虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

自閉っ子 と 就学の準備 (新しく出てきた課題の克服) 1

2013-06-24 14:02:17 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

 

自閉っ子とお友だちの心の結びつきがもたらす大きな成長 1

自閉っ子とお友だちの心の結びつきがもたらす大きな成長 2

自閉っ子とお友だちの心の結びつきがもたらす大きな成長 3

で記事にさせていただいた広汎性発達障害の☆くんと、

いくつかの発達の問題を抱えている年中さんの●くんのレッスンがありました。

 

以前、いっしょにレッスンしていた★くんとの関わりを通して

社会性の面でずいぶん成長した☆くん。

半年前のユースホステルでのレッスンまでは、遊び相手は主にわたしやお父さんお母さんといった大人で、

一方的に自分の決めたルールで遊ぶ姿が目立ちました。

それが★くんと親しくなったことをきっかけに同年代の子たちとも

遊ぶようになってきました。

 

そこで、発達の凹凸のある子たちの就学準備グループのひとつに参加して

学んでもらうことにしました。

☆くんは、お友だちとゲームをしたり、工作をしたり、実験をしたりして

楽しく遊ぶことができていました。

 

しかし、全く問題がないわけではありませんでした。

お友だちと遊ぶのが楽しくてたまらない☆くんですが、自分のやりたい遊びをみんなに強要したり、

うっかりお友だちに物をぶつけてしまっても謝らなかったり、自分が散らかしたものを

お友だちに片付けさせたり、思い通りにならないと攻撃的な口調になったり……と、

自分勝手な態度で周囲を振り回し気味でもありました。

注意をうながすと、しばらく押し黙ったままむくれていますが、

何とかこちらの言うことを聞きいれていました。

 

☆くんは知的な面で問題がある子ではありませんが、

他の人の言うことを理解しようという意欲が薄い上、

シングルフォーカスに陥りがちです。

 

シングルフォーカスの特性を持つ子どもへの指導の仕方

 

そのためか、就学準備グループの算数で

10の合成やくりあがりのある計算でつまずいていました。

 

4、5人でレッスンしている就学準備グループとは別に

ひとつ年下の●くんとふたりだけのレッスン時間を設けて、

新しく出てきた課題の克服を試みることにしました。

すると、4,5人のグループではできなかった10の合成や

くりあがりのある計算などの問題もきちんとマスターすることができました。

 

工作が大好きな☆くん。

引っぱる車を作りました。

 

次回に続きます。

 


事務Kより連絡

2013-06-23 23:38:23 | 連絡事項
皆様、じめじめとした暑さが続いていましたが、お元気でしょうか?
久しぶりの事務Kです。

多数のコメントを頂きましたので、記事にさせて頂きました。
今夏に予定しております《ユースホステルお泊まりの会》ならびに《日帰りにレッスン》の此方からのご連絡について…

決して募集の記事では御座いません。
締め切りましたので新規で受付はしておりません。


《ユースホステルお泊まりの会》につきまして、最終の日程調整を行っております。再度、先生と打ち合わせを行いまして事務Kよりご参加人数確認の質問表を送ります。

此方に関しては、記事での発表はなく全て事務Kからメールをさせていただく予定にしていますので、もうしばらくお待ちくださいますようお願い致します。


《日帰りレッスン》に関しては、通常通り抽選で調整しております。
現段階では、ユースホステルの準備を優先しておりますのでそちらが一段落付きましたら日程の早い方ならびに日程を伺いたい方にメールをしていきます。

ですので、7月初旬をメインに連絡をしていきたいと思っております。


《連絡受信》に際して、携帯電話でメールを受信したい方…@以降がドコモやau、ソフトバンクといった方を中心に迷惑メールフィルタが機能して受信できないことが御座います。

事務Kからのメールは、Yahoo!のフリーメール(料金フリーのメールアドレス)です。そのため、大体フィルタに引っ掛かります。
メールの送信が一通りの参加者様に完了いたしましたら記事をアップしてご連絡しますので、その記事アップの時点で連絡のない方は、コメント欄にその旨を記載の上、電話番号とハンドルネーム、氏名、メールアドレス(代わりのものがあれば前回と違うアドレス)をお願い致します。


以上、事務Kからの連絡を終えます。
質問のある方はコメントを下さいませ。

出来るだけ早く対応させていただきます。



算数難問研究部 6回目 (『中学への算数 わくわく100題』 より) 

2013-06-23 13:34:59 | 算数

4、5年生の算数難問研究部の活動の様子です。

今回、自由時間に

電子工作のイライラ棒の製作をしました。

ダンナにも協力してもらって、子どもたちにはんだごての扱い方を教えました。

 

男の子たちが夢中になって取り組んでいました。

「興味ない~」とぼやいていた女の子たちにも

はんだ付けにチャレンジしてもらいました。

 『中学への算数 わくわく算数100題』の何問かについて、

 

◆ 読んで問われていることに意味が理解できるようになること。

問題に興味を持つこと。

◆ 答えを見たときに、「そうか!」と自分でわかる力をつけること。

◆ 問題の要となる部分に焦点を当てて、

考えてみること。

 

に注意して、4、5年生でも解ける部分までチャレンジしてもらいました。

 

 

早稲田中の問題の①。正方形Qと長方形、直角三角形、半円を並べた図P。

毎秒1㎝の早さで、Qを左から右に太線にそって移動させる時、

PとQが重なりはじめてから、重なっている部分の面積の変化を表した図を見て、

ア と イ の値を考える問題。

(今回は、イの値をみんなで考えました。)

 

少し時間がかかった子もいましたが、全員、解けました。

 

先日、こうした問題を楽しく解けるように……と色画用紙を切って

教材を作っていた時のこと、

息子が、『わくわく100題』の早稲田中の問題と作りかけの教材をのぞきこんで、

「中学入試問題って、すごく簡単なことを、やたら難しい問題のように

見せかけているのがほとんどだから、そういう風にとっつきやすくしておくのはいいよ」と言いました。

 

「そう、堅苦しい書き方のせいで、難しいようにみえても、

どっちの方が大きいか小さいか見比べたり、どこから形が変化していくのか

見つけたりするような、幼い子にも体感でわかるものが問題の中心だから。

そういうことに気づいて、複雑そうな問題に呑まれない力をつけてほしくて

こういうものを作っているんだけど」と返しました。

 

すると息子はそれに同意してから、こんなことを言いました。

「ネットでよく、今時の子は、こんな簡単な問題が解けない……なんて話題で盛り上がって

批判が飛び交っているんだけど、そういう議論が好きな人は

あまり算数や数学があまり得意じゃないんじゃないかと思うよ。

できない人のことをバカにすることには熱心でも、暗記して解くだけなら易しい問題の

本質的な意味がわかっているように見える意見は出ないし、

少し難しい問題になると書き込みがほとんどなくなるからね。

実際には、算数や数学には簡単も難しいもさほど違いはないんじゃないかな。

とても易しく見えるものも、

未だに解明されていない部分を含んでいたりするし、

難しいものも、ごく簡単な事柄を、その簡単さに気づきにくくなるように

目の錯覚を誘うようなややこしさをたくさん付け加えたものもあるから。」

それから、こんなヨイショもしてくれました。

「中学入試の問題を解くのに、お母さんのやっているような

教室は役に立つと思うよ。問題を見ただけで手も足も出ないって思いこむんじゃなくて、

できるんじゃないかなって気楽に問題に取り組めることって

すごく大事だから。中学入試の算数で扱っているのはごくご

く簡単な身体でわかるようなことではあるけど、それでもある程度、時間をかけないことには

できるようにならないし、問題が面白い、解くのが楽しいって気持ちを一度でも味わってことが

あるかどうかは、モチベーションの維持にも重要だよ。

それと電子工作が入試の算数や理科に役立つのは確かだよ。」

 

 

灘中の問題。

半円がある時、補助線を引くアイデアにどんなものがあるのか、

同じ(合同な)図形などを見つけることができるか、

紙を折ったり、線を引いてみたりしながら、考えました。

 短針が1時間に右回りに150度回転するという時計の問題。

 

熱心に考えていた子どもたちから、「今日も面白かった」という感想をもらって

うれしかったです。


工作をするうちに、算数や国語が得意になっていくための小さな工夫。

2013-06-22 22:19:43 | 工作 ワークショップ

夏休みの日帰りレッスンに来ていただく方は、

来週の水曜日までに記事上で発表させていただく予定です。

 




子どもたちと工作をするとき、私は ごく自然に「算数の世界で学ぶ言葉」を使うようにしています。

工作では、箱や折り紙などをよく使いますよね。

そのある形や部分を指して、「○○を貸してちょうだい?」「○○と△△どっちがいい?」など
たずねるときに、自然に、算数に関わる言葉を使うのです。


基本の基本は「形」を表す言葉。

「四角、三角、丸、だ円、五角形、正方形、長方形、二等辺三角形」などです。



たとえば、「四角い紙と、だ円の紙はどっちがいい?」などと使います。

立体を表わす「三角すい、四角すい、円すい、正20面体、立方体」などの呼び名も自然に使います。

また、子どもとのやりとりの中で、
「長さ、高さ、深さ、浅さ、広さ、
垂直、平行、直角、角度、拡大、縮小、重なり、○パーセント」など、
もどんどん使っています。

たとえば、「そこの面は、80パーセントくらいに色を塗ってね」など。



また、物差しや三角定規、分度器、コンパス、量り、メジャーといった
道具も2,3歳の子とする工作でも自然に使うようにしています。
(危険なものは、扱いは保管に注意しています)

子どもに教え込むことはひとつもありません。
子どもたちは、自然に家の中のテレビや冷蔵庫といった名前を覚えますし、
テレビのリモコンや電話の使い方を覚えますよね。
それと同じように
算数に使う道具の使い方や目盛りの読み方も
いつの間にか覚えてしまいます。

工作でそうした言葉に親しませるとき、
無理矢理教え込むことはいっさいしない方がいいです。

何度も何度も工作で遊ぶうちに、子どもたちは
その言葉が何を表すのか、身体にしみこむように
理解していきます。

物差しの目盛りの読み方にしても、
ただ読めるだけでなく、
単位の変換や小数点や分数の概念や、概数の意味まで理解していきます。

工作の世界では、「だいたい3センチくらいのひもがいる」ということがよくあります。
それは、概数について理解するチャンスです。



また、箱を切り開いて使用する工作をしていれば、
頭の中で図を自動的に組み立てることができるようになります。
展開図を見るだけで、それが立体になると
どのような形になるのか、わかるようになってきます。


たとえば、3、4歳の子が、紙皿をちょっと切って工作するようなときにも、
「円の中心が知りたいわ。丸い形のおへそよ。」と言って、2回半分の折って、交差する部分が
円の中心にあたることや、
半径がどれにあたるかを見せてあげることができます。

もちろん、教え込む必要はないのです。
ただ、工作で得る知識は、無駄な先取りにはならず、
とても実用的ですから、
「円の中心に穴を開けて、くるくる回る回転ずしを作りましょう」
「半径の長さに、コンパスをグーンと広げてね、足が痛いよって言うかな?
そして、くるんってバレエみたいに回ったら
円が描けちゃうよ」
といった会話にすぐに使っていけます。

もちろん、一度にたくさん使う必要はなく、
もう1ヶ月、「毎日、毎日、紙皿で船作ってるわ」なんて時に、
ついでに、水に浮かべるときに、「指の上に、円の中心のところを乗せて、そーっとそーっと動かしてみよ」
といった楽しい誘いをしてみるといいですね。

工作をしながら、自然に算数に親しませるコツは、
虹色オンライン教室の 学ぶことが好きになる工作遊び でもたくさん紹介しています。

もくじを、体験別に整理しています↓

9歳の壁 と 『虹色オンライン教材 学ぶことが好きになる工作遊び 』  抽象的思考の基盤となる体験について

 

それに形や言葉を与えていく過程を親子で楽しんでくださいね。



工作をするだけで、算数が得意な子になっていく方法に続いて、
工作をするだけで国語が得意な子になっていく方法を紹介します。

作品がどんな出来栄えでも、ただめちゃくちゃになぐり書きをしただけでも、
何を作ったのか言う時、子どもはとてもうれしそうです。

「ドレッサー」とか「お友だちの顔」とか「小鳥と私」とか「宇宙船」など
タイトルを漢字やカタカナまじりで紙に書いて、
作品を飾るときに添えてあげます。

作品についての説明を子どもからよく聞いて、
短い文章にして書いて、
いっしょに添えてあげるのもいいです。

子どもは自分の作品を捨てたがらず(どんなにゴミくずのような作品でも……)
タイトルを何度も読んでもらいたがったり、
自分でも読もうとします。

子どもは勉強にために文字を学び始めるよりも、
誰かに思いを伝える手紙やメッセージカードや自分の作品につけるタイトルや
その日の出来事を書いた日記などで
文字と親しんでいくことを好みます。

工作をするとき、このように文字や文章とも親しめるように
しておくと、
遊ぶ時や、能動的に創造的に活動する時に、
文章を書くことを積極的に取り入れるようになってきます。




工作をするとき、身近な大人が「最初に」とか「だから」とか「それから」といった接続詞を使って、
ていねいに説明するようにすると、
文章を組み立てるのが上手になってきます。

どうして工作をするとき……なのかというと、
工作中はお手本を見せて解説することが多いからなんです。

たとえば、ティッシュ箱で自動販売機を作るとしますね。

「まず、はじめにティッシュ箱の一番、面積が小さな面を下にして、立てるわね。
ほら、これ、ちっちゃいでしょ。こっちはでかい。
小さな面が下よ。

それから、上にある同じように面積が小さい面に穴を開けます。
ここからジュースを入れるの。

最後に、ジュースが出てくる穴を作らなきゃね。
どこに開けたらいいと思う?」

のように、「はじめに」「それから」「最後に」を使って、
何段階かの手順に分けて説明すると、
こうした表現に慣れていきますよね。




工作というのは、子どもと素材とのコミュニケーションとも言えるし、
子どもとイメージの世界のコミュニケーションとも言えます。

上手な作品を作るということに縛られず、
物作りを通して満たされる
自分の内面を外の世界にアウトプットしながら
それに形や言葉を与えていく過程を親子で楽しんでくださいね。



2歳児のめちゃくちゃさといたずらをどう受け止める?

2013-06-22 22:14:09 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

(過去記事です)


2歳児って、「それはダメよ」と注意しなくてはならない悪さをたくさんするもの。

どこからどこまで許されて、何がダメなのか学んでいる時期ですから、
ダメなものは「ダメ」と教えていかなくてはいけませんが、

同時に、「それを試してみたかった気持ち」
「自分で考えたんだよという思い」「芽生えつつある知恵」をしっかり受け止めてあげることも
大事だと感じています。


2歳7カ月の★くんのレッスンで、
★くんは、イージーチターというハープの一種が気に入って、
自分で棚から出してきました。

最初は指示通り弦をはじいていましたが、
少しすると、サイコロを取ってきて、イージーチターの弦の上に落しました。

私は、「ダメよ。それは大事な楽器だから、サイコロを落としてはダメ」と言ってから、
「サイコロを落とすとポーンと跳ねるか試してみたかったの?」とたずねました。
★くんは、こっくりして、「ポンポン、はねるのしたい」と言いました。

「★くん、楽器にサイコロを落とすのはダメだけど、
サイコロを持ってきて、いいこと考えたんだね。いいこと思いついたね。」と言うと、
うれしそうでした。


それで、小さなトランポリンを取りだして、サイコロを落として遊ぶことにしました。
サイコロがトランポリンをはねてコロンと転がるたびに、「5!」「3!」と
数字を読んであげていると、
★くんは楽しくてたまらない様子で何十回も繰り返しました。
でたらめですが、自分でも、「4!」「5!」とサイコロの目を読んでいるふりをします。

しまいに、トランポリンの上にそっとサイコロを乗せて、自分の出したい目に調節するように
なってきました。
★くんは、2歳半ばで、数や量の多少、サイズの大小に
興味を持ち始める時期です。

でも、★くんがこのサイコロ遊びにここまで熱心に関わっていたのは、
この時期の子がサイコロを好むからというより、
自分で思いついた「ダメ」と言われることを、
別の形で受け止めてもらって、「自分の思いつき」というものを大事にしてもらえたからでも
あります。

「ダメ」のひとことで終わったり、
大人が良いと思うものを無理やり押し付けられたのでは、
こうした強い好奇心は生まれにくいです。



イージーチターの弦を乱暴に扱うので、
ここでも、「大事な楽器よ。バンバンたたいたら、壊れちゃうわ。それに、指が痛くなるわよ。」と注意して、
その一方で、
「はじくと音が出て面白いね。音が出るのが楽しいのね。
自分で、ポロンポロン音がでる楽器を作ってみる?」とたずねました。
★くんは納得して、楽器を作りたがりました。
紙コップに輪ゴムをかけただけの楽器です。


こんな風に書くと
対応次第で、2歳児はみんな聞き分けが良いように見えますが、
そう簡単ではありません。
子どもの気質も発達の段階も千差万別ですから、
その都度、臨機応変に対応していくことが大事なのです。

また、どの子にも「ダメ」と注意すればいいわけではありません。
「ダメ」という言葉を使うと
火に油を注ぐような騒ぎになっちゃう子もいますから。


★くんにしても、これまで相当なやんちゃさんで、
ようやく前回のレッスンあたりから、大人と交渉しながら、
ダメなことは何で、どんなことなら許されるのか
理解できるようになったばかりなのです。



ドールハウスで遊びたがったかと思うと、「いっぱい、いっぱい」と言って
ハムスターをわんさかつっこみ始めました。
2歳代の子の遊びは、まだこんな風にでたらめですが、
全くでたらめというわけではありません。

「いっぱい」「たくさん」「おおい~」「たかいたかい」といった言葉を使いながら、
量を体感したり、
「多い」と「少ない」などの対になる言葉を理解したりすることへの熱心さが、
こうした遊びの楽しさにつながっているのです。

いっしょに「いっぱい、いっぱいね」と言って遊んであげると、
「すごくいっぱい」「少し」「ひとつだけ」などの違いを学んでいきます。

ひとりひとりの人形を椅子に座らせていったり、ひとりにひとつ帽子をかぶせたり、
ひとりひとりに切符を配ったりするのをとても喜びます。




2歳の子は、見立てて遊んだり、
物の作り方を学びながら遊ぶのも喜びます。
簡単なものとはいえ、社会の仕組みにも
関心を寄せ始めます。

写真のように簡単なレジを作ったり、
レシートが出てくる部分を作ったりすると、
想像力を働かせて遊びながら、
自分にも作れそうな物の作り方について学びます。

2歳代の子に作ってあげるおもちゃは、
「偶然、ブロックをはめていくと、それらしいものができちゃった」ということが
起こるような作品がいいと思っています。
こうした工夫は、子どもに自信と作る楽しみを与えてくれます。





4歳の子の理科実験について質問をいただきました。

2013-06-22 17:03:18 | 理科 科学クラブ

理科実験についてこんなコメントをいただきました。

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4歳の娘がいます。
工作はいつの間にか親の発想をとうに超えたものを作るようになりました。
こどもってどんな子も工作が天才的な時期があるんじゃないかなぁと実感しています。
そんな娘を見て、そろそろ科学の実験みたいなことはどうだろうと思い、自由研究大図鑑のような本から実験をしてみようかとやってみるのですが、
なにぶんうまくいきません。
まず、本に載っているような明確な結果が出ず、たいてい失敗します。
そうすると、何をしたかったのか私も子どももよくわからなくなり、実験とは離れた別の遊びになりうやむやに終わるといった感じです。
私自身が理科の授業の実験が苦手でした。
答えが教科書に載っているのにどうしてやらないといけないのかと思ったし、実験ってあまり教科書通りにいかないですよね。結局、失敗したけれど本当は教科書のものが答えですというような授業の流れも苦手でした(^_^;)

お風呂の中で子どもが自分で思いつくような実験ぽいものは楽しんでやっているので、今はまだその段階でよくて、
実験の意味を理解し、結果の予測みたいなものができるくらいになる時期までもう少し待ったほうがいいのでしょうか?
いつか実験を楽しみたいと思ったときのために、先生が子ども達と実験をするときに大切にしていることって何なのかお時間があるときに教えていただけると嬉しいです。
長文失礼いたしました。

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3~5歳の子たちと理科実験をする時に大切にしていることを書いた

過去記事を紹介しますね。

幼い子たちと理科の実験をするとき、
手品のような
すごい科学実験より
ごくごく素朴で当たり前で、
大人にとってはそんなの実験と言えるの?
というくらいのものの方が、
物の科学的な性質がわかって喜ぶことがよくあります。

写真は氷と湯(お風呂の温度くらい)を使った実験です。
氷と湯(お風呂の温度くらい)が入った容器と
水に浸けられるおもちゃを用意します。

それだけ……です。

お湯につけた指を氷につけて感じる変化を楽しんだり、
お湯の中に氷を入れて、溶ける様子を観察したり
子どもはさまざまな実験をしてみるはずです。

「お湯だと氷がすぐ小さくなるね。水だとどうなるの?」
とたずねられたら、水の入った容器も用意してあげるといいですね。
氷に塩をかけたらもっと冷たくなるのは本当か試してみるのもいいです。

氷が溶けるのにどれくらい時間がかかるか調べてみると、
そんな単純な実験もその日の気温や氷のサイズや
氷の凍り具合などで異なることがわかるでしょう。

氷で遊んだ後は、
プリンの容器などに花びらや葉っぱと水を入れて
氷を作る実験も楽しいです。

氷が溶けること
水が凍ること

そんな小さなことでも、子どもは不思議で満たされるものです。


3、4歳の男のたちのグループレッスン。

男の子たちはとにかく好奇心を刺激されるような遊びが大好きです。

教室にある科学の実験用の箱を開けて、「これしたい!」「あれしたい!」と

大騒ぎです。

 

いろんな水と空気の実験をしました。オブラートに絵をかいて

水に浮かべたり、

水の中での光の屈折を利用した実験をしたりしました。

水でふやかす園芸用のゼリーを水に浸けています。

ふやかした後で、シリンダーに入れて押すと、

細かく粉々に砕けてジュース作り遊びができるので子どもたちはとても

喜びます。

 

3,4歳児さんたちと理科遊びをする時は、

「ピンポン玉にフーッと息をかけたらどうなるかな?」「うちわであおいだらどうなるかな?」

といった質問をして、

「きっとこうなるよ」「ああなるんじゃない?」といった予想を子どもたちに立てさせるようにしています。

 

そうすることで、物の性質や原因と結果のつながりについて

理解が深まってきます。

 

理科遊びを楽しく実りのあるものにするには、

いくつかコツがあります。

 

ひとつには、大人が実験を用意して

子どもにさせるのではなく

子どもが抱いている興味に気づいて、それを広げたり深めたりするように

実験を用意してあげるということです。

 

たとえば、外で影を踏んで遊ぶのを喜ぶ時や、

「どうしてぼくの影はぼくより背が低いの?」と質問した時などに、

人形にいろんな方向からプッシュライトを当てる実験をしたり、

「ガラスのコップに入れた水の影は何色かな?」とか

「セロファンを使った工作をして、きれいな色の影を作ろう」と誘ったりすると、

子どもは乗り気で取り組むことと思います。

 

もうひとつは、実験のなかに、

創作活動を取り入れるということです。

実験して理解した原理を

工作のなかで活かすようにすると、

興味がより深まるだけでなく

理解が進みます。

 

 

↑日常のひとこまひとこまに、「どうして?」「なぜ?」と

不思議を味わう機会はたくさんあります。

ビー玉が転がり落ちる仕組みを作った後で、

穴の切り方によってでてくるビー玉のサイズが変わることを不思議がる◆くん。

確かに、穴を開けなくても、十字に切り込みを入れるだけで、丸いものが

通ってしまうのは不思議なのです。

わくわくさんを神とあがめている(お母さんの弁)◆くんは、

この日も、「わくわくさんは、こうやってこうやって作ってたんだよ」と言いながら

大量に紙コップを消費した後で、

最後に自分で考えた2階建ての家を作り終えて大満足の様子でした。

もとはわたしが作ってあげた「がちゃぽん」だったものに、もうひとつコップを重ねただけなのですが、

とにかくわたしでも……わくわくさんでもなく……自分で思いついて作ったということで

うれしくってたまらなかったようです。

2階があるのはどんなにすごくて面白いことか、

お友だちに自慢げに話してきかせていました。

 

他の子らは屋根の高さによって電車が入らなかったり

入ったりすることに苦戦していました。

何度も屋根を取っ払って作りなおし。

「あれぇ?」「あれぇ?」という声が聞こえていました。

 

この日、お迎え時に◆くんの小学1年生のお姉ちゃんも来ていました。

将来、宇宙に関わる仕事がしたいという宇宙大好きのお姉ちゃんです。

そこで、お姉ちゃんに先生になってもらって、

宇宙の実験道具が入っている箱の中身について解説してもらうことにしました。

子どもたちはお姉ちゃんを取り囲んで

宇宙の絵本などを楽しんでいました。

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5歳の☆くん。

毎日、お父さんとお母さんを、「なぜ?」「どうして?」と質問を責めに

している様子です。

先日も、

「地球は丸いのに、どうして海の水はバシャーンってこぼれないの?」

とたずねてきて、答えに迷ったそうです。

確かに地球が丸くて、逆さまになっている部分があるとしたら、

海の水がこぼれないのは不思議ですよね。

☆くんと、簡単な理科工作。

ペットボトルに目打ち(プッシュピンでもOK)で小さな穴を開けます。

穴の部分に水道の絵などを描いておきます。

水を入れて蓋をしめると、

穴から水はこぼれませんが、

蓋をゆるめたり、手で押して軽く圧力をかけると、

ピューッと水が噴き出します。

 

 

↑ テレビです。

 

段ボールの細い箱に切り込みを入れて、

虫めがねを差し込んでいます。

覗くと、虫めがねにテレビのような画像が映っています。

 

懐中電灯をあてて

お化けをつかまえるおもちゃを作りました。

 

どうして、見えなくなったり、見えたりするのか、

不思議だったようです。

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<寺田寅彦のエッセイと夏の理科遊び>

小学生の頃、学校の図書室で、
岩波少年文庫の『科学と科学者のはなし』寺田寅彦エッセイ(池内了編)を読んで
えらく感激した記憶があります。
古本屋でその本を見つけたので、買ってきてさっそく目を通しました。
今、読んでも、とても面白かったです。

読みながら、紙芝居か、実演で、
子どもたちにこの本の面白さを伝えたいな~という思いが
湧き上がってきました。

まぁ、そんな大がかりなことをする前に、

教室の科学クラブで子どもたちに
この本をもとに小さな実験をいくつか見せてあげて……

それからブログでこの本を紹介して、
夏休みにこの本に目を通した親御さん伝いに、寺田寅彦の思いが少しでも子どもたちに浸透していくといいな~と感じて……

さっそくブログの記事にすることにしました。

まず、大好きな『茶碗の湯』というエッセイ。

物理学者の寺田氏が、湯の入った茶碗ひとつを前にして、
繰り広げる話です。
茶碗の湯って、何のおもしろみもないようですが、よく気をつけてみていると、
だんだんにいろいろの微細なことが目につき、
さまざまな疑問が起こってきます。

湯の面から立っている白い湯気は、熱い水蒸気が冷えて、小さなしずくになったもの。
雲や霧の仲間です。
黒い布をむこうにおいてすかすと、
粒の大きなしずくはチラチラ見え、

日光にすかせば、場合によっては、虹のような赤や青い色がついているそうです。
これは白い薄雲が月にかかったとき見えるのと似ているそう。

茶碗から上る湯気をよく見ると、暑いかぬるいかおおよそわかるのだとか。
暑い湯は温度が高くて、周囲の空気より軽いため、どんどんさかんにたちのぼり、湯がぬるいと弱いのです。

湯気が上るときはいろいろの渦ができます。茶碗の上で起こる渦の大じかけのものは、
雷雨のときに空中に起こっている大きな渦です。

白い茶碗に入っている湯は、ひなたで直接日光に当てて底を見ると、
ゆらゆらした光った線や薄暗い線が不規則な模様になって動いているのが見えます。
夜、電灯の光を当ててみると、もっと鮮やかに見えます。

茶碗の湯が冷えるのは、湯の表面の茶碗の周囲から熱が逃げる為。表面にふたをしておくと、茶碗に接したところでは湯は冷えて重くなって下方へ流れ、
真ん中は上へ。
ビーカーの底をアルコールランプで熱したときの水の流れが、
湯の中の糸くずの動きで見ることができるのだとか。

いっぱいの茶碗の湯は、他にも「かげろう」のでき方、湖水や海の水の流れ方、山谷風、モンスーンなどがどうやってできるのかなどを、
わかりやすく教えてくれるそうです。

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寺田氏の言葉に次のようなものがあります。
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俗に明きめくらというものがあります。
両の眼は一人前にあいていながら、肝心の視神経が役に立たないために
何も見ることができません。

またたとい眼あきでも、観察力の乏しい人は
何を見ても、ただほんのうわつらを見るというまでで、
何一つ確かな知識を得るでもなく、ものごとを味わって見るでもない。
これはまず心の明きめくらとでも言わなければならない。
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子どもたちを『心の明きめくら』にしてしまってはいけませんね。

子どもたちとともに、いろんなものをゆっくりじっくり味わいたいな~
と思いました。


「工作の過程を楽しむことができません」というコメントの質問へのお返事 2

2013-06-21 11:13:48 | 工作 ワークショップ

工作の過程を楽しめるようにするコツの続きを書きますね。

 

 たまにはもったいないような無駄な材料の使い方をさせてみること


子どもが工作に親しんでいく過程で、どの子にも「もったいないな~」と感じるような

無駄な材料の使い方をする時期があります。

毎回、毎回、同じ材料で同じ使い方をしたがるような時期があるのです。

子どもによって、何が心にヒットするかは

ずいぶん異なります。

 

たとえば、3歳からグループでレッスンしている

現在、年中さんになる★くん、☆くん、●くんが、どんな過程を経て、

自ら進んで、さまざまなものを作り出すようになったのか、と思い返すと、

それぞれの子に別のヒットした素材と方法と、無駄な物の使い方をしていた時期があるのです。

 

★くんの心を最初に掴んだのはストローでした。

初めのころは、とにかく、「ストローちょうだい、もっとちょうだい」と

自分では扱えないほどたくさんのストローをもらいたがっては、

切り刻んでいました。

教室でストローをしまっている引き出しを覚えていて、別の遊びをしていても、

いつの間にかその引き出しを開けて、ストローを取り出そうとすることがしばしばありました。

★くんが「ストロー!ストロー!」と言い続けている期間は、

こちらが見せるストロー工作の見本には見向きもせず、

とにかく切り刻んでおしまい……という感じでした。

が、★くんのストロー三昧に付き合ううちに、ストローを使うのなら、

仕掛けのある工作も作ってみよう、どんなものもストローでできないかなと考えてみよう、ストローを使って

巨大な創作物を作ってみよう、大人に習って新しいアイデアも取り入れよう、本を調べてストローでできる工作や実験がないか

見てみようという態度が育ってきました。

★くんは、内気でおっとりした性質の子です。

教室に通い始めた当初、★くんのお母さんは

自発的に行動したり考えたりする意欲が薄いことを気にかけておられました。

それが、最近は、自分でやりたいことを見つけ出しで熱中する★くんの姿を

頼もしく感じておられるようです。

 

子どもの精神面や思考力といったものまでが

遊びや工作を通して変化していく期間は、

大人の目からすると、成果が見えにくかったり、

無駄の多い時間であったり、

ただの物の無駄づかいにしか見えない活動であったりします。

 

そんな★くんといっしょに過ごしていても、☆くんの心を捉えていたのは

紙コップで、●くんが繰り返し作りたがったのは水風船を膨らませてから作る家族の人形でした。

 

 セロテープに固執して、毎日、テープを1巻き使い切るという子もいれば、

モールが好きな子、紙が好きな子、ひたすら穴を開けたい子、きれいなキラキラした素材を貼りたい子、

粘土が好きな子、ドライバーを使いたい子、

糊を手で塗りたくりたい子、折り紙を粘土のように扱いたい子、

かばんばかり作りたい子……と、子どもが夢中になるものは千差万別です。

わたしが提示する見本に夢中になって、とにかく新しい技を教えて欲しい……と

手本を習うことに執着する子もいます。

どの姿もちょっとバランスが悪くて、大人の計画的な管理からはずれがちです。

「こんなもったいないことをさせたら、物を大切に扱わない子になるんじゃないか。

しつけ上悪いんじゃないか。お金がかかりすぎる」と悩むかもしれません。

 

でも、あんまり心配はいらないのです。

子どもが望むものを1年間、与えるだけ与えても、

1000円もかかることは稀ですし、そうした無駄な物の使い方を経た子は

自分が何をどれくらい必要としているのかを体感するようになって

ひとつひとつの物をいる分だけ大切に扱うようになるのを

多くの子どもたちの育ちを通して実感しています。

 

この「子どもに無駄に物を使わせる」ということは

親にとって、易しいようで非常に難しいようです。

経済的に豊かで子どものためにいくらお金を使っても惜しくないと

思っておられるような方は

かえってつらいようでもあります。

なぜなら、お金をたくさん払ってでも、

より密度の濃い効果的な物と時間を子どもに与えたい

という気持ちが働くからです。

 

でも、子どもは童話の星の王子様のように

大人が探してきたどんなに高価で希少性の高いものよりも

自分が見つけて、手間をかけたありきたりの一本のバラの方を愛するものです。

 

 「もう一度、読みたい」というリクエストをいただいたので、リンクを貼っておきます。

 

工作やブロックが好きじゃない子も工作やブロックをしなきゃならないの? 1

工作やブロックが好きじゃない子も工作やブロックをしなきゃならないの? 2

工作やブロックが好きじゃない子も工作やブロックをしなきゃならないの? 3

工作やブロックが好きじゃない子も工作やブロックをしなきゃならないの? 4



大人がサポートして子どもと子どもの関係をつなぐには? (人と関わることが苦手な子も遊びの輪に!)

2013-06-21 08:11:42 | 幼児教育の基本

「工作の過程を楽しむことができません」というコメントの質問へのお返事 1の続きは

今日中に書きますね。

 

(過去記事です)

 

名古屋で工作サークルをしておられる方々のところに

サークル内容についてのアドバイスに行ってきました。

(多忙のためすでにお約束しているサークルの方へのアドバイスしか行っておりません)

サークル後は親御さんたちだけ(子どもたちはパパさん等に迎えにきていただいて)

で子育ての勉強会を開きました。とても充実した楽しい時間を過ごせました。

 

 

ずいぶん前に、このブログで、「虹色サークルをはじめてみませんか?」

という呼びかけに応えて子育て中のママが始められた工作とちょっとだけ算数遊びをするサークルです。

(現在、定員に達しているので、新しいメンバーの

募集はおこなっていないそうです。)

 

会を重ねるごとにどの子も集中して物作りにいそしむようになっていました。

サークルを主催している方のアイデアで、子ども同士が作品を通して

交流できるような工夫をしていました。

また親御さんたちもわが子以外の子らともたっぷり遊ぶように心がけていて、

人と関わることがちょっと苦手な子も自然と場のなかに溶け込んで楽しんでいました。

 

「サークルの質をさらに魅力的なものにするために

アドバイスをいただきたい」とお願いされていたので、

今回の活動にいっしょに参加させていただきながら、いくつか気づいた点を

指摘させていただきました。

 

 

それぞれの子の工作が一段落したところで、作った作品を通して

相互に交流する時間を設けていました。

 

今回でしたら、部屋の電気を消して、

年長さんの男の子が作っていたお化け屋敷に入って怖がったり、

手品を作った子の作品を見て、他の子も手品を演じさせてもらったり、

かわいいものを作った子らがお店屋さんを開いたりしていました。

 

子どもたちはいきいきと自分で考えて動いています。

 

でもサークルには、防衛的で緊張が強くて、みんなのなかに飛び込んでいくのが

苦手な子も参加しています。そのひとりを☆ちゃんとします。

 

☆ちゃんは工作もまだ「ママ作って」と頼むことが多いようです。

 

動物が大好きな☆ちゃんのリクエストで、お母さんがきりんとくまを作っていました。

 

すると☆ちゃんは、まだ未完成のきりんやくまを

わたしのところへ持ってきては「かわいい目を描いて!」とたのみました。

 

まだママにべったりしている時間が長いとはいえ、自分から「あの人にこういうことを頼もう」と

決心して動けているのですから

なかなかのものです。

 

アニメの主人公のようなクリクリおめめを描いてあげてから、

「キリンさんを入れる檻を作ろうよ」と誘いました。

椅子を丸く並べて、ひもとトイレットペーパーの芯で檻のカギを作ってあげました。

 

 

芯にひもを結んで、もう一方のひもを椅子に結びます。

片方の芯をギュッとつぶすと、もう片方の芯の中に入って

鍵になります。

☆ちゃんは鍵に大喜び。

「誰か、☆ちゃんの動物園に遊びに来てよ」と誘うと、

気の優しい○ちゃんが、えさの入った手作りのかごを手に

遊びに来てくれました。

最初のうち「いや、きちゃだめ」と言っていた☆ちゃんに、

えさが散らかったらお掃除できるように

ほうきを作ろうか?」と誘うと、頑なな態度がほぐれてきました。

 

すると他の子のお母さんが、「☆ちゃん、くまの檻も作る?」とたずねながら

檻を作ってくれました。

 

このようにお友だちと関わるのが苦手という子にさまざまな大人が

サポートの手を差し伸べると、

人との関わりが苦手な子がだんだん上手に交流できるようになるだけでなく、

もともとお友だちと上手に遊べていた子たちは

今度は大人たちを見習って、他の子を助けたり、協力しあって活動したり、

問題を自分たちで話し合って解決したりできるようになってきます。

 

まだ幼稚園の年少さんや年長さんの子らが、

そうした遊びのリーダーの資質を身につけて

活動を盛り上げるようになってきていることに感心しました。

 

小学生の男の子がストローとひもで手品の小道具を作って

手品ショーをしているところです。

 

このように工作後、手品ショー、科学の実験ショー、劇、人形劇、マイクなどを作って歌のショーなど

をするのも楽しいです。

 

そこでわたしも空き箱を使って手品の小道具を作ってみました。

すると考えることと作ることが好きな男の子たちが

仕掛けを見破ろうと夢中になっていました。

この男の子たちの姿を見ていると、最も集中しているのが

必死で頭を使っているときなのです。

工作見本や遊びの手本なども

ひとつくらいはこの子たちをうならせるレベルのものが

必要なのかな、と思いました。

 

椅子を使って電車の切符売り場を作り、

椅子をいくつか並べて電車を作りました。

 

するとひとりの子が、「電車の椅子は2列だよ」と言って

もう一列椅子を並べ、

別の子はチケット売り場を担当して

いきいきと遊びだしました。

チケットを買いにきた女の子たちに「切符がいるよね。子ども切符も!」と言うと、

たちまち承諾して手を取り合って材料探しに飛んでいきました。

 

 

初めて会う子らが集うワークショップでは

大人が子どもたちを交流させていく働きかけをすることが大事です。

 

でも、継続してサークル活動を続けている子の場合、

大人が働きかけて子ども同士を交流させるだけではなく、

子ども自身が、自ら友だちに声をかけて遊びの輪を広げていったり、

創造的なアイデアを実現したり、遊びを豊かにするための素材を自分で作ったりできるように

「魚を与える」のではなく、「魚の釣り方を教える」ような

サポートが大事だな、と感じました。

 

工作サークルの様子は、ペロ嫁の工作 de 知育な日記 NEW!で記事にしてくださっています。

第八回 虹色サークル その①

第八回 虹色サークル その②

 

②にあるYくんのお化け屋敷は、実際は凝った仕掛けの人形やら、周囲を新聞紙で囲うやらして

かなり立派な仕上がりだったのですが、

ペロ嫁さんのカメラにもわたしのカメラにも

その全貌は写っておりませんでした。

想像で補いながら見てくださいね。もぐって遊べる上出来のアトラクションでした。

 

年長さんのYくんは考えることと想像することが得意な

男の子。物作りも大好きです。

工作サークルでは大掛かりな作品に挑むことが多く、

準備段階から熱心にアイデアを練っている様子です。

↑自分でこんな計画書をこしらえていました。

 

ほぼ完成してからも、飾り付けたり、周囲を囲ったり、

何度も改良を加えてよりよいものになるよう努力していました。

 

サークルのみんなに自分の作ったお化け屋敷に

入ってもらうのがうれしくてたまらない様子です。

 

「いっしょにお化け屋敷作る?」と誘われた●くん。

「やめとく。自分で作る」とオリジナルの小型のお化け屋敷を製作中。

●くんは手品の小道具作りのような

箱やスティックに収まる不思議を伴う作品作りに関心があるようです。

 

サークルは8回目を迎えて
「子どもたちが創作活動にしっかり関わる、楽しむ」という点は成功していました。
 
「子どもたちがやりたい事を大人が少しサポートしながら具現化していく・・・」 という
ペロ嫁さんの理想は、
ほぼうまく実現していましたが、
いくつか問題点も感じました。
 
というのは、やる気や意欲が旺盛で、人と関わっていくのも上手な子は、
大人にやりたいことを伝えて、自分のイメージを表現していく活動ができていたけれど、
緊張が強かったり、場の空気を読みにくかったりする子は
子どもたちの輪に参加しずらい雰囲気もあったのです。
 
いったん自分の殻に閉じこもってしまった子や、友達のあうんの呼吸をつかみそびれてしまう子に
大人が「いっしょに~しよう」「あそこに行ってみよう」と誘うだけでは
なかなかこの問題は解決しないかもしれません。
 
そこで、
 
「大人がサポートしながら子どもと子どもの関係をつなぐ」 ということを
テーマにして、
子どもへの働きかけ方を考えていただくことにしました。
その際、「ひとりひとりの個性、発達上(特に社会性)の課題」などに
十分配慮するようにします。
 
「ひとりひとりの個性、発達上(特に社会性)の課題」に配慮しながら
 
「大人がサポートしながら子どもと子どもの関係をつなぐ」
 
とはどのようなことで、どのようにサポートするといいのでしょう?
 
 
それでは具体的な例を挙げながら、それについて説明させていただきますね。
 
 
「これ作ろう!」「こんなことをやってみよう!」と目的を持って何か作るのは
難しい……
「作りたいなぁ」とあこがれるようなものがなかなか思い浮かばない……という子はいますよね。
 
そうした子には、写真のように
椅子などをはさんで、やりとり遊びをスタートすることで
目的が見えてくることがあります。
 
写真は、切符を発売しているところです。
 
ハンバーガーショップのドライブスルー、ビデオの貸し出し、
ユーフォーキャッチャーのゲーム、
ドリンクバーなど
隙間がある椅子などをはさむだけで、
そうした見立て遊びに発展させていくことができます。
 
 
子どもにとって隙間は、お金や食べ物などを「交換」するための
魅力的なツールです。
 
このように見立て遊びの基本となる場所ができると、
「あっ切符がいるね。そうだ、ぽんぽん押すはんこもいる。
特別、全国一周旅行子ども切符もいるね」など、
作ると面白そうなもののアイデアが生まれます。
 
いっしょにアイデアを共有して、意見を出し合うと、
手と手を取り合って、
「いっしょに○○作ろうよ~!」という関係も生まれやすいです。
 
また「切符売りをする駅員さん」といった
わかりやすい役割が生まれると、
いきなり友だちの輪に入っていきにくい子も参加しやすいですね。
 
子どもと子どもの関係をつなぐといっても、
大人が「この子とこの子を友だちにしよう」と勝手に
間を取り持つわけではありません。
 
遊び、お手伝い、意見を出し合う場面、物作り
 
などに時折、子ども同士の関係が生まれやすい形を作って、
人と人の間で何か活動する上での
成功体験を積ませていくのです。

 

 

 


「工作の過程を楽しむことができません」というコメントの質問へのお返事 1

2013-06-20 18:19:35 | 工作 ワークショップ

前々回の記事にこんな質問をいただきました。

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楽しくブログを拝見してます。先生のおっしゃってる事頭ではすごく理解出来るのですが、なかなか実行となると難しいです。手をかけすぎてやってやってとお願いされたり、言う通りにしないと癇癪起こしたり、思うように完成出来ないとイライラをぶつけたりしてきます。← そしてお互い不機嫌にってパターンです。例えば工作でも途中を楽しむ、絵の途中を楽しむのが出来ないのは、親が完成を無意識に求めているせいでしょうか?

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工作の過程を楽しめるようにするには、いくつかコツがあります。

 

コツのひとつは、

子どもがその日に興味を持っていたことを工作のテーマにすることです。

それについて、今日レッスンに来ていた1歳10ヶ月~2歳0ヶ月の子どもたちの工作遊びを

例に挙げて説明させていただきますね。

 

3人の子どもたちは、自由遊びの時間に、穴にボールを入れると、思わぬところから出てくる

ボールが内部を通っいくおもちゃに夢中でした。

その姿を見て、お家でも

その楽しさを再現できるように、「穴に何かを入れると、思わぬ場所から出てくる」

おもちゃ作りを工作のテーマにしました。

このように、工作のテーマには旬の興味を扱うことが大事です。

コツのふたつめは、工作のメイン作業を

その子がすぐにでもできて、やりたいと感じるものに

することです。

材料が子どもにとって身近に感じられるものであるのも大事です。

工作材料に、わたしはティッシュ箱を選びました。子どもがよく目にするものですし、画用紙よりも固いけれど

穴を開けたりハサミで切ったりしやすく、幼い子にも認識しやすい形だからです。

子どもに工作見本を作ってあげる時は、

その子の発達段階に応じた道具を使うことが大事です。

つまり、きれいに仕上げたいばかりに大人のための工作になっては

いけないということです。

 

穴を開けるのに、わたしはえんぴつを使いました。

ティッシュ箱は、2歳前後の子の力でも

簡単にえんぴつで穴を開けることができます。

目打ちを使えば、子どもは目打ちを扱いたがります。

4歳くらいになれば、そうした危険な道具を扱わせる場面もあるでしょうが、

幼い子たちと工作する時は、大人も自由に扱ってもそれほど危なくない道具を使う方がいいと思っています。

えんぴつで穴を開けてから、はさみでその穴を広げます。

アルミハクの芯(柔らかくて切りやすいです。ラップの芯はハサミで切るには固すぎます)

を半分に切って滑り台のように穴から穴につながるようにテープで

貼るとできあがり。

また何でも口に入れる月齢なので、デコレーションボール(手芸用のポンポン)を

玉として使いました。

ティッシュなどを丸めてボールを作るのもいいです。

作る過程も、できたもので遊ぶ時も、どの子も夢中でした。

 

なぜ夢中になったのかというと、えんぴつで穴を開ける作業に

達成感があって面白かったからのようです。

ティッシュ箱に穴を開けて、まだ物足りないようだったので紙コップにも穴を開けさせて、

こんな作品になりました。

子どもが、いくつもいくつも穴を開ける作業に没頭しはじめた時、

「そんなに穴はいらないよ」と止めかけるお母さんもいました。

そうした「待った」をかけるのをやめて、子どもが「やりたい」と感じている作業をとことん

やらせてあげるのが、工作の過程を楽しめるようになるためのコツでもあります。

 

次回に続きます。