虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

拡充学習と教室の活動のまとめ

2020-04-27 12:15:52 | それぞれの子の個性と才能に寄りそう

レンズーリは、子どもの潜在能力を伸ばすために「拡充の三つ組モデル」と呼ばれる

組織化のモデルを用いています。

 

<拡充の三つ組モデル>

 

タイプ1 一般的探索の活動

 

全生徒が対象。一般的探索の活動からなり、普通カリキュラムではあまり取り上げられないような、

新しくておもしろいトピックや考え方、学問分野に子どもが触れられるように計画されている。

その活動は、さまざまな種類やレベルの継続学習への「招待」だと子どもが自覚している。

多様な種類の継続学習のために、種々の機会や物的資料、奨励がある。

 

 

タイプ2 集団訓練の活動


広範囲の「処理技能」を発達させるように計画されている。

①認知的訓練(分析、組織化、批判的思考、創造性)

②感情的訓練(内省的、対人的、人生の危機への対処)

③学習の仕方の学習(聴く、認識する、ノートをとる、要約する、面談・調査する、データーを分析する、まとめる)

④研究と参照の技法

文章や口頭、視覚的手段による発表技法。

 

タイプ3 個人、小集団による現実の問題の探求

 

子ども個人や小集団の興味にもとづく必要がある。

子どもは自分が探求しようとする現実の問題を「抱え」なければならない。

発表相手に糸した結果をもたらすような、本物の成果を発展させる。

種々の学習スキルを自分で使えるように向上させる。

課題への傾倒、自信、達成感、人とのやりとりなどの感情面のスキルを発達させる。

 

三つ組モデルの特徴

 

<一つ目> 自然なやり方で学習する

「外的な刺激」「内的な好奇心」「要求」、あるいはこれら三つの出発点となるものの

組み合わせによって、あるトピックや問題、研究分野への興味を伸ばす。

 

<二つ目> 部分の合計より多い

三つのタイプの拡充間の「相互作用」が、それぞれのタイプの拡充や

それらの合計全体と同じように重要であること。

 

<三つ目> 個人的知識

子どもが自分自身の能力、興味および学習スタイルについて

「個人的知識」を得るように計画されている。

 

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 虹色教室では、小さな教室でできる範囲なのですが、このレンズーリの拡充の三つ組モデルを参考に主な活動(算数レッスンの時間以外の活動)を行っています。

そうすることで、最初に子どもとする活動が、簡単な影絵遊びのようなものでも、

その活動に触発されて興味を深めていく子らによって、大きなスクリーンで映画を映す活動になり、

手作りのプロジェクトマッピングとなり、月の満ち欠けを影絵を使って発表する機会となり、

深海の世界を影絵で表現する取り組みにもなりました。

また虫眼鏡を覗く遊びも、生き物の目の仕組みへに関心やレンズや望遠鏡作りや

地下の生き物への興味などにつながりました。

形を楽しむ工作も、歴史的建造物への興味や図形の探求、

コンパスを使ったさまざまな工作や手作りコンパス、折りたたむしかけ、形を利用したからくりへの

興味へと発展しました。

大阪城へみんなで出かた後には、女の子も男の子も戦国武将や忍者などに夢中になる子が増えました。

 

ほんの一部ですが、日々の活動が、どのように個々の継続的な探求へとつながっているのか、

過去記事を、紹介しますね。

 

<形の発見>

 

 形は面白い!

半分の半分の半分の半分

 

基礎的な発見 <三角形の不思議>

基礎的な発見 <90度を作りだす>

 

基礎的な発見 14 <正方形の対角線は長い>

 

 

<回転への興味>

 

基礎的な発見 <回転>

基礎的な発見 12 <丸い形>

 

基礎的な発見 9 <回すのは楽しい 回転はすごい>

 

 <重さの利用>

 

基礎的な発見 1  <重い>

 

基礎的な発見 <自動的にエレベーターを上げる方法> 

 

基礎的な発見 11 <一方が下がるともう一方が上がる>

 

基礎的な発見 3 <位置をずらす>

<「処理技能」を発達させる>

 

 

基礎的な発見 16 <すでに身につけている技術を別の場面で利用する>

 

基礎的な発見 15 <自分が発見したことを報告する>

 

 

<アイデアを練り、実現する>

 

 

基礎的な発見 13 <貨車に荷物を積み込む方法>

 

<磁石の不思議>

 

基礎的な発見 10 <磁石で浮かべる>

 

基礎的な発見 4 <磁石の働き>

 

<ビー玉コースター(ピタゴラスイッチ)遊びでの発見>

 

 

基礎的な発見 7 <長くしてみる 高くしてみる>

 

基礎的な発見 8 <傾き と 出口の高さ>

 

基礎的な発見 6 <引っかける> と 「基礎的な発見」のカテゴリーについて

 

 

2階建てのビー玉コースター

<光と影>

 

基礎的な発見 5 <光を通す 通さない>

 

年中グループ 影絵のポップアップ絵本作り と 算数学習

<折りたたむ>

 

基礎的な発見 2 <折りたたむ>

 

新選組の池田屋事件のポップアップ絵本

 

<電流の流れ 電気の基本>

 

 

ポケモンゴーのゲーム作りが流行中 (音がでます♪)

 

 

「もう1回!」と「もっと!」の気持ちがはじける瞬間

 

<大きな数>

 

 

100円のひゃくってどれくらい? と 無限大数


ピタゴラスイッチ遊びの様子です

2020-04-20 10:54:14 | 年中、年長

(過去記事から)ピタゴラスイッチ遊びの様子です。

今回は、5歳の3トリオさんたちと、5分工作とはいえ、
なかなか面白いものを作ったのでご紹介します。

大迫力の超ロング ビー球スライダー!!です。

コーナンで買った隙間テープ太めに、細いの2本を貼っただけ(最初から両面テープがついているのでらくちんです)

そのままでも超ロングビー球スライダーとして
面白いのですが、今回は物理の実験もできるように
途中のスポンジにキリで穴をあけて針金を通してしばって
波の形の調節ができるようにしました。
(針金が嫌な方は、スポンジですから針と糸で縫うように作ることができます。)

 

裏に100円ショップの波型ダンボールを貼っています。
スポンジの裏が両面テープになっているので、
おちびちゃんにテープを保護している紙ををはがされて、床や壁にビー球スライダーを貼り付けられる前に……
予防策です!

やわらかい紙ならなんでもOKなんですが、
ちょっとかっこよく作りたかったので、ナミナミ~を貼っています。縦横に注意!
最初にこのロングスライダーの本体部分を作り上げたのは、
努力家Yくん。
その様子を見て、ひらめいたアイデアマンのTくん。
ゴール部分に工夫を加えます。
ビー球が車に衝突し、押された車がドミノのように
立ててあるブロックをたおす仕掛け。

ビー球の動きについて、きちんと計算して考えたい
Sくんは、ふたりにアドバイスを加えながら、
一生懸命お手伝い。
とても息のあった3人です。

ドミノが小さなブロックの上に乗っているのは、
わざとバランスを悪くして、
小さな力でブロックを倒す工夫です。
 
Yくん、ゴールまでビー球がよくすべる波の形が
作れました。
(このときは、まだ針金で調節する部分を作ってなかったので、
テープで輪ゴムを貼って調節しています)

完全なすべる形が作りたい方は、
高校用の物理の本や、ジェットコースターの仕組みを
扱った本を図書館で借りて
高さを調節してください。
輪ゴムでベルを取り付けて……
きちんといい音が鳴りました。

どの子も私のアイデアで何かするときより、
自分のアイデアを追求するときは本当に熱中します。

一番盛り上がるのが
うまくいかなくて、何とか新しい方法を試して
その難題を乗り越えようとしているときです。

前のゴール(ドミノ)はなかなかうまく倒れなかったんですが、
車を取り除いて、ビー玉の衝突が一番強く当たる場所に
ブロックを設置し、スタート地点を少し高くすることで
解決しました。
3人で試行錯誤しながらよくがんばりました。

アドバイスや手助けは最低限にして、
子どもが実現したいことを、よりしやすように……工夫しやすいように……
環境を整えています。

センスのいい好奇心

2020-04-01 17:29:58 | 日々思うこと 雑感

100分名著というNHKのテキストで、SF作家のアーサー・クラークの特集をしていたので、

購入しました。

テキストの案内役をしていた作家の瀬名秀明氏の

こんな言葉が心に残ったので紹介しますね。

 

ぼくは本書をお読みの皆様に、「センスのよい好奇心」を育み続けることが

生きる上で何より大切なのだ、とお伝えしたいのです。

 

という言葉です。

こうも語っておられました。

 

たんに「好奇心を持つ」だけでは充分ではありません。

「センスのよい好奇心」こそが科学や文学の垣根を取り払って

未来を作ることができる、ぼくたち人間のかけがえのない力だ

といいたいのです。誰もが「センスのよい好奇心」を育むことができる、

とぼくは考えます。

 

「センスのよい好奇心」とはどのようなものだと瀬名氏が捉えておられるかは、

このテキストを最初から最後まで読み通さないときちんと伝わってこないかもしれません。

が、この「センスのよい好奇心」という言葉、

確かに誰にとっても大切で、

どの子の中にも育んであげたいと感じました。

教室で子どもたちの物作りにつきあっていると、

「これが面白い」「こんなことがしてみたい」

「これにわくわくする」「これにすごく興味がある」という思いは、

十人十色で、ひとりひとり異なるのです。

電子工作が好きで好きで、自分の部屋をスパイの部屋のようにしたい

という願いを、アルデュユーノを使って実現した小1の男の子がいれば、

植物の作りに非常に興味があって、食虫植物を動きまでそっくり再現して作った

小二の女の子もいます。宇宙が好きな子、発掘に興味がある子、古代文明が好きな子、

形に関心が高い子、他人に何かを伝える方法を模索する子、ボードゲームが大好きな子

など、好奇心のアンテナが何をキャッチするか、子どもによって

よくもまぁ、こんなにちがうものと驚くほどに異なります。

教室では、それぞれの子の好奇心とていねいにつきあっていくことを

ずっと大事にしてきたのですが、それでいいんだな、と思える言葉に出会って

うれしくなりました。