虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

子どもの愚図りを減らす方法はあるのでしょうか?

2012-06-30 22:20:12 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達
前回の記事に次のようなコメントをいただきました。
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しっかり泣かせるわがままを言わせるって難しいなあって思ってコメントします。
3歳の男の子と1歳の女の子がいます。
上の子が幼稚園に入り、幼稚園では最初こそ大泣きしたものの、今ではすっかり慣れて楽しく通っています。
幼稚園では、先生の言うことをよく聞いて楽しく過ごしており何も問題はないようです。
また実の母親や旦那に見てもらっている時も機嫌良く楽しく遊んでいると言います。 

それが、母親である私と一緒にいるときは、些細なことや理不尽なことで1日に何度も怒ったりグズグズしたりして、正直うんざりしてしまいます。

幼稚園の先生からも佐々木正美先生の本でもそれで良いと言われますが、毎日対応する方としては、ついつい怒ってしまってうまく対応できないなあと思っています。

こういった子どもの愚図りを減らす方法はあるのでしょうか?それともこれは母親がどっしり構えるべきなのでしょうか?
 
 
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過去記事に2、3歳の子の愚図りに対応する方法を書いたものがあったので
紹介します。
 
 
「ナチュラルな子ども時代」産調出版
という本によると、
2~3歳児というのは、
爆発的に意志が発達する時期なのだそうです。
だから、かんしゃくをしょっちゅう起すんですね。

自意識が発達するにつれ、
ここにいる「自分」と
自分に脅威を与える「他人」がいるという状態になります。
「自分の意志」と
「他人の意志」の対立に気づきます。

子どもの「意志の力のエネルギー」はとても激しいものです。

どんなに辛抱強くて理解ある親もついていけない…
それが「魔の2歳児」(3歳の間もしっかり続く子も…。)
です。

この困ったおちびさんに、どう付き合えばいいのでしょう?
どうすれば、かんしゃくはおさまるのでしょう?

まず親は、この困ったちゃんぶりが、
いつまでも続かないことを知っておかなくてはなりません。
4~5歳になると、「意志」は「創造的な遊び」という新しい
方法で表現されるそうです。

それと
わがままに見えても、
愛情とサポートをたくさん必要としている
幼児であることを片時も忘れるわけにはいきません。

かんしゃくを起こりにくくしたり、しずめるには、
子どものエネルギーの出口を見つけ、
積極的にそこにエネルギーを向けるように仕向ける
必要があります。

わが子が2~3歳のころ、私が見つけたエネルギーの出口は、

水遊びころころ転がる遊びふざけっこ
豆の移し変えや砂遊び適度な散歩

などです。

本で紹介されていたのは、

長靴をはかせて、水たまりでばしゃばしゃさせる

草の上で転げまわらせる

などです。

それでも、2~3歳の子どもはかんしゃくを起します。
うちの子も、
食事が気に入らないことからはじまって、
作り直させたあとで、
ひきつけを起すほど泣いていたことが
ありました。

幼稚園に上がるまで、夏の間は、毎日2回水遊びをさせていました。
水遊びは危ないので、注意してそばについていなければなりませんが、
適度な疲れが、2~3歳児の激しいかんしゃくをしずめるのには
効果ありますよ~♪

想像力を刺激する遊びを教えていくと、
かんしゃくばかりの時期をはやめに卒業するようです。



しっかり泣けるように わがままが言えるように(2歳7ヶ月の子のレッスンから) 

2012-06-30 19:34:18 | 初めてお越しの方

2歳7カ月の★くん。感覚と思考が優れた温和な男の子です。

生まれたばかりの妹ちゃんといっしょにレッスンに来てくれました。

 

工作遊びをするようになってから、「どうして?」「なぜ?」と質問

することが増えてきたそうです。

 

線路にずらりと列車を並べながら、「○○と○○と○○が連結して、長く長くつながっていくんだよ。

電車のうしろの車輪がくるくるってなるから、すべるんだよ」などと、

あれこれ解説してくれます。

 

あんまり自信満々に電車を連結させているものですから、

「いいなぁ。★くん。上手ねぇ。先生も、連結、連結って、電車を並べたいなぁ」と言うと、

★くん、一瞬黙りこくって複雑な表情を浮かべていました。

自分の作品作りを邪魔されるのではないかと不安だったのかもしれません。

 

そこで、「先生も、下に線路を置いてね、電車の連結、連結ってできるかな?」と

たずねなおしました。

すると、しばらくしてから、

「できるよ。先生も、できる」と静かな声で返事が返ってきました。

 

そこでわたしが近くにあった電車2台を線路に乗せたところ、

「それは、ガチャンってできないからっ、連結じゃない。もうちょっと上になってたら、連結」と、

わたしの置いた電車を取りあげて、連結部分の問題を指摘します。

といっても、★くんの電車の連結部分と同じではあるのですが、

何かとイチャモンをつけたい模様です。

「それにしても、★くんにしてはめずらしく自己主張するなぁ。自分に自信がつきはじめたのかな」と感じました。

 

★くんはおとなしくて生真面目な性質で、これまでは感情をあまり表現しないことと、内気過ぎるところが

気にかかっていました。

お母さんに対してもわがままを言ったり、自己主張したり、自分から甘えたりすることが

ほとんどありませんでした。

教室に来始めた当初は、お母さんがおもちゃを片付けるように言うと、まだ遊びたいように見える時にも

即座に片付けだすおりこうさんの反面で、

おもちゃで遊ぶ時間よりも片付けをしている時間の方が長くなってしまいがちなのが

気になっていました。

★くんのお母さんは温和で優しい方で、けっして片付けを無理強いしているわけでは

ありませんでした。

★くんの几帳面過ぎる性質が、こだわりを作っていたようなのです。

 

わがままを言ったり、自己主張したり、甘えたりすることが少ない子の目には、

他人や世界が恐ろしいもののように映っているようです。

★くんも、防衛的な構えからか、周囲に対する好奇心が遮断されて、

無表情のまま自分ひとりの世界に閉じこもって遊ぶ姿が目立っていました。

 

虹色教室に通ってくるうちに、

★くんの遊びは積み木の列車の駅作りから

働く車を工作で作ること、さまざまなもののサイズや色や数について比較していくこと、

高架の線路を作って、街作りをしながら、自分の考えを自由に言葉で表現することやおままごとをすることへと

広がっていきました。

しだいに表情が明るくなり、おしゃべりも達者になってきました。

几帳面な性質は、物を作る時、色をそろえたり、

はさみで小さく小さくものを切り刻むような創造的な活動のなかで活かされるようになり、

几帳面さに邪魔をされて、遊びが狭まるようなことはなくなりました。

 

 

★くんは教室の警察の車が気に入りました。

大好きなゴミ収集車ということにして遊んでいます。

「ゴミ袋を作ろうか?」とたずねると、大喜びで乗ってきました。

 

★くんはサイズに敏感な子で、

空気入れで風船を膨らませているわたしを真剣な表情でチェックしています。

「それは、(ゴミ収集車に)入るよ。それは大きいから、入らないよ。それは青より大きい。青いのより小さいのにして」という具合に。

 

水風船にビーズを数個入れてから、水風船用の空気入れで膨らまします。(大きな100円ショップで売っています)

しばると小さなゴミの入った袋のできあがり。

振ると、手に振動があって面白いです。

★くんはこしらえたゴミ袋をゴミ収集車で回収してまわります。

 

乗り物のおもちゃが好きな子は

ひとりで遊ばせているとなかなか遊びが広がらない場合があります。

乗り物遊びを中心に、ブロックの街作りや、工作でガソリンスタンドや洗車場を作ること、

ストーリーのあるごっこ遊びを展開するなど

身近な人が遊びの世界を広げてあげるといいですね。

 

★くんはとても素直な聞き分けのいい子で、お母さんやお父さんに逆らったことは

ほとんどありませんでした。

★くんのおばあちゃんにだけは、怒って叩くことがあるという話でした。

★くんのおばあちゃんがいらした時に★くんと遊ぶ姿を見せていただいたところ、

いつもは無表情なことの多い★くんが、自然な喜怒哀楽を表現しながら甘えていました。

おばあちゃんには、「イヤ」という本音が出せているようなのです。

★くんのお母さんは温和な優しい方で、

どうして★くんはお母さんの前でちょっと緊張した良い子良い子した

態度を崩せないのかと気になっていました。

どうも出産でお母さんがもうすぐいなくなってしまうかもしれない

という状況が、不安だったのかもしれません。

今回、赤ちゃんといっしょに教室に来た★くんは

緊張して身体をこわばらせる癖が減って、かわいらしい笑顔をたくさん浮かべていました。

自己主張もたくさん出てきて、

わたしに「こうしてよ」「ああしてよ」とたくさん注文を出してきます。

通りがかりにわたしの肩に体重を預けてもたれかかってくるので、

抱き上げて、「高いところのおもちゃ、見て、どれがいい?」と

棚の上をのぞかせると、ちょっと身体をのけぞってみたものの、

やっぱり甘えてうれしそうな顔をしました。

そういえば、★くんは、2人目の赤ちゃんに遠慮して

お母さんに甘えて抱きついていくことができない様子です。

いつも抱っこされておっぱいをもらっている妹がお母さんを独占しているので、

遠巻きにお母さんを眺めています。

妹さんの世話が一段落着いた時には、お母さんの方から

積極的に★くんを抱きあげて甘えさせてあげるようにと伝えました。

 

帰り際になって、★くんは、この日、ゴミ収集車に見立てて遊んでいた警察の護送車で遊んだのが

楽しくてたまらなかったようで、

「この車持って帰るー!」と言いいながら車を抱え込んでいました。

 

「それは教室のだから置いていこうね」と言っても、

「★くんのー」と言い張ります。

こうした自己主張にしても、反抗にしても、

★くんにすると本当にめずらしいことです。

お母さんが優しい口調で説得に入ると、

★くんはたちまち、エッ、エッ、と嗚咽を漏らして

泣き始めました。

 

といっても★くん、反抗にしても、泣くのにしても、

これまでほとんど自分の我を通した経験がないためか、

まるで心にもない演技でもしているように弱々しいのです。

 

そこで、優しく説得していたお母さんが、

「それなら置いていくわよ」と優しい口調で付け加えて、

立ち去る真似をしようとしました。

 

すると泣きかけていた★くんの顔面が蒼白になって、

そのまま放心したような無表情になって

涙を引っ込めかけました。

 

わたしは慌てて、★くんのように見捨てられるのではないかという恐怖心を持っている子には、

「置いていくわよ」は絶対、禁句で、

真似ごとでも立ち去るふりをしてはいけない

と伝えました。

すると、★くんのお母さんはとても驚いて、

「いつもごねかけたら、置いていくわよ、と言って脅していました」と

おっしゃいました。

★くんのお母さんはいつも穏やかに優しく子どもに接している方です。

「置いていくわよ」のひとことで、★くんがあんまり簡単に言うことを聞くものですから、

強く叱らずに済んでいい、と思っていたのかもしれません。

 

わたしは★くんが弱々しく嗚咽を漏らしながら、

蚊の鳴くような声で自己主張するのを見て、

まず自分の気持ちをしっかり表現させてあげたいと感じていました。

それが、★くんのお母さんは、大人の言い分で言いくるめるようにして

泣くのをやめさせようとしてしまいます。

おそらく★くんが悲しそうな姿を見るのが

いたたまれないのでしょう。

 

でも、★くんは普段から、「こうしたい」「ああしたい」という自分の要求を外に出す子ではなく、

おそらくそうした自分の内面から湧き上がる強い思いを感じた体験自体が少ない子でしょうから、

めずらしく自分の我を通しているこのチャンスを逃す手はないのです。

わたしはお母さんの言葉を制止して、もう少し、★くんの自己主張に

つきあうことにしました。

 

今は、「こうしたいの!」と主張させ、、「そうだね、その車が好きなのね。

ゴミ集めして面白かったもんね」と、しっかり気持ちを受け止めてあげて、

「でも教室のおもちゃだから、残念。バイバイしてまた今度遊ぼうね」と言って

泣くなら、泣きたいだけたっぷり泣いて、お母さんにだっこされてなぐさめてもらう

必要があるのです。

 

そこで「もし、★くんが持って帰ったら、お友だちが遊べないでしょう?うんぬんうんぬん~」と

長々と大人の世界のルールをくどくどと言って聞かせて、

主張も涙も引っ込ませてしまうようなことを

してはいけないはずです。

2歳児には2歳児への

諭し方があるはずですから。

 

欲しくてたまらない思い、楽しくてたまらなかった記憶、家に持って帰ってずっと遊びたいという気持ちが、

心に渦巻いているのです。

泣いて、泣いて、なぐさめられて、

そうした気持ちを乗り越えるだけで精いっぱいなのです。

 

そこで、ここにいないお友だちの気持ちまで

想像してみなさい、などと説得するのでは、

大人と子どもの力関係のなかで

無理矢理、まだ生まれて2年ちょっとしか経っていないような子の

弱い側の意見をひねりつぶしてしまうようなものです。

 

子どもの成長にゆっくりゆっくり付き合って

あげたいですね。

 


時計算 と 面積図で考えるつるかめ算

2012-06-30 17:59:12 | 算数

小3の女の子たちのレッスンで。

今年のユースホステルのレッスンのための準備も兼ねて

『時計算』について体感で考える教具を作りました。

 

帯状の折り紙を12枚貼り付けたものと、

同じ帯状の折り紙を12等分するめもりをつけたもの

です。(写真には一部しか写っていませんね)

 

時計の長針と短針の間にできる角度について

考える時計算。

 

たとえば4時5分の長針と短針の作る小さい方の角は?

という問いでしたら、

解き方は、360÷12×4=120  120-(6-0.5)×5=92.5  答え92.5°

です。

 

式で表すと難しいようですが、

時計の盤に触れながら、ああだこうだ言ううちに

理解が進んできました。

 

 

つるかめ算を面積図で解く問題も

算数パズルとして楽しんでいます。


自閉っ子が、ファンタジーの世界から出て、お友だちとの遊びに興味を抱きだすとき 4

2012-06-30 09:16:32 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

自閉っ子が、ファンタジーの世界から出て、お友だちとの遊びに興味を抱きだすとき 3

の続きです。

●くんが磁石で電車同士を連結したがったとき、☆くんが怒りました。

☆くんがセロテープで電車同士を連結してしまったとき、●くんが怒りました。

 

そこでわたしがうさぎと猫のぬいぐるみを使ってこんな人形劇を演じました。

 

うさぎが「電車と電車を連結させたいな。テープでペタンッてしよう」と言って

貼り付けようとすると、

猫が「ダメダメ、引っ付けちゃだめ~!!」と言いながらそれをはずしにかかります。

「連結だよ!」「ダメ」という押し問答が続きます。

 

すると☆くんは

面白くてたまらないという様子でニヤニヤしたり

笑い声をあげたりしていました。

 

自分と相手が直接やりとりしているときには

自分の主張ばかり押し通そうとする☆くんですが

人形たちがそれを演じているときには、出来事を客観的に眺めて

「連結させたい」と思ううさぎの行動も、自分の電車にテープを貼られたくなくて

それを邪魔する猫の気持ちもよくわかっているようです。

 

●くんの場合は、社会性の発達の段階にもよるのでしょうが、

うさぎと猫に間でぶつかりあっている主張や気持ちが

ピンときていないようでした。

 

もちろんそうしたわからなさは自閉っ子の特性によるものでしょうが、

これまで自分の思いや要求を外に向かってはっきり主張する前に

お母さんの制止で即座にそれを引っ込めてしまっていたことにもわかりにくさの原因がありそうです。

いったんは自分の気持ちをしっかり言葉にして、確認してから、

相手の主張も聞き、

自分で判断する静かな時間を作ってもらうことで、判断力をもう少し向上するのかもしれません。

ゆっくりゆっくりカメの歩みかもしれませんが、何事も体験です。

 

●くんの場合、

一足飛びに「相手の要求に気持ちよく応えることができる」ことを目指すのではなく

☆くんのように

「自分が直接関わっている場面では

自己中心的に自分の主張ばかり通そうとはするものの

アニメの映像や人形劇のような外から眺められるものだと

それぞれの置かれている立場がわかり、正しい善悪の判断も

大人と話合うことができる」

くらいの無理のない目標を立てて教えていくといいのかもしれません。

 

一方☆くんは、人形劇で理解できたことを、

自分と重ねて、「こんなときには

このように対応する」ということを、

実際の場面で、練習していく必要がありそうです。

 

↑  自分の主張ばかり押し通して

わがままを言ううさぎの相手をする

●くんと☆くん。

 

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●くんのお母さんから、虹色教室通信の

文字を書く練習  ステップアップ

の記事が役立ちました」という感想をいただきました。

字の練習に入る前に水鉄砲などの指先を使う遊びを

たくさんするアイデアをまとめたものです。

たとえ水鉄砲のようなおもちゃでも無理やりするように誘うと●くんの負担になるかもしれませんから、

まず「●くんが今、自分から好んでする行動」と「関心があること」

を観察して、●くんに合ったステップアップアイデアを工夫する必要があるように思いました。

 

たとえば、●くんの現在のヒットは「電車の連結」です。

プラレールの線路をつなぐのを喜んでするそうですから、

そうした活動が指先の巧緻性を高めることにつながらないか

いろいろ考えてみるといいかもしれません。

 

また文字の練習とは関係がありませんが、

●くんは工作のハードルがまだ高い用ですから、

ラップの空き箱などをためておいて、ガムテープやセロテープで連結させていく

だけの作業がいつでもできるようにしていると

工作に親しむようになるかもしれません。

 


子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 6

2012-06-29 19:56:59 | 工作 ワークショップ

熊本の遊びのアトリエさんを訪ねた際、10組以上という多人数の親子と触れ合ったため

普段以上に『循環』ということを意識したのですが、

それとは別の意味で、別の形での人と人との心の『循環』というものについて

考えさせられました。

 

別の意味、別の形での『循環』を意識したのは、あちらでお会いした

『遊びの心理研究所』のジジさんや『遊びのアトリエ』のボッスさんの言葉の節々に、

アトリエに通ってくるひとりひとりの子どもへの愛情というか、

わが子や自分の孫に対するような、いや親だってとてもそれだけ愛情を注げないほどに、

それぞれの子の全てを受け入れて

心の底から愛しく感じていることが伝わってきたからです。

 

それは常に危険なことばかり繰り返して

一般的な子の何倍も手をかけさせるハンディーキャップを持った子に対してもそうなのです。

そうした手のかかる子らこそよりいっそう、お引っ越しでアトリエを去ってもなお

その子たちと親御さんのことを気にかけ続けていました。

 

自分のことをそんなに愛してくれて、

自分のことを何の理由もなく丸ごと信じて信頼してくれる人が

親以外に存在している子たちは幸せだなぁと思いました。

 

遠く離れていても、おそらく心と心、思いと思いは循環しているのでしょう。

 

子どもがくじけそうになったときや苦しいときに、

心に浮かべるだけで、

勇気をもらったり、自信を得たりできる人が、この世界にひとりでも

たくさんいるのはすばらしいですね。

 

話は変わりますが、先日、知人の子が通っている

小学校でこんな出来事があったという話を耳にしました。

 

給食の時間にすずめが校舎内に飛び込んできて、

窓ガラスに何度も身体を打ち付けていたそうなのです。

そのかわいそうな有様に騒然となった子どもたちに担任の先生の怒りが爆発したそうです。

 

その学校では静かに給食を食べる決まりですから、

「鳥が入ってきたくらいでわぁわぁ騒いで~!ただの鳥でしょう!!」と

先生の怒声が響いたそうです。

 

確かに給食時間に騒ぐのはルール違反かもしれません。

でも子どもたちにすれば

ガラスに頭を打ち付けるすずめの姿が痛々しくて、

激しく感情が揺さぶられて騒いでいたはずなのです。

 

脳震盪を起こして死んでしまうかもしれないスズメを目の当たりにして

黙々と給食を食べ続ける子がいたら、かえって怖いくらいなのですが、

そこで「ただの鳥なのに!」という教育がされてしまうあたり何だか背筋が寒くなる話でした。

 

そんな風にルールや制度が、人の感情を断ち切ったり

抑えこんだりする世界は、

人と人がいっしょに過ごしている場でも、

離れているときも、何も循環しないでしょう。

 

子どもたちの心のエネルギーが枯れていっても

仕方のないことです。

どんな場面でも規律を守る見栄えのいい出来のいい子にしようと躍起になる大人たちではなくて、

たとえ子どもの態度やできることが最悪に見えるときも、その心を大切に扱ってあげる大人でありたいです。

 

九州の『遊びのアトリエさん』を後にして、

自分の心を大事にしてくれる人がひとりでも多くこの世に存在している子は、

きっとどんなときにも幸福な気持ちを

人からもらって人に与えて

循環し続けることができるのだろうと感じました。

 

遊びのアトリエのリボンクラブのブログで

九州でのレッスンの様子を記事にしていただいています。(このところ太り気味のわたしについてはノーコメントで

 

↑ 自分の工作作品をわたしといっしょに

みんなに紹介しているところです。

道路にあたる紙を巻き取る作業に手間取っているわたしを

みんなに注目されているのでちょっと緊張した様子で見つめている子。姿勢がいいですね。

 

 

↑  自分の作品に「遊びたい」という手が挙がって

貸してあげているところです。

「どうぞ」「ありがとう」とぎこちない調子で言葉を交わしています。

 


子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 5

2012-06-29 17:44:53 | 工作 ワークショップ

 『循環』のアイデア 3  (アクシデント、子どものおふざけ、失敗 を 互いに交流する良いチャンスとして利用する)

 

お片づけの時間は算数タイムの前とか、おやつの前といった

子どもにとってちょっとしたお楽しみの前に設けています。

活動終了時に全て片付けるとなると、

疲れて手伝わない子や終わるのが嫌で片付けを邪魔する子がいますから

「次に何があるのかな?」とワクワクする時間に、子どもがこだわっているもの以外を

片付けるようにしているのです。(3分の1くらいはおもちゃを残していていいと思います)

 

お片づけといっても、終了時間間際ではないので、子どもたちが引き起こす

アクシデントやトラブルに関わってあげる余裕があります。

 

そうして余裕があると、「いたずら」や「おふざけ」や「大人の邪魔」だった行為を

ゆっくりと「お手伝い」や「学習」へと変換させていくことができます。

 

たとえば、上の写真。

わたしがレジャーシートをたたみはじめると、2,3歳のいたずらくん、おふざけさんが

詰めかけて邪魔をしはじめました。

そこでいっそシートのなかに招き入れて、

近くにいた大人や年上の子らに手伝ってもらって

トンネルを作って

列車になってトンネルをくぐるように誘いました。

 

 

「テント」「トンネル」「お屋根」「お空」

 

大きなシートはさまざまなものに見立てられますよね。

 

その後、「はしっこ持って!はしっこ持って!」と子どもたちにシートの端を持たせて、

「小さく小さくたたんでたたんで~」と言いながら、

シートをたたむお手伝いに関わらせていくことができます。

最初はおふざけから参加した子たちも、

そうして手伝ううちに、他人から教わりながら作業をするコツが身についていきます。

 

「おもちゃをひっくり返してふざける子がいた」といったアクシデントが起きたときは、

紙を丸めたものや、すべりだい代わりになるシートや布などを利用して

他の子たちも協力して片付けたくなるようなシチュエーションを作ります。

最初にひっくり返した子にも、

ひっくり返すだけではなく片付けることも楽しい、という体験をさせることができます。

 

人と人の関わり方にはさまざまな形があります。

アクシデントが起きたとき、みんなでそこに救助に向かうというのもひとつ。

お友だちがけんかをはじめたら、周囲の子らが創造的な解決法で手助けしてあげることもできます。

おふざけを創造的な活動に変えていくこともひとつですし、

遊んだ後で、自分からお手伝いに参加するのもひとつです。

 

遊ぶ、手伝う、問題を解決するといった行為も人から人へと循環していきます。

 


子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 4

2012-06-29 17:19:18 | 子どもの個性と学習タイプ

 『循環』のアイデア 2  (子ども間、または大人と子ども間で「教わる」「教える」関係が生まれるようにサポートする)


小学生の女の子が紙コップでお人形を作った後で

お花の形のスパンコールと丸い形のスパンコールを組み合わせて

ブローチのように見える小物を作っていました。

簡単にできる上、とても美しい作品だったので

その子より年下の女の子たちを集めて、こんな作品が作ってみたいかたずねると

大喜びでやりたがりました。

 

このように子ども同士で先生役、生徒役ができるように

間を取り持つと、

次からはお友だちに作り方を教わったり、

「すごいね」と自分の作品を褒めてくれた子に「作り方を教えてあげようか?」

とたずねる関係が生まれます。

教える子は誇らしそうです。

教わる子たちは、わくわくしています。

 

列車遊びをする子に、

「貨物列車に荷物を乗せるところを作ってみる?」とたずねると、

大乗り気でした。

そこで紙コップを積み木が入っていた箱で吊り下げて、

荷物を入れて上下に動くしかけにしました。

磁石などひもで吊って、クレーンを作るのも楽しいですね。

 

このように遊びに手作り作品を加えると、

「作り方をきちんと見ていてね」と言いながら、

大人が教えて、子どもが他人の話に耳を傾けながら習う関係が

生まれます。

こんなときに、「○○を作りたい子!おいで~!」と他の子らにも声を

かけると、何人かの子がいっしょに真剣な表情で学びの輪に加わるはずです。

 

 

 

 


子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの? 1

2012-06-29 06:21:59 | 子どもの個性と学習タイプ

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虹色教室では(ユングのタイプ論による)子どもの性格タイプを把握して、
それに合わせた接し方をすることがよくあります。

このように話すと、子どもを一時期の外からの見た目で分類して、
「○○タイプ」という情報のフィルターを通して、
小さな枠に押し込んだ形に育てるのじゃないかと心配する方もいます。

でも、実際に性格タイプについて思いをめぐらすことは、
そうしたステレオタイプな見方や考え方とは
真逆にあるとも言えるものです。

もともと人は、自分以外の人を眺めるとき、
「自分」というフィルターを通して眺めているものです。


自分の感じ方や見え方や感じ方

それまでの自分の経験や教えられたこと

自分が良しとするもの、価値を感じるもの、あこがれるものによる格付け

今いる環境にある価値観をどうとらえているか……


そのように「自分」を通して相手を理解しているものです。

わが子についてより広い視野で理解しようと思っていても、
自分にとって「わからないもの」「ネガティブに捉えてきたもの」は、
やっぱりそのようにしか見えないし、
理解しようと思うあまり、極端な甘やかしに傾いたり、
嫌な部分は見て見ぬふりをしてしまうこともあります。

一方、欠点は小さいうちからしつけて修正していかなくてはと思うあまりに、
その子の個性的な長所まで押さえつけて、
子どもの性質となじまない親の価値観を押しつけてて育ててしまうことも
多々あります。

性格タイプを知るということは、
まず、自分の見え方や感じ方や価値観が
全てではないと知ることです。

また、今、子どもの置かれている環境にある価値基準も、
あるひとつの価値観を体系化したもので、
絶対的なものではないことを学ぶことです。

たとえば、ユングのタイプ論では、
人の構え(態度)を大きくふたつに分けて考えています。

外向性と内向性です。

といっても、人はそのどちらかに分類されるのではなく、外向性も内向性も持っているけれど、
ふだん表に出ている態度がどちらなのかで、「外向的な人」と「内向的な人」という違いが生じています。

外向的な人とは、関心が外の世界に向かっていて、どんな環境や状況にも
合わせることができる人です。
内向的な人とは、外の世界よりも自分の心の中の世界に関心が向かう人で、
身の回りの環境は、
自分の心に合っているか、受け入れられるかを一番に考えます。

環境や出来事が、みんなからうらやましがられるようなすごい価値を持ったものでも、
自分にとって興味がなければ価値を感じないのです。

わが子が、外向的な人にも内向的な人にも
その性質だからこその長所があります。どちらかが正しくて良い態度だから、
どちらかの態度に矯正していくものではなく、
一方に偏り過ぎずバランスよく、
長所を磨きながら生活していくのがよいのだと思います。

外向的な人の長所はどんな環境にも合わせられることです。
でもそれは自分が何をすると、楽しい気分になり、充実できるかを、
環境や状況に依存しているともいえます。

内向的な人は、新しい環境や状況になかなかなじめないけれど、
ひとたび自分に自信を持つと、
トラブルが起きたり、周囲から批判されたりしても、
強く信念を抱いてやりすごせるところがあります。

そのように、人の態度に、外の世界か、自分の内面かという
ふたつの方向性のようなものがあって、
どちらにも長所と短所があることを知っておくと、
次のような良い点があります。

たとえば、子どもをサークルや幼稚園に連れて行った時、
そこになじまず、嫌がって泣くことが続くと、
「この子は、社会性が育ってないのかしら?」「今まで甘やかしすぎたのかしら?」
「発達障害があるのかしら?」
「どうしてこんなに頑固でわがままなんだろう?」と、
子どもに対するネガティブな思いでいっぱいになってしまう時があります。

確かに、そうした態度を取る子の中には、社会性の育ちがゆっくりで、
発達障害の疑いのある子もいます。

でも、そうではなく、内向的な性質のために
新しい環境になじむまでに時間がかかる子もいることを知っておくことは、
大事なことだと感じているのです。

もし、それを知らないと、「この子は協調性がないから」と
子どもに無理させたり、攻撃的な言葉で責めて自信を失わせるような
こともあるからです。

特に外向的な方が内向的な子を育てている場合や、内向的な方が外向的な子を育てている場合は、
誤解や偏見によって、子どもの心を傷つけたり、
本来の子どもの性格を抑圧して、親の価値に添うようにゆがめて育てることがないように
注意しなくてはなりません。

そうした意味で、私は子育て中、
性格タイプに考えをめぐらせることや、
子どもの性格タイプを把握するように努めることは大事なことだと
感じています。


子どもの性格タイプについて知っておくことが特に大切だ、と感じるのは、
[子どもとはこういうものですよ」「子どもはこのように発達します」
「子どもはこのようなことを好み、こうすると進歩します」
といった人気の育児法や教育法をもとに子育てしている時です。

たとえば、モンテッソーリ教育を実践している方の中には、

「全ての子どもは秩序感を好み、同じ作業を満足するまで繰り返すもので、
それをしたがらない子は発達を逸脱した子ではないか」

と信じている方がけっこういます。

実際、モンテッソーリ教育の関連本では、「全ての子どもはこのような存在である」と言い切るような
説明がなされています。

私はモンテッソーリ教育のすばらしさを実感しているし、どの子にも大切なものだとは思っています。

でも、子どもたちに接していると、
モンテッソーリの「お仕事」を嫌がり、
手本通り教えようとすると、おちょけて自分勝手に振舞う
ごく普通の子たちがいるのです。

モンテッソーリ教育というフィルターを通して眺めると、
「問題児」か「困ったちゃん」か「発達がゆっくりの子」にしか見えないほど、
感覚的な作業を繰り返すことを嫌がり、いつも新しい刺激を求めて
奇想天外な物の使い方をし、手本通りせずに、自分のやり方にこだわる子です。

子どもは「どの子もこのようなものである」という捉え方を緩めて、
子どもにはさまざまな性格タイプがあって、優れている機能が異なる……という見方をすると、
直観が優れている子たちは、感覚が劣等機能にあたるので、
モンテッソーリの教育法が苦手な子がいても少しも不思議ではないのです。


「感覚的な作業を繰り返すことを嫌がり、いつも新しい刺激を求めて
奇想天外な物の使い方をし、手本通りせずに、自分のやり方にこだわる子」

というのは、

「想像力に富み、独創的で創造的で、機械的推理能力が優れていて、
ユーモアがあって柔軟で意味を察することが得意」な子が多い
直観が優れているタイプであることがよくあるのです。




↑ユースホステルのレッスンで。マジックボールを10ずつすくっています。30すくって、「10の3回分」と言っていた子もいました。(ココプラザの美術工房です)


今回のユースホステルでのレッスンは、
外向型の子と内向型の子が、半々くらいの比率でした。

全員、初めて会った子たちなのですが、外向型の子らは、
和室での2時間半ほどのレッスンの間に
もう何年来の仲良しみたいに親しくなって、じゃれたり、けんかしたり、「いっしょに~しようよ」と相談しあって
移動したりしていました。
私にもたちまちなついて、
食事の時には、「ぼくが先生の隣だよ」と主張したり、自分の工作を動かすための方法を習いたがったり、
理科でクイズを出すときには、自分が先生のように振舞って、「みんなちゃんと座って!こっちで勉強しないと
意味ないじゃんんか!」としきることもまでやっていました。
ルールのあるカードゲームも、
初めてするものも、すぐにゲームの流れを察して、
楽しそうに遊んでいました。




一方で、内向型の子たちは、そうして積極的に参加している子たちの様子を観察することからスタートし、
ゆるゆると自分のペースで関わっていました。
私が、「○○してみる?」と誘うと、
ちょっとひきつった表情をして、固まるか、首を振る子もいます。

そのように表面的には、その場の活動への参加を嫌がっているように見える時も、
こうした内向型の子たちは、
イメージの世界では、「こんな風に参加したい」という自分像を持っていたり、
ひとりひとりの人を観察しながら、その人との距離の取り方を測っていたりするのが
わかりました。

内向型の子たちは、その内気でもじもじした消極的な態度からは
想像がつかないくらいに理想的な自分の振舞い方のイメージや高いプライドや自分なりの考えや判断を
持っている場合が多々ありますから、
安易に積極的な子たちと同じ活動をするよう干渉しすぎると、
それが原因で傷ついたり、へそを曲げてしまうことがあります。

自由度が高い場では、ちょっと冷たいようでも、(ひとりにさせておくようで気にかかるでしょうが)本人がしたいようにして、
そっとしておくといい場合があります。
そうして、あまり構いすぎないようにして様子をうかがっていると、
自分がやってみたいと思うことをしている子たちの方を
食い入るように見つめているはずです。

もし、そこで、大人が寄ってたかって
機嫌を取ったり、なだめすかして参加させようとしたり、強制的に他の子の輪に入れようとすると、
内向型の子たちは、
そうした自分への侵入的な態度に反発したり、ただなすがままに依存的に従ったりして、
「ぼくは(私は)ダメな子なのかな?」という
他の子たちより自分には足りないものがあるというイメージを自分にかぶせるときがあります。

ただ、そっと子どもを尊重して待ってあげることが、
大事な場合が多々あるのです。(発達障害を持っている子への対応はまた異なります)


続きを読んでくださる方はこちらをどうぞ

子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの? 4

子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの? 5

子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの? 6

子どもの性格タイプについて考えることで どんないいことがあるの? 7

子どもの性格タイプについて考えることでどんないいことがあるの? 8

 

 

性格タイプによって、作る作品にこんな特徴があらわれることがあります。 ↓

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子どもの性格タイプによって
作る作品も創作活動から学び取るものもずいぶんちがうように感じます。
感覚タイプや感覚寄りの子たちは、労を惜しみません。大量の作業をこなしながら「規則性」を導きだします。
直観タイプや直観寄りの子たちは、大雑把であまりていねいに作りませんが、独創的で、自発的に次々ひらめいて作ります。
科学的な仕組みを利用した
工作なども好みます。
作品作りから抽象的思考を発展させます。
感情タイプの子も思考タイプの子も、感覚寄りか思考寄りかで、
作品作りから何を学びとるかが、異なるように思います。


<内向的思考感覚寄りの子の作品>(内向的感覚思考寄りの子かも)



内向的思考感覚寄り、内向的感覚思考寄りの子たちは、
大人顔負けの作品を作るけれど、大人の手助けを嫌がって
全て自分で作りたがります。

直観タイプの子たちが壮大なアイデアを思いつくものの、
めんどうな作業は手伝ってもらうことをすぐにあてにするのとは
ずいぶんちがいます。

このタイプの子たちの作品は計算された建築物のような美しさがあるものが多いです。
色にも形にも数にもこだわります。

作品作りを通じて、「規則性」に気付きます。

<内向的思考感覚寄りの子の作品>(内向的感覚思考寄りの子かも)



<内向的感覚思考寄りの子の作品>(内向的感覚感情寄りかも)



<外向的思考直観寄りの子の作品>(外向的直観思考寄りかも)


駅のエレベーター。入口と出口が変化するように
工夫しています。色使いもきれいです。



独創的で直観的な作品作りが多かったので、ずっと外向直観思考寄りの子だと思っていたのですが、
成長するにつれて思考力が急速に伸びてきたことと、感覚を必要とするていねいな作業も得意なことと、
他人の感情を読むことが少し苦手なことから、
外向思考直観寄りの子だろうと思うようになりました。


<外向的直観思考寄りの子の作品>(外向思考直観寄りかも)




おおざっぱな作りとはいえ、独創的で宇宙をテーマに作っているところと、
他に船や車などを作るときに、動きを作りだす工夫をしたり、自分で発想して、問題を解決していく力があるところから、
外向直観思考寄りの子ではないかな、と思いました。

<外向感情感覚寄りの子の作品>




たくさん作る労を惜しまないところがあります。
感情に響く作品作りが好き。写真は詩のカード。



友だちとの交流を目的にした作品作りも好きです。

<外向的直観感情寄りの子の作品>







遊べる作品が好き。自分のオリジナルアイデアを盛り込みます。仕上がりはこだわらず、大きなサイズのものを
作るのが好き。
<外向的直観感情寄りの子の作品>


アイデア重視で、2階建てにするとか、3階建てにするとか、凝ったものが好きです。
大きなサイズの遊べるものを作るのが好きです。


<外向的感覚思考寄りの子の作品>

このタイプの子は、労を惜しまないところと、
頭を使うことを好むところがあるので、自分から「テスト」や「通知表」「スケジュール表」などを作りたがる子がいます。


<内向感覚感情寄りの子の作品> (内向的感情感覚寄りの子かも)


美しい色が好き。労を惜しまないところと、ていねいに作業する繊細さがあります。
自然への興味につながる制作を好みます。

(香水作り、石鹸作りなど、貝殻でする制作、星座を手芸で表現するなど)


<外向的感情感覚寄りの子の作品>

労を惜しまないところがあります。ファッション、お人形などのテーマを好みます。



<外向的直観思考寄りの子の作品>(外向的直観感情寄りかも)






ボールの向きを変えるアイデアを工夫しています。
他にも運動の向きを変えたり、
玉を押しだすさまざまな仕組みなどを、ゼロから考え出す力が優れています。



<外向的直観思考寄りの子の作品>


中学生の男の子の作品。ライトがつくピタゴラスイッチ。

<内向的直観思考寄りの子の作品>


うちの息子の高校生のときの作品です。色合いや構図がこのタイプの子が
好みそうなものだなと思いました。







内向感覚思考寄りの子 と 内向思考感覚寄りの子
外向感覚思考寄りの子 と 外向思考感覚寄りの子 は、たいていどの子も積み木遊びが大好きで
そこから自然に多くのことを学びとります。

↑の写真は、おそらく内向思考感覚寄りと思われる1歳後半の男の子と積み木で遊んでいる様子です。

感覚タイプの子たちは、物のサイズに敏感で、
囲った空間に、ぴったり物を収めることが大好きです。
秩序も好きですから、
同じ数ずつ、空間に収めて並べていく作業も喜びます。

積み木遊びに色画用紙を取り入れて、
数台の電車をはみださないように置くことができる
スペースを作ってあげると、「狭い」「広い」という概念に親しみ、
面積に対する興味にもつながります。

色画用紙を折ってトンネルを作ったり、紙で立体を作って
展開図のようになったものを見つつ遊べるようにしてあげるのも
このタイプの子の気持ちを満たします。

このタイプの子たちは長さが比べられる写真のような棒状の積み木や
遺跡などを作るとき仕上がりがきれいなレンガ積み木でよく遊びます。

このタイプの子らは、遊ぶことと学習の壁が薄いです。
歴史や地理や化学や計測と関係ある算数を幼いころから好みます。

けれども、感覚的に学びたいときに、
考える問題をあれこれ出題されると
勉強を嫌がるようになるかもしれません。

自分の興味からスタートする学習を
何度も繰り返すことが好きなのです。
几帳面で完璧主義なので、できることが確認できないと、
取り組みたがりません。理想やプライドが高い子が多いので、
他の同年代の子と比べるような学習をさせると、
強い拒絶を示すときもあります。

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積み木遊びの話からそれますが、お勉強の話も少し……。

感覚タイプの子たちは、計測することがとても好きで、
算数を学び出したとき好むのも、


まわりのながさが、14センチの四角形があります。
たてはよこより1センチながいです。
たてとよこの長さは何センチですか


といった問題や、


12デシリットルと、300ミリリットルを合わせると、何デシリットルになりますか


といった問題や、

表やグラフにデーターをまとめてあって、分析しながら解いていく問題です。


感覚が優れている子たちはたいてい
新しいことよりも慣れている繰り返しを好みます。

ですから、毎日コツコツがんばって、
スローステップで力をつけていく系統学習を好む子も多いし、実際、それによって
力がついていきもします。

ただ、感覚が優れている子の中でも、
思考を使うことを好み、難問にチャレンジすることが好きな

外向か内向の感覚思考寄りの子 と 
外向か内向の思考感覚寄りの子の一部には、

スローステップで学ぶ方法はまどろっこしくつまらなく感じられる子もいるようです。

感覚が優れている子で、

思考タイプで感覚寄りという子も

感覚タイプで思考寄りという子も、

一般的に基礎計算の繰り返しなどを好むと捉えられている

「幼児期や低学年の子」

という枠からはみ出してしまうような

論理的な思考や抽象的な考え方を、
早い時期からしはじめます。

そうした子らは、暗記して練習させるだけでは、勉強に対する興味を失ってしまいます。


知力を限界まで使いたい子たちには
解いていて充足感が味わえるような問題を与える必要があります。

話を積み木遊びにもどして……


↑の写真は、外向的思考直観寄りの子と作った「なわばり図」ですが、
これはもともと内向的感覚思考寄りの子の作品からスタートした遊びです。




↑のような遺跡作りも、
美しさだけでなく
世界や歴史への興味を広げられる点で、

内向感覚思考寄り、内向思考感覚寄り、
外向感覚思考寄り、外向思考感覚寄りの子が好む積み木遊びです。





夏のユースホステルのレッスンに来ていただく方の発表です

2012-06-28 14:52:37 | 生徒募集 イベント参加募集

夏のユースホステルのレッスンに来ていただく方の発表です。

まだの方はコメント欄にメールのアドレスを書いていただいたら、7月のユースホステルから順に

詳細を送らせていただきます。

 

 

①7月24日~25日

オリーブさん asibeさん  ROYママさん ジェニーさん兄妹 いちこさん 新米Kママ タルトタタタンさん

 

②7月27日~28日

 だんくん  ひなママさん姉弟 かいくんははさん connさん  ミルクココアさん くーママさん コラスカルさん 

 

③8月17日~18日

ゆうちゃん兄弟  さくらんぼさん  きよやくん兄弟 ここさん  らんさん  転轍機さん アキコさん ただこさん兄妹 (た)くん

(け)くん兄 弟

はちbooさん兄妹 

 

④8月21日~22日

sugarさん  ぼるさん姉弟 アニカリンさん  ユニコさん  

 双子さん (な)さん  おにまんさん (すー)ちゃん姉弟 

 


子どもの能力が伸びる場の決め手は、『循環』 3

2012-06-28 13:43:17 | 子どもの個性と学習タイプ

 

遊びのアトリエのレオ先生が、

虹色教室  奈緒美先生のレッスンの様子

という記事を書いてくださっています。

 

それでは子どもの集う場で心と心を『循環』させていくための

アイデアについてお話しますね。

 

 

 『循環』のアイデア 1  (個々の遊びが落ち着いたら交流タイムを設ける)

 

集団の場に集まった幼い子たちをいきなり大人の操作で動かしていくのは

感心できません。

(少し大きくなった子たちには、その場のその日のテーマがわかるような

説明する時間が最初にいる場合もあります)

 

お家でない場所に着いたら、子どもはまず自分の居心地のいい空間を

そこで開拓していかなければなりません。

「あれ面白そう。やってみよ」と新しいものに飛びつくのもいいし、

「これはお家のおもちゃといっしょだから安心」といつものものと触れ合うのもいいですよね。

 

そうして

自分の興味に基づいて面白そうなことに手をつけてみて、

そこで縮こまっていた心を開放してあげます。

 

それは開拓時代の大人たちが見知らぬ場所に着いて、自分の家を建てたり

食べるための畑を作ったり、家畜小屋を建てたりする作業と同じですよね。

それもせずにうろうろと何か始めたのでは

落ち着かないのも当然です。

 

時間がかかる子も、あっという間に場に溶け込む子もいるでしょうが、

まず自分の居場所の確保が一番なのです。

 

自分がその場所にしっかりいないのに、いきなり他と活発に交流したり

できませんよね。

子どもが消極的過ぎて、他の子の集う場に連れて行っても何もしようとしない場合、

家庭内にその子が安心して過ごせる居場所が確保されていないことがあります。

大好きな色や素材で囲われている

いつでも創造的じっくり取り組めるようなブロックや積み木や工作道具といったものが

少し散らかしても大丈夫で、子どもでも片付けやすい工夫がしてあるような場です。

 

 

 

そうしてゆったりと自分の時間を過ごすうちに

「子どもの遊び方がちょっと停滞してきたな」と思ったら、「他の子らと交流する時間がきましたよ。

お店屋さんをしている子はお友だちを呼んでみよ。線路をつないでいる子は積み木をしている子らに

ビルや駅を作ってもらお。」「ままごと遊びをしている子はお誕生日パーティーをしよう。

お誕生日に行きたい子は、手を挙げて!」という具合に

それぞれ別行動をしている子が互いにかかわりあえるようにサポートします。

 

ドールハウスで遊んでいる子とおもちゃのバスで遊んでいる子がいたら、

ドールハウスを幼稚園や学校にしてバスで送り届ける遊びになります。

 

遊ぶのが下手で棒でとんとんそこらを叩いているだけの子がいたら、

 

車やバスや家具を修理してもらう設定でかかわりを作ります。

 

自閉傾向があってそうした交流する遊びが難しい子とは、

お店屋さんなどをしている子のところに大人がその子を連れて行って

物をもらってくるだけでもいいです。

それかその子は遊びを変えず、周囲の子たちに

その子の電車遊びの世界を豊かにするようなものを作ってもらいます。

 

 

九州でのレッスンでもこんな交流のシーンがありました。

ひとりの男の子が部屋の中央のふすまの敷居にレンガ積み木を乗せて動かして

遊んでいました。

「電車?」とたずねると、「そう」とうれしそうにこたえます。

「長く長くしようか?」と言うと、どんどんレンガ積み木をつないで大喜び。

楽しい雰囲気を演出するために

テーブルを移動して、その下を電車がくぐるようにしました。

 

そうすると、年下の子たちが、テーブルの下を覗き込んで電車が移動する様子を眺めることができます。

それから、長めの積み木やストロー等で、

「カンカンカン~」とふみきり役をして電車が来るのを待つことができます。

 

 

ただ「敷居に積み木を並べていた」という行為だけでも、ちょっとしたサポートで

小さな子も

大きな子もいっしょになっていきいきと遊ぶ活動ができますね。

 

またこんなこともありました。

テーブルの上に置いてあった小さなパーツの木片を

幼い子がひっくりかえしてしまったのです。

大人がささっと片付けてしまうことだってできます。

でも、そうした思いがけない出来事を大事にして、

机の間に隙間を作って、机の下には受けるための箱をセッティングして、

働く車になったつもりで、「ザーツ、ギギー、ドドド!」と言いながら、

木片を押していけば、隙間に落ちた木片は

自然に下の箱に入りますね。

すると、落ちてく様子をのぞきこんだり、隙間に木片を落とす作業を手伝ったりして、

幼い子も大きなこもいっしょに楽しむことができます。

大きな子の場合、こうした活動は、

ものの仕組みを学んだり、頭を使う大切さを学ぶいいきっかけになりますね。

↑ ひとりの子が高い塔を作ると、

それを見た子はさらに高い塔をデザインに気をくばりながら作ります。

作る楽しさは飛び火します。

 

次回に続きます。