自分の気持ちを味わう時間を作ったり
芸術や音楽を競わせず楽しみとしてさせていないと…

あるとき自分で超えれないものにぶつかったとき…

100ます計算と漢字テストはいつも一番だったのに
国語の読解問題がやっても解けないー!となった時など

どうして…と思うほど自分をダメな人間だと感じるようです。
東大を目指しているようなエリートの子の中に
ニートになる子が多いそうですが

成功や実績=自分の価値
周囲の評価=自分への愛情

という考えだけで、ひたすら努力してきた子が
挫折した時の苦しみは、そうとう深いのでしょう。

それでは、そうした子の学習法と注意点についてです。

子供が自分から習い事をしたがるので
いくつも習い事を掛け持ちしている子も
多いのではないでしょうか?
おまけに何をやらせても
てきぱきとして積極的なので
習わす側の親も、買い物気分で英語にプールに…と
手を広げてしまうようです。

このタイプの子は本来利発でIQの高い子も多いと思います。
しかし、ここでひとつ幼児期の習い事が
うまくいってしまうことによる落とし穴があるようです。

まだ思考力の発達していない幼児向けの習い事は
繰り返して暗記することを中心に
カリキュラムが組まれています。
そのために、まだ幼いのにそれに適応しすぎた子は 
最初の学習の形を 後々まで引きずってしまいがちです。
そして、このタイプの子は
しすぎるほどに適応してしまいます。

算数脳の育て方(高濱正伸 幻冬舎)という本では
作業ばかり特訓した子が
「言われたことしかやれない」
「工夫や考えのない仕事ぶり」
「応用力が利かない」という
人格を形成することを憂慮しています。

私の知人が、かつて 「幼児教育をすると文系になるから…」と
言っていました。
知人の同僚の子たちの成長を見ていて
結論づけた考えらしいです。
文系そのものが悪いわけではありませんが
幼児教育をすると文系になる…という言葉は
算数の力の多くが外遊びで養われることを思うと
何となく納得してしまう言葉でした。

しかし、もともとこのタイプ、頭の回転が速い子たちですから
親がいっしょになって
子供の競争に一喜一憂せず、
高い次元からおおらかに子供の成長を見守るなら
素晴らしい成果が生まれるにちがいありません。
さまざまなゲーム遊びにも本気で取り組むでしょう。

そして、競争とは別の面で
科学や数学や言語の世界の面白さを味あわせるようにすると
高い目標に向かって努力していくのでは
ないでしょうか?

 


子どもの個性と学習タイプ 見極め講座1

2021-11-19 22:25:44 | 子どもの個性と学習タイプ

たとえわが子でも、個性や才能、その学習タイプは
見極めが難しい~というお声をよくいただきます。

そこで「子どもの個性と学習タイプ見極め講座」
というものを 記事にすることにしました。

1回目は

「自己流120パーセント!の子」です。

親がさせようとしたことには乗ってこず
すぐに好き勝手に遊びだす子です。
集団の場でも、みなが楽しそうにしているものは軽くスルー。
うろうろしながら、落ち着きなく何かをさわります。

ゲームはルールの説明を受け付けず、自分のルール。
積み木遊びは、見本を見せても、積み木じゃないような遊び方。

少し大きな子になると、いろんな知育教材を与えてきたけど
することが幼稚で心配だなぁ…と言う子。
子どもとはいえ、場の空気が読めてないような…
お教室にいったら、みんなができていることが、その子だけずれてるような‥??
ときどきキラリとする面白い発想をしたり。
期待していないところで、すごい集中力を見せたり…

そんなお子さんをお持ちの方はいますでしょうか?
そうした子が持っている素晴らしい才能とその伸ばし方。
適した学習法を紹介しますね。

「自己流120パーセントの子」は
大人の期待になかなか沿ってくれないので
よその子より遅れてるんじゃないかしら??
と思われているケースがよくあります。

でも実際には、
創造力が豊かで、自発的で、勘がよく、頭のいい子が多いです。

外からの働きかけより、自分の内側からの欲求に従うタイプのため
言葉の発達はゆっくりめかもしれませんが
しゃべり始めたら、自分の考えを練って話したりするので
おしゃべりを文章作成につなげやすかったりします。
自分のやりたいことを、もくもくとしているため
やりたいようにしておけば根気もつきますよ。

ただこうしたタイプの子の能力は
わからない方には
わからない…という一面があります。

競争することに興味がなく
他人のすることを真似て学ぶことが少ないので
学校や習い事の場でトレーニングの成果が出にくいのです。


現在 親子レッスンに通ってくれている小学2年の男の子も
そうしたタイプの子です。
いろいろお家でさせてきたものの
どの結果もパッとしない…というお話でした。
しかし、教室でいろいろな遊びをしながら能力を見させてもらうと
とても知能の高いお子さんでした。

その証拠に、小学4年~用の数学検定の問題を教えてみたところ 
それまで習ったことの無い内容を
少しコツを教わっただけで
ほとんど解けるようになったくらいなのです。
数学検定に難問はありませんが
2学年上のものを即座にマスターするには、かなりの知力が必要です。
「近いうちに、数学検定を受けに行かせましょう。」と言うと
お母さんは狐につままれたような顔をしています。 

では そんなに賢いのなら
どうして今まで学校で1番ではなかったのでしょう?
どうしてこれまで お母さんが気づかなかったのでしょう?

それは 自己流120パーセントの子だからです!
自分の興味で動いているので
親や先生が期待しているものに
鈍感…なんですね。
でも こちらがそうした子の興味ややり方に
合わせて
その子の理解しやすい形で説明したなら
うそみたいにできてしまうのです。

こうした子には どんな学習法やワークがあっているのでしょう?
気をつける点は何でしょう?

自己流120パーセントの子といっても
いろんなタイプがあるので
簡単にこんな学習法が良くて このワークがあっている
とは言えないのです。


神経質で慎重で自分のやり方へのこだわりの強い子。

活発でおおらかで 自分のしたいことをいつも優先する子。

習い事や学校では とりあえず素直に従う
隠れ自己流120パーセントの子。

でも この子はちゃんとやっているように見えて 
心は半分どこかへ行っています。
休憩時間や 自由にできる場では 
自分の興味のままに誰もしたことのないような
思いつきで動き回ります。

こんな風に 性質はそれぞれ違うけれど
我流で進むマイペースの子に合う教育法は
型にはまりすぎず
自由度の高いもの
常にその子の創造性を刺激してくれるものがいいと思います。

始めに与えるワークも
「あそびの王さま」シリーズの切る本 ぬる本がおすすめです。 
わんぱくぶっく(サンリオ)・・・
小学校受験や右脳ワークとものと良く似た問題が
サンリオキャラクターの楽しい問題で たくさんチャレンジできます。
どこからでもやりたいページからできる自由さがいいです。

同年代の子と横並びに競いながら学習するものは避け
それよりその子をオンリーワンの存在として
常にその興味をバックアップすることをお勧めします。

科学館や博物館に通う 
質の良いおもちゃ(発展性のあるもの)
図書館に通う習慣
モンテッソーリの遊び
おりがみや工作や実験が自由にできる 
環境を整える。
などして 
その子の才能が育ちやすい環境に気持ちを配ります。

自己流120パーセントの子は
大人の望むように動かないけれど
自分のある環境から 自分のやりたいことを見つけ出します。

つまり悪い環境におけば 悪いものを
良い環境おけば 良いものを
自分でチョイスします。
そして好奇心のままに 自分の能力を自分で育てます。

小学校に上がれば
マイペースながら それなりに指示に従えるようになるはずですが
それまで その子のよい部分(独創性や発想力など)を
押さえられてきた子 認められなかった子の中は
そのころになっても 自分のしたいようにする子もあるようです。
そうならないように 
このタイプの子が親がしるした方法とは違うやり方で何か始めたら
その中にある創造的なものを認めて
柔軟に対応していく方がいいようです。
幼児のうちに自由に自分を表現しつつ
ゆるやかに社会のルールを身に付けてゆけば 大きくなるほど芯のしっかりした子に育つはずです。

ぜったいしてはいけないのは よその子と比べながら育てることだと思います。
どの子も比べてはいけませんが…
このタイプの子を 他の子と比べながら育てると
良い所がひとつも育たなくなります。

虹色教室にも自己流120パーセントの子は何人かいます。
成長がゆっくりな時期も
オンリーワンの子として大切に見守っていると
どの子も 本当にすばらしい能力を発揮するようになっています。


また学校へ上がる頃になっても
自己流120パーセントが激しくなるようなら
個性だけではなく  
発達障害というハンディーが隠れている子も、ごく一部にいます。
子どもの成長を注意深く見守ることが大切です。

続きの記事です↓ その他のタイプの子について書いています。

子どもの個性と学習タイプ 見極め講座2

子どもの個性と学習タイプ 見極め講座3


個性に合わせた自由研究のテーマ選び

2021-07-21 22:39:16 | 子どもの個性と学習タイプ

5年生の☆くんの夏休みの自由研究のお手伝いをしています。
といっても、テーマ選びと全体のまとめ方をアドバイスする程度ですが…。

この「テーマ選びと全体のまとめ方」って
ものすごく大事なポイントだと思っています。

ただ、自由研究の本に載っているものを真似してするだけでは、ただダラダラと作業をするのを叱って終わることになりがちです。

せっかくの夏休みですから、テーマはその子の本質に迫ったものでありたいですね。

幼児期から子どもと学び遊びを共有していると、すぐに取り組みたいテーマが浮ぶし、子どもの方から「次はこんなテーマを研究してみたい!」と声が上がると思います。

それでも、だいたいの子は、ぐずぐず~とテーマを決めるのに悩みます。
そこで親御さんがいっしょにテーマとまとめ方を考えてあげる場合、私がしているいくつかポイントを紹介します。

まとめ方は、その子が普段、遊びなら喜んでする活動を中心にしています。

☆くんは工作好きで、大胆に切ったり貼ったりする作業が好きなので、色画用紙を台紙にして、そうした作品を貼って、タイトルと説明、調べたことを書き込むまとめ方をすすめました。
白いレポート用紙やノートを前にすると、頭が真っ白になってしまう子なんです。

絵が苦手な子には、カメラを渡します。

テーマは、その子の興味や関心を大人の視点から捉えなおしたものがいいように思います。

ビー玉を転がすのが好きな子なら「運動の動きや向き」「傾斜を転がるビー玉の動きについて」

昆虫が好きな子なら「虫の記憶力についての実験」「アリの通り道を遮断するとどうなるか?」

など、本人の普段の遊びを研究と言えるものに近づけてあげるテーマを設定して、参考になる本を用意してあげます。

もしビー玉を転がすのが好きな子に、「朝顔の観察」をテーマにさせたりすると、すごくいいかげんな研究になってしまいますよね。
でも好きなことをテーマにすると、少し難しいテーマでも調べているうちにのめり込んで行きます。

今回、私が、☆くんに選んだテーマも大成功!!でした。
☆くん、ものすごく熱中して取り組んでくれました。

☆くんの自由研究は「動く仕組みの研究」です。
滑車やギアの模型を紙で作りながら、そのしくみや活用法をまとめていきます。

以前、デュプロブロックで動くおもちゃをたくさん作ってくれた☆くんならでは…自分でも回転する仕組みや、見えたり見えなくなったりする仕組みなど、考えだしてくれました。

 

<関連記事>

自由研究 親はどう関わったらいいの?

調べ学習にチャレンジ♪と「会話」の話

うちの子の自由研究の思い出です


創造性の発揮の仕方いろいろ

2020-10-08 18:03:47 | 子どもの個性と学習タイプ

小3のAくんが韓国ドラマにはまったと聞いて驚きました。

『トンイ』のドラマの解説本を片手に教室にやって来たAくんは、

解説本の写真を見ながら手作りしたというドラマの衣装や小道具を

見せてくれました。

といっても、ドラマの一シーンの写真が写っているだけで、

全体にうつっているところほとんどないので、想像力で

補いながら、立体にするために試行錯誤しているのです。

Aくんがもりもり工作する姿になれているお母さんも、「布を使って

服を縫い始めた時にはびっくりしました」とおっしゃっていました。

Aくんの両面テープと針と糸を駆使して作った衣装の数々に圧倒されました。

レッスンの間、Aくんはトンイに出てくる楽器が作っていました。

材料探しを手伝いながら、

「どうやって作るのかな?」と観察していると、ドラマを解説した本にある

小さな写真を必死でのぞきこんで、「ひもはどんな風に巻いてあるのかな?」と、

ひもの向きや巻いている回数なども正確に再現しようとしていました。とはいえ、

全て見えているわけではないので、見えている部分から

現物の姿を知恵をしぼって推測しているのです。Aくんさすがだな、と感心しました。

 

 

 

この日、カメラの充電が切れてしまって、いっしょにレッスンに来ていた小3のBくんの

創作風景の写真を撮りそびれたのですが、

Aくんとは全く異なる方法とはいえ、そちらもすごいな、と見とれていました。

Bくんは、お気に入りの工作本を持ってきて、作りたいものを選び、

説明を読みながら作り進めるのが好きなんです。

説明書通りに作るといっても、

必要な材料をそろえ、本にある通りのサイズに

さまざまな材料をカッターやはさみで切っていき、

最後まで作り上げるのは本当に難しいことです。その都度、新しい技術を

学ぶ必要もあります。説明文を読んで、わからないところは、私にたずねたり、

自分で考えたりして解決していきます。

子どもの創造性の発揮の仕方はそれぞれ異なります。

外から見て、簡単に、こちらが良いあちらが良いと周囲が

評価できるものではなく、

それぞれの自分の手でやってみた体験を通して、

その子自身の内面に宿っているすばらしいものを育てているだな、と感じています。

写真は別のグループの3年生のCちゃんが

いらないCDを使って、回転する太陽系を作ろうとしていた姿です。

Cちゃんは面白い形や面白い動きを自分で見つけ出して

独創的な作品を作るのが好きな女の子ですが、

こうした工作をして帰った後で、「宇宙が始めに生まれる前は何があったの?」

といった質問をして、自分でもずっと考えていたそうです。

 

子ども達、それぞれ算数の力もしっかり身についてきました。

とても頼もしいです。

 


よく読まれている性格タイプについての話題です

2019-02-08 14:03:42 | 子どもの個性と学習タイプ

<内向的直観タイプのわかりにくさについて>という記事が

よく読まれているので紹介します。

この子は感覚、感情、直観、思考の

教室でひとりひとりの子とじっくり関わっていると

どれを主にしてものを考えていくのかよく見えてきます。

とはいえ、見えやすいタイプ、見えにくいタイプというのはあって、

子どもの姿の一部分だけ捉えて、「この子は○○タイプだろう」と決め付けても

あまり意味はないと感じています。

「こういう面があるから、この子は○○タイプじゃないかな」という印象は持っても、

「やっぱり、○○タイプなんだろうな」と実感するのは、何年もの期間、遊んだり、物を作ったり、考えたり、

おしゃべりしたりする姿を見守り続けた後となります。

「この子は、○○タイプじゃないかな」と思っても、関わる時間が増えるにつれて、

「最初の印象とは別の○○タイプの子にちがいない」という確信を持つようになる子もいます。

 

教室でスーパーボールすくいのような遊びをする時でも,

性格タイプによって、何に熱中するか、何をもっとも面白いと感じているか、どんなことに気づくか、

そこから何を学びとるかなどは、性格タイプによってずいぶん違います。

わたしが、「ちょうど100グラムぴったりになるようにスーパーボールをすくってね」とはかりをだすと、

直観タイプの子たちは、コップに入れたスーパーボールを何度か試しに量ってみてから、

戦略的に100グラムちょうどになるような方法を編み出そうとします。

「スーパーボールをひとつ取り除くと、はかりの針がこれくらい後ろにさがるから、

3個くらい取るといいだろう」とか、「ボールがコップにいっぱい入っている時は100グラムのところより

このくらい過ぎているから、コップの半分と残りの半分の半分くらいまで入れたら100グラム」といった具合に。

遊んでいるうちに、新たな「こうしたい」を見つけて

熱中しだすことはあるものの、本人なりのねらいがあるあたり感覚タイプの子たちとの違いを感じます。

 

感覚タイプの子たちの子の場合、ひとつのねらいというより「網羅したい」「できるまでやりたい」という

あたりにモチベーションがあるので、

最初に「100グラムにぴったりになるように……!」と告げていても、

スーパーボールを乗せてははかることを繰り返して、1回、1回、「あっ、○グラムだった」「今度は○グラムだった」と

確認することが遊びのメインになっていきますから。

 

思考タイプの子たちは、活動そのもにには熱心でない場合が多いけれど、

はかった重さをまとめた表を見ながらデーターを分析したり、

原因や理由について考えさせる場面でいきいきしています。

感情タイプの子たちは、お友だちと同じ目標で動いたり、

他の子らをびっくりさせたり感心させたりすることにモチベーションを持ちやすいです。

 

見えにくいタイプのひとつに内向的な直観タイプの子が入ります。

 

外向的な直観タイプの子たちは、次々と新しいことに興味を移して

「ひらめいた!」とばかりに自分のアイデアを口にするけれど、

内向的な直観タイプの子たちは、頭の中は忙しくてしていても行動はおっとりしていたり、

直観の使い方にしても、自分の内面での「あっ、そうだったのか」というひらめきが

主なので、外からわかりにくいのです。頭の中で自分の考えを追っている時は、

フリーズしたようにボーッとしているので、考えている時ほど、何も考えていないようにも見えます。

 

わたし自身は内向的直観タイプなので、

「自分の内面の動きや頭の働かせ方に似ているから内向直観の子じゃないかな」と

感じるのですが、他のタイプの子たちに比べて、

はっきり目に見える判断材料がほとんどないので、「うちの子の性格タイプは?」とたずねられると、

幼児期は、「たぶん、……でしょうけど」「おそらく……でしょう」とあいまいな返事を続けることになりがちです。

たいてい小学校中学年くらいになると、読書の好みやおしゃべりの内容に

内向的直観の子らしさがはっきりしてきます。

 

大学生の息子と話をしていると、「この子はやっぱり内向的直観タイプだな。

内向きの直観をよく働かせるんだな。」と実感することが多々あります。

物事が行き詰った時にしろ、普段のちょっとした問題解決にしろ、

自分の内面に光を当てることで答えを見いだす姿がありますから。

先日もこんなことがありました。

学校で自分の名前をテーマにした作品をプログラミングで作る課題があったそうです。

他の課題の提出時期と重なっていたため、一夜漬けで、

「自分以外の人(友人等)の名前の集合体が、クリックボタンを押す度に

まぜあわさって、だんだん自分の名前に確率的に近づいて行き、最終的に何クリックかで

自分の名前ができあがる」というアルゴリズムを組んでいました。

評価自体はよかったようですが、その出来に、

短い時間で慌てて作ったのと、何かが足りないという不全感を抱えていました。

そこで、他の作品提出の機会にそれをもう少しいい形で練り直して出すことにしたようです。