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虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

ワガママな振舞いが目立つ子にどのように接すればいいのでしょう?  1

2013-09-24 22:52:44 | 幼児教育の基本

わたしがワガママな振舞いが目立つと感じる子は、大きく分けて次の2つのタイプがあります。

 

ひとつは、お母さんの前ではいい子で、

わたしや他の子どもたちだけで過ごす時にはやりたい放題……という子。

 

もうひとつは、わたしが話かけている時にはもじもじして黙っているけれど、

お母さんの前では、わざと注意を引こうとしているように困らせることばかりする子です。

気持ちが高ぶると、お母さんを叩いたり、お母さんの嫌がることをしつこく繰り返したりします。

 

今回の記事は、後者の

お母さんの前だと、よりワガママな態度になる子についてです。

 

年中さんの★くんも、後者のタイプの困ったちゃんです。

 

他の人や他の子の前では恥ずかしがって、いっしょにする活動になかなか参加しようとしない一方で、

理由もなくお母さんを叩きにいったり、わざと困らせるようなことをして、自分の思うように操作しようとします。

 

★くんは、少し敏感な子ではあるものの発達上の問題は感じられない頭のいい子です。

お母さんもお父さんは、目に入れても痛くないほど愛情をかけて育ててもいます。

子どもにどのように関わればいいのか

よく考えておられて、

誰の目にも何ひとつ問題ない接し方をしているように映るはずです。

 

★くんの態度は、

たびたび限度を超えた自分勝手なものになりがちで、年齢からすると幼ささが目立ちます。

 それは育て方が原因というより、★くんの性格や過敏な体質によるものが大きいようです。

とはいえ、お母さんをはじめとする身近な大人たちの★くんへの接し方を

より良いものに改める必要も感じました。

 

次回に続きます。

 

 

 


自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 10

2013-09-24 06:04:15 | 初めてお越しの方

この夏休み期間に、

自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 1

自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 2

自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 3

自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 4

自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 5

自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 6

自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 7

自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 8

自閉っ子の人と関わる力を育む環境作り 9

という記事を書きました。

 

3の記事のコメント欄に

こんなすてきなエピソードを寄せていただいたので、

紹介します。

 

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虹色教室通信で色々と勉強させてもらっています。
発語がない2歳7か月の自閉の診断を受けた息子がいます。

いつも読むだけなのですが、この記事の事がすごく役立って嬉しい出来事があったので、思わずコメントを書きました。

この連休に久々に公園に行きました。 

夏の間、公園には全然行ってませんでした。かなり久々です。 
息子は今まで遊んでた遊具も怖がるようになっていました。 
最初その様子を見た時、あぁ、後退しちゃってる・・・また1からか・・・と思ってしまいました。 

中々遊具で遊ぼうとしないので、とりあえずどうするのかとそのまま様子を見守っていました。 
そうすると、遊具周辺をうろうろしたり、行きかけて戻るというのをはじめました。 
傍に行って「これやりたい?ママとやってみようか?」と言っても返事はありませんでしたが、とりあえず一緒にやってみました。 

本人が嫌だった場合、そこで嫌がるのですが、嫌がりはしないのですが、でも行けないという感じがありました。 
「チャレンジしたいけど怖いねんや」 
「大丈夫!ママ、支えるから。怖いの乗り越えてやってみよう!」 
「できなくてもいい。勇気出してやってみようが大事」 
この後、グラグラ橋をなんとか渡りきりました! 

渡りきった瞬間に見せた息子の満面の笑み 
言葉はないけど「やったー!いけた!!」という気持ちが思いっきり伝わりました。 

「勇気出せたね!すごいね!できたね!」 
抱っこしてぎゅっとしながらおもいっきり褒めました。 
そうするとキャッキャと声を出しながらさらに喜んでくれました。 
息子と気持ちのコミュニケーションがとれた感がすごくあってとっても嬉しかったです。 

その後、それまでは行かなかった遊具も最初怖がる様子は見せるものの手伝うと行くようになりました。 


見守ることと声かけの量とタイミングの大事さ、身をもって体験しました。


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一見、子どもの能力が後退したように見える場面も、

人に頼ったり、いっしょに協力しあってて何かしたり、

それを成し遂げた時、お互いの心を通わせて喜びあうチャンスをつくってくれることがあります。

 

社会性の困難を抱えている自閉症の子には、

能力を縦方向に伸ばしていくこと以上に

今できることの中で、人と関わる力を育んでいく横方向の広がりを大切に

感じています。

 

お母さんが子どもさんとコミュニケーションをとれたと実感したなら、

おそらく子どもさんの中に

こうした出来事を通して、お母さんへの信頼感が芽生えつつあるのだと思います。



幼い子たちの工作で気をつけるポイント

2013-09-23 23:24:57 | 工作 ワークショップ

幼い子たちといっしょにする工作で気をつけるポイントを紹介します。

 

一番大事なのは、大人の満足のための工作にしないということです。

子どもが美しい出来栄えに気を配って

作品を作るようになるのは、

さまざまな段階を経た後です。

 

最初は、「切る」という楽しさや「切る」ことで可能になることに気づくこと、

「貼る」ことでできることや「貼る」方法に気づくこと、などが重要です。

 

そのため、出来栄えに気を配らず、作りをできるだけシンプルにして、

子どもの気づきをうながすようにしています。

 

たとえば、こんな工作があります。

箱をふたつ貼りつけただけの

「パクパクさん」「こわいこわいガブガブかぶるワニ」といった工作は、

1~3歳の子たちを夢中にさせます。

手動なので、1っ個所にテープを貼れば、できあがり。

口を開いたり閉じたりして、相手の手をかじる真似をして遊びます。

 

幼い子たちには、セロテープよりも養生テープや布テープがお勧めです。

手で切ることができるし、

1っ個所貼ると、しっかりつながるからです。

 

 

ティッシュ箱にラップの芯を貼っただけの「滑り台」

 

こうした1手順でできあがる工作は、幼い子たちに次から自分で作ってみようとする態度を育てます。

大人にしたら、「これが工作?」と思うものも、

子どもにとって、材料を選び、貼る場所を考え、自分で道具を扱うのは

難しいものです。

 

もし上手に作れるようになったら、

パクパクさせる人形にゴムを付けて、手を離すと開けた口が閉まるようにしたり、

滑り台に色画用紙を貼ったり、仕掛けをつけたりします。

 


「煮干しの解剖」実習セット と カルマンの渦 

2013-09-23 14:45:19 | 理科 科学クラブ

小学4年生たちの科学クラブの様子です。

 

科学クラブでは、最初の数分間に子どもたちと、

どんな実験がやりたいか話し合います。

話し合いでは、その日のためにわたしが準備しておいたいくつかの実験や科学遊びの道具が入った箱や

科学実験の本を参考にして、やりたいことを決めます。

 

科学クラブの子らはみんな実験が大好きなのですが、この日は、

夏の疲れのためか

いつになくダラダラしていて、「今日、どんな実験をするか話しあうわよ。

どんなことがしてみたい?好きなアイデアを出してね」と言うと、

「何もしたくない。寝てよ。寝てよ!」「そうだよ、マンガ読もう!」

と冗談半分に言いながら、お互いにケタケタ笑ってばかりでした。

 

「きちんと話し合って決めないなら、まずわたしが用意した実験をしてもらうわよ。自分たちがやりたいと思うことは、

それしながら考えて!」

と、 仮説社の「煮干しの解剖」実習セットを出すと、「わぁ~やりたくねぇ」「やだやだ、ぼくはいやだ」と

ぶつぶつこぼしながらも、

煮干しの解剖をはじめました。

 

煮干しは大きいサイズの質のいいものを使うようにしています。

↑解剖して取り出した

水晶体、耳石、背骨、えらとさいは、心臓、肝臓……などを貼る用紙。

最初のうちは、「胃なんてないよ。この煮干しは胃がないんだ、最初からないんだってさ!」と笑っていた子らも、

だんだんピンセットの扱いが上手になってきて、「心臓見つけた。これ、心臓だよ絶対。だって、写真通り、肝臓とか胃のより

頭に近いここんところにあるし、この形も毛みたいなのが生えているところも同じじゃん」

「これ、はまる。これ面白いよ。もう一匹やってもいい?」「もう一匹!」

と大はしゃぎで、それぞれ10ぴき近く解剖をしていました。

 

↑ 「心臓を見つけたよ」とのこと。

 

煮干しの解剖ですっかり調子づいた科学クラブの子どもたち。

21世紀子ども百科 『科学館』を参考に

カルマンの渦作りにも夢中なっていました。

牛乳パックをつないで細長いトレイを作り、墨を落とします。

直径3ミリほどの棒を、一定の速さでゆっくり動かしていくと

カルマンの渦ができます。

とても神秘的で美しいです。

 

この実験の後で、墨を流した水に

石鹸をつけた竹ぐしを入れて、

パアッと透明の円が広がる様子を楽しみました。

子どもたちは、大感激。何度も何度もやりたがっていました。

最後に音の振動でモールで作った人形がくるくる回る工作をしました。

 

実験の後で、いつも45分ほど算数の学習をしているのですが、

この日は理科の入試問題と線分図を使って考える算数の文章題をしました。

最初のダラダラムードはどこへやら、どの子も真剣に

学習に集中していました。

夢中になって取り組んだ実験の数々が

子どもたちの意欲を引き出したのかとうれしくなりました。

 


大型フェリーで佐賀から神戸港へ  と 両替ゲーム

2013-09-22 17:43:58 | 通常レッスン

 

年中の★くんと☆くんのレッスンの様子です。

最近、「船にはまっている」という★くんと

大型フェリーを作って遊びました。

 

☆くんは宇宙と学校の怪談ブーム。

37歳になったら、宇宙まで続くエスカレーターを作るそうです。

今はペットボトルと紙コップで

宇宙衛星作り。

 

 

ブロックの扱いに慣れている★くんは、少しだけ作り方のコツを教えると

自分のアイデアも混ぜながらどんどん作っていました。

 

↑の写真は、「ひもを引っ張ると車を乗り込ませるための扉が上がる仕組み

です。

作り方は、簡単です。

写真のようにひもを下の部分にはさんだブロックの扉を

ブロックで作った枠に取り付け、ひもを上部に引っかけてから

ブロックでとめるのです。

子どもがとても喜ぶ仕掛けです。

★くんはできあがった船に大満足、「佐賀港を出発して大分経由で神戸港に着く」

というストーリーで、

船の検査をしたり、車や乗客を乗り降りさせたりして遊んでいました。

遊ぶうちに、半分泣きそうになって、

「家でもこんな船が作りたい!おんなじのが作りたい!

家でもこれで遊びたい!」と言いました。

 

★くんの話では、デュプロは家にもたっぷりあるけれど、

お家にはブロックの基礎板があまりないということでした。

 

そこで、家でも大型フェリーが作れるように

色画用紙を船の床部分のサイズに切ってあげました。

画用紙を床にした船作りは☆くんが手伝ってくれました。

でも★くんは船を作るだけでなく

動かして遊びたかったようなのです。

そこで、画用紙に輪ゴムを貼って、船の形の枠に装着できるようにしました。

これなら、自由に動かして遊べます。

 

とはいえ、基礎板で作るより難しい上、作る時も遊ぶ時も心地よさが

少し劣りはします。

★くんは少し不服そうにしていましたが、

何とか納得して色画用紙の船の床を持って帰りました。

算数タイムの両替遊びの様子です。

黄色1枚と赤2枚が交換できます。

赤1枚と青2枚が交換できます。

 

黄色を3枚ずつもらって、よりたくさんの青を手に入れる遊びです。

 

この遊びに初めてチャレンジする★くん、☆くん。

 

最初はルールがよく飲みこめない様子で、

黄色いコインを差し出して、「赤いコインを3枚ください」

などと、自分の好きな要求を出していました。

が、失敗を重ねるうちに、両替の意味がきちんとわかってきました。

だんだん面白くてたまらない気持ちになってきたようです。

溜めこんだ青を数えるふたり。

 

全て青に交換できてうれしくてたまらない様子の★くんと☆くんは、

「次は緑や白のコインも入れて遊びたい」と言いました。

そこで、少しややこしいルール。

 

赤1枚と黄色3枚を交換。

黄色1枚と白2枚を交換。

白1枚と緑3枚を交換。

 

交換してもらうには、交換したいコインを差し出して、

必ず欲しいコインの色と枚数を言わなくてはなりません。

 

赤いコインを3枚ずつもって、できるだけ多くの緑のコインを手に入れます。

せっせと溜めた大量の緑のコイン。

 

ふたりともがんばって数を数えていましたが、途中で疲れてしまった★くんが、

あー疲れちゃったというリアクションをしてから、

「ぼくは数えるのはやめるよ。数えないよ」と☆くんとわたしに宣言しました。

 

「じゃあ、★くんはゼロ枚ね。

数えないと数がわからないから、ゼロ枚取ったことにするね」

と言うと、

すると★くんは大慌てで、「1,2,3,4……と数え始めました。」

がんばって最後まで数えて、大満足。

もう帰る時間が来たというのに、★くんも☆くんも満面の笑みを浮かべて、

「もう1回やりたい」と言っていました。


「ちょっとめちゃくちゃなくらい、間違っているくらい」がちょういい2歳児さんの活動

2013-09-22 07:57:26 | 初めてお越しの方

過去記事です。

2歳5ヶ月~2歳10ヶ月までの子のグループレッスンで。

 

↑恐竜好きの●くんのために恐竜のミニチュアが入っている箱を出してきました。

写真と名前が貼りつけてあるカードの上に「いっしょいっしょ」と言いながら

恐竜を乗せていく遊びをしています。

2歳児さんにこうした遊びを勧める時は、見本を見せても本人が真似たがらなければ、

後は自由に遊ばせるくらいのゆるさが大事だと思っています。

 

マッチングさせる面白さに気づいて真似しはじめても、

3つ合わせたくらいで、「おしまいにしようか?」とルールの

ある遊びは終了して、そこから自由な発想で遊ばせるくらいの関わり方がいいです。

 

赤ちゃん扱いせずに、興味を持ちそうなことには、たとえ難しそうなことでも

触れさせてあげる一方で、

その子が自発的にやりたがって、やっていることが楽しくて夢中になるくらいの

活動が主になるように配慮してあげる必要があります。

 

親御さんによっては、自分がやらせたいことに(親御さんが)夢中になって

子どもが大人の指示通り動くのにいっぱいいっぱいになっているのに、

機嫌を取ってでもやらせようとする方がおられます。

そんな体験を2,3回もさせれば、子どもは消極的で依存的になって、

「ママやって~」とすぐに投げだすようになるかもしれません。

 

2歳児の活動をサポートするには、引き際や、手綱のゆるめ方が肝心です。

↑ベルトコンベアー遊び。

テーブルの下のシートを反対方向に引っ張ると、コンベアーが動きます。

2歳6ヶ月の★くん。電車のおもちゃで遊びだしたので、

「かんかんかんって、ふみきり作る?」とたずねると、力強くこっくりしました。

そこで、カラフルな色の入ったストローの袋を準備すると、あの色もこの色も1本ずつ……と次々

ストローを取り出します。

★くんのお母さんは「1本だけ」と言いそうになったのを呑みこんだそうです。

 

わたしがふみきりに似せるために黄色いテープをくるっとストローに巻いて見せると、

★くんは、「先生して!」と言うように、

わたしにストローを渡しては、ここに貼ってほしいと指示します。

 

わたしは★くんが自分で貼りたくなるように

切った黄色いテープをテープ台の端にいくつか貼りつけておきましたが、

「自分で貼ってごらん」とは言わずに、★くんが望むように貼ってあげていました。

そして、テープ台のテープがあとひとつ……となったところで、

「★くん、自分で貼ってみる?」と聞きました。

 

すると★くんは決心したように自分で貼ってみて、

それからは

どんどん自分で貼って作り始めました。

 

子どもが自発的に活動するようになるためには、次のステップがいります。

 

① 子どもが大人を頼っている時には、「自分でしなさい」と突っぱねず、

できるだけその望み通り、言葉通りに、

聞いてあげます。

 

② タイミングを見計らって、本人にさせます。その時は、

「ちょっとめちゃくちゃなくらい 、間違っているくらい」がちょうどいいとして、

細かい口出しや子どものコントロールをしません。

 

③子どもが自発的に動き出し、繰り返しチャレンジする力がついてきたところで、

「ストローいっぱい出したね。5本までにしておこうね。ほら、おてての指の数といっしょ。」とか、

「いっぱいいっぱい出して、いっぱい作るの?じゃぁ、お友だちの分を作ってあげようね」など、

少しずつ、加減の仕方や方法を教えていくようにします。

 

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「自分で自分をコントロールできている感」「有能感」「自分がやっていることはだいたい正しいという自信」

が活動を通して高まってくるようにサポートしています。

子どもが自由に動いてみた結果にOKを出しつつ、

次第により洗練された活動につながっていくように接することが大事です。

 

2歳児を相手にしている親御さんたちの多くは

子どもがまだ何もしないうちから、あれこれ指示を与えすぎるし、

まだ失敗も成功も体感でわかっていないうちから、

上手にする方法を教えすぎています。

言葉で指導するのは、ある程度、上達してからで十分です。

お手本は見せてもその通りすることを期待せず、

もし子どもが何度もお手本を見たがる時には、

何度でもていねいにお手本を実演してあげるといいと思います。

 

↑ひとりの子がお母さんとストローでクレーン車を作りました。わたしがクレーンの先に磁石を付けてあげると、

はさみが釣れて大喜び。別の子も磁石つきのクレーンを作りました。

 

 ↑ 身体が大きくて、力が強い★くん。思い通りにならないと

お友だちやお母さんに手がでます。

 そんな風に衝動的な行動が増えるのと同時に、衝動性をコントロールするような

 緻密な活動への関心も高まっています。

 小豆をピンセットで容器に移していく作業を何度もやりたがっていました。

 落ち着いて集中した状態で、作業をやりぬくことができていました。


2歳児とお母さんのコミュニケーションにずれがある時

2013-09-22 07:50:26 | 初めてお越しの方

2歳児とお母さんのコミュニケーションのあり方に「あれっ?」と気になるズレのようなものがある時、

ちょっと気が引けるのですが、お母さんに何度かダメ出しをして

関わり方を調整していただくようにしています。

 

おしゃべりが得意で、できることも多く

かんしゃくや感覚過敏がない子の場合、

いったい何に問題があるのか、どうして関係を改善しなくてはならないのか

ピンとこないかもしれません。

 

子ども同士の能力を見比べるという目で眺めると

何も気になるところがないか、とてもしっかりしているように見える子だけれど、

お母さんとその子の関わり方を見ているとコミュニュケーションの取り方がずいぶん気になるというケースが

あるのです。

 

放っておくと集団生活が始まる頃か、子どもが抽象概念の理解を必要とする時期に

問題が表面化しやすいように感じます。

 

わたしが気にかけているのは次のような点です。

 

★ 子どもに声をかけても、振り返らないか、大人の声を不快に感じているように見えることが多い。

 

(お母さんが声をかけている時も、他の大人が声をかけている時も)

 「ダメよ」と言われそうなことをする前に、チラッと親の方を振り返るような動作をしない。

 

 

★ お母さんの興味が、子どもの表情や感情の動きにほとんど向けられておらず、

子どもが自分の指示に従うかや、何ができるかや何かをできるようにさせることやたくさん言葉をかけることに

焦点があたっている。

 

★ 非言語のやり取り、目と目を合わせて笑いあったり、お互いにうなずきあったりするような

場面がほとんどなく、子ども側が笑いかけてきてもお母さんがスルーしてしまうことが多いわりに、

子どもが何かしようとするたびに不必要なほど声をかける。

 

★ 身体を通して、リズムで子どもにどのような行動をしたらいいのか伝えるのではなく、

言葉で指示したり、説明したりする。

(2歳児の場合、言葉だけでは伝わらないことほとんどです)

 

★ コミュニュケーション自体に相互に行きかう心地良さがない。

楽しさや遊びの部分が少ない。

(コミュニュケーション以外の面で、おもちゃなどではいっしょに楽しんだり遊んだりしている。だっこされた時などは

楽しそうにしているが、お互いに目を見て関わるコミュニュケーションそのものが子どもを喜ばすことがほとんどない)

先の文章にこんなコメントをいただきました。

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娘がちょうど二歳の頃、私がしていたことがかかれていて胸をえぐられるようでした。
現在4歳になりますが、集団行動がとれず発達障害を疑われ受診を待っています。
IQテストの結果を見ても、歪みが少なく、知的には問題がありません。
心理士さんの指導のもと、少し接し方を変えただけで問題行動が減っていくのをありがたいと思いながらも、あまりの反応のよさを見るにつけ、やはり発達障害ではなく、私の育て方によるものだと戻せない過去を悔やむ日々です。
子供のありのまま受け入れることからはじめていますが、まだまだしっくりこないことも多く途方にくれることも。
ダメ出しを頂ける機会を夢見つつ、記事を参考にさせていただきます。続きを楽しみにしてます。

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2歳児とお母さんのコミュニュケーションのあり方にズレが感じられ、

子どもの発達や態度に気がかりなところ(呼んでも振り返らない、

うわの空で返事をする、感情表現が乏しい、

目と目を合わせてコミュニュケーションを取ろうとしない……など)が

見られる場合、その理由にはさまざまな原因が複雑に絡み合っていることと思います。

ひとつには、子どもの生得的な特徴に因があって、

程度によっては自閉症スペクトラムが疑われるということもあるでしょう。

また発達障碍ではなく、愛着障害が原因で

一時的に自閉傾向のある子たちと非常によく似た態度を示す子らもいます。


精神科医で医学博士の岡田尊司先生によると、

セロトニン・トランスポーターという愛着に関係する重要な遺伝子が、

日本人などのアジア人種では3分の2の子が母親の接し方の影響を受けやすい短いタイプの多型を

持っているそうです。

親の影響を受けにくい長いタイプの子は、3分の1だけなのです。

短いタイプの遺伝子多型をもつ人は、トランスポーターを作る能力が低く、

ストレスや不安を感じやすく、うつになりやすく、

攻撃性や食欲の問題が出やすいのだとか。

このタイプの子は、母親の関わり不足などがあると、不安定型の愛着、

ことに混乱型を示しやすい一方で、

よくかまうよい関わり方をした場合、長いタイプの2倍も安定型愛着を示すそうです。

 

白人の場合、6割が親の影響を受けにくい

長いタイプの有利な遺伝子のタイプで生れるというお話です。

 

岡田尊司先生は

「親の育て方の影響を受けにくい遺伝子のタイプが多いアメリカ社会でさえ

愛着障害があふれているというのに、もっと過敏で愛着が不安定になりやすい日本の子どもに

同じことをすればどれだけ悲惨なことになるか、現状は実証しつつある」と警告しておられます。

 

愛着障害に関しては過去に  「愛着」の形成がうまくいかなくなってきた現代  という記事を書いたことが

ありますので、少し脱線しますが紹介しますね。

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「公園などで見かける多くの幼児が、
『愛着』の形成がうまくいっていないように見える」

「そうした子の親の関わり方を見ていると、
外からは可愛がっているように見えるし、ごく普通の親のように見えるけれど、
子どもとの心の交流や非言語でのやりとりが
かなりずれているようだ」

数年前から、幼い子を育てている最中の知人から、繰り返しそうした指摘を受けていたため、
私もその問題には細心の注意を払ってきました。

愛着とは、特定の人に対して「この人は自分の欲求や感情や意思を理解してくれる。この人といれば安心だ」という認識をもつこと。
特定の人に対して特別な情愛を抱くことです。
生後6~8ヵ月頃に、赤ちゃんの心に大人との関わりを通して形成されます。

愛着がきちんと形成されないと、次のふたつの態度が生まれます。

世話をしようとしている人に対して、警戒的で、「素直じゃない」という態度が多くなります。
甘えたいの甘えることができなくて、優しくしてもらっているのに、怒りだしたり泣いたりします。

一方、初めて会う人にもなれなれしく近づき、ベタベタし、
社交的に見えるものの、警戒心がほとんど見られず、
相手がどんな人か頓着しません。

3歳くらいまでは、子どもってこんなものかな~と思ってきたけれど、3歳を過ぎ、成長するにつれ、気になることが増えてきたという方で、
子どもの愛着形成がきちんとできていないな~と感じるケースと
よく出会います。

「こんな風にしたらうまくいく」と一言で伝えられる内容ではないのですが、
愛着の形成に集中的にしっかり努めてみると、
母親に1,2歳児のようにベタベタ甘える時期、、
親に八つ当たりしたり、ワガママをぶつける時期を経過したあとで、
状態が飛躍的に良くなる子が多いです。

愛着の形成に問題がある子は、
発達障害を持っている子もいるし、ごく普通の子もいます。
どちらであっても、
愛着がしっかり形成されていくと
問題のある行動は減ってきます。

2歳3歳の子というのは、愛着に問題がなく、
すくすく育っていても、
何でもかんでも「自分で!」と言い張ったり、「ダメ」「イヤ」と言わないと、
何もはじまらないのが普通です。
ですから、子どもが、よく泣いたりごねたりするからといって
過度に心配する必要はありません。

しかし、今、子育て環境の変化から、
専門家の間でも、
「普通の家庭」で育てられている子ども達の間に、愛着がきちんと形成されていない子がたくさん見られるようになり、
特に、
「人見知りがなく、誰にでもすぐになれなれしく甘えていく脱抑制型の愛着障害がよく見られる」という指摘がされているのも事実です。

私自身も、記事の最初に登場した知人も、子どもの姿を観察しながら、
非常に多くの幼児がこの問題を抱えていることを感じています。
愛着の形成の問題は、安易に見過ごすわけにはいかない、
先の多くの問題(学級崩壊、不登校、反社会的行為、無気力無関心)のねっこともなるものなんだろうな……と感じています。

具体的な対応、解決法は
また時間があるときに記事にしていきますね。

 

 

前回の記事に次のようなコメントをいただきました。
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ものすごく今気になっていたことです。
昨日、子育て支援センターに行ったら、
娘と同じ1歳半ぐらいの子を持つ4人の子と母親が来ました。でも、母親達は端でおしゃべりに夢中。
子どもを全くみてないのですが、
子どもも全く母親を必要としてなくて、
それぞれひとりで大人しく遊んでいるんです。それぞれの性格もあるし~とは、思っていてましたが、あまりにもかまうことがなく、かまったと思ったら、遊んでるおもちゃを停止させてカメラ撮影に必死。一人は6ヵ月ぐらいの二人目の赤ちゃんもいてましたが、母親から離れたベビーベッドに置かれ、2時間の間にいちど授乳をしただけで、ずっと置いておかれたままでした。視界にも入っていない感じでした。
1歳半ぐらいのこどもたちは、初めて会う私にも全く警戒なく、ボールで遊ぼうと誘ってきたり、べったり付いてくる感じ。人懐っこい感じはするけど、なんかとても違和感を感じました。

ママ達のおしゃべりも大事だけど、きっと家でもこんな感じなのかな~って思うと明らかにコミュニケーションが少なすぎるな~と思いました。
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コメントをいただいたような親子の光景は、
今、児童館でも、公園でも、ショッピングセンターの遊びの広場でも
保育所や幼稚園の園庭でも子育て支援の場でも当たり前に見られる姿です。

以前、児童館の館長さんに頼まれて
未就園児の多人数の子育てサークルの遊び方の指導をしたことがあります。

それぞれのお母さんが大人同士のおしゃべりに夢中で、
1時間半ほどのサークルの間、子どもは眼中にもない様子でした。
積極的な子たちは走り回って、他の子のおもちゃを奪い取ったり、
赤ちゃんをつきとばしたり、ただ走り回ったりしていて、
おとなしい子は、騒がしい空間で、何をするでもなく座ったまま宙を見つめるか、お母さんたちがしゃべる様子をぼんやり見つめていました。

私が、ぬいぐるみの犬にシャワーをかけてお風呂に入れる真似を始めると、
子どもたちはいきいきとした表情を浮かべて、
犬を風呂に入れたり、拭いてやったりして遊びだしました。
また、文字積み木で図書館やレンタルビデオ屋さんをはじめると、
喜んで借りにきては、
ビデオを見る真似をしたり、
本を選ぶ振りをしたりして楽しそうに遊びだしました。

すると、その様子を見た親たちが、
しぶい顔をして、子どもをにらみつけたり、
暗い表情で、子どもを呼んで、「あの子と遊んじゃだめって言ったでしょ」と耳打ちするのです。
親同士、仲が良いとか悪いとかがあるようなんですね。
仲の悪い親の子どもとは遊ばないようにしつけているようなのです。
それと、
子どもが楽しそうに遊ぶのなんて、まったく無意味で、
先生として参加してくれるのなら、
音楽とか英語とか教えてくれたらよいのに……と思っているのが伝わってくるのです。

案の定、集団でする体操の時間や鈴やタンバリンを鳴らす音楽の時間になると、
お母さんたちの視線はわが子に釘付けになって、
あんなに無関心だったことが嘘のように、今度は一挙一動のミスも、他の子より遅れている部分も見過ごせないわ~という
雰囲気になっていました。
携帯で写真撮る方も多かったです。

気になったのは、多くの子が、
お母さんとまなざしで会話する姿が見られず、
親を振り返りもせずに、
まるで動物のようにうろつくときと、
親の視線が自分の注がれる場面では、
他の子と比較しているのを察知して
顔をこわばらせたり、目をパチパチさせたり、親の目を恐怖に見開いた目で見つめ続けたり、
それかまなざしは感じているはずなのに全く無関心な様子でお遊戯中もイスにのぼったりする姿があったことです。

こうした親子の姿は、あまりめずらしいものではありません。
いろんな子育て支援の場に参加しましたが、どこに出かけても、
「子どもを他の子と比べる場面以外では全く無関心、子どもは視界の外」
という親の姿は、
多数派でしたから。

おそらく今の日本の子育ての定番の形なのかな?

とも感じています。

子どもの側もそれに適応していて、
親に無関心か、自分の要求をかなえる道具として認識しているように見えます。
ですから、子育て支援の場で30組以上の親子が集まると、
殺伐とした空気が流れているんですよ。


今、虹色教室で子どもや親に集まってもらう場合、
親も子もとても良い形で関わることができています。
このブログを読んでくださっている方は、子育てのスタイルでは
少数派なのかもしれませんね。
事前に、子どもへの接し方や子育てで何が大切なのかといったことを共有しておくことの
必要性を感じています。


続きの記事を読んでくださる方は次のリンク先に飛んでください。

「愛着」の形成がうまくいかなくなってきた現代 3
「愛着」の形成がうまくいかなくなってきた現代 4
「愛着」の形成がうまくいかなくなってきた現代 5
 
 

 

2歳児 と お母さんのコミュニケーションにズレというのは、

「たくさん抱っこしているか」「可愛がっているか」「愛情をたっぷり注いでいるか」といった

お母さんの態度や気持ちではなく、

「お母さんと子どもの気持ちと気持ちのキャッチボールがうまくいっているかどうか」に

着目してはじめて見えてくるものです。

 

愛着の形成に気がかりなところのある子のお父さんもお母さんも

目に入れても痛くないほど子どもに愛情を注いでいるということはよくあります。

 

ただ、子どもの思いと親の思いがいっしょに響き合う時がなくても、

一方的にかまって可愛がることに夢中でそれに気づいていない場合がよくあります。

 

『NLP子育てコーチング』の著者のリチャード・ボルスタッドは、次のように述べています。

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親としてあなたが成し遂げたいと願うことは、
NLPが「ラポール」と呼んでいるお子さんとのつながりにかかっています。
ラポールは、理解の共有や信頼や協力といった心のあり方です。

あなたが見ていないときであっても、子どもに言いつけを守ってほしいならば、
ラポールがなければうまくいきません。
そして、子どもの成長や発達をポジティブにサポートしたいならば、
やはりラポールが鍵になります。
子どもがいい選択をし、幸せに生きてほしいならば、
ここでも、ラポールがもっともすぐれた道具になるのです。

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ラポールが親子の絆だというのなら、わかるにはわかるけど、
具体的にはどんなものなのかわからないという方は多いでしょうね。

リチャード・ボルスタッドの解説を、簡単に要約して紹介しますね。


ラポールは単なる気持ちいいフィーリングではなく、
親と子の脳を直接的なシンクロナイゼーション、つまり同調の結果として起きるそうです。
子どもの脳は親の脳とシンクロするスキルを備えて生まれてくるのだとか。
親はシンクロを引き起こす
特定の行動を学ぶことができます。


赤ちゃんの脳は、ミラーニューロンという神経細胞を利用して
さまざまなことを学習します。
ミラーニューロンは、他の人間が創り出す動き、顔の表情、音に対して特別な注意を払います。
ミラーニューロンは、学習過程全般と、心理学者がいうところの「絆」作りにとって
欠かせません。

適切な場面でほほえむことから、言葉を話すことまで、
複雑な社会的スキルを学ぶ能力はミラーニューロンにかかっています。

理解の共有、他の人との親近感といったフィーリングもまた
ミラーニューロンによります。

ラポールのフィーリングが存在しないとき、
それを築くことができます。
息を合わせる、身体の姿勢や動き、声の質を相手に合わせるところから、
心にへだてのない家族関係の要となるフィーリングを築いてゆくことができるのです。

<ラポールを築くためにできる行動>

● 声……声の大きさ、話すスピード、声の調子、声の質 言葉の選び方

● 目の動き……同じところを見つめるなど。

● しぐさと姿勢

● 呼吸

          (『NLP子育てコーチング』 チャード・ボルスタッド 春秋社 )

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子どもの発達に気がかりな面があるとき、
親子のラポールに危うさを感じるときがあります。

たとえば、子どもにたくさん言葉をかける親御さんは
まったく無視している親御さんと同じくらい
親子の絆が弱まっているのをよく見かけるのです。
非常に愛情深く常に子どものことを気にかけている親御さんであっても
そうなのです。

子どもにたくさん声をかけると、頭が良くなり、子どもとの関係が深まるように思っている方が
いらっしゃいます。
確かに子どもにたくさん声をかけることは大切です。

しかし、
子どもと非言語の世界で息が合っていて、
ミラーニューロンを通してコミュニケーションがきちんと取れていないのに
一方的に話しかけてばかりいると、
子どもは自分自身から世界に働きかけるチャンスも、自分の力を試して自信を持つ体験も、
静かにミラーニューロンを使って学ぶチャンスも、
自分で失敗してそこから学ぶ体験も失ってしまいます。
もちろんたっぷり言葉をかけてあげることは大事なのですが、
子どもと息が合っていないなら、
それは共感しながら交わされる会話につながらず、
ただの雑音になってしまうときがあるのです。

まだ赤ちゃんのように見える子も、自分で世界を体験していますから、
それに対する思いを親御さんと共有したいと思っています。

それなのに親が見ている世界を押し付けたり、
親が子どもにさせたいことを言葉で指示する形になってはいけないと思うのです。

子ども自身が見聞きして感じている世界を、
親御さんがそっと受け止めて、しぐさや言葉で共感を示していくのが
大切なのです。



奇妙に聞こえるかもしれませんが、
親御さんが終始穏やかで、笑顔を絶やさないいつも優しいお母さんの場合でも、
子どもの気持ちの動きやしぐさや声の調子と
あまりにかけ離れているとき、
親子のラポールの弱さを感じるときがあります。

子どもが、怒り、喜び、不安、不満、感激、悲しみなどの
さまざまな感情表現をオーバーなほどする場合、
親御さんが、
子どもの気持ちがどの状態のときも、同じように穏やかににこやかにしているときに、
親子の絆が危うくなっているのを見かけるときがあるのです。

子どもはうれしくてたまらないとき、
刺激的なほど親にもうれしそうにしてもらいたかったり、
感激しているとき、いっしょに手をとって感激してもらいたかったりします。

でも、どんなときも同じように穏やかな優しいお母さんだと、
だんだんネガティブな気持ちにばかりつながりやすくなったり、
ちょっとしたことで激しくキレたりするのです。
もちろん、いつも機嫌が悪いとか、いつも不安そうとか、いつも無表情とか、いつも起こっている親御さんは、
その何倍も子どもにダメージを与えるはずです。

でもニコニコしていていつも穏やかという母親の鏡のような親御さんでも、
子どもの気質や態度とそれに返す親御さんの反応の質があまりに異なると、
子どもの側に不安や寂しさやイライラが募っていくのを
見かけるときがあるのです。

大人も、時には子どもの呼吸に合わせて、
はしゃいだり、喜びに浸ったり、いたずらで好奇心旺盛な態度をとったり、ちょっぴりすねたり、甘えたり、「ダメよ」と厳しい表情をしたり、笑い転げたりすることが大事だなと感じています。

もちろん、子どもといる間、親が四六時中、子どものペースに合わせていなくてはならない
ということではありません。
一日、数分でもいいから、しっかりと子どもとの絆を作る時間を持つだけで
子どもは大きな変化を遂げることと思います。

 

次の記事は愛着障害を起していた子ではないのですが、ユースホステルで、母子間のラポール

の調整する大切さを学んでいただいていたレッスンの様子です。

よかったら読んでくださいね。


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ユースホステルのレッスンにはまだ2歳になったばかりの□くんも参加していました。
語彙の数も多いし、運動能力も発達している笑顔のかわいい子です。
□くんのお母さんは、□くんをそれはかわいがっていて、たくさん声かけをしています。
□くんも、2歳になったばかりなのに、「こんな言葉を知っているの?」と思うほど
よくしゃべります。

ただ、背後からお母さんに話かけられて、□くんはいつも前を向いたまま
お母さんの方を振り返らずにお返事していたり、
終始ご機嫌はいいものの、
□くんの感情の動きが読み取りにくかったりするところがありました。

「どうしてかな?」と思いつつ様子をうかがっていると、
2歳の□くんがお母さんのお守りをするような形で、
お母さんの声かけに自分を合わせてあげていて、
自分の考えや気持ちは引っ込めているように見えました。

そこで、□くんのお母さんに少しの間、控えておいていただいて、
色画用紙で作ったピンクの豚を□くんの方へ差し出しました。
すると、□くんは、それをトコトコと歩かせるようにして
遊び出しました。
私ももう一体ピンクの豚を手にして、
静かに□くんを真似て豚を歩かせる真似をしました。

ここで私が、「ぶぅぶぅぶぅ~」と言いながら
□くんの方に自分の豚で働きかけたりしなかったのは、
□くんがゆったりとしたペースの子で、
真剣に周囲を観察しながらいろんなことに気づいたり考えたりしている
ようだったからです。

□くんの中からアイデアや気持ちが生まれてくるまで、
こちらは少しの間、静かに待ってあげなくてはならないと感じたのです。

すると、□くんは、急に考え深い表情になって
自分の紙の豚をさかさまにしてお腹を開いて、こんな風になっているのかと驚いたような顔をして、
次に私も同じようにそれを見ているか確かめるようにこちらを見て
パァッーと花が咲いたような明るい笑顔を浮かべました。
それから、自分から「はい」と私に自分の豚を渡して、
「交換しよう」とうながすそぶりで、私の豚を手にとって、うれしそうに笑いました。

□くんは、お母さん以外の人や子どもを見ると、フリーズしたように固まって
茫然と見続けるだけでした。
まだ2歳になったばかりですから、成長としては
それでも十分なのですが、
「怖がっているわけではないのに、どうやって働きかけたらいいのかわからないんだな。今まで
いろいろな人との関わり方のパターンを見たり体験したりしたことが
ないんだろうな」とも感じていました。

この豚の交換のアイデアは、この少し前に、
★ちゃんと○ちゃんがお手紙交換しているのを目にしていたので、
それをさっそく豚でためしてみたのかもしれません。
□くん、なかなか利発な子のようです。

□くんは、□くんのペースを待って、□くんの気付いたことに共感するようにすると、
物と物の隙間の広い狭い、おもちゃとおもちゃの隙間の長い短い、段差の高い低い、
くんできた水の冷たい、ぬるいなどに非常に敏感で、
その微細な差を比べてこちらに伝えようとし、
こちらが□くんの面白いと思うものに共感すると、心から満足そうな様子になりました。

それまで、□くんの非言語のやりとりが少ないことがちょっと気になっていました。
お母さんとたくさんおしゃべりしているわりには、
心のこもらない調子で、質問テストに答案を書きこむような調子で、お母さんの方は向かずに、
よそ見しながら、
お返事している姿が多かったのです。
「見て!聞いて!伝えたいことがあるの!」という□くんから発信するものが
あまり感じられなかったのです。
それが、□くんのペースを待って、□くんの思いをきちんと受け止めるような
接し方をすると、
□くんは自分側から周囲に向かって伝えたいさまざまな思いを抱いていることがわかりました。
大人以上に微細なものまで感じ取り、いろいろなことを考えてもいたのです。


大阪の毒舌なお医者さん

2013-09-21 22:02:08 | 日々思うこと 雑感

このごろ医療の世界も「ていねいな接客」というのが
当たり前になってきて、
病院の待合室にも「患者さまへ」なんて「さま」のついた
お知らせが貼られているのを見かけます。

そんななか、

「接客下手で無愛想で、おまけに毒舌で、
その代わり腕は良くて、経験豊かで、人間味があって、信頼できるお医者さん」

なんて、漫画の世界にしか存在しなくなってきているのかも
しれません。

でも、大阪には、そういう毒舌なお医者さん……まだちらほら健在です。

うちの子たちのかかっていた医院の先生も、
息子が3歳くらいのとき、注射を怖がって大泣きすると、
先生がかんしゃくを起こして、
「うるさい!こいつをどっかへ連れて行けー!」とどなったこともある
普段から口の悪い先生です。

でも、近所の人々からの信頼は厚く、喫茶店のママさんも、
「あの先生はまさしくお医者さんって感じよね。人情味があって、腕が良くて……」なんて
言ってました。何度も、家族の急病を助けてもらったそうです。



少し離れた場所にあるので
うちのかかりつけの医院ではないのですが、
知人や教室の生徒たちがかかっているお医者さんも
相当な毒舌で有名です。

持病の治療で長年その医院にかかっている知人は、
長引く持病にうんざりしながら通院しているところを、
「おっ、また来たな……」と冗談半分にからかうような言い方をその先生にされた
そうです。

この先生の毒舌と冗談には慣れているので
いつもなら聞き流すところ、その日は虫の居所が悪かった知人。
ちょっとカチッときて、
「好きで病気になってるんじゃありません」と静かに
言い返したそうです。

次の通院日にはすっかり機嫌を直して、そんなことを忘れて病院を訪れた知人。

普段、言いたい放題好き放題の毒舌のその先生が
きょときょとして眼を合わせようとせずに、遠慮がちに診療していたのに、
とっても驚いたそうです。
「あの先生も、そんな繊細なところがあるのねぇ」と鬼の首をとったような笑みを
浮かべていました。

そんな風に、毒舌でも、冗談が過ぎても、
この医院に近所の人が通う理由は、
診療時間外に子どもやお年寄りに何かあったときには
血相変えて飛んできてくれるような人間味あふれた診療の姿勢や
医師としての腕の良さが信頼されているからでもあります。

そんな怖いものなしに見える先生ですが……さすがに、最近の若いママたちには
かなわない様子です。

「なんで、医者にあんなにえらそうに言われなきゃならないの?」
「何なのあれ?」とこちらも相当の毒舌で
公園のママ友同士で噂をしているグループがあるそう……。


もう何年も前になるのですが、私もこの毒舌(?)先生の医院に付き添いで行ったことがあります。
有料ボランティアでときどきお預かりしている2歳の子が、
お預かりしていた日の晩、お家に帰った後に熱が上がり始めて
真夜中に熱性けいれんを起こしたことがあったんです。

昼間は、平熱で、風邪の兆候もないような日の晩に、
高熱が出て熱性けいれんを起こしたことに驚いて、
その子と親御さんに私も付き添わせていただいたのです。

診察が終わったところで、私は、
「日中は、ずっと平熱で、咳や鼻水もなかったのですが、
後から熱が出そうだったり、熱性けいれんを起こしそうだったりするときの
兆候のようなものがありますか?
事前に、ちょっとできも気をつけておくことが
あるでしょうか?」と、たずねました。

すると、先生は、鼻で笑いながら、

「そんなもんあらん。こんな小さい子は、熱なんて急にだしよる。
前もって、そんなんわかるか!」

ちょっと叱りつけるように、
おっしゃいました。

私は、
「そう……ですが、前に熱性けいれんを起こした日の昼間、
確かに熱はなかったのですが、目がうるみがちで、手を握ると少し汗ばんでたんです。
食欲は普段よりあるくらいでしたが、身体が重たそうな感じで、
動きが少しぎこちなかったんです。」

と、言い訳するように、説明しました。

さらに笑われることを覚悟していたのですが、毒舌(?)先生は、
ちょっと驚いた様子でこちらを向いて、

急にまじめな優しい表情になって、

「あんたなら、わかるかもしれんな」

静かにおっしゃいました。

その口調には、皮肉っぽさや、「主婦のくせに」という馬鹿にしたようなまなざしは
みじんも感じられませんでした。

帰り際に、診察室からは、次に診察に来た中学生くらいの男の子が、
「もっと、大きな声で説明せい!」と叱られている声が
響いていましたが、何となくほのぼのと微笑ましい気持ちになりました。

その数日後、知人の小学校低学年の息子くんが、「○先生(毒舌先生)も、だんだん
博士に近づいてきたなぁ」とつぶやいてていて、おかしかったです。
博士というのは、ポケモンやアトムに出てくる
白衣を着た「博士」のキャラクターのことらしいです。


1歳1ヶ月の子のレッスンの様子です 

2013-09-21 18:31:20 | 初めてお越しの方

赤ちゃんと遊ぶ時は、「この月齢の子にはこういうおもちゃ」とか

「かしこい子に育てるためにこんな遊びをすればいい」といった情報を頼りに相手をするよりも、

赤ちゃんの行動をていねいに観察して、その子が今やりたがっていることや必要としている活動が

十分に行えるようにしてあげるのが一番です。

また、0歳児や1歳児であっても

その子の気質や個性を把握して接すると、

子どもとの遊びがより楽しくなる上、身体も心も健やかに成長していくのを実感しています。

 

それでは1歳1ヶ月の★くんのレッスンの様子を紹介しますね。

教室に着いた★くんにいくつかのおもちゃを出してあげると、

他の何よりも缶の中にコインを入れることに熱中していました。

 

まだ何でも口に入れる時期なので

小さなコインで遊ばせるのは危険なのですが、

「ねらいを定めて指でつまむ」のが面白いようなので、

危なくないように注意しながら遊ばせました。

コインを缶の中に落とすと、カランカランといい響きがします。

自分がコインを入れたから音が鳴ってのがよくわかっているようで、

音がすると満面の笑みを浮かべて、お母さんの表情をうかがいます。

 

それから、缶に手をつっこんでコインをつまみ出すと

お母さんの方の差し出して、キャッキャと声をあげて笑いました。

 

★くんの今のブームは、

入れ物に何かを出し入れしたり、

お母さんに「はい、どうぞ」と何かを差しだしたりすることのようです。

さまざまなサイズや素材の入れ物で

入れたり出したりする遊びをやらせてあげると喜ぶように思いました。

 

★くんは大人のすることをよく見ていて、真似ようとします。

缶に蓋をして、貯金箱用の投入口からコインを入れるところを見せると、

自分も同じようにしようとがんばっていました。

どこに入れたらいいのかはよくわかっていますが、入れるのはまだ難しいようです。

お家にデュプロブロックがあるというお話だったので、

お母さんにデュプロで出し入れするおもちゃを作る方法を学んでいただきました。

 

はずれやすいように緩くブロックをつないでおくと、

はずしては大喜び。

つまむ作業を喜んでいたので、つまみだすのが楽しめるように

空き容器にデュプロを入れてみました。

デュプロがぴったり入る幅のアルミ箔の芯です。

引っかかっていたブロックを押すと、ストンッと落ちるのが

嬉しくてたまらない様子。

袋の中に入れたり出したり。

つまんでひっぱる」のを喜んでいたので、

こんな教具を作ってあげると、喜んで何度も遊んでいました。

危険がないように

もこもこした太いひもを使って作っています。

人さし指を使って、物を操作するのが楽しいようだったので、

スライドさせて遊ぶこんなおもちゃも作ってみました。

 

★くんは穏やかで人懐っこい気質の子で、

大きく目を見開いた目で、大人の行動をよく観察して、真似るのが上手です。

うまくできると、「見て!見て!」というように相手の表情をうかがったり、

手をパチパチしたりします。

その都度、相手の反応をよくみていて、相手の反応がいいと、ケラケラと笑い声をあげて

喜ぶ人と関わる力の高い子です。

 

★くんの気質や個性を把握した上で、

関わる際にこんなことを気をつけるといいと感じました。

 

★くんは、大人の表情を読んだり、共同注視をしたりするのが

上手な子です。

ですから、いっしょに遊ぶ時には、

こちらが感じていることや考えることも伝わるように気を配るといいのかもしれません。

 

たとえば、お人形にハンカチをかけて「よしよし」と寝かせる真似をしてから、

ハンカチをゆっくりめくって、「ばぁっ」とハンカチの下を見せる時に、

感情を込め、かわいがってあやしている様子を表現したり、

「ばぁっ」とめくる時に、驚いてみせると、

子どもはハンカチをふとん代わりにしていることを理解するし、

めくった後に見えない部分が表われたことに注意を向けます。

 

赤ちゃんにすると、目に見えない部分は「ない」に等しいようなものでしょうが、

大人が驚きを表現すると、見えない部分の先に何があるのか推理する力が高まってきます。

 

 

物を何かに入れてみるのが好きな★くんに、ティッシュの空き箱はピッタリです。

自分で入れやすいし、入れている最中に透明のビニールの部分から中の様子が見えるからです。

写真のように2つ空き箱を用意して、

ひとつにおもちゃを入れた後で、

振って音を確かめて遊ぶと、

物を入れた方と入れなかった方の音の違いに気づくようになるかもしれません。

 


ベビーレッスンに来ていただく方の発表です。

2013-09-21 18:07:13 | 0~2歳児のレッスン ベビーの発達

 

ベビーレッスンに来ていただく方の発表です。

たくさんのご応募をありがとうございます。

抽選で選ばせていただきました。

 

リンリンさん

 とくとくさん

 おかめさん

 

の3名です。

コメント欄に本名とメールアドレスと電話番号を書いて

お申し込みください。

非公開で見させていただいて、

来ていただく日時の調節のための連絡をさせていただきます。

 

1歳前後の子のレッスンの様子は今日の晩にでも書かせていただきます。