虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

愛情をかけて可愛がって育てているのに困った言動が増えてくる時 (ユースホステルのレッスンから) 1

2012-07-28 16:33:14 | 幼児教育の基本

親御さんはいつも優しく根気よく愛情をたっぷり注いで育てているのに

子どもの困ったちゃんぶりが日増しに強くなっていく場合があります。

前回のユースホステルのレッスンでも

今回のユースホステルのレッスンでも

そんなわが子の態度に戸惑う親御さんの姿がありました。

 

親御さんからの承諾を得て

5歳の★くんのケースを紹介します。

★くんはユースホステルの異年齢のレッスンにはじめて参加してくれました。

目がクリッとした茶目っ気のある男の子です。

運動神経がよくて活発な明るい子です。

 

発達面で気がかりなことはなさそうなのですが、

わかっていても大人の声かけを無視することがたびたびあって、

危険なことをしている時に注意しても知らんふりしていて

制止がきかない様子は気になりました。

 

また本人に十分できるレベルの課題も

いやがってやろうとしなかったり、質問を聞こうとしなかったりしました。

ちょっと考えなくてはならないような知的な課題全般に

耳を傾けることさえ拒否するような

意欲のなさが目立ちました。

 

「聞く」こと自体を拒絶して、

憎まれ口をたたいて逃げてしまうので、

語彙の量や語彙の理解力などに問題がないか

お泊りレッスンの間、★くんの言葉に注意を傾けていました。

また「見る」作業中、たちまち落ち着きなく視線が泳ぎだすようだったので、

見る力についても、何か問題が感じられないか注意していました。

 

★くんは人が好きな快活な子で、誰とでもすぐに仲良くなれる一方で、

年上の力のありそうな子を足で蹴ってちょっかいをだしたり、

友だちが集中して何かしていると邪魔したり、

理由もなくお母さんを叩いたりする

人との関わり方の幼さがありました。

 

★くんのお母さんもお父さんも

温和で常識的で落ち着いた方々で、

★くんにたっぷり愛情を注いで育てています。

 

次回に続きます。

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記事の内容とは関係がないのですが、ついでに

今回のユースホステルでのレッスンの様子を紹介します。

 

↑1枚の紙に切り込みを入れるだけで

立体があらわれる様子に4~6歳の子らはため息を漏らして感動していました。

さっそく見よう見真似で創り出す5歳の◎ちゃん。

↑◎ちゃんのお絵かき作品も素敵ですね。

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頭を使うのって楽しいと感じられる瞬間  (ユースホステルでのレッスン) 4

2012-07-26 08:57:16 | 幼児教育の基本

<自分のアイデアを発展させる>

巻いた紙を腕に装着すると、まるで戦隊物の武器のようでした。5歳の☆くんが気づきました。

そこでさらに武器らしくなるように

ギザギザを取りつけたら、かっこよくなりました。

 

<一枚の紙の可能性>

朝の隙間時間、あまり散らかすわけにもいかず、

「画用紙だけを使って工作を」と言い渡すと、3年生の◇くんは、

その条件の下で、

折り方を工夫することで、わにの鱗のような、屋根の瓦のようなものを

熱心に作っていました。

朝の学習タイムには折り紙を使って図形の性質について

考えました。

みんなで正三角形を折ってから、それを使ってパズルの問題に答えたり、

正三角形の性質についての気づきを深めたりしました。

実は、年長さんの◎くんは、

この学習の前に始めた画用紙の工作が面白くなってしまって

折り紙を使った学習タイムには参加しませんでした。

部屋の隅っこで黙々と飛行機を作り続けていたのです。

◎くんのお母さんはこのような場合、叱ってでも作業を中断させて参加させるべきか、

大目に見るべきか迷っているようでした。

学校のような「絶対従わなければならない集団活動」にきちんと参加できるようなら、

少し自由度のある場では、やりはじめた工作を最後まで仕上げたかった◎くんの気持ちを理解して

あげるのもいいかな、と思いました。

◎くんいったい何を作っていたのかと見せてもらうと、びっくり!

写真がぼやけていて悪いのですが、自分オリジナルの輪ゴムのモーターがついた

飛行機でした。

モーターを回す仕組みは全て本人が考えたようなので、

きちんと回らなかったのですが、飛行機の後ろに取り付けた穴の空いた紙に輪ゴムのついた

ストローを引っ掛けるようになっていて、

輪ゴムの先には色画用紙とテープで作った

モーターがついていて、ハッとするほどすごい作りでした。

◎くんは実物を観察して、自分なりに作品作りに活かす子で、

以前、磁石を使ってリニアモーターカーを作ったこともあります。

自分の内面に深くて広いイメージの世界がある子なんだろうな、と思います。

折り紙のレッスンの続きです。3年生の子ら、

慶應義塾湘南藤沢中等部の試験問題を見ながら、

同じように折れるかやってみています。

まず最初に↑の形に折って、

さらに折って形を作ります。

折り方が載っているわけでないので、最終形だけ見て

折っていくのはやはり難しい……全員ギブアップ。それでもとても楽しいチャレンジになりました。

 

 


頭を使うのって楽しいと感じられる瞬間  (ユースホステルでのレッスン) 3

2012-07-26 07:10:16 | 工作 ワークショップ

 

ご当地キティーの人形を地図上の県の上に置いていく遊びをしました。

絵カードと合わせると県名が描いてあるのですが、

キティーの特徴だけで「これって国会議事堂だから東京じゃないの?」

など自分で推理できた時はとてもうれしそうでした。

 

 

↑ 水遊びいろいろ。

 

せっかく異年齢の子たちが集まっていますから、

学習タイムもできるだけいっしょに楽しむようにしました。

たとえば写真の場面では、

幼い子たちには水風船を色ごとに分けてもらったり

ピンク 黄色 黄色 黄色 ピンク 黄色 黄色 黄色……

といったきまりにそって並べる作業をしてもらい、

3年生の子らには、

「30番目は何色になるのか?」

「200番目は何色になるのか?」といった問題を解いて、

解くためにどのように考えたのか、みんなに解説してもらいました。

 

ただ解くだけではなくて、どうしてそのような答えに至ったのか

他の子らに説明するようにしていると、

より効率的に解く方法や間違いを防ぐためのコツに

しゃべっている最中に本人が気づくことがよくあります。

 

2年生の◆くんが悩んでいた問題です。

この子は問題集で問題を解く体験はあまりしたことがないようですが、

遊び上手、工作上手の子ですから、

「わからない」にぶつかった時に、「~してみたら?」「こうしたらどうかな?」

と試行錯誤する手段をたくさん思いつきます。

この問題を解き始めた時も、130㎝と156㎝以外の階段状になった部分の

長さがわからないことに気づいて

「物差しで測っても無理だもんねぇ~うーん」と考え込んでいたかと思うと、

「この線の部分をはさみで切って動かしてみたら?わかるかも」と言い出しました。

 

描き写して、線を切って移動させると

130㎝×2 + 156㎝×2

で解けることがわかりました。

◆くんが悩んでいる間に、5歳の☆くんが

「ぼくもできる」と言って、

 の形を紙に描き写していました。

 

次回に続きます。


頭を使うのって楽しいと感じられる瞬間  (ユースホステルでのレッスン) 2

2012-07-25 19:02:18 | 工作 ワークショップ

自由に物作りを楽しんだ後で、学習タイム。

展開図を描いてサイコロを手作りしました。

3年生の子らは、このサイコロをテーマにした難しいパズル(サピックスのぴぐまりおんより出題)を

解いてもらい、

3歳~1年生までの子らは

サイコロの目当てクイズに参加してもらいました。

これが大盛り上がり。どの子も真剣に考えていました。

 

最初は、サイコロ1個を置いて、底の部分の目の数を当てます。

「向かい合う目の数を足すと7だから」という考えで当てていた子もあるし、

見える目を全て調べてそこにない数を言っていた子もいました。

盛り上がってきたので

「サイコロ2個をひっつけて、

サイコロをサイコロがひっついている面の目の数を足すといくつになるか」という

問題を出しました。

すると、年長さんと1年生は

はりきって答えを出してくれました。

 

 

 

せっかく異年齢で集まったから、さまざまな年齢の子が分担しあって解ける問題を

出しました。

そのひとつが、『平均』の出し方。

テント代わりに持っていった折りたたみの蚊帳に潜った

幼児さんたちがいっこうに出てこないので、

仕方なくわたしも蚊帳に入って問題を出しました。

 

1年生までの子には、「今日、集まった子どもたちの年齢を全て足すと

何歳でしょう?」という問題。

2、3年生の子には「今日、集まった子たちの年齢はだいたい何歳になるでしょう?」

という問題を出しました。

どちらもはりきって解いてくれました。

2、3年の子らは平均を出すための公式を知っているわけではありませんが、

「全部合わせたんなら、いる人数で割ればいいんじゃない?」と答えて、

解き始めました。

そうした考え方を本で読んだことがある子と自分で思いついたという子がいました。

どちらも正解。今回、偶然、割り切れる数になってよかったです。

3年生の子の解く様子を眺めていた2年生の子が、

「ということは、今日の年齢の平均はぼくの年より一つ下ってことか。

じゃあ、小さい子のが人数が多いってこと?」とつぶやいていました。

 

ユースホステルのレッスンで初めて会った3年生の男の子と女の子。

この男の子がとにかく考えることが好きでたまらないという子だったので、普段はふざけてばかりの

女の子も真剣な表情で闘志を燃やしていました。

たちまち意気投合して、

もうパジャマに着替えてゆっくり過ごしている時間に

まで問題の解きっこをしていました。

最初にわたしが出した規則性の問題等は易しかったようで

「もっと難しいの」「もっと難しいの!」とふたりで競い合ううちにトップクラス問題集の

女子学院中学校の次のような問題で

真剣勝負となった模様です。

 

 

Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんの5人が、記号ア、イ、ウのどれかを選んで

答えるクイズをしました。

問題は5問あり、1問正かいするごとに1点もらえます。

5人の答えと得点は下の表のようになりました。

Eさんの答えを書きいれなさい。

(問題はぼかしています。すいません)

 

かなり苦戦していましたが、ふたりともきっちり解ききって

満面の笑みを浮かべていました。

 

次回に続きます。


頭を使うのって楽しいと感じられる瞬間  (ユースホステルでのレッスン) 1

2012-07-25 16:43:44 | 工作 ワークショップ

   

ユースホステルでのレッスンに行ってきました。

今回は「異年齢のグループ」で、幼い子らも小学生の子らもいっしょになって

さまざまな活動を楽しんできました。

「頭を使うのって楽しい!」と感じられるような体験を

子どもたちみんなで共有できてよかったです。

 

地面に謎の穴発見。

「何の穴だろう?」と問うと、「せみの穴。せみの幼虫が出てくるところ」

と子どもたち、よく知っています。

テレビで水を注いで、せみがいるかどうか確かめる実験をしていたそうです。

せみがいる場合、水は入ると中から浮かび上がってくるのだとか。

さすがにその実験はかわいそうなので、

草の根で穴のなかをコショコショする作戦を。

これもテレビでやってたそうで、

ねこじゃらしの先を穴に入れてためす子がいました。

 

それにしても親指より大きいくらいの穴がポツポツ空いていて、いかにも好奇心をそそるような

光景なのですが、

本物を見る前にテレビで種明かしに触れてしまうと

ほとんど興味が薄れてしまうようです。

 

それより子どもたちが手に汗をにぎる集中力で、

実験結果を見つめていたのは、

年長さんの男の子の疑問からスタートした

「せみが飛ぶ時に本当におしっこするかどうか」実験です。

棒でせみをつついて、飛ばすだけの実験ですが、せみのおしっこは近づかないと見れないし、

のんびり眺めていると上から水が降ってくるので、

みんな真剣そのものでした。

 

地面の穴といえば、公園の滑り台の下にできていたこんなどうでもいいいような穴の方が、

子どもたちの関心を集めていました。

「じゃあ、この穴はどうしてできたのかな?」と言うと、

知力がとても高い男の子が、「光で空いたのかな?」なんてトンデモ推理をします。

この滑り台の台は無数の穴が開いた鉄板でできていて、確かに

その穴のせいで、地面には光と影のドット絵ができているのです。

でも穴は傘の先で突いていったほどの深さがありますから

光の力で削られたものとは考えにくいのです。

 

すると1年生の女の子が、「雨が穴から入って、雨粒で穴があいたんじゃない?」と言いました。

それに納得した「光で?」と言っていた男の子は、滑り台の階段部分にさらに大きなサイズ穴が空いている

鉄板が使われているのに気付き、「それなら、この下はどんな穴ができているんだろう?

穴の大きさに合わせて地面がへこんでるのかな?」と言いました。

が、その下を覗いてみて

びっくり。

まったく凸凹がないのです。

雨水が入り過ぎて、地面の部分では水たまりのように全体が均等に濡れた状態になるのかもしれない、

といった意見でまとまりました。

 

テレビで答えを見ちゃうと、とても不思議な現象でも

当たり前の推理可能なもののように思えてしまうのですが、

「それまで見たことがない、意識したことがない、やってみたことがない」

ということを推理するとなると、

「絶対こうなるに決まっている」と思ったことが覆されて

思いがけない結果に目が点になってしまうことも多いです。

 

わたしもこんな「びっくり」を体験しました。

 

写真の子が吹いているのは

空気圧の水鉄砲で、この日工作で作ったものです。

水鉄砲で「けんけんぱ」用の丸を描いています。

 

この水鉄砲、

写真のように息を吹き込んで、水が出てくる仕組みなんですが、

間違えて水にストローを差している側に息を吹き込んでいる子がいたのです。

「それはいくらなんでも水はでないでしょ。だってストローの先が水についていないんだから」と

思いながら見ていたら、なんと水が噴き出てきたのです。

 

???……どんな原理で水が?

 

水に息を吹き込んだ子があんまり強く吹くもので、

水が泡だって、その泡立った水が勢いで外にけっこうな量、出ていたのです。

何でもやってみないとわからないものですね。

 

次回に続きます。

 

 

 

 

 

 

↑ 3歳の●くんが集めていた

せみの抜け殻。


友だちと上手に遊べず、感情を爆発させる4歳の息子にどう関わればいいでしょう? 2

2012-07-23 18:56:37 | 幼児教育の基本

 「5才を前に、向き合うよりも威圧的に抑え込む事が度々あり感情的になるのですが。
まずは、感情を爆発させる息子の気持ちを受け止め発散させる事で治まるものでしょうか?」

というなおハハさんの質問を読んで、

今、なおハハさんは「わが子のことを理解し、感情爆発させても優しく受け止めてあげるような

すばらしい母になろう!もっといい親にならなくちゃ!」

と焦るよりは、

 

少し肩の力を抜いて、

子どものことで気になることは信頼できる遊びのアトリエのスタッフの方々などの判断におまかせして、

「自分に優しくする」ということや

「自分に優しいまなざしを向ける」ということを練習する必要があるんじゃないかな、

と感じました。

 

「自分に優しくする」「自分に優しいまなざしを向ける」大切さについては

かつて次のような記事にしたことがあります。

よかったら読んでくださいね。

 

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ハンドルネーム『わからない』さんから、次のようなコメントをいただきました。

私はもう どうしていいのかわかりません
何度言っても出来ない、同じ過ちをする子供
中1ですが、今まで何も変わらず
今日は食事を与えていません
もうどうして良いかわかりません
診断下してくれる病院は1月まで予約が一杯です

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『わからない』さんは、今、食事抜きを言い渡したことで、
自分自身がとても傷ついているのですね。

そんな風に心が深く傷ついているときは、

何とか子どもを正しく諭そうと、子どもの方にフォーカスせずに、

まず自分が今、何でどれほど傷ついているのか、
それは子どもの起した事件によるものなのか、
がんばってもがんばっても成長しないわが子への怒りによるものなのか、

じっくり自分の心と向き合ってみるのが良いように思います。
『わからない』さんがこんなにも混乱しているのは、
非常に子どもを愛していて、
叱ったり、食事を抜いたりする子どもへの攻撃が
そのまま自分の痛みとして感じられているからだと思います。

まず、自分の心を癒して、
傷つくという悲しい気持ちを実感すると、
今度はがんばってもがんばっても周囲の期待に応えられない
子ども自身の深い悲しみが
しんみりと伝わってきて
きちんと受け止めてあげられるかもしれません。

混乱と悲しみの渦中にあるときは、
自分の本当の心を見失っています。

将来への不安や恐怖心、
周囲の人々の冷たい視線や心無い言葉

そうしたものにまどわされて、
子どもに対するイライラする心の底にある
深い愛情が、
見えなくなってしまうのです。

恐怖心でパニックになっている状態です。

ですから、パニックを沈めるために、
まず、自分自身にもっと優しくしてあげなければ
ならないのです。
そうして、恐怖が薄らげば、
何をすればよいのか
一番知っているのは自分だということに気づくはずですよ。

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前回の記事に次のようなコメントをいただきました。

二歳8ヶ月の息子と6ヶ月の息子を持つ母です。
私も、わからないさん同様混乱の中にいます。
私をなんとかしなきゃなぁ…と思いつつ、「自分に優しく」っていうのが、分かりません。
一歳半で発達障害の可能性を保健師に指摘されています。初めて会う子や、

自分の勝手なテリトリーを乱す子に威嚇する息子(ウルトラマンなんかに変身して、

格好つけてパンチしたりしてます)にイライラしてしまい、キツく叱りつけたり、怒鳴ったり、手をあげてしまいます。
本人は、きっと「カッコいいでしょ?」って思ってやってるんですけど、

された方は怖がったり、泣き出したり…
関わりたい気持ちが、そうさせてるのは分かってるつもりなのに、

なんで怖いのが分からないかなぁ…と悲しくなってしまいます。
自分に優しくとは、どうする事なんでしょう?
息子にどんな関わり方をしていったらいいのでしょう?
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「自分に優しく」するひとつの方法は、さまざまな義務感や、緊張や、外野の声を
手放して、
自分を甘やかすこと、自分がうれしくなってリラックスできること
だけをしばらくしてみることです。

ご質問者さんは、子どもは公園に連れて行ってあげなくてはならないもの、
今から輪に入れておかないとお友達ができなくなる、
自分もママ友から置いてけぼりを食ってしまう……

といったさまざまな縛りから
無理してそんな辛い公園通いをしているのかもしれません。
でも、いったんそうした義務感を
捨ててしまうのです。
子どもと一緒に「人のいない自然の多い場」にピクニックに行くのもいいです。
そのとき、お弁当を作ろうなどと思わず、
ちょっと贅沢しておいしいパン屋さんでサンドイッチのセットを買っていくのも
楽しいです。
もともと子供というのは危険な遊びが好きで、攻撃的で暴力的な
一面があります。それがおかしいと思う気持ちも手放します。
そうした子どもの野性味を強さとしてたくましく感じられる
山登りなどに行くのもいいです。

そうして、混乱のもととなっているさまざまなノイズから遠ざかって
自分と子どもで楽しめることだけを
しばらくしてみるのです。

そうして子どもとのかかわりが良いものになってくると
子どもは、お友だちを欲するようになってきます。
社会性はゆっくり発達するでしょうが、
少しずつ我慢もできるようになってくるでしょう。

私は発達障害のお子さんを持つ多くのお母さん方に会ったことがありますが、
どの方もこの難しい子育てを通して精神的な成長を遂げて
凛としたところのある賢い方々です。

こうした先天的な困難を持って生まれてきた子たちは、
親御さんにたくさんの成長をプレゼントしてくれる存在でもあります。
また社会全体が精神的な成長していくための
問題を提起してくれる存在でもあります。
だれもが誇りを持って働いていける世界はどういうものなのか
模索していくチャンスをくれているのです。

そうした話の全てがむなしい言葉として響いたり、
全てを拒絶したい混乱した気持ちにあるときは、
自分で自分を責めていじめている場合がよくあります。
そうしたときには、やはりしばらくは
自分を喜ばせることと、気分がおちつくことだけをして、
それに罪悪感を持たないことが大事だと思います。
そうしてパニックがおさまれば、
個として懸命に生きている子どもの姿が
正確に見えてくるはずですから。

私が出会った
凛としたところのある賢いお母さん方というのは、
どの方も一度は混乱しパニックを起し、
子どもを攻撃してしまった辛い経験を通ってきている方々です。

 

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なおハハさんからていねいなお返事をいただきました。

身近に頼れる人々がいるのは心強いですね。

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遊びのアトリエでお世話になったナオの母です。

奈緒美先生の書かれている「1対1の関係を密に豊かにすること」や「子どもへの攻撃がそのまま自分の痛みとして感じられている。」
という言葉が胸に突き刺さりました。

最近の私は、沢山のお友達と遊ばせなければ、色んなタイプのお友達と関わりを持たせなければ・・・もっともっと、とばかり考え焦っていました。

その一方で、沢山のお友達の中で遊ぶ息子の気になる部分や他のお友達より劣ると感じてしまう部分にばかりフォーカスをおいてしまい、イライラ感を募らせる事も多くありました。

そして、息子の『☆君とだけ遊びたい』と言う言葉に耳も貸さず、『どうして、あなたはそうなの?、皆と遊べるようになったほうが良いし、楽しいのよ。』と自分の意見を押し付けていました。
その上、息子に対するイライラが二人きりになった時に爆発してしまう事の繰り返しで、愛おしくてたまらないのに、怒鳴ったり手が出たりするのが息子を傷つけるのと同時に自分の心も傷つけていました。

最近、私だけでなく幼稚園の先生やお友達に対しても怒りをあらわにする息子に『どうして、あなたはそんなに大きな声で怒るの?』『なんで、我慢出来ないの?』と言う度に、まるで自分に言い聞かせている様でどうすれば良いのか分からなくなっていました。


確かに、まずは自分を癒す事が必要なのかもしれません。
幼稚園のママ達とも息子の為に上手く付き合わなければ!と頑張りすぎていたのかもしれません。

そして、何もかも息子の為にという表面的な言葉の奥底に自分の中の深い傷、どうしたら良いか分からない辛い思いがあるのも事実です。

先生の仰る通り、少しずつでも『自分に優しくする』練習をしていきます。
そうすることで、息子にも穏やかに接する日々が続けば息子も私もお互いにとって良い関係を築き、親子ともに成長出来るのかもしれません。

息子の気になる部分も出来るだけ遊びのアトリエの皆さんにおまかせして、まずは自分を甘やかしてみます。

深く温かいお言葉の数々、本当に有難うございました。




友だちと上手に遊べず、感情を爆発させる4歳の息子にどう関わればいいでしょう? 1

2012-07-23 08:52:06 | 初めてお越しの方

親子のボタンの掛け違い……10

の記事に なおハハさんから次のようなコメントをいただきました。

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息子は4才の年中児であるのに、友だちに対する壁があって、他の子を遮断するような遊び方をします。そして揉め事でキーキー喚く。。。
お友達との時間を心地よく感じていない。。。
等々、4才になってもそのような言動(寧ろ酷くなっています)があると言う事は、私が息子にとっての『最優先課題』にずっと気づいていないのですね。。。

気づいていない、という事は息子の本質や内面に向き合っていなかったからでしょう。
5才を前に、向き合うよりも威圧的に抑え込む事が度々あり感情的になるのですが。
まずは、感情を爆発させる息子の気持ちを受け止め発散させる事で治まるものでしょうか?

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ハンドルネーム、お子さんの年齢等が熊本の遊びのアトリエさんのところでおこなったワークショップに

参加してくれていた なおくんのお母さん からのものと思われるので、

そのように考えてお返事させていただきますね。

(もし違っていたら同じハンドルネームの方との勘違いです。ごめんなさい。コメント欄でお知らせください。)

 

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4歳の息子さんが、他の子を遮断するような遊び方をしたり、揉めてキーキー喚くのは、

なおハハさんが、息子さんの『最優先課題』にずっと気づいておらず、

息子の本質や内面に向き合ってこなかったからではないか……というお話ですね。

 

子どもの問題行動にはさまざまな原因があるでしょうから、

何か気になることがあるたびに、「それは親のわたしが至らないからではないか。このように育てたからではないか。

自分に何か足りないから子どもに問題があるのではないか」

と案ずるのは

間違っていると思います。

 

その一方で、実際、熊本で会ったなおくんの姿を思い返すと、

もしなおハハさんが、なおくんの『最優先課題』に気づき、

なおくんの本質や内面に向き合うように努めたら、

今悩んでおられるなおくんの気になる態度は軽減するようにも感じました。

 

それは矛盾のある意見のように聞こえるかもしれませんが、

たいていの親子関係はそのようなものだと感じています。

 

子どもは常に何らかの問題を外の世界に投げかける存在です。

 

成長過程ですから、

全て円満で、その地点で完成してしまって

後は何の心配もなく安穏と暮らすだけ……

となるわけがないのです。

 

3度3度の食事でお腹がすくから

ごはんを食べるのと同じで、

いろいろと足りないところや、欠如感に悩むから、

それを周囲に充たしてもらったり、

自分で乗り越えたりしながら

しっかり成長していくのです。

 

ですから、「何かが足りない、うまくできないことがある、うまくいかないことがある」のは

誰のせいでもありません。(何らかの原因はあるかもしれませんが)

 

でもそこで、子どもから投げかけられたものに

周囲がしっかり向き合って、子どもからのSOSがあればそれに答え、

子どもの長所や良い面が発揮できる環境を整えてあげると、

雨降って地固まるじゃないですけど、

気になった問題をきっかけに、親子関係が改善されたり、

子どもが劇的な成長を遂げたりすることはよくあるのです。

 

それではなおくんの話に戻りますね。

 

熊本でのワークショップを終えて、積み木やおもちゃをアトリエのジジさんの車に

運ぶ時のこと、

他の子どもたちはみんな帰ってしまった後も、なおくんだけが

おもちゃを抱えて後片付けのお手伝いをしていました。

ジジさんの「なお、これしまうの手伝ってくれるか?」の声かけに

表情を輝かせてこっくりしたなおくんは、

「重い」とか「疲れた」といった弱音を一度も吐かずに

積み木を抱えて駐車場までついてきてくれたのです。

 

なおくんはジジさんが自分のことを心から信じて信頼してくれていることを

よく知っていて、

ジジさんのまなざしのなかでは

すなおでがんばり屋の自分でいることができるのです。

 

ワークショップの間のなおくんは

とても集中して参加できていることと、

活動の輪からはずれて、参加できずにいることが

ありました。

 

なおくんが集中して参加できていたのは、身近に大人や親しくしてくれるお友だちが

ひとりいて、

安心できる1対1の人間関係が保証されている場での活動でした。

一方、参加を渋っていたのは、

子どもたちだけでワアッと盛り上がって群れて

遊んだり、発言したりしていた活動でした。

 

その様子から、もう少しの間、もうお腹がいっぱいだ、と本人が感じられるくらいまで、

 

お母さんとなおくん、

ジジさんやボッスさんのようななおくんに存分に愛情を注いでくれる大人となおくん、

なおくんといっしょに根気よく遊んでくれるひとりのお友だちとなおくん

という1対1の関係を密に豊かにすることを心がけては

どうかと思いました。

 

 

次回に続きます。

 


1歳後半の子たちのけんか どう関わればいいの?

2012-07-23 07:56:11 | 幼児教育の基本
 過去記事です。
現在、2歳半になった★くんたちは、お友だちとの関わり方がとても上手になってきています。 ↓
 
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昨日は、おそらく外向直観思考寄り(外向思考直観寄りかも)と思われる1歳9か月の☆くんと

外向直観感情寄り(外向感情直観寄りかも)と思われる1歳10か月の★くんのレッスンがありました。

写真は工作をする☆くんと★くんです。

どちらも身体能力が発達していて、頭の回転の良い子らです。
今は椅子のような抱え込むようなものを運ぶこと、
ジャンプすること、
物を投げること(キャッチボールでもするように器用にボールを投げます)がマイブーム。

探索活動をさかんです。

このふたり、とてもよく似た雰囲気の子ですが、
いろいろな面で、ものの見方や考え方の違いが感じられました。

問題にぶつかったときには、

☆くんは手を使って対象の物を動かして解決し、

★くんは自分の身体全体を使って、動くことで解決していました。

たとえば、椅子と椅子の間に線路の長い棒状のエッジというものを渡して
遊んでいたときに、向こう側に行きたくなったとき、☆くんは、エッジを手でどけて移動し、
★くんは、ぐるっと遠回りしてエッジの端まで行って移動していました。

★くんは体格がよくて、力が強く、感情表現が豊かな子です。

激しく泣いたり、怒ったり、全身でぶつかっていったりした結果、
自分の都合のいいように事が進むことに味を占めていて、
いつも自信に満ちた表情をしていて、相手に対して強く自己主張します。

★くんは、前回のレッスンでアンパンマンの電車で遊んだことを覚えていて、
教室に着くなり、「アンパンマン!電車!」と主張し、
それを手にしてからは、これは自分のおもちゃだから、絶対☆くんに貸さないぞという構えになりました。

教室のショッピングカートも気にいって、
カートの中にアンパンマン電車を入れて、
「このふたつはぼくのだから、触っちゃダメ!」とでも言いたげな遊び方になりました。

それで、☆くんがアンパンマン電車を取り上げようとするたびに、
激しいバトルになって、★くんが激しく泣き叫び、
☆くんのお母さんがなだめてアンパンマンの電車を返してあげるということや、

★くんが他の遊びをしていたので、
☆くんがショッピングカートを押し始めると、
★くんが、それは自分のだから返してと主張するような素振りをして、
返してもらえないとなると、
激しいかんしゃくを起こしました。

すると、☆くんのお母さんが、「★くんに、ハイしようね」と☆くんからカートを取り上げる姿がありました。

☆くんは、カートを取り上げられた瞬間は、
どういう流れで話が進んでいくのかわからない様子でおとなしく譲るものの、
もやもやと納得できない気持ちがくすぶるらしく、
後からいきなり固い電車のおもちゃを床に向かって投げつけました。

☆くんのお母さんの話では、素直に言うことを聞くものだから、☆くんに我慢させることが多く、
普段はおだやかで攻撃的なところは少しもないのに、
そうさせて我慢させた直後に、物を投げつけたり、かみついたりすることがあるということでした。

☆くんのお母さんも、★くんのお母さんも、
まだ2歳にならない子どもたちの小競り合いに
どう対応したらいいものか、
毎回、困惑しきっている様子でした。
 
幼児を育てている親御さんの相談を受けていると、
「子育て観が同じようなお母さんたちとなら
けんかを見守ることもできるのですが、
いろいろな考えの方がいらっしゃるので、子どもが理不尽だと感じるような
強制的な解決法に頼ってしまうことが多いです」
と、おっしゃる方が多いです。

親同士の関係を大事にするあまり、
子どもの気持ちは二の次になるのはやむえない……

でも、そのせいで、子どもに統一したルールが示せないので、
子どものわがままがひどくなっている気がする……

気になるけれど、どう解決したらいいかわからない……

という悩みの中をぐるぐるめぐりながら
子育てしているそうなのです。

私が、そうした相談を受けつつ、
子どもたちと接していると、
子ども同士の揉めごとを解決する鍵は、
親御さんがおっしゃっている他の親御さんに遠慮しなくてはならない場面ではなく、
親御さんがひとりでコントロールできる
子どもと親御さんがふたりだけで過ごしているときにあることがよくあります。

たとえば、前回の記事の★くんと☆くんのおもちゃの取りあいの場合、
この揉め事のポイントを整理すると、

★くんが、アンパンマンの電車もショッピングカートもどちらも自分のものだと主張して、

「どちらかひとつ」大事な方を選べないということに、
けんかがおさまらない理由がありました。

まだ2歳前の子ですから、いったん言いだしたことを曲げさせて、
「どちらか貸してあげなさい」と叱ったところで、
聞く耳を持たないでしょう。

ただ、こうしたトラブルから、親が、

普段から、「どっちがいい?」とふたつの物から
気にiったひとつを選ばせる練習を積ませておこう……

ということを学びとるようにすると、
すぐには無理でも、いずれ、
「★くん、アンパンマンとショッピングカート、好きなんだね。今、どっちで遊んでいるの?
大事、大事をひとつ選んでね。今、遊ばないのを、☆くんに貸してね」といった言葉で、
心をひとつの物を選ぶ行為に集中させて、納得するようになってきます。

決断力や潔さを選ばせる行為で育むのです。

このけんかの原因のもうひとつは、

「これぼくの!」「これ私の!」という所有権に気付き始める時期なので、
貸す貸さないに関して、より敏感になっている

という点がありました。

これは、親切さとか、優しさとかいうのとは別の意味で、
子どもが知恵をつけていく大事な過程ですから、
強圧的に「貸してあげなさい」と無理やり取り上げて、相手に渡せばいいわけでもありません。

私は、1歳前後の子であっても、ベビー用おせんべいなどを途中で与える際には、
「レッスン中だからね、お友だちにも分けてあげようね」と、
自分のものをお友だちに分ける体験をさせています。
また、私が持っているものを、お友だちと自分に分ける作業なども
1歳前半くらいから自然にする機会を与えています。

それと同時に、「ぼくの!」「私の!」という気持ちが芽生えてきたら、
それをとても大切にするようにもしています。


◆ 「分ける」楽しさを身を持って知っていること

◆ 「自分の物」「他人の物」に敏感になる心を大事に扱ってもらうこと

◆ 「どっちにする?」と聞かれて、ひとつが選べること

の3つを大切にされていると、物の取りあいのトラブルは激減していくし、
2歳半ばくらいになると、自分たちで解決しようとする態度も現れてきます。

大人の態度として次のようなことも大事です。

◆ 「ここのおもちゃは先生のおもちゃ。みんなで使って、帰りに先生に返してね」ということを、
1歳の子であっても、説明してもらっていること

◆ その子の個性に対応した言葉をかけてもらうこと

◆ 0歳児であっても、一対一での対話(「あーあー」「あ~!」という なん語でOK)や心のキャッチボールを長く続けられるようになっていること

◆ 子どもに人間関係を勘違いさせるような対応を繰り返されてないこと
 

歩くのが上手になって、とにかく忙しく動き回る1歳後半の子たちの世話をしていると、
その気はなくても、
ドッグランに犬を放すような雰囲気で、子どもを見ていることも多くなりがちです。
本当は、そのくらいのゆるゆる育児が、
子どもの健康上にも、親の精神衛生上にもいいくらいなのでしょうが、
2歳前後の子というのは、言語と、世の中のルールを急速な勢いで吸収している時期でもありますから、
急所、急所では、きちんと子どもの発するものを受け止めて、
きちんと対応することも必要になってきます。

次回は、★くんと☆くんへの対応を例に、
その子の個性に対応した言葉のかけ方と、大人の接し方のポイントを説明しますね。