虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

「もしもワニが頭のすぐ上を飛んでいったら?」「楽器にはどんな種類がある?」新年中さんたち

2014-04-16 20:49:53 | 算数

年中の★くん、☆くん。教室に着くやいなや★くんは「エレベーターが作りたい」

と習った通りのエレベーターを作り、☆くんは自分が考えたエレベーターを作りました。

「もっと高くしたい」「★くんと同じ高さにしたい」「ぼくの方が高く……」と競いあう

うちにこんな高いエレベーターに。

 

魚が潜る隠れ家も作っていました。

 

↑ 牢屋に入れられたまぐろ。背びれを触りながら、

「どうして、これがあるの?」と★くん。

 

年中さんになったばかりの子どもたちは、おしゃべりしていろんなことを想像するのが

大好きです。けんかになりそうな状況でも、「もしも……だったら?」と、

ちょっとユーモアを交えた話をすると、たちまり想像するのに夢中になって、

一緒に笑い転げます。

 

今回もこんなことがありました。

「工作がしたい」というので、何を作ろうか……と話しあっていたら、

★くんが、「前に☆くんが作っていた100階建てのエレベーターみたいなのが

作りたい」と言い、☆くんは、「ぼくは太陽を吊って、それにシャワーをかけたい」と、

自分のしている奇想天外な話に笑いながら言いました。

そこで、風船を膨らませて、太陽を作り、天井から吊らすことになりました。

それから風船の空気入れをシャワーに見立てて空気を吹きかけて遊んでいました。

 

ついでに、細長い風船を使って、飛行船も作りました。

★くんがふざけて☆くんの頭の上を飛び越すように、飛行船を飛ばしました。

☆くんはちょっぴりムッとしていました。

「たとえ風船でも、髪の毛をかすりそうなところを飛んでいったら嫌よね」と

わたしが言うと、★くんが、「もしも、魚が頭の上を飛んでいくんでも、いやだ」と

笑いました。

そこでわたしが、「先生は、もしも頭のすぐ上をライオンが飛んでいくんだとしても

いやよ。だってかじられそうで、こわいから」と言うと、

☆くんがすかさず、「ワニだっていやだよ。もしもワニが頭のすぐ上を飛んでいくのも

いやだ」と言って大笑いしました。

 

子どもたちにとても人気があるイージーチター。いい音色です。

教室にあるいくつかの楽器を触ってから、

「楽器には、ほかにどんな種類があるかな?」とたずねると、★くんが、

「バイオリンとかピアノとかタイコとかフルート!」と答えました。

★くん、物知りですね。

ついでに音について学ぶために、声の振動でモールの人形が踊りだす道具を作りました。

これを使うと、塩のダンスも見ることができますよ。

★くんも☆くんも上手に動かせてとてもうれしそうでした。

 

 

ティッシュ箱で作ったソフトクリーム製造機。☆くんがふざけて大量の綿をつめたので

この通り。「ソフトクリームを作る機械じゃなくて、空の雲を作る機械になっちゃった」

と☆くん。いくつかの簡単工作でノリノリになってきた二人は、

「先生、先生、すごいもの作りたい!もっとすごいのの作り方教えて!」と言いました。

 

そこで、ゴミ袋を使って大きなオバケを作ることにしました。

絵を描いて、ゴミ袋の空き口をガムテープでふさいでから、空気穴を開けます。

空気入れで空気を吹き込んでから、穴をふさぎます。

天井までふわりと上がる大きなオバケ。

 

★くんも☆くんもわたしも、「空気」も「音」も面白いなぁと感じながら

楽しい時間を過ごしました。

 

知的な物事への関心がとても高まっているふたり。

「これ何時かな?」「これ何時かな?」と時計の針を動かしては

読む遊びをいつまでもしていました。

最初はでたらめを言っていましたが、途中から真剣に学ぶモードになっていました。

 

算数タイムに、★くん作のエレベーターを使って、算数の文章題を解きました。

「最初にエレベーターから6人の人が降りました。

次のエレベーターから何人の人が降りてきたら、10人になるのかな?」

 

算数ゲームもとても盛り上がりました。

 


自閉症の子 と 工作見本

2014-04-16 14:29:32 | 工作 ワークショップ

自閉っ子で4歳の◆んと☆くんのレッスンの様子です。

 

3歳の頃の☆くんの診断は、重度の自閉症という深刻なものだったのですが、

(わたしが会ったときの印象では、中度の子くらいでしたが)

4歳2ヶ月になった今、意味が通じ合う会話を続けていくのも上手になり、

好奇心の幅も広がってきました。

 

セキセイインコのかごの前を通るとき、「とりさん、きれいねぇ」とポツリ。

魚のおもちゃを見て、「ほうちょう、ほうちょう!」と言うので、

おもちゃの包丁がある場所を教えると、魚に包丁をあてて「おすし屋さんです」と

言いました。

 

保育所から幼稚園に転園した◆くんのお母さんからは、

自閉症の子と会話を継続させる工夫 4の記事に、こんな報告をいただいていました。

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◆の母です。ご無沙汰しています。
このコメントにある人形芝居はある日「もうやらない」と言ってからめっきりやらなくなりました。
その代わりにはまっているのが2月から始まった戦隊ヒーローものTV番組『トッキュウジャー』です。
電車をモチーフにした衣装や武器なので、電車好きの◆にはかなり楽しいようです。
文脈理解が弱いので母による解説は要りますが、ストーリー展開が易しめで登場人物が多すぎないのもGooです。家で戦闘シーンの真似をして楽しんでいます。相手をせがまれますが‥‥。

先月あたりから急激に保育園の他児と自然体で遊べるシーンが増えてきました。陰からこっそり覗いてますと、一年前には信じられない光景です。
幼稚園に新入園したので大集団で人間関係イチから構築するのにまた数ヶ月かかるかもしれませんが、
なんとか馴染んで欲しいと祈る気持ちです。

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 今回のレッスン中も、◆くんのお母さんのご報告通り、◆くんの社会性の発達を感じるシーンが

たくさんありました。☆くんに持ってきたお菓子を分けてあげたり、

☆くんの工作のボタン付けを手伝ってあげたりしていました。

 

◆くんが持ってきたビスコの箱で、◆くんが喜びそうな工作見本を作ってあげました。

箱の下部分に写真のような切り込みを入れ、上部を切り取り、

後ろの面にブロックを刺し込む穴を開けたらできあがり。

 

ビスコの自動販売機です。

ブロックを刺した状態で、ビスコの個包装を上から入れておきます。

ブロックを引きぬくと、お菓子が出てきます。

写真では、お菓子を食べてしまったので、チョコの箱で出てくるお菓子を作っています。

 

◆くんが「ボタンは?」とたずねるので、丸い小物を二つ渡しました。

すると◆くんは、テープでそれを貼り付けて、「これはお菓子が出てくるボタンで、

これはお金が出てくるボタンだよ」と上機嫌でした。

お金を作って、数字も書いています。

 

折りたたみ式のドールハウスを開きながら、◆くんが、

「これ、旅館だよ」と喜んでいました。

そういえば、そんなふうに見えます。旅館なんて言葉、よく知っています。

 

ティッシュ箱を半分に切って、貼りあわせ方を工夫すると、同様の折りたたみ式の家になります。

◆くんに作ってあげた見本ですが、☆くんが喜んでいました。

 

 

☆くんが、「工作」と耳にしたとたん、以前作ったコンセントの工作を思い出して、

「コンセント、コンセント」と言っていたので、

「コンセントを作るのに、何と何がいるかな?ひもとそれから……」と言いながら、

前に作ったのと同じコンセントの見本を作ってあげました。

まだ工作をするのが難しい段階の子には、思い出すたびに、

何度も見本を作ってあげます。

そして、少しずつ本人がする部分を増やしています。

☆くんとは、ティッシュ箱にミニ扇風機を入れて、「室外機」も作りました。

 

教室の九九タワーを壊した◆くん。バツとして、5個ずつブロックの塊を作っています。

以前は、注意されてもさらに壊し続けるか、意地でもこちらの指示に従わず、

フリーズしたままじっとしていた◆くん。

一度の注意で、すぐに壊すのをやめて、黙々とブロックの塊を作っていました。

 

◆くんと☆くんのふたりで、どうぶつ見つけゲーム。

「ニャーン、ニャーンなく動物なあに? 猫はどこ?」といった質問に合わせて、

動物を取りあっています。

 

「1,2,3……」と数えながら、玉を移動させています。

 

最後に、イチゴケーキのゲームをしました。(足で邪魔しているのは、☆くん)

二人とも、まだルールに従うのは苦手です。


継次処理能力が優れている子、同時処理能力が優れている子 5

2014-04-15 14:34:48 | 教育論 読者の方からのQ&A

持っている能力をきちんと発揮することができない子との関わり 7の記事の続きは、

近いうちに書かせていただきますね。

 

続きを書きます……と言いながら、伸び伸びになっていた

継次処理能力が優れている子、同時処理能力が優れている子 1

継次処理能力が優れている子、同時処理能力が優れている子 2

継次処理能力が優れている子、同時処理能力が優れている子 3

継次処理能力が優れている子、同時処理能力が優れている子 4

の続きです。

 

「同時処理能力が優れている子」という書き方をしていますが、

同時処理、継次処理バランスよく優れている子ではなく、

偏りがある子について書いています。

 

同時処理能力が優れている子は、算数の文章題を解くときに、答えだけ書いて

式を書かない子が多いです。

そんなとき、「答えがあっているなら、途中経過もわかっているはず。

めんどくさがり屋なんだから……。」と決めつけて、

「式も書きなさい!」とうるさく注意しても、反発をまねくだけです。

 

それより、「答えはあっているけれど、式の書き方はわからないかもしれない。

答えは出せていても、途中経過について、理解が深まるよう付きあってあげよう」と

考えるのがいいかもしれません。

 

同時処理能力が優れている子は、頭の中で無意識に数を増減させて

答えを出す子らがいますが、それらを順序よく式にしていくのは

苦手なようです。

 

困ったことに、同時処理能力が優れている子のほとんどが、

人の説明をきちんと聞こうとしません。

また、問題集の答えの式を写させて、「こういうふうに書きなさい」と指示した

ところで、「もう答えがわかっているのに、どうしてこんなことしなくちゃなら

ないの?」といやいや写すだけで、理解に至らないはずです。

 

教室では、こんなことに注意して対応しています。

 

★ 「式の欄のこのスペースに何を書いて、このスペースに何を書くか」と、

全体をいくつかの枠に分割するようなイメージを与えます。

同時処理の子は、順番に式を立てていくのは苦手ですが、

「答えを出すために3つの手順が必要」といった全体を分割するイメージで考える

ことは得意です。


あとから数字や数式を入れる予定の部分を取りあえず

四角い枠で書いて、答えまでにいくつの枠が必要なのかわかってから、

枠の中の処理にあたるのなら、落ち着いて問題に取り組むことができます。

途中で何をやっていたのかわからなくなる……という同時処理能力が優れている子が

継次処理を必要とする作業をしている間になりがちな、

思考の迷子状態を避けることができます。

 

ワーキングメモリーが弱い子の場合は、枠を作った時点で、そこに何を書くかわかる

タイトルをつけておくといいかもしれません。

 

たとえば、「3Lのミルクを1人に4dLずつに分けることになりました。

何人に分けることができて、何dLあまりますか」

という問題でしたら、


「単位を(そろえるために)変換するスペース」


「分けるから割り算」


の二つのスペースをイメージしてから(初めのうちは、薄く鉛筆で四角を書いておく)

解いていきます。

 

同時処理能力が優れている子の多くは、とても創造的で、拡散的思考が得意です。

(創造的ではなく、拡散的思考は苦手だけれど、

数を扱う力が高い同時処理能力が優れている子もいます。)

でもそのせいで、一つの作業に入るやいなや、次々とそれから派生する何かを閃いて

自分の考えを追うのに夢中になり、途中で何をしていたのかわからなくなることが

起こりがちなのです。

 

★ しょっちゅうミスをする子には、「ミスしないように、ていねいにやりなさい」とか

「ミスさえしなかったらいい点なのに……」と言うのではなく、

「どうしたら、ミスが減らせると思う?」とか、「ミスした原因は何かな?」

「次にミスしないためにどうしたらいいかな?」といった質問をして、

同時処理能力が優れた子の洞察力を使って、ミスを減らす方法を考えさせます。

 

このタイプの子に、ミスしないように小言を言っても、ミスを減らすどころか、

根気よく問題に付き合う意欲を奪って、さらに悪い結果を招くのがオチです。

ミスしないことが、答えを出すことより大変であることを理解した上で、

ミスしないための工夫をいっしょに考えて、そのために努力する力が萎えないように

励ましていきます。


★ 初めて勉強する場合でも、順番に基礎から理解させていくよりも、

問題と答えを見せて、全体を捉えさせる方が理解しやすい場合が多いです。

 

 ★ 勉強の中で、自分のアイデアや洞察力を使えるように配慮します。


漢字を覚えるにしても、

「何度も練習しなさい」と言うより、

「どうしたら少ない回数で、完璧に覚えることができると思う?」とたずねたほうが、

きちんと覚えるはずです。

「間違えないように書きなさい」と言うより、「どこが間違えそう?この2本の線と

3本の線を間違いそうだよね」といったおしゃべりをしたほうが、

正確に書くようになるかもしれません。


 

 


持っている能力をきちんと発揮することができない子 と の関わり 7

2014-04-14 10:30:38 | 子どもの個性と学習タイプ

トラックのおもちゃを抱えて教室を飛び回っていることで

わたしに呼び止められた★くんは、

「ジオラマと関係があるよ。材料を運んでいるんだ」と言いました。

見ると、トラックの荷台にブロックやレンガ積み木が詰めてあります。

★くんはふざけて飛び回っているのでなく、ブロックや積み木の置き場から

発掘現場に材料を届ける仕事をしていたようです。

 

そういえば、ジオラマ作りをすることに決まったとき、

「ぼく、電車のこと知らないから何したらいいのかわからない」と訴えたので、

わたしが「わからないときは、お友だちがしている仕事のお手伝い役をして!

線路や道路の工事にもトンネルの開通にも、材料を運んだり、穴を掘ったり……

たくさん仕事が必要でしょ?」と告げたのです。それをきちんと覚えていて、

●くんと◎くんが化石の発掘現場作りを始めたのを見て、

材料の調達をすることにしたのでしょう。

 

お友だちに向かって、「それなら、ブロックを持ってきてあげるよ」とか、

「じゃあ、ぼくは材料を運ぶ役をするよ」といった声をかけることができたら

問題ないのですが、唐突に自分の思いついたことを行動に移すので、

今回のように誤解されることが多そうです。

 

わたしが3~4人のグループで行う活動を大切にしているのは、

園や学校のような多人数の集団活動にしても、一人遊びにしても、

こうした人との関係をよりスムーズにしお互いの意思が通じやすくなるような言葉を

教える機会が生じにくいからでもあります。注意の向け方に困難を持つ子は、

たくさんの人がいる場で、常に注意力散漫になりがちなのです。

 

場にある暗黙の了解について教えるのにも、

「集団の経験はできるけれど、情報量は少ない(全体で起こっていることを把握できる

くらいの情報量)」という、このくらいの人数がベストだと思っています。

 

3~4人という少ない人数で、

「枠組みはあるけれど、自由度も高い」

「一人ひとりの個性と意見が大切にされている」

「進歩や新しい展開に向けて、適度な指導がある」

「自分の内面で使う言葉が発達するような手助けがある」

「自分の能力に自信を持つことや自分の才能を磨いていくことに、十分な援助がある」

ことに配慮された活動をさせることは、

子どもの心と知恵を育んでくれるのを実感しています。

 

遊びのアトリエさんでも、同様の活動をとてもていねいに実践されています。

関心がある方は、あそびのアトリエ のホームページか、

あそびのアトリエ リボンクラブ のブログをのぞいてみてくださいね。

 

「何度か★くんと話しあううち、外からはふざけているように見えることも、

★くんの中ではちゃんと理由がある」ということは、こんな場面でもわかりました。

 

ブロック爆弾を作っていたとき、

★くんはお手本とは反対の面にブロックを取り付けようとしていたので、

ゴムがはじけて、作る最中に壊れていました。

そこで、間違っている部分に注意が向くように言葉をそえながら、

お手本を見せようとしたところ、

★くんは、不服そうに、「実験だよ。どうなるかやってみただけだよ」と言いました。

正しい取り付け方は知っているけれど、反対の面につけたらどうなるか

試していたのだとか。

 

★くんには、お手本通りしなくてはならないことと、実験的に自分の思いつきを

試すといいことの区別をつけさせる必要はあるでしょうが、

自分の思いつきを試すことを面白いと思い、「実験」という言葉にワクワクする気持ちを

重ねている★くんの姿をこれから大切にしてあげたいとも思いました。

さまざまな科学実験や理科工作を体験させてあげることも一つですが、

そうした活動の中で、自分のひらめきの価値を知り、みんなに認められたり、

自分の意見を相手に伝わるように言葉にしたり、

自分のアイデアで友だちの問題を解決したり、

自分の好奇心と学校でする勉強とのつながりに気づいたりする体験を

たくさんさせてあげたいと感じました。

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(↓写真は、他のグループのレッスンです。……はにわを作りました♪)

 

 

 

 


よく間違える「水のかさ」の問題 と 尿素の結晶

2014-04-13 17:12:19 | 理科 科学クラブ

 

教室では、「水のかさ」について学習するときに、

水のかさを測りながら行う実験をよくします。

今回、「水のかさの問題につまづいています」というひとりの子のお母さんの

報告を受けて、新小学3年生の子たちのグループレッスンで、

尿素の結晶作りをすることにしました。

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<尿素の結晶ができる液体の作り方>

 

尿素 大さじ 5はい

水   大さじ 5はい

PVAのり  小さじ3ばい

をプラカップに入れてかき混ぜます。

   (ジュニア 学研の図鑑 科学の実験より)

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コーヒーフィルターを上の写真のような形に切って

水性マジックで先端に色付けをして、丸めてホッチキスでとめます。

 

30分~1時間で、こんなにきれいな結晶ができあがりました。

 

「3500ミリリットルは何デシリットルか?」とか、

「30リットルは何デシリットルか?」といった問題は、

一度できるようになってもうっかりミスをしやすいようです。

 

プリントで問題を解く前に、水のかさの単位の変換の練習をかねて

ゲーム用のカードを作りました。作るといっても、3×3に折った紙に、

一つの数をリットル、デシリットル、ミリリットルで表したものを

書いていっただけですが……。

きちんと書けたら、正誤をチェック後、はさみで切り取ってカードにしました。

それぞれが作ったカードをバラバラに広げてから、

単位が異なる同じ値のものを3つずつ集めます。

作る際に、3500ミリリットル、35000ミリリットル、350000のように

桁だけが異なるようにすると、単位の変換への理解力を高める良質のカードゲームに

なります。

 

こんなふうに間違えて集めてしまったときは、どれがどのように

間違っているのか説明します。

 

 


持っている能力をきちんと発揮することができない子 と の関わり 6

2014-04-12 13:49:00 | 子どもの個性と学習タイプ

★くんはよくふざけます。

★くんがふざけるのは、次に何をしたらいいのか分からなかったり、

場の状況が読みづらかったり

するときの不安感や疎外感を和らげたり、楽しい気分を持続したりするのに

役立つからのようです。

これまでそのために叱られることはあったにしろ、嫌な活動をする時間が減ったり、

落ち込みを回避したり、

わからないことを理解する努力をしなくても、周囲に受け入れられている気分を

味わったり……といった得する体験をたくさんしてきたのでしょう。

 

周囲がまじめに活動している場で、一人でふざけているのは

困ったことではあります。

でも、困った行動も、解釈の仕様、使い様で、子どもの成長の起爆剤にもなります。

 

ふざけるのが好きな★くんは、ユーモアが響きやすいのでしょうから、

学習の場面で、少しユーモアを取り入れるだけで、こちらの話にもっと集中して

聞くようになるのかもしれません。

 

また、ふざけることが多いと、ルールを破った理由や

「自分は今、何をしているのか、これからどのようにしたいのか」を説明させる

機会が増えますから、それはそれで、本人のいい勉強になるとも思っています。

メタ認知力の育ちがゆっくりな子の場合、こちらの指示に従いすぎて、

ぼんやりしたまま大人に動かされる状態の子より、

たびたび派目をはずす子の方が、その都度、真剣に対応させて、

自分の言葉で行動を確認したり、理由や意味について考えさせたりしやすいのです。

 

何度か★くんと話しあううち、外からはふざけているように見えることも、

★くんの中ではちゃんと理由があることがわかりました。

★くんは着想を得意とする子で、面白いアイデアがひらめいたとき、

すぐさま実行に移そうとするところがあるのです。

ただ、どこまでは許されて、どこからはダメなのか場の空気を読むことができて

いなかったり、自分の発想をどんなふうに言葉で伝えると物事がうまく運ぶのか

わかっていなかったりするようです。

 

ジオラマ作りをしていた時、こんなことがありました。

本物そっくりの動物のフィギアを入れた箱から、恐竜の化石を見つけた

●くんと◎くんが、「先生、この骨を砂に埋めて、発掘現場にしたら?それしていい?」

とたずねてきました。

「そうね。環状線の駅のどこかから、恐竜の化石が発掘されたことにするの?

それはいいね。でも砂は部屋が散らかって困るから、ブロックや積み木を使って

埋めるのでもいい?それか枠のあるものの中にたくさんのビー玉を入れて、

砂の代わりにするのもいいわよ。」と答えました。

すると、ふたりはブロックでていねいに発掘現場を作り出しました。

その間、☆くんはロボット博物館を作っていました。

★くんだけが、トラックのおもちゃを抱えて教室内を飛び回っていたので、

呼びとめて、「★くん、トラックは、ジオラマ作りと関係がないんじゃない?

先生は最初に……(略)それがジオラマに関係するものになるように

先生とよく話し合いながら考えたり、作ったりして、責任を取ってもらいます!って

言ったよね。」と例の言葉をかけました。

 

次回に続きます。


スライムの万華鏡 と スライムのしゃぼん玉

2014-04-11 21:40:19 | 通常レッスン

前回までの記事の続きは、次回にでも書かせていただきますね。

スライム作りは教室で大人気の実験で、たびたび、子どもたちの間から

図鑑に載っていない大発見(?)が生まれています。新しいスライムを使った

工作作品も次々誕生しています。

 

話が逸れますが、子どもの大発見といえば、こんなコメントをいただいています。

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3歳の息子がタンポポは綿帽子になると教えてもらったようで、

摘んだタンポポも綿帽子になると思っていたようです。

家でコップにいけるように言われたタンポポ。どんどん枯れていきましたが、

捨てさせてくれません。

ちょっとカビの発生したタンポポもありましたがアロマでしのぎつつ、

摘んだタンポポは枯れるものだと気付いてもらおうと置いてたら...

なんと綿帽子になりました(*^_^*)

タンポポの生命力にも驚きます。多分ですがさっさと枯れて、花の水分を使い、

種になる準備をしているのですね。

子供達には教えてもらうことが多いですが今回は本当に驚きました(*^_^*)

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↑ 液体内を動くビーズが美しい映像を作りだす万華鏡を覗いた

小2の☆ちゃんが、「こんなの作りたい!」と言いました。

 

そこで、買い置きの万華鏡キットと、柔らかめのスライムをペットボトルに

入れたものを使って作ることにしました。

一緒に参加していた年中の○ちゃんも、スライムの万華鏡を作りました。

 

☆ちゃんがスライムで遊んでいたとき、面白い発見をしました。

ストローでスライムの中央を何度も刺すと、下から空気が上がってきて、

シャボン玉ができあがるのです(シャボン玉と呼んでいいのか疑問ですが……)。

 

☆ちゃんは「大発見!大発見!と大喜びしながら、今度はストローを加えて息を

吹き込んでこんな大きなシャボン玉を膨らませていました。

 

ストローをくるくる回して渦を作って遊び中。

 

★くんは、いくつか推理ゲームをしたあとで、

「回転すると色が出てくるコマ」や「渦になるコマ」「逆回転するコマ」などを

作りました。

 

↑ ゲームで点数を表にしています。

 

算数タイムにトップクラス問題集1年の<場合の数>の問題をしました。

初めてする問題なのに、★くんが自分なりに工夫して解き方を考えていく姿に

びっくりました。

 

一つは、こんな問題です。

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4つの チームで サッカーの しあいをします。どのチームとも

しあいを する ばあい、しあいのかずが ぜんぶでいくつですか?

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4つの記号を描いてみて、試合の組み合わせを考えていると、

「先生、数字で書いてみてもいい?」とたずねた★くんは、

1と2、1と3……と書き始めて、12通りという答えを出しました。

「★くんと☆ちゃんの試合は、☆ちゃんと★くんの試合と一緒よね」と言うと、

それだけで、「わかった!」といった★くんは、重複する部分を除いて

正解を出しました。

 

次の難しい問題で、★くんは、絵を描いたり数字を書いたりして

自分の力で問題を解いていく力を発揮しました。

(問題は言葉足らずなので、「おつりがないように」と補足しました)

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10円玉が 2こと 5円玉が 3こと 1円玉が3こあります。

①23円を はらう はらいかたは なんとおりありますか。

②25円より すくなくて、はらえないねだんは いくつありますか。

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★くんが難しい算数の問題にチャレンジしている間、☆ちゃんと○ちゃんは

お金のおもちゃで両替や読み方を学びました。


持っている能力をきちんと発揮することができない子 との関わり 5

2014-04-10 14:19:31 | 子どもの個性と学習タイプ

前回の記事に書いた、

「持っている能力をきちんと発揮することができない子との関わり 4」の三つ目

「その子の表情が輝いているときや

好奇心を抱いたとき、集中して何かしているとき、理解できたときなどを

それがどんなものでも覚えておいて、本人が自分の長所に気づく言葉として

繰り返し伝えて、関わりや学習の場で活かす」について、

もう少し詳しく書かせていただきますね。


積んだものを乱暴に崩したり、ふざけて物を振り回したりするときは、

うれしそうに笑い転げるものの、腰を落ち着けて活動することがなかった★くんに、

わたしは、「ブロックの爆弾、作りたい?あとで作り方を教えてあげるわ」と

告げました。

ほかの子らも口ぐちに、「ぼくも作りたい」「教えて!」と言いました。

ブロックの爆弾というのは、デュプロブロックにゴムを引っかけて、

びっくり箱の仕掛けのようなものを作ることで、作る際、しっかりこちらの手本を

見て集中して作業しないと、上手く作れないものです。

パンッとはじける瞬間が面白いので、強い刺激を求めて作業を嫌がる子たちも、

熱心にいくつも作ろうとするブロック作品の一つです。

 

それが、算数の学習の時間がきてしまったので「あとで……」と言ってから、

なかなか教える時間が取れずにいました。

すると、★くんは、ほかの子らが忘れた後も、「ブロック爆弾は?」と言い続けて

いました。(勉強が終わってから、帰り際に作ることになりました)

 

こんな出来事も、「みんなが忘れてもずっと覚えていて、記憶力がいいね」とか、

「記憶しておくのが得意だね」といった言葉にして★くんに伝えてから、

次から学習をする際に、

「前に、こんなこと~あったね。先生も他のお友だちもみんな忘れても、★くんは

ブロック爆弾は?って聞いてたよね。ずっと覚えていて、記憶力がいいね」

と前置きするといいのかもしれません。

 

それと同時に、問題文をいっしょに読みながら記憶力クイズをしたり、

記憶する力を利用して問題が解けたという体験をさせるのもいいな、と考えています。

 

★くんは、「勉強する」という状況や「紙に印刷された文字」を見たとたん、

即座に、「できない」「わからない」という強く拒絶をしていましたから。

 

気持ちや注意を学習に向けるには、

自分の得意な能力を使ってそれに取り組めるような言葉を覚えておくといいです。

★くんでしたら、「ぼくは記憶するのが得意だから、やり方を教えてもらって

覚えておいたら、きっとできる。こういう問題を解くときはどうするんだったかな?」

といった取り組もうという気持ちを作る言葉とか、

「筆算の仕方は、数字を書いて、それから下にも数字を書いて、

ちゃんと1の位と1の位がそろってるかなぁって見て、横の線~!」のように、

問題を解く時に唱える言葉などを教えていくといいのかもしれません。

また、投げ出したい思いをとどまらせるため、自分で自分を励ます言葉を

繰り返し、かけるのも大切なのかも。

 

この日、『カタンの開拓者』というカードゲームをしているとき、

★くんは記憶力だけでなく、情報処理能力がとても高い一面があるし、

言葉の理解力もあることがわかりました。

初めてするゲームなのに、交換の概念をすぐに理解してスムーズにゲームを

していましたし、「普通は、何もしなくても2枚のカードがもらえるところ、

騎士のカードを持っている人は、騎士のカード1枚につき、1枚多くカードをもらう

ことができるのよ。★くんは騎士のカードを2枚持っているでしょ。

わたしから何枚カードをもらうことができるの?」

とたずねると、悩むことなく「4枚」と答えていましたから。

 

そうした★くんの様子は、勉強中、「わからないわからない」と言い張って

問題を見ようともしないし、話を聞こうともしない姿や

遊びの場で、ほかの子らの行動から自分が何をしたらいいのかわからなくて、

ふざけ続ける姿からは、想像もつかないものでした。

 

ある状況下なら、自分の力を発揮しやすのでしょうし、

状況によっては、混乱と不安に捉われてしまうのでしょう。

 

★くんにとって大事な支援は、それらの二つの状況をつなぐ橋渡しをして、

混乱しやすい場面でも、

「自分の力が出せる場面でできていることなら、ちゃんとできる」という

自信をつけていってあげることでしょう。

それには、自分の行動を統制するのに役立つ言葉を

かけていくことが大事だと思っています。

 

 


持っている能力をきちんと発揮することができない子 との関わり 4

2014-04-09 11:56:42 | 幼児教育の基本

「でも、絵本を見ると、大阪環状線の一つの駅の写真に淀川が写っているわよ」と

言って絵本を開いて見せると、◎くんは、「本当だ、淀川だ!」と言い、

川を作るための青い布地を出してあげると大喜びしていました。

◎くんは、路線図や地図や写真と、自分の作っているものが対になっているのが

うれしくてたまらないようでした。

ところが、まぐろのおもちゃでふざけていた当の★くんは、写真を見せても

ピンとこない様子でした。

 

想像をするのが難しい子に、イラストや写真を見せると、想像しながらしていく活動が

しやすくなるのですが、

イラストや写真の情報と現実の物事をつながりにくい段階にある子もいるのです。

紙に印刷された情報に関心が薄い子もいます。

そんな場合、視覚的な支援や言葉をそえるだけでは足りません。

 

それならどうすればいいのかというと、

わたしは、これまで困り感のある子たちと接する中で何度かうまくいった方法を

解決の糸口にするようにしています。

 

★くんの話から少し脱線するのですが、

解決の糸口にしている方法をいくつか紹介させていただきますね。

 

一つ目は、「その子発のアイデア追うときに、それまでわからなかったことと

関連づける」ということです。

相手の話を理解したり状況を読むのがとても苦手な子も、

自分が閃いたアイデアを追いかけていくのなら、

それまで全く理解していないように見えたことでも

わかるようになることはよくあるのです。

 

また、その子のアイデアから出発して、理解したもろもろのことを、

繰り返し具体的な言葉で伝えていると、

ほかの場面でも、応用がきくようになってきます。

 

見たところ、理解する力が弱いようでも、実際は、相手と同じものに

注意を向ける力や自分が関心がないものに注意を持続させる力に

問題があって、理解力そのものはかなり高い子も多いのです。

たとえば、ジオラマ作りが始まってから、自分が何をしているのかわからない様子で、

その場と全然関係のない突拍子もない発言を繰り返していた☆くんですが、

こんな自分発のアイデアから、意味を理解した上で活動に参加するようになりました。

 

リーダー役を命じられている◎くんが、「大阪環状線はぐるっと丸くなってるから、

線路をつないでいくよ」とみんなに声をかけると、☆くんが、

「湖西線がいい。湖西線」と言いました。

 

「☆くん、湖西線がいいの?それなら、ちょうどそこにブロックの清水寺があるから、

そっちが京都ってことにしようか?

大阪駅から京都方面に向かう線路をつなごう」と言って線路を加えてから、

「湖西線、いい考えね。湖西線も作ったら、ジオラマ作りが面白くなるよね。

ほら、この丸いところが大阪環状線。ここが大阪駅。そこから京都に向かう線路。

今は、それぞれの駅にある動物園とか川とかビルを作っているのよ」と言うと、

それまではこちらが話をはじめたとたんうろうろするか、

自分が思いついたことを話していた☆くんが、

わたしが手で触れて説明する物を見ながら、最後まで話を聞いていました。

 

「☆くんはどんなものが作ってみたい?作るのに必要なものを探してくる?」と

たずねると、☆くんは小物入れがら小さいサイズのロボットをいくつか出してきました。

 

「☆くん、ロボットは、電車のジオラマ作りと関係がないんじゃない?

先生は最初に、ジオラマ作りに関係があるものは、出して使ってもいいけれど、

全く関係のないおもちゃで勝手に遊んではダメ。

関係がないおもちゃを触った人は、それがジオラマに関係するものになるように

先生とよく話しあいながら考えたり、作ったりして、責任を取ってもらいます!って

言ったよね。

☆くん、ロボットは電車のジオラマ作りと関係ない。

先生と話しあいするよ!」と言ってから、「ロボットを売っているお店を作ったり、

ロボット博物館を作ったりしたら、駅の近くにある施設になるよ。どうする?

ほかの方法を考えてもいいよ」と付け加えました。

 

すると、☆くんは了解して、建物と飾り棚を作ってロボットを飾っていました。

それが博物館の展示の仕方そっくりにあんまり上手にできていたので

びっくりしてしまいました。

その後、☆くんは2階と屋根をつけて、とても立派な博物館を完成させました。

↓ (内部が展示場になっています)

 

二つ目は、「見たり聞いたりしてから、それをアウトプットするまでに

かなり時間がかかる子がいる(10分近く時間差がある子もいる)。

教えてすぐに反応がない場合も、しばらくするとそれをしている姿を見たら、

時間のずれを考慮した上で、関わるようにする」ことです。

 

三つ目は、「その子の表情が輝いているときや

好奇心を抱いたとき、集中して何かしているとき、理解できたときなどを

それがどんなものでも覚えておいて、

本人が自分の長所に気づく言葉として繰り返し伝えて、

関わりや学習の場で活かす」ことです。

たとえ、その時は、困った行動でしかないものでも、

子どもがうれしそうにすることやしつこくやりたがることは、

子どもの成長に役立たせることができます。

 

それについては次回の記事で例を挙げさせていただきますね。

 

 

 


持っている能力をきちんと発揮することができない子 と の関わり 3

2014-04-08 18:16:23 | 子どもの個性と学習タイプ

持っている能力をきちんと発揮することができない子たちは、たいてい、

自分がやりたいことを選んだり、「こんなことがしてみたい」と計画を練ったり、

それをするにはどんな手順が必要なのか、イメージしたりするのが苦手です。

 

 新小学2年の★くん、☆くん、●くん、新小3の◎くんの4人に、

「今日は、こんなことやあんなこと……ができるのよ。どれかやってみたいことは

ある?」とたずねると、「ぼくね、ゲーム機持ってきたんだよ」とか

「あのね、ぼくのお母さんねぇ……」と、質問とはかけ離れた、ちぐはぐな返事を

繰り返すことが続きました。

 

「どんなことをするのが好き?好きな物を言うのでもいいわよ。何が好き?」と

質問すると、◎くんだけは、「電車が好き」と言いながら、持ってきた電車の本を

見せてくれたのですが、ほかの子らは、話している間中、寝転がったり、

ふざけだしたり、おもちゃの入っている引き出しを開けたりしていました。

 

話し合いがなかなか進まないので、電車が好きな◎くんにリードしてもらう形で、

全員がやることに納得した「電車のジオラマ作り」をすることにしました。

 

◎くんは、「こんなことがしたい、あんなことがしたい」とアイデアをたくさん出して

いましたが、それを実行に移す段になると、具体的に何をどうするのか考えていくのは

難しいようでした。

 

◎くんは、電車の路線図を指さしながら、「この丸くなってるところの駅は、

○○駅、○○駅、○○駅……だから、これにしよう」と言いました。

「大阪環状線ね。とてもいいアイデアね。それぞれの駅がどんなふうになっているのか、

駅にある施設が載っている『おおさかかんじょうせん』っていう写真絵本があるわ。

施設って、キッズプラザとか図書館とか動物園とか病院とか空港とか、

そういったものよ」と話をしながら、

線路として使っている梱包資材を何本か出してあげると、

◎くんは「いいねぇ、いいねぇ。これを丸くなるように置いたら環状線ができるよ」と

上機嫌でした。

 

イメージすることが難しい子たちと話をするとき、

わたしは話している内容について目で確かめたり、

手で動かしたりできるようにしています。

想像力が弱い子ほど、より具体的な言葉とイメージをつなぐ小道具が必要ですし、

ただ物を見せながら話すのではなく、

「ギーッ、ギーッと」とか「この紙をチョキチョキはさみで切って……」といった

擬態語や擬音語などを挟んで、身ぶり手ぶりも加えてわかりやすくした言葉を

添える必要を感じています。そうしながら、

「はさみで切ったあとに、何かしなきゃいけないよね。このままだと、ほら、

重ねてもひっつかないから……困ってしまうもの。どうすればいいの?」と

次にする行動を言葉にできるように支援しています。

 

また、常に意味や理由を目で見てわかる形で納得させたり、

その子が唐突に話しだす意味を伴わない話題が、今、話している話題の中で意味を

持つように言葉を添えたり、まったく関係のない行動を始めても、

それが今していることの中で意味を持つように助けています。

そうしながら、自分の話すことや行動が、実際、周囲と共有している会話や活動の中で

きちんと機能し、意味を持っていると実感できるようにしています。

 

このジオラマ作りでも、そうした言葉による手助けをすることで、

最初はてんでバラバラに動いていた子たちが、時間が経つにつれて、

協力しあいながら、集中して自分の作業に熱中したり、それぞれが状況にあった

自分の意見を口にできるようになっていきました。

 

教室内に『大阪環状線』をテーマにした電車のジオラマを作ることに決まったあと、

わたしは、「ジオラマ作りに関係があるものは、出して使ってもいいけれど、

全く関係のないおもちゃで勝手に遊んではダメよ。

関係がないおもちゃを触った人は、それがジオラマに関係するものになるように

先生とよく話しあいながら考えたり、作ったりして、責任を取ってもらいます!」

と約束事を伝えました。

 

が、そう伝えたすぐ後で、★くんは大きなまぐろのおもちゃを抱えて

ふざけだしました。

「★くん、これから、環状線のジオラマ作りをするんだったよね。

そのまぐろをジオラマに加えるなら、海を泳いでいることにするのか、

まぐろは淀川にいないけど、取りあえず淀川を作って泳がすのか、

ブロックや積み木で水族館を作って、まぐろを飼うのか決めないといけないわよ。

◎くんに地図と環状線の絵本を見せてもらって、

海や川や水族館がある環状線の駅がないか相談してね」と言いました。

すると、★くんは、わくわくした表情で、「淀川にする」と言って、

◎くんが広げている地図を覗きこみました。

 

◎くんは、うれしそうにニコニコしながら大阪湾を指さして、

「海ならあるんだよ。ちょっと駅から遠いけど、ほら。でも淀川はないなぁ」

と言いました。

 

次回に続きます。