虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

緊張が強い子 と 心と心が近づく時、お互いの絆が生じる時 6

2014-07-07 22:04:14 | 初めてお越しの方

緊張が強い子 と 心と心が近づく時、お互いの絆が生じる時 1

緊張が強い子 と 心と心が近づく時、お互いの絆が生じる時 2

緊張が強い子 と 心と心が近づく時、お互いの絆が生じる時 3

緊張が強い子 と 心と心が近づく時、お互いの絆が生じる時 4

緊張が強い子 と 心と心が近づく時、お互いの絆が生じる時 5

の続きです。

 

先の記事にこんなコメントをいただきました。

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先日遅ればせながら、こどもを連れてアナと雪の女王を見に行きました。(はやっているのは知っていたのですが、上の子が映画の刺激にどう反応するのか、ストーリーの内容がこどもに見せるのに適しているのか迷っていて遅くなりました。)

内容がどう、というよりLet it go(ありのままで~)の歌が、うちの子も含めてみんな好きなのだなーという感想でした。

この歌のどこがこどもたちの心を捉えるのだろう?とつらつら考えている中で、この歌のちょっとロックな、というか少し痛みを伴う感覚はなんだろうって探っていたのですが、もしかしてこれが自分を開いて、閉じられた快適な世界から飛び出す時の痛みかな、なんてふとおもいました。

ひとりごと的なコメントで失礼しました。また気が向いた時に続きお待ちしています。

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『アナと雪の女王』の姉のエルサの姿は、どこかで緊張の強い子たちに通じるものがありますよね。

 

映画を見た方はたくさんおられると思いますが、簡単にストーリーをわたし流(書き方が偏っていたらゴメンナサイ)

に整理しておこうと思います。

 

ありとあらゆるものを凍らせてしまう危険でパワフルな力を持つエルサは、

生まれ持った特性と才能ゆえに孤独を生きています。

自分の世界に閉じこもって暮らしていたエルサが、

外の世界と接触する戴冠式の日、エルサの力は暴走し、周囲を冬へと変えてしまいます。

それを機に、自分を抑えつけるのをやめてありのままに生きていく決心をしたエルサも

エルサが創造する世界も

本当に美しくて高貴な魅力にあふれていますが、同時にどうしようもない孤独も体現しています。


妹のアナの命の危険を顧みず自分を助けようとする姿を目にして、

エルサは、魔法の力をコントロールする術とは、

「恐れ」ではなく、相手を思いやる「真実の愛」なのだと悟ります。

 

最後に、雪と氷を空へ蒸発させた夏に戻った世界で、

エルサは自分の特性や才能を親しい雪だるまのオラフを助けることや

国民たちと真夏のスケートを楽しむために利用するようになります。

 

 

緊張の強い子たちというのは、活動にも参加せずにじっとしている時も、

無力なわけでも怠惰なわけでもないものです。

自分の内面に周囲を圧倒するような力や思いを秘めている子がほとんどですから。

 その子たちが一歩外の世界に踏みだそうとする時には、

エルサ同様、それまで内に抑え込んでいたまだ社会化されていない感情が

暴発してしまうことが多々あるのです。

それによって、お友だちや親や先生や自分自身を深く傷つけて、

夏だった世界を冬へと変えてしまうかもしれません。

 

緊張が強い子 と 心と心が近づく時、お互いの絆が生じる時 1 で、

わたしが第三者だからできることは、外の世界とその子の世界の境界面に立って

外と内との橋渡しをすること、

境界面に風穴を開けて、内と外の風通しをよくすることで、

その瞬間は、たいてい、無意味で無駄に見えるし、

ショッキングな辛い出来事がきっかけとなることが多いとも書きました。

 

そんな時、緊張が強い子とわたしの心と心がそれまでにないほど近づいて

絆のようなものが生じたのを実感するというのは

どういうことなのか、できるだけ具体的に書いてみたいと思います。

 

次回に続きます。

 

 


子どもの個性と才能に付き合うこと 2

2014-07-07 10:45:47 | 子どもの個性と学習タイプ

子どもと過ごしている時のちょっとした瞬間、その子の個性や才能を強く

感じることがあります。

 

Aちゃん、Bちゃん、Cちゃんと『きょうはなんのひ?』という絵本を

読んでいた時のこと。

この絵本、小学生グループの 教室 ミステリー の元にもなっていて、

見つけた手紙に書かれた場所に新たな手紙を探しに行くことを

繰り返す話です。

3人が、「ワァー、そうだったんだぁ!あれだあれ!」と思わず大きな声を上げたのは、

「でんわでおとうさんのポケットのなか きいてください おねがい」という、

まみこの手紙を見たママが、パパに電話をかけるシーン。

実は、このシーンの伏せんとして、絵本の中表紙にあたる絵で

パパのコートのポケットに何かを入れようとしている(取り出そうとしている?)

まみこの絵があったのです。

この絵は、子どもたちの心に強く訴える絵だったらしく、

ストーリーの途中で例のシーンにさしかかった時、

「あっ、あの時、お手紙入れてたんだ!」「あれだあれ、パパのポケットに入れてたの

見た見た!」と大騒ぎになりました。

 

この話を読み終えた時、

Bちゃんが、情感たっぷりに「ああー面白かったぁ~」と言いました。

それこそ長い旅行を終えた時や長編映画を見終えた時に言うような、

感動のため息混じりの感想でした。

Bちゃんの個性や才能って、こんな風に自分の全てを今目にしていることや、

やっている活動にゆだねて、心の底から満足を得ることができることだなと感じました。

「大好き」になる才能といったところでしょうか?

 

3人に粘土を重ねてきれいな棒を作る方法を教えたところ、

Cちゃんは美しい作品を作ることに熱中し、Aちゃんは粘土が溶けるのか、

冷たくなるかなどを試し、Bちゃんはストローにひたすら粘土を詰めて長い棒を

作っていました。

といえ、きれいな作品を作るよりも手あたり次第に粘土を混ぜてこねたので、

きれいとは言い難いともいえるし、暗い色だけれど神秘的にも見える

混色ができていました。

「Bちゃん、まるで宇宙空間みたいな色ね」と声をかけると、

「これはブラックホールなの」という返事が返ってきました。

その後、BちゃんとCちゃんの間で、真剣そうに、

「ブラックホールはとっても熱いのよ。だから近づいたらだめなのよ」

「そう、知ってる。熱いよ。すごく」といった会話が交わされていました。

 

Bちゃんは、この粘土遊びと同じように

ちょっと大雑把かな……という作り方で、大量に物を作るのが大好きです。

折り紙を2、3回折って、テープで封をしたカード作りしかり、

アルミ箔を丸めていく宝石作りしかり……。

見栄えは気にせず、ひたすら作る過程に没頭して楽しむというのがBちゃん流。

作品そのものは、同じ物を大量に作るか、一つのものを巨大化させていくかの

どちらかのシンプルなものなのに、Bちゃんのおしゃべりの中で、イメージの世界が

壮大に広がっていくのが面白いです。

Bちゃんの幼稚園にモンゴルのゲルが来たイベント以来、遊びの中に世界の国々の

イメージがちりばめられるようになったし、お家で家庭菜園をしていることから、

小さな種のような粘土の塊に触れながらも、芽が出て、伸びていき、花が咲き、

実がなるイメージを連想して楽しそうにおしゃべりしています。

 

『きょうはなんのひ?』のお話を読んで、お手紙を書いて、それを隠すことにした3人。

とはいえ、小学生の子たちのように、「ある場所に隠された手紙を読むと

次の場所の指示が書いてある」という

この絵本の通りに隠すのではなく、「おにんぎょうのいえのなか」といった

指示を書いて、そこで何か見つけたら終わりです。

書ける字と書けない字があるようで、「先生、○○って書いて」と頼みにきていました。

 

(封筒の作り方を習いました。↑)

 


子どもの個性と才能に付き合うこと 1

2014-07-06 16:22:34 | 子どもの個性と学習タイプ

「続きます」としたままの書きかけの記事が気になるものの、

溜まっていくレッスンの写真を放置するのも気が引けるので、

この数日のレッスンの様子を整理しておこうと思います。

 

写真は年中のAちゃん、年長のBちゃん、Cちゃんがレストランのお料理を作って

遊んでいるところです。

同じ素材で同じ活動をしていても、子どもはそれぞれ個性的で、

興味を抱くポイントもひらめくアイデアの方向性も、

活動を通して垣間見ることができる才能もずいぶん違います。

 

 

物作りが大好きなCちゃんが

カラフルで美しいケーキやキャンディーやパフェを作っている間、

Aちゃんはままごと用に膨らませた吸水ポリマーや、玉や丸い氷を粘土で包むと

どうなるか、アルミ箔で包むとどうなるかなど、思いつく限りの実験をしていました。

それを見た物語好きのBちゃんは、「Aちゃん、水遊びしすぎなんじゃないの?

氷の水にずっと手を入れていたら、アナと雪の女王みたいに手をパァーッと振るだけで、

そこらじゅうが氷になっちゃうかもよ」と

言いました。

するとAちゃんはいたずらっぽく笑って、「氷にしちゃうよ」と言いながら、

冷たい手でわたしの首に触れました。

 

Aちゃんは、年少の頃から、気温の変化や季節の変化、

カレンダーで日時が変わっていくことや、朝昼夜と変わっていく一日の変化などに

強い関心を持っていて、どうして?どうして?を連発する一方で、

自分なりの考えを上手に言葉にしていました。

そんなAちゃんは、今、身の回りのさまざまなものを比較して、

「似ているけれど微妙に違う」という面を発見しては、よく観察した上で、

どのような点が違うのか報告してくれます。

 

Aちゃんには2歳年上のお姉ちゃんがいて、その子も3歳の時から

虹色教室に通ってくれているのですが、

今のAちゃんと同じ年中の頃に「似ているけれど微妙に違う」という物事について

よく口にする子でした(たまたま読み返していた

考える力が伸びる年中さんの時期 「少しってどういう意味?」という記事の中で、

水筒のコップを手にていねいに解説してくれているAちゃんのお姉ちゃん(☆ちゃん)

の姿を見つけました)。

 

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子どもたちに、ハムスターで遊びながらいろいろな疑問を投げかけると、

それは面白そうに解決してくれました。

「ねぇ、少しってどういう意味?」とたずねると、

☆ちゃんが、おもちゃのグラスを手に取って、「少しって言うのは、このコップだと、

この底の方にちょっとだけあるってことよ」と説明しました。

そこで、「それなら、☆ちゃんのすいとうだとどれくらいのこと?」と

意地悪な質問をしてみました。

☆ちゃんは水筒のコップを指して、「わたしが飲むときの少しは、

すいとうのコップのこのくらい」と少しの量を示し、

「でも、ハムスターちゃんの少しは、わたしのすいとうのコップだと、

ポチっとお茶がひっついているくらいよ」と答えました。

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Aちゃんのお母さんに、

「お姉ちゃんもAちゃんと同じように、違いがわからないような微妙な差異について、

どんな点で違うのか考えるのが好きでしたよね。

以前、お姉ちゃん『少し』という言葉が状況によって変わることを一生懸命

説明してくれたことがありましたよね」と言うと、

「今もその時のすいとうの話と同じようなことをよく言っています。

今朝も、地球にとっての○○の大きさは、宇宙からすると○○だ……といった話を

していました。」

「きょうだいって面白いですよね。お姉ちゃんもAちゃんもそうやって何かと何かを

比較するのが好きですけど、お姉ちゃんはこちらの問いかけに対して的確な答えを

返すことと、一つの考えを深めていくことが好きですけど、

Aちゃんは身の回りから自分でそうした問いを発見することと

独創的な問いを立てるのが上手ですよね。いつもAちゃんの疑問の目の付けどころに

驚かされますから」。そんな話をするうちに、ほかのお母さんたちとも

それぞれの子の個性的な才能について、話を交わしました。

 

次回に続きます。

 


普段の生活で心がけるといいこと、やりすぎてはいけないこと

2014-07-03 22:21:37 | 日々思うこと 雑感

過去記事です。

 

近々、滋賀でワークショップの前に大人向けの勉強会をすることになっています。

そのために、参加者の方々に事前に質問をいただいておいたところ、

『普段の生活で心がけるといいこと、やりすぎてはいけないこと』というものが

ありました。

そのための話の準備もかねて、少し記事にまとめておこうと思います。

 

子育て中の親の周囲には、さまざまな情報があふれ、行き交っていますよね。

子どもの能力を高め、学校で落ちこぼれることがないように、

こんなことをすればよい、あんなことをすればよい~という通信教材やお教室からの

勧誘があります。

テレビからは、音楽や運動で才能を輝かせて、スポットライトが当たる若者と、

そのように育てた親の情報が流れ、幼稚園や公園では親同士のおしゃべりや噂話から、

あこがれや不安を刺激する話が届きます。

祖父母世代は、「もっと厳しくしつけなくちゃダメよ」と言い、

育児書には、いつも温和で子どもを受け入れる親の姿勢を説いています。

近所の小学生の親からは、学級崩壊の話を耳にします。

しつけなくちゃだめなの? 甘えさせなきゃだめなの?

「外遊び?考える力?お友だちと仲良く?……どうすればよいのかわからないけれど、

気分がザワザワして不安だから、つい子どもにいろいろ口を出しすぎてしまう~」と

悩む方は多いです。

そんな悩み真っただ中の親御さんも、自分が一歩その時期を脱して、

外から子育てを眺めれば、リラックスしながら、適度にしつけ、子どもが自分で成長して

いくのを、ほどほどにサポートする方法がわかってくるものです。

子育てって、誰かが上手で誰かが下手というものではなくて、

誰もが、力んでこわばっている緊張をゆるめて、親の自分に優しい言葉や、

褒め言葉をかけれるくらいにリラックスさえ出来たらうまくいくものなんですね。

自分の子どもに近視眼的になるほど、時間の感覚も、空間の感じ方も、

小さな範囲でギューッと密度が高いものになりがちです。

「怪我させないように」「友だちにいじわるしないように」「いじめられないように」

「変な子と見られないように」「ちょっとでも賢くなるように」「服を汚さないように」

「先生や周囲からよりよい待遇を受けるように」「損しないように」

「恥をかかないように」と、一瞬一瞬に、まるで、ビデオテープの内容を確認するように

子どもを観察し、アドバイスし、干渉して、守りはじめると、

考えているだけで窒息しそうですよね。

お友だちのお母さんたちから後ろ指さされたり、園の先生や祖父母から注意を受けたり

しないように、子どもが障害物やトラブルにぶつからないように手を尽くすことが、

本当に子育てなんでしょうか?

それでは、子どもは育成ゲームの主人公。親は、子どもが動く画面の前で

コントローラーを手に待機している人のようではないでしょうか?

子育てって、小さなゲームの画面の中で、得点を争う親や教師用のゲームでも

何でもないのですけど、あれこれ子どものことを気にかけるほど、

「失敗させないゲーム(今、ちょっとでも成功させるゲーム)(今、ちょっとでもよく

見せるゲーム)」というその場限りの大人のこだわりに熱中してしまいます。

子どもは自分でいろんなことを体験し、ちょうどいい手ごたえの困難を選んで、

自分で乗り越えて成長していきます。

うまくいかないことにぶつかれば、問題解決能力が育ちます。

友だちと群れていれば、がまんしたり、リーダーシップをとったり、分けてあげたり

に笑いあったりして、社会性を身につけます。

子どもの潜在的な才能を開花させ、自立に向かわせようと思ったら、

子どもの心も身体も危険のない範囲で解放させてあげて、

たくさん失敗する自由を与えることが大事ですよね。

最初にもどって、やりすぎてはいけないことって、

ずばり、子どもに、「こうしなさい」「これはだめ」「こうしてあげようか?」と、

手出し口出ししすぎることだと思います。(これって、しつけないことでも、

叱らないことでもありません。これについてはまた別の機会にかきますね。)

子どもがいろんなことにチャレンジしたくなり、自分を高めていこうとするには、

3つの環境の豊かさが大事です。


(さまざまな年代の)人

(たっぷりの)   時間

(自由にふるまえる)空間

です。

何かをマスターするには、やりたくなるまで待ってもらい、するときはたくさん失敗し、

何度もていねいにサポートしてもらう必要があります。

つまり子育てはゆっくりでOKです。

あせるときには、良い親になろうと力むより、自分を認めたり、励ましたり、

受け入れたりする言葉を自分自身にかけるよう心がけると、

子育てはずっとラクで楽しいものになるかもしれません。


ダメと言われることをやってみたい!

2014-07-03 13:38:46 | 通常レッスン

年中のAくん、Bくん、Cくんのレッスンで、

『11ぴきのねこ ふくろのなか』という絵本を読んで、工作や劇遊びをしました。

 

読み聞かせを終えるやいなや、

アイデアマンのAくんとBくんが椅子を並べて橋に見立てて、

「先生、このはしわたるなって書いて!」と言ってきました。

それから「紙をちょうだい。丸くするから」「セロテープちょうだい」と

注文が続いて、この通り ↑

 

「はしをわたるな」と立て札があるのに、橋に見立てた椅子の上を渡って行ったり、

「ふくろに入るな」と言いながら、袋ということにしたテーブルの下に

もぐりこんだりして遊ぶ3人。

 

劇や工作の進行を見ながら、年中になると、

話の中にある微妙なニュアンスを感じ取ったり、話にでてくるアイデアを発展させたり、

話から何かを学んだりするようになるんだな、と感心する場面がたくさんありました。

 

子どもたちに人気があったのは、こんなシーン。

「はなをとるな」と立て札にあったのに、

猫たちが「ひとつだけひとつだけ」 ニャゴニャゴと花を取りに行きます。

「だめっ、とってはいけなーい」と注意していたとらねこ大将は、

次のページでは、花を一本ずつ頭にさして歩く仲間の後ろを

自分も頭に花をさしてとぼとぼと歩いています。

欲望に負けてしまったのか、「赤信号みんなで渡れば怖くない」という気持ちに

流されたのか、情けないとらねこ大将。

 

「○○するな」の立て札に釣られて化け物につかまった猫たちが、

今度は、「たるにはいるな」という札を作って化け物をやっつけます。

子どもたちは、化け物が騙されてやっつけられるシーンに大喜び。

 

でも、それ以上に、化け物の城から脱出した猫たちが、

道路で、「わたるな」の立て札を見て、それまでのように禁止の言葉に反抗して

道路を渡るのではなく、ちゃんと歩道橋を渡った場面で、

子どもたちは目を丸くして驚きながら、「わかったんでしょ?猫たちは、

『わたるな』って書いているところで渡っちゃダメって!!」と、

はしゃいでいました。

 

年中の男の子たちは、「言ってはダメ」と注意されている言葉を使いたくて

しかたがない時期です。

でも、ダメと言われたことをさんざんやりつくした猫たちが危険な目にあって、

それを自分たちで克服したあとで、

自分の意思でダメと言われていることはやらないと決めた猫たちの姿に

ホッとしたり、爽快な気分を味わったようです。

心がちゃんと成長してきているんですね。

 

「先生、いいこと考えたよ」とCくん。「あのね、(教室の)ドアの外のところに、

『はいるな』って書いて貼っておいたら?(お迎えにくる)お母さんたちが、

入れないよ」と笑い転げました。

それを聞いたBくん。いつもほかの子らが悪さをすると、

「そんなことをしたらいけないよ。悪いことだよ」と心配そうに注意するタイプ。

お母さんたちが部屋に入れないのは困るけれど、いたずらはやってみたかった様子。

「それなら、お手紙を書いて、袋に入れて、袋の上のところに、『あけるな』って

貼っておいたら?」と言いました。

 

CくんとBくんのいい考えに、アイデアマンのAくんは黙っていません。

興奮した様子で、「先生、これから、先生とBくんとCくんとぼくとで駅まで行って、

駅の階段の下のところに、『かいだんをのぼるな』って紙を置いてこようよ。

あのね、ぼくどうやるか知ってるんだよ。先生、紙に『かいだんをのぼるな』って

書いてみて、教えてあげるから」と言いました。

Aくんの「どうやるか知っている」とはどんなものなのか気になったので、

『かいだんをのぼるな』と書いてあげると、紙を半分に折って、

ちゃんと紙が立つようにしていました。

 

 

 


友だちとの雑談が楽しい 授業が面白い (息子とおしゃべり) 2

2014-07-02 06:24:35 | 日々思うこと 雑感

息子は、世界経済を揺るがすような金融詐欺のカラクリについて、

授業で習ってきた話をひと通りしたあとで、こんなことを言いました。

 

息子 「日本の経済のあり方がねずみ講に似ているとまでは言わないけど、

一番はじめに儲けた人だけがエンドレスに儲かる仕組みってどうなのかな?

たくさんの利権を握っている大企業や何かを生産しているわけではない金融業にばかり

お金が流れて、中小企業が苦しんでいる今の状況は、バランスが悪過ぎるよ。

数理意思決定の授業を受けて、日本はアメリカを真似るだけじゃなくて、

ヨーロッパの国々から学ぶこともたくさんあるんだと感じたよ。

もちろん、丸まま参考にしようってわけじゃないよ。

それにヨーロッパから……といっても、ギリシャやイタリアみたいに問題をたくさん

抱えている国は別にして、北欧とその周辺の国々からってことだけど」

 

わたし 「ヨーロッパの経済は苦しくなっていっているイメージしかなかったけど、

確かに、内容をていねいに分析してもいないのに、イメージで判断するのは

よくないわよね。ヨーロッパのどんな点がいいと思うの?」

 

息子 「豊かさの尺度を収入や儲けといった『お金』だけに求めずに、

国民の幸福度を上げるために何が必要か真面目に考えているところかな。

そうした生活の質の部分を、どんな福祉が必要とされているのか、

人生を充実させてくれるものは何かをよく検討して、

その増減を具体的な数量として確かめられるようになっていると、

国の経済状況をGNPだけで捉えることがなくなるよね」

 

わたし 「あぁ、幸福って質でしか表現できないようなものなのに、それを幸福度って

数値で表してみると、物事を別の視点から眺めることができるかもね。

お母さんも、どこかに雇われるのではなくて、

小さい教室でも自分でやっている一番の利点は、

そういうお金に換算できないものを大事にできるからだと思う。

誰かの下で、売上のことだけを考えて教室をすると、短い時間にどれだけたくさんの

生徒を見られるか、いかにリスクを避けて儲けを増やすかを、

自分の思いや判断をネジ曲げても優先しなくちゃならなくなるはずよ。

気楽に自分の裁量で教室をしていると、お金の増減より子どものニーズに

重点をおけるし、時間や場の有効利用以上に、そこを利用する人々の心地よさや満足に

価値をおけるから、お母さん自身も心の満足度、

つまり幸福度と呼ぶようなもので豊かさを味わえているわ」

 

息子 「ぼくが日本はヨーロッパからもっと学んだ方がいいと考えるのは、

身体も心も無理をしてお金だけを必死で追い求める働き方が、

日本人の性格にあっていないように思うからだよ。

日本人って、お金より働きがいの方を大事にしているところがあるよね。

独自の高い技術を持っていても、見せびらかすことやそれでお金を得ること以上に

個人個人が自分の技術に磨きをかけていくことを大事にしているように見える。

ヨーロッパから学ぶといっても、労働時間の規制は、日本人のやりがいって面からすると

よくないかもしれないから、そのまんま真似ようってわけじゃないけど。

でも、一人ひとりの幸福の度合いを上げることを考えてもみないで、

儲けを上げることだけ追いかけていると、市場は奪い合いと競争が激しくなる一方だし、

働く人は自分にとっては無意味な労働時間がどんどん増えていく。

今のお金至上主義は日本人に合わないと思うんだ」

 

次回に続きます。

 

 


妖怪ウォッチの「ほめことば」シール と スケジュール帳

2014-07-01 22:29:18 | 教材作り

 

妖怪ウォッチのイラストが載っている雑誌のページがあったので、

「ほめことば」シールを作ってあげると、小学生の子たちに大受けでした。

いつもの120%のがんばりで勉強しては、シールを選んでいました。

 

<作り方>

 1.シールにしたいイラストの裏に両面テープを貼って、シールごと切り抜きます。

 

2.子どもと一緒に、いろんなほめ言葉を考えます。

「がんばったね!」「最高!」「すばらしい」「よくできてるよ。」「かっこいい」

「すごいね」「がんばれにゃ」「いいね」「えっへん、よろしい」「サイコー」など。

 

3.イラストの上からほめ言葉を書きこんだらできあがりです。

 

勉強のあとで、「好きなほめ言葉を選んでね」と言って選ばせます。

もらうのが、「シール」という物ではなく「ほめ言葉」であることと、

自分でほめ言葉を考えたり選んだりすることが、

子どもたちの学習意欲につながっていました。

 

さっそくがんばりシールをこんなふうに活用している子もいました。

 

4年生のAちゃんのアイデアで夏のスケジュール帳作りをすることに……。

 

 

算数タイムにサピックスの『ぴぐまりおん』の問題を解きました。

みんな、とてもよくできていました♪