虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

やる気のスイッチを入れるアイデアいろいろ 3

2019-10-31 21:42:16 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

前回の記事で、

その年代、その年代で、とても敏感になっている

数学的なテーマを工作に取り入れる

といったことを書きました。

 

ちょっとまわりくどくなりますが、そのことについて

書いていきますね。

 

小学校低学年の子たちは立体物に関する

独特の感性やこだわりがあるな、と感じています。

立体物の見え方やとらえ方が

大人とはずいぶんちがうようなのです。

そのせいで、この時期の子らの物作りを見ていると、

どうしてそんなめんどくさい作り方をするんだろう?

と首をかしげることがよくあります。

 

下の写真は小学1年生のBちゃんが人形用のベッドに色紙を貼っている様子です。

見ていると、1面ずつ、形を写し取って貼っていました。

こうした作り方は、年長~小学2年生の工作風景ではしょっちゅう見かけます。

 

立体物を真似て形を作る時も、形を全体としてとらえるのではなくて、

一面ずつ形を描いて切り抜いて、それらを隣り同士張り合わせて作っていくのです。

 

その後、展開図もどきのようなものを作る時期もあります。

電車でしたら天井面と側面の2枚の

3面がつらなった形。

それを組み立ててから前と後ろの面を

継ぎをあてるように切り取って貼りあわせるのです。(その時点で底はありません)

家を作る場合、床と側面の壁1~2枚の

つらなった形が多いです。

 

下の写真は3つの面がつらなった形です。

こうした工作上の変化と算数の学習は深くつながっているようで、

小学生になったばかりの子らは『面積』と『まわりの長さ』のちがいが

聞いてもピンとこないのですが、

こうした面に対する独特の関わり方をした後で、

そういった概念が急に腑に落ちるようになるんです。

 

話が「やる気のスイッチ」という話からずいぶん脱線してしまったのですが……。

 

ちょうどその時期、その時期の

子どもが敏感になるテーマは、「物作りがあまり好きじゃない」という子も

工作に惹きつけるし、

「勉強は嫌」という子も、算数に興味を抱くきっかけとなりやすいです。

 

次回に続きます。


やる気のスイッチを入れるアイデアいろいろ 2

2019-10-28 20:45:20 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

たいていの子どもが「やりたい!」と感じるのは次のような場面です。

 

● 最初のとっかかりが簡単で面白そう。パッと見たところできそう。

 

● 好奇心をそそるような目新しさがある。

 

● 自分の得意なこと。もともと好きな分野。それに自信がある。見通しが立つ。

 

● 他の子がやっていて楽しそう。

 

● リラックスできる場所で、信頼できる人といっしょ。

 

Aちゃんはそうしたほとんどの子がすぐに飛びつく場面で、ぐずぐずしていることがよくあります。

というのも、「最初のとっかかりが簡単で面白そう。パッと見たところできそう」

でも、Aちゃん自身が頭を使う面ではかなり難易度が高いものにやる気を感じるところがあるので、

それが「やりたい」につながらないのです。

でも難しそうならいいのかというと、Aちゃんは手先がそれほど器用ではなかったり、

目新しくてイメージしにくいものを嫌うところがあるので、

それもやる気をそぐだけなのです。

 そういう点で、「好奇心をそそるような目新しさがある。」だけでは、

なんとなくしり込みすることがよくあるのです。

 

「自分の得意なこと。もともと好きな分野。それに自信がある。見通しが立つ」

活動は進んでやりたがるのですが、それだと毎回、同じようなことばかりしたがることに

なります。


「他の子がやっていて楽しそう」なものは、

他の子に乗せられるのではなく、自分の心がやりたいと感じたことをしたい

という気持ちが強いAちゃんには、むしろ「やりたくない」という

あまのじゃくな態度を生みもするのです。

 

「リラックスできる場所で、信頼できる人といっしょ」にいることは

Aちゃんにとって(そして他のどの子のやる気にとっても)

大事ですが、気持ちの切り替えが苦手なAちゃんにすると、

好きな遊びだけして過ごしたいというだらだらした態度にもつながりがちです。

 

そんなわけで、Aちゃんというひとりの子を相手にするにしても、

Aちゃんがどんなタイミングで、どのようなシチュエーションで

やる気のスイッチが入ったのか、

よく観察して把握しておくこと、またAちゃんという子を

理解しておくことが、大事になってくるのです。

 

「簡単じゃないと、やりたくないと思うのに、簡単だとやる気がでないという子が、

適度に頭を使う楽しさはあるけれど、手指の巧緻性はさほど求められず、

難しそうなのに思わずやってみたいと思う工作」

物作りの場面で、そんな禅問答にでも出てきそうな子どもの思いにぶつかった時、

役立ってきたのは、

その年代、その年代で、とても敏感になっている

数学的なテーマを工作に取り入れることです。

それと、使ってみたいと思うような

小道具を使うのもいいです。

 

次回に続きます。

 

 

 

 


やる気のスイッチを入れるアイデアいろいろ 1

2019-10-24 15:24:48 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

虹色教室では、どの子もたいていの場合、工作や算数の学習に

すごく意欲的に取り組む姿があります。

熱意や集中力の高さに、周りの大人が圧倒されることも多々あります。

そんな子どもたちの様子を見て、「どうしたらこんな風に

子どもたちのやる気のスイッチを入れることができるんですか?」と

たずねられることがあります。

 

私は子どもが大人の用意した活動や勉強などに

いつでもやる気満々で参加する必要はないと思っています。

気分が乗らない日や、やりたくないと感じる活動は当然あるはずですから。

 そんな風に子どもが大人にとっての『いい子』でなくていいと思うものの

せっかくわざわざ教室に来てくれたのなら、

自分の全身全霊を傾けて何かに没頭する喜びを味わってほしいと願っています。

それと教室での体験を土台にして、家庭や学校での活動に

ワクワクを感じる機会が増えたらとも思っています。

 

前置きが長くなりましたが、子どもたちが物作りや勉強に

前のめりになって参加するために教室でしている工夫を

紹介していきますね。

 

まず教室では、ひとりひとりの子のやる気スイッチの入るタイミングを

ていねいに把握しています。

上の写真は1年生のAちゃんが工作している様子なのです。

Aちゃんは、大人に「こんなことしてみない?」と誘われたり、

他の子らが、「こんなことやりたい!やりたい!」と盛り上がったりしている時は、

ひとりだけ場から離れて、「やりたくない」と主張することがよくあります。

 

ひっぱりますが次回に続きます。


Yくんのお母さんからコメントをいただきました

2019-10-24 08:47:01 | 算数

算数なんて必要ないんだと力説していたYくん。算数の面白さを発見する。

 の記事で登場してもらったYくんのお母さんからコメントをいただきました。
(コメント欄の中に埋もれさせたくないので、記事の形で紹介させていただきますね。)

「算数なんか必要ないんだ!」って熱弁していた一年前が思い出されて懐かしく、可笑しく、ついに、「算数の面白さ」を見つけたんだなあ、としみじみ、じーんとしました。

当時、「算数きらい」って言うので、そうなんだ、この子は算数には興味がないんだな、って思っていました。
嫌いって言うんだから仕方ないし、何に興味があるのかは人それぞれだから、っていう風に考えていたのですが・・・「面白い!」と感じた子は、これほど変わるのか、と、感動しています。

子どもの「嫌い」っていう言葉を安易に真に受けちゃいけないな~と反省しました。「算数の秘宝」を見つけて、Yの人生が、すごく豊かになったように思うのです。

「冒険」という言葉を使われていますが、本当にそうで、未知の世界に飛び込む勇気と好奇心で、算数の面白さや自分が変わっていく喜びに出会ったのだと思います。
それは、百人百通りの、その子だけの冒険物語なのでしょう。

これからもたくさんの「秘宝」を見つけて、新しい扉を開いて、世界を広げていってくれたらと願っています。

といっても、私が家で算数をさせたりすると(めったにしませんが)、Yの心の中に芽生えたこの新しい息吹が、どっかにいってしまう感があります!冒険ではなく、作業?労働?(汗)奈緒美先生との算数とは、全然違うのでしょうね・・・。


自分の時間を過ごしている子は、抽象的な思考ができる状態に自然に発達していく

2019-10-21 19:22:17 | 教育論 読者の方からのQ&A

上の写真は、紙飛行機を飛ばす道具を作る小学生たち。

電池の向きを変えると、モーターの回転の向きが変わるので、

飛行機が飛ばないことに気づいて驚いていました。

 

(過去記事です)

コメント欄で次のような質問をいただきました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この4月から、4年生の理科を担当しています。
1学期は、自然観察、天気と気温の関係、電気のはたらきと学習を進めてきました。(教科書の順です。)
前の2つの学習では、テストをしても大した差は見られず、平均点もよかったのですが、
「電気」の授業・テストをして、これは!と歴然とした差が子ども達の中にあるのを感じました。
前の二つの学習は、目に見えるものを扱っています。
気温にしても、体感でどの子もある程度の経験量がある。
でもこの「電気」は、目に見えない上に、経験にも大きな差が。
問題を解こうとすると、抽象的な思考を要するんですよね。
するととたんにできなくなる子が続出!
見えないものをイメージするのがかなり難しい様子。
担任の先生方に聞くと、算数でも同じような状態になっているとのこと。
抽象的な考え方って、どれくらいで身につけていくものなんでしょう?

9歳~10歳の4年生の今が、そういう時期なのかなとは思うのですが、
(だからこそ、教科書にもそういった内容を扱う学習が出てくるのだと思うのですが)
一朝一夕に、身につけられる力ではないと思うのですが、
そうであっても、ただ何もせずそういう力がついてくるのを待つしかないのでしょうか?
そんなことを考えながら、ブログを読んでいたら、この記事に出会いました。
自分の手を使って、切ったり、貼ったり、組み立てたり・・・。
「工作」する中で、抽象的なものの見方などを育てることもできるのでしょうか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この質問をいただいてから、以前、教員をされていた☆さんと、

このコメントの内容についてお話する機会がありました。

(質問主さんと☆さんは別の方です)

「抽象的な見方や考え方は、どのようにして育つのでしょう?」とたずねると、

☆さんは、小学校高学年と低学年のふたりのお子さんをこれまで育ててくるなかで、

感じた考えを聞かせてくださいました。

☆さんの上のお子さんは、小さい頃から飲み込みが早く、記憶力が良くて、

人と関わりながら学ぶのが大好きな子でした。

おまけにまじめで聞きわけが良く、学習習慣もつけやすくて、

自分から進んでワークをするおりこうさんでした。

それで、☆さんは、この子にさまざまなことを教え、この子は驚異的なスピードで

マスターしていました。

ところが、このおりこうさんぶりが災いして、

9歳~10歳になった頃、抽象概念の理解につまずきはじめました。

この子はとても賢い子ではあるのですが、それまで大人が教えることを

できるだけ効率的に受動的に学ぶ習慣が身についていました。

そうして、教わってできるようになることの繰り返しでは、学習をどれほど先に進んでも、

それが抽象的な見方に発展していかないところがあったのです。

「ひとつの答え」を急いで求めようとする早押しクイズをしているような態度や、

大人から正しい解き方の説明をしてもらって、できるだけ素早く正確にマスターしようと

する態度は、抽象的な思考につながりにくいどころか、

それを邪魔するような遠ざけるような面があったのです。

一方、下のお子さんは、工作やブロック制作や自由遊び、親子の会話や日常生活の中で、

自分で体験して学ぶことが主で、☆さんは、極力、「教える」ことを控えて子育て

してこられました。すると、下のお子さんは、まだ低学年なのにも関わらず、

自分で論理的な筋道を立てて考えたり、抽象的な概念も正確に理解して問題を解いたり、

高い思考力で問題解決をするように育ってきました。

そこで、☆さんは、上のお子さんにも、教え込んで、その日のうちにわからせて

しまうことを避け、自分で自由に試行錯誤するゆったりした時間を与えるように

しました。また、日々の生活をゆっくりマイペースに過ごせるようにしたり、

友だちとの遊び時間を大切にしてあげるようにしました。

すると、時間はかかりましたが、上のお子さんにも、

抽象的な見方や考え方が芽生えてきました。

☆さんは、現在も教育関連のお仕事をなさっていて、そこで、子どもたちの知能の

発達や抽象概念を扱えるようになる子とならない子のちがいについて、

ていねいに観察しておられました。

☆さんいわく、「抽象的な見方や考え方は、大人に抽象的思考を教えられたから

身につくものではなく、子どもが自分で日常の体験を味わうことが大事で、

そうして自分の時間を過ごしている子は、脳が、ちゃんと抽象的な思考ができる状態に

自然に発達していくものですよ」というお話でした。

次回は、『よみがえれ思考力』(ジェーン・ハーリー  大修館書店)に書かれて

いる抽象的な見方や考え方を育むための方法を紹介しますね。

 

『よみがえれ 思考力』 ジェーン・ハーリー  大修館書店

には抽象的な見方や考え方について、次のように書かれています。

(要約して紹介します)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

十代の初期には、物の世界を習熟し終えて、抽象的な考えの操作へ進まなければ

ならない。

ある人は、ピアジェのいう「形式操作の思考」である抽象的な思考の段階に

達しているのは大人のに3分の2だけだと考えている。

おそらく、抽象的な問題に対して創造的な答えを生み出すことが要求される「課題発見」

とよばれる究極の段階に到達する者は、きわめてわずかだろう。

われわれの社会が、そういった能力をもつ人々をもっと多く必要としていることは

誰も異存はないだろう。

 

<抽象的思考の手立て>

◆ 演繹的推論  
人間の脳は経験の中に規則や秩序をさがし求めるようにされている。

幼い子どもは情報のさまざまな断片に注目し、大きな規則や広いカテゴリーへと

それらの情報をまとめていくことを学習する。

「昆虫は全て足が6本みたいだ。だから昆虫であるということの規則は足が

6本であることにちがいない」というのは、帰納的推論である。

この語、一般的原理を取り入れ、未知の状況へ応用する。

 

◆ 仮説検証

問題について可能性の高い答えを考えだし、うまく機能する答えが見つかるまで

系統的に検証していくことは、科学的な推論の基盤である。

一つの考えに固執して、事実を無理やりそれに合わせてしまう傾向がある時期は、

大人の援助が必要。毎日出会うさまざまな問題に、心をひらいて対処していくことは、

この仮説検証という重要な成長へと向かう明確な水路である。


◆ 命題的論理

「メアリーはサリーより背が高く、サリーはマージーより背が高い。一番、

背が高いのは誰でしょう」という問題は、具体的操作を習得した子なら理解できる。

しかし、「雨が降っている。夏にちがいない。とすれば、夏であれば雨が降るのじゃ」

といった命題を理解することは困難である。


◆ 比率

比を扱う問題を心で操作できるようになるには、具体的な材料や公式を必要とする。


◆ 二次表象システム

代数と文法はどちらも別のシンボル体系を表すシンボル体系である。

幼い子たちには、規則を抽象的に応用することを期待すべきではない。

◆ 「抽象的な心的態度」

状況の外側に立ち、通常のかたちでは相伴うことのない考えを結びつける能力。

隠喩、文の中ではあからさまに述べられていないような推論、ある種のユーモア、類推、

自分自身の現実的な評価などである。

感受性の高い大人であれば、質問を正しくすることで、この種の推論へと

子どもたちを引き上げることができる。 


◆ 抑制することの重要性

われわれは脳が活動的であることを好むが、過度に活性化された脳というのは、

一度にあまりにも多くの刺激に反応し、

考えから考えへと飛躍してしまうといった問題を生じやすい。

前頭葉の発達の研究では「内言」(自分自身との心的な対話)の重要性を強調している。

衝動的に行動を起こすのではなく、問題に対して心の中で一通りの言葉を使って

考えることができる生徒は学校において優秀であり、高次の思考技術をより早く

獲得することができる。

 

◆ 意志決定

身につけた新しい精神的見識が、個人の意志決定のための全く新しい構造を

若者たちにもたらす。その構造を使って実践するにつれて、

彼らは依存したいことと主張したいことをふるい分けるようになる。

       (『よみがえれ 思考力』 ジェーン・ハーリー/大修館書店より)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

前回の記事で、知人の「抽象的な見方や考え方は、大人に抽象的思考を教えられたから

身につくものではなく、子どもが自分で日常の体験を味わうことが大事で、

そうして自分の時間を過ごしている子は、脳が、ちゃんと抽象的な思考ができる状態に

自然に発達していくものですよ」という発言は、上の<抽象的思考の手立て>を読むと

納得できるものです。

「演繹的推論」ができるようになるには、自分で身の回りの世界から規則や秩序に

気づく体験の蓄積が必要です。

でも、大人が教えたり、図鑑を見て最初から一般的原理を教えたのでは、

脳が経験不足に陥ったり、考えずに鵜呑みにする悪い癖が身に付きますよね。

また、「仮説検証」についても、子どもに教え込んでいく学習をさせると、

「自分が大人に教わったものだから正しい」というよく考えを練りもせずに、

ひとつの考えに固執して、事実の方を無理やりそれに合わせてしまう癖がつきがちです。

私が、大人や現代の環境が、子どもから、「内言」が発達することを奪っているように

感じています。自分自身との心的な対話は、子どもが自分でいろんな体験をして、

ゆったりしたその子の時間を与えられなかったら生じてきませんよね。

 

子どもをお勉強マシーンのように捉えて、次々課題をこなさせて、

そうした過度に脳を活性化させるばかりの活動が続くと、自分で自分と対話する

静かな時間が失われるのです。

その静かな子ども自身の時間を、学習漫画やパソコンやゲーム機でする知識を

インプットする知能が向上しているような錯覚を覚える活動で埋めては、

お得感(時間を無駄にせずにすんだという理由で)を感じるという親御さんがいます。

抽象的な思考力の発達という点からすると、そうした反射的な思考回路ばかり

強化するのはとても危険なことのように思われます。

 

子どもはボーッとしてゆったり過ごす時間に、自分で自分と対話をし、

自分の経験を振り返ってそこから規則を見出したり、自分の意志で選びたいものに

ついて夢想したりするからです。

といっても、ただ放任して時間を十分に与えたからといって、

どの子も抽象的な見方や考え方ができるようになるかというと、難しい問題です。

-抽象的な見方や考え方ができるようになるには、

次のふたつの体験がベースになっています。

 

◆ 身体、五感でする体験。

◆ 物に触れて、操作しながら具体的に考えること。

 

このふたつの体験の豊かな蓄積の上に、抽象的思考は成り立ちます。

「抽象的な思考力がないと「9歳の壁」を越えられない……だから、思考力を鍛える

ワークや頭脳パズルを早くから学習に加えよう」と考える方もいます。

でも、それは抽象的な思考力のごく一部にしか通用しないかもしれません。

思考力を養う教材で抽象的な思考を養おうとするのでは、

実際、抽象的に考える段階になったときに、身体感覚からのインプットの量も、

遊びや創作活動を通して触れる具体的に目で見て、手で扱って考えた体験の量も

少なすぎるからです。

 

物事を正しく認識し、文字や数など抽象的なシンボルを扱う思考力は、

身体を通して学び、感覚を統合させていく体験と、おもちゃや工作の素材に、

自由に働きかけて、手を使って何かを作りだしたり、想像力を使って見立てたり、

自分のアイデアを形にしたり、うまくいかない時には工夫して解決したりする体験を

通して養われます。 



↑の写真は、ユースホステルでの工作作品です。

機械が大好きな2歳の★くんが、クーラーの室外機のファンが回る様子に

強い興味を示していたので、お母さんが★くんといっしょに作ったものです。

★くんは、紙コップで作ったファンをくるくる回したり、

スイッチをつけたり消したりする真似をして、大喜びでした。

2歳くらいの子にとって、「ある物が、何かの内部にある」という関係も、

実際、手で触れて出し入れしてみないと難しいものです。

このようにティッシュ箱の中に何かが入っている状態というのも、体験して初めて、

「わかる」ものだし、こうして手で扱えるものになってから、

「こうしたらどうなるのかな?」「こうやったらこうなるのか」

「あの機械は、こんな風な力で動いているのか」「くるくる回るのはこうするから

回るのか」と具体的な体験を通して考えることができるのです。

 

抽象的な思考をする力を育むには、

「身体と五感を通じてする体験の蓄積」

「遊びや創作活動を通じてする具体的な物の操作」

「内言を育むこと」

「親子の対話」

「読書」

「身近な大人が抽象的な思考を使う姿を見せること」

の6つが、とても大切なように感じています。

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虹色教室のグループレッスンでは、それぞれの年齢の子たちが好む遊びの機会を

提供して、それがより洗練されたものに展開する手助けをしています。

さまざまな年齢のグループレッスンに付き合っていると、

非常にさまざまな内容の濃い遊びや活動を展開する幼児たちに比べて、

小学生のグループは年齢が上がるにつれて、地味であまり活発とはいえない

遊び方に変化していきます。

 

<教室で子どもたちがしている遊び>

◆機能
1歳くらいから、目と手を協応させる遊び、手指の感覚を育てる遊び、

身体を使ってする遊びがはじまります。

 

★象徴

2歳くらいから、つもりやみたてがはじまり、

3歳くらいから、ごっこ遊びがはじまります。

模倣や社会的役割の理解と獲得が進みます。

 

☆構造

2歳半くらいから。
空間認知、創造性、仲間との協調性が育む構造遊び。

 

○数の世界
2歳半くらいから。数の敏感期とともに遊びが展開していきます。

 

■ルール

3歳半くらいから ボードゲーム カードゲーム

 

●知恵

4歳くらいから 頭脳パズルなど ニキーチンの積み木など

 

■抽象的思考

対話の中で、抽象的な考え方を深めていく

 

でも、表面的には、同じトランプゲームを繰り返したがったり、

だらだらおしゃべりしていたがったりして非生産的に見える時も、

それに適度に関わっていると、子どもの内面で具象から抽象へ、

興味の変化が起こっていて、大人の手を借りてそれをより深めたがっているのが

わかります。

 

現代の小学生は、きょうだいが少ないので、自分の家にも近所にも、

少し年上のお姉ちゃんお兄ちゃんという存在と接することができない子が多いです。

そのため、抽象的な思考力が発達する時期には、同年代の友達同士のおしゃべりや、

ひとりでぐるぐるろ同じところを回っていた考えを、

身近な大人にそっと軌道修正してもらう必要があるように思います。

間違いを正してもらうのではなくて、脱線しそうになる考えを、ひとまわり大きな

枠組みから捉えたり、他の視点から眺めたりできるような

質問をしてもらったり、相槌を打ってもらうことがいるんだな、と感じているのです。

 

先日も、小学校高学年の女の子たちのグループで、

「私はいつも運が悪いわ。先生(私のこと)は、今、運が悪いんだったら、

後でいいことがたくさん起こるんじゃない?なんて言ってたけど、前に運が悪かった

ときから思うと、今は後だと思うけど、やっぱり今も運が悪いわ」とぼやいている子が

いました。

「運が悪いって、具体的にいうと、どんなことがあったの?」とたずねると、

「具体的にいうって?」と聞き返します。

「ほら、よく石につまずくとか、くじびきで、はずればっかりだとか、実際に

運が悪いと思う理由になったひとつひとつの出来事のことよ」

「なら、ウノをするときは、運が悪い。配られたカードが悪いのばかりだから……でも、

ボードゲームとかだと、運が良いときもある。トランプのときも、

あんまり運が悪くない」

「Aちゃんは、ウノだと運が悪くて、他のゲームだと運が悪くないのね。

それなら、私はいつも運が悪いわって言葉は、私はウノをするときいつも運が悪いわ、

っていうある部分に限定した言い方に変えた方がいいんじゃない?」

「そうだけど……」と、ちょっと不服そうに口ごもりながらも、考え込んでいました。

グループのお友だちもこの問題についていろいろ考えていました。

 

<AはBである> (私はいつも運が悪い)

なんていう子どものつぶやきも、それをテーマに対話をすることによって、

抽象的に考えていく方法を学ぶ機会になります。思春期に近くなるにつれ、子どもたちは、

活発に楽しげに遊びを繰り広げるのではなくて、こうした日常で感じた心のささくれの

ようなものを相手に、「ああでもない、こうでもない、でも……」とぐずぐずと悩んだり

愚痴ったりするようになります。

でも、よく聞いていると、それは抽象的な思考を試して練習している場合が多いです。

脳が、そうした脳内の言葉だけの操作を求めるようになるんですね。

でも幼い頃から、「はやくはやく」とせかされて、ひとつの正解を求めて練習を

積むような訓練をたくさんしている子は、こうした自然な抽象的な思考への移行が

見られないときがあります。

子どもにゆっくりと考えを練る時間を与えてあげたいですね。

 

息子とおしゃべり 『就活を通じて感じたこと、考えたこと』1 

2019-10-17 20:06:44 | 息子とおしゃべり(ときどき娘)

来年の春から東京のIT業界での就職を予定している息子。

就職活動を続けるうちに、以前は気にもとめていなかったウェブの

無料文化に問題意識を持つようになったそうです。

何にどんな問題を感じたのかあれこれたずねるうちに、ずいぶん

長いおしゃべりになりました。

 

息子「無料市場が大きくなりすぎて、ローコストで楽しめる娯楽が幅をきかせているよね。

何年か前にお母さんが『フリー』(フリー<無料>からお金を生み出す新戦略)っていう本を

買ってきた頃は、まだ無料のものってめずらしかったけど、

今じゃ漫画やゲームはもちろん、創作の発表の場も知りたい情報も

無料で手に入るようになってる。ウェブ業界は今は無料を売りにしたビジネスモデルが

市場を大きく独占している。

自分がそういったものを利用する側だけの視点から見ていた頃は、

安ければ安いだけいいし、無料ならなおいいと思って

フリーでできるサービスを進んで探す立場だったけど、

これからウェブの世界で仕事をしていくことを

意識して就活するうちに、そのビジネスモデルの不健全さのようなものが

気になりだしてさ」

 

母(私)「不健全さ?」

 

息子 「無料で提供しているからみんなそれを使うってことを土台にしているがゆえの

構造の不健全さってことかな。無料サービスのもとは、広告費だから、

ウェブ上で何か創作するにしても、メインはいかにその中に広告を組み込んでいくか、途中でお金を

使わせるような形を仕込んでおくかっていう

創作物そのものの質とは関係ないところになるよね。

それは長い目で見ると、作る側も受ける側も不幸にしていくような気がするよ。

もし無料でなければ、いくつもの企業が

提供されている情報なり商品なりの質で独自性を出そうとするじゃん。

そうしたシンプルな構造で市場が成長しているなら、どの会社も、商品を使うお客さんが

幸せになれるような内容、つまり創るものの質だけに注意を向けられるわけでさ。

ネットの世界は本来いくらでも価値を生み出せる、あらゆるものを

無限に提供していける場なんだろうけど、そこが無料のビジネスで

独占されると、メインの仕事が生産することではなく

すでにある財産の取り合い、つまり

既存スペースの奪い合いと顧客の奪い合いになってしまうよ

無料でできることの域が発展し、有料が発展しないっていうのは、

創造的に新しいものを生み出していく力を奪うなぁて」

 

 

母 「確かにそうよね。これまで無料で利用できることに

何の疑問も感じずにきたけど。

 でも、それをなぜ就活していて感じたの?」

 

息子 「こうしたことを考え出したのは、

就活の準備を重ねるうちに、

お金を稼ぐ側、サービスを創り出す側の視点に移っていったこともあるけど、

ただ社会のあり方にどうのこうの言いたいっていうより、

これから自分がどういうポリシーを持って創っていきたいか

自分の中でじっくり考えを練っておきたいという思いが強いよ。

一昔前の映画監督とかいろんな分野のクリエイターは、売り上げとはかけ離れたところで

作品に魂を込めるといった感性があったよね」

 

母 「そう、そう」

 

息子 「そんな風に、作る側の人間が、作り出したものの価値を大事にしていくには

どうあるべきか、これから社会に出ていく個人として考えていきたいんだ。

社会を構成しているのは個人個人の働き方で、就活していても、

企業もけっこう、そうした個人のよりいい形の働き方を大事にしているし、

社会全体を幸せにしたくて、それぞれがビジョンを持ってる。

面接でも会社の上の方の役職の人ほど、こういう儲け方が蔓延している世の中はよくないんじゃないか、

とまで大げさなものじゃなくても、

ゲーム業界なら、自社の儲けを考えるだけでなく、ゲーム業界全体を活発にしていこう、

人の生活をよくする事業、現在の社会問題を解決し、不安を取り除くインターネット事業を

作っていこうと考えていることが、話をする中で伝わってくるんだ。

だから働く側も、個人は個人として、自分の中心によく考えて練った軸を持っていたいんだ」


3歳児さん 4歳児さんのレッスンで。 学び方、考え方の個性のいろいろ 2

2019-10-16 14:01:11 | 3、4歳児

このグループのBちゃんは、新しいことを考えるのが得意な立案型の子で、

創造、発明的な考え方や表現の仕方を好みます。

グループでする活動には自分から「やりたい」と思ったことには進んで参加するけれど

やりたくないことはしようとしないところがあります。

とはいえ、「こういうことはやりたくない、嫌い」という苦手があるわけではなく、

教室に来るたびに興味の幅を広げていて、

最初は不得意だったことも、どんどん大好きで得意なことに変えていく姿が

あります。もともと、工作が何より好きな子だったのですが、

最近は、ボードゲームや頭脳パズルがブームです。

Bちゃんに関わる上で大事なのは、Bちゃんのアイデアを実現すること、考えを言葉にさせることなどを

あと回しにしないようにすることだと感じています。

Bちゃんにとって自分発の発信で何かすることが、モチベーションの土台になっている

からです。

Bちゃんの創造力と想像力が存分に発揮できるようにしていると、

Bちゃんは急にすっきりした表情になって、

以前できなかったことに自分から取り組みたがり、集中して最後までやりとげようとします。

 

Cちゃんは批判的に考える評価型と決まった手順に従う順守型という

真反対のあり型が半分ずつまざったような思考スタイルの子です。

日常の日常の知恵が働く実際的な考え方をする子でもあります。

何か始める時、はじめは参加したがらないかしぶしぶ参加しているのだけれど、

目標がはっきりしたり、結果を出せそうな道筋が見えてきたりすると、

がぜんやる気になります。

外から見るとやる気がないように見える間も

実際は一番成果が出せるようなタイミングをうかがっているよう

なところがあります。

以前、Cちゃんのお母さんに、「Cちゃんの力を引き出すには、

身近なお母さんがコーチングの技術を身につけたらいいのかも」と言うと、

「コーチングですか?」と何の話かピンときていないような様子でした。

コーチングとは、相手の能力や可能性を最大限に引き出し、目標達成を

支援するコミュニケーションスキルのことです。

Cちゃんという子は、

目標がはっきりし、結果を出すためにがんばりだすと

力がどんどん湧いてくる子なので、

お母さんがコーチング技術を少しでも学ぶようにすると

伸びていくのだろうと感じたのです。

親がコーチング技術を知っておくことは、どの子にとってもよいでしょうが、

子どもの思考スタイルによっては、目標に向かって努力するよりも、

好奇心を満たして学んでいる内容に愛着を抱くことや、

自分の考えを創造的に表現することの方が重要な子らもいるので、

取り入れる際は、子どもの姿をよく観察することが大事だと思っています。

 

 

 

 


3歳児さん 4歳児さんのレッスンで。 学び方、考え方の個性のいろいろ 1

2019-10-12 17:34:10 | 通常レッスン

 

教室で見ていると、3歳や4歳の子にも、学び方や考え方に得意不得意、好き嫌いのような

個性があるのがわかります。

 思考スタイルは、大きく分けて、

新しいことを考えるのが得意な立案型

決まった手順に従う順守型

批判的に考える評価型

の3つがあるとされています。


また、勉強ができる分析的なあり方、

創造、発明的なあり方、

日常の知恵が働く実際的なあり方という捉え方もあります。

 

そのどの思考スタイルを主としているかで、幼い子であっても、ある活動では落ち着きがなくうろうろし、

別の活動では他の誰よりも熱心に集中するという違いがでます。

 

それでは虹色教室で実際にどんな風に子どもの

学び方の個性と関わっているのか、3,4歳の子らのグループでのレッスンの様子から

紹介しますね。

 

もうすぐ4歳になるAくんは、「こんなことをしましょう」と大人から何かを提案されると、

「いっやだよー」というのがお決まりの第一声です。

他の子らが、工作やゲームを始めると、ふざけて踊ったり、面白い言葉を連発したりして

ちゃちゃを入れるばかりで、活動への参加をしぶることがよくあります。

Aくんは先の思考のスタイルでいうと次々面白いアイデアを思いつく立案型の子で、

日常生活上の知恵が

よくはたらく実際的な考え方をする子です。

ですからただ単にふざけているように見える時も、そこで他の子らが何をしているのかよく観察していて、

好奇心が大きく動かされているのがわかるし、

他の子らの活動について、自分の意見を言ったり、問題を解決するためのアドバイスもしています。

 たとえば、お友だちのBちゃんが「ゆうやけ」の絵を描いて絵本を作っていた時も、

私が、「ゆうがたって、朝、目が覚めた時とちょっとちがうね」と言うと、

Aくんがすかさず、「ちがうよ。ゆうがたは、あさじゃなーい。もっと後ろ」と言い、

「ゆうがたは昼ごはんの時間ともちがうね」と言うと、

「ちがうよ。ゆうがたは、ひるじゃない。夜もちがう」と言いました。

そこで、絵本を描いたBちゃんが、「ゆうがたっているのは、お昼と夜の真ん中にあるんだよ」

と説明すると、「そうそう、そうだよ!」と身を乗り出してうなずいていました。

Aくんは順守型の子たちのように

大人の説明をきちんと聞いて、その通りに動いたり学んだりすることは

苦手ですが、自分なりの意見を表現する場面では、

独創的でしっかりした考えを口にし、

そこでちょうど関心を持っていたテーマの課題を出してあげると、

他の誰よりも集中して取り組みます。

また、踊ったり、スポーツの型を真似たりするのが好きな子なので、

学ぶ際、身体全体を動かしながらできるよう工夫すると、

長い時間集中して学ぶ姿があります。

今回も、1から50までの数字が書いてある

生物の絵カードを並べていく数遊びをすると、

32の隣は42であること、25の隣は35であることを知って、

「へぇぇぇ~!」と面白がって、それは熱心に数を置いていました。

こうして数を並べた後で、

「33はどーこだ?」

「16はどーこだ?」といった

数を探す遊びも進んで参加していました。

 

途中ですが、次回に続きます。


算数なんて必要ないんだと力説していたYくん。算数の面白さを発見する。

2019-10-11 08:51:55 | 子どもたちの発見

昨年、虹色教室のユースホステルでのレッスンに参加したYくん。

工作や遊びなど自分のしたい活動はしたいけれど、算数は必要ないからやりたくないと言い張っていました。

そんなYくんとのやり取りを、こんな記事にしています。

「算数なんて必要ないんだってことを先生に説得する」とYくん

 

それから1年。

何度か教室でいっしょに過ごすうちに、Yくんの算数への思いは大きく変化してきました。

大好きな工作の世界と算数の世界のつながりに気づくうち、図形のまわりの長さの計算

では、算数が得意な同学年の男の子と肩を並べて競いあう姿がありました。

そんなきっかけから次第に算数に興味を持つようになり、

今年のユースでは1学年上の子の算数の学習につきあっていました。

 

今年のユースの後で、Yくんが

100歳の人は、何日生きたのかな?

と突然言い出したそうです。

それは何時間なんだろう、何分なんだろうと、計算を始めて、

二桁の掛け算はまだ習っていないので、お母さんに方法をたずねて、説明を熱心に聞いていたそうです。

寝る時間になっても続けているので、

もう終わりにしよう、と言ったら、

もうちょっとやらせて!と言い、

Yくんのお母さんいわく、

まさに、「これは自分はできるから、もっとやらせてくれ!」状態を目の当たりにして、とても驚いた、

ということでした。

 

100歳の人は、何日生きたのかな?という疑問。

 思わずワクワクしながら計算したくなる疑問ですね。

リンク先の記事に残っていますが、

昨年、私はYくんにブログ経由でこんな手紙を出したんです。

 

Yくんへ

虹色教室で算数をする理由は、虹色教室では算数の中に隠れている

「面白さの秘密」を見つけ出すところだからです。

それは、Yくんが行きたくてたまらないアマゾンの奥地に隠された秘宝と同じような

貴重なものです。

それを手に入れれば、これからYくんが算数と会うたびに、

ちょっとずつ好きになっていくかもしれないという魔法のお宝です。

これから先、めちゃくちゃつまんなくてたまらない算数とおつきあいする時間が、

その秘宝さえ手に入れたら、

もしかしてめちゃくちゃ面白い時間になるかもしれないんです。

そうすればYくんが大嫌いな退屈で無駄な時間が、

たのしいわくわくする時間に魔法のように変化するかもしれないでしょう?

だから、算数の勉強が、ワニに食べられたり、毒へびにまきつかれたりするより

うんざりするつまらないことだと思うかもしれませんが、

そんな試練にめげず、算数の秘宝をいっしょに探しに行ってください。」


この算数の秘宝を、Yくんはこれからもたくさん見つけてくれるんじゃないかと思いました。

ひとりでも多くの子が、Yくんといっしょに算数の秘宝を見つける冒険に出てくれることを願っています。

 


工作を通しての形についての発見 と1年生の算数のレッスンの様子です

2019-10-08 14:28:09 | 工作 ワークショップ

小学1年生のAちゃんのレッスンの様子です。

プリンセス好きのAちゃん。

教室に着くなり、「ラプンツェルのお城が作りたい」と言って、

持参してきたお人形を見せてくれました。

確かにラプンツェル。髪の毛のボリュームがすごいです。

ラプンツェルのお人形のサイズが大きいので、お城のサイズも大きく

なりました。

 

お城作りで、Aちゃんはこれまで何度か作ったことがある

「同じ形の面を何枚か張り合わせて

角柱の側面を作る」という

方法を使いました。

屋根を作る時も、同じ形の三角形を5枚用意して張り合わせて

作りました。

最初の形を重ねて切ると

何枚も同じ形ができるので簡単です。

工作技術もひとつひとつの体験の蓄積が

次につながっているのを感じました。

 

算数のレッスンで時計の応用問題を解きました。

<問題>

かなこさんが いえに かえってくると、とけいの

みじかい はりは 4と5の まん中を、ながいはりは

6のところをさしていました。

ところがあとで かなこさんの おとうとが、とけいのながいはりを

2かいはんたいに まわしていた ことがわかりました。

かなこさんが いえに かえってきた 正しいじこくは

なんじですか。(最レベ1年生より)

 「時計の問題は苦手」と言っていたAちゃんですが、

他の人の話をていねいに聞き取ることができる性質からか、

このややこしい問題にしっかり正解していました。

 

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このところ、家のリフォームの準備でバタバタしていたのですが、

かなり落ち着いてきましたので、ブログを書くのにもう少し時間をかけてい

こうと思います。

また算数オンライン教材を購入してくださった方々への「おまけブログ?」

(教室でしている算数遊びの内容をまとめていく

鍵付きブログを教材とリンクして購入者に無料で見ていただけるようにする

予定です。すでに購入しておられる方ももちろん見ていただけます。)

製作中です。もう少し時間がかかりますので、待っていてくださいね。