虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

自分に自信がない、自己肯定感が低い子 2

2016-05-17 19:07:59 | 自己肯定感を育む

Aくんのお母さんは優しい子ども好きの方です。

「周囲のお友だちがしっかりしていて……」と相談しておられたものの、

Aくんの個性をおおらかに見守っておられます。

 

レッスンの帰り際に、「ふたつ筒が持って帰りたい」というAくんに対して

「ひとつにしておきなさい」と諭すことは、ごく普通の常識的な配慮でした。

他の子らは持って帰っていなかったし、

教室で使う備品だということは一目瞭然でしたから。

今回は、わたしが「持って帰っていいですよ」と言ったからいいものの、

持って帰ったらダメな場面も多いでしょうし、ふたつもひとりで取ったら

他の子が困るということもあるでしょう。

 

だとしても、帰り際のお母さんとAくんのやり取りには

ちょっと気になる点もありました。

 

Aくんは人の気持ちを察知する繊細な性質の子です。

意気揚々と「ふたつ持って帰りたい」と言っていたAくんが、

優柔不断なぼそぼそしゃべる態度に変化していったプロセスでは、

大人の強い口調も厳しい表情も必要ありませんでした。

 

ただ何となく大人は自分の主張を面白く思っていないらしい……

自分の言い分は間違っているし、価値がないようだ……という雰囲気が

Aくんの気持ちに浸透していくなかで、Aくんは、「ふたつ持って帰りたい」

という主張を「ひとつでいい」に変えました。

 

子どもにすると、そうして自分の気持ちに決着をつけるのは大変なことです。

それにも関わらず、その瞬間にお母さんが、

(Aくんに対して怒っているわけでもないのに)

「それなら持って帰るのをやめておいたら?」と提案したのを聞いて、

こうしたやりとりの流れが、いつもあたり前のように

Aくんと周囲の大人との間でで展開しているのではないかと感じました。

次回に続きます。


自分に自信がない、自己肯定感が低い子 1

2016-05-16 16:22:01 | 自己肯定感を育む

「園のお友だちがみなしっかりしているせいか、何をするのも自信がない様子です」

という相談をいただいていた年中のAくん。

集団での活動にうまく参加できないことが多々あるようで

園の先生から指摘を受けているという話でした。

虹色教室に着いてしばらくの間、Aくんはゲームや工作に誘うと

尻込みして「うーん」「できない」とつぶやいて

もじもじしていました。興味を持ってやりはじめても、少しでも手間取ると、

お母さんや周囲の評価をうかがうような視線を投げて、

スーッとその場を離れていました。

仲のいい友だちがみんなひらがなが書けるので、

「Aくんひらがな書けないの?」「Aくんできないの?」とたずねるそうで、

ひらがなを見るだけで顔をひきつらせて、強い拒否反応を示していました。

 

最初のうち、活動に誘いかけても乗り気ではなく、ちょっと参加すると興味を失って

うろうろしていたAくん。でも、いっしょに時間を過ごすうちに、

それまで見聞きしていたAくんの姿とは別の一面が見えてきました。

 

誘う

いやいや参加する

すぐに飽きて別のことを始める

しばらくすると戻ってきて、最初の活動(特に工作)がやりたいという

自分なりのアイデアや「こういう風に作りたい」「これが作りたい」という

そうして自分発でやりたがったことは最後まで熱心にやり抜く

「もうひとつ作りたい」「これもやってみたい」と次にやりたいことに思いが膨らむ

 

レッスンの間に、Aくんは知的な課題にも熱心に取り組みたがるようになっていました。

 

帰り際、こんなことがありました。

次第に積極的になって、

「あれが作りたい」「あれもこれもしたい」と言っていたAくんが

教室にあった筒を見つけて、「これで作りたい」と言いました。

「教室は終わりの時間だけど、その材料は持って帰っていいよ。

袋に入れてあげるから自分で持ってね」と言うと、Aくんは筒を手にはめてみて、

ああしようかな、こうしようかな……と自分の思いつきを興奮した口調で話しながら、

「ふたつ持って帰ってもいい?」とたずねました。

Aくんに「持って帰っていいよ」と答えたのですが、

Aくんのお母さんは恐縮した様子で、

「ふたつはやめておきなさい。ひとつだけ」とAくんを説得していました。

「いいですよ。作りたいものがあるようだし。帰りに荷物にならなかったら、

どうぞ持って帰ってください」と言いました。

「ひとつにしなさい」とお母さんに何度諭されても、Aくんは、

「ふたつとも持って帰って、こういう風にして作りたい」と熱心に言い続けていました。

普段、やりたいのかやりたくないのかはっきりしない

遠回りな意思表示が多いAくんにすると、本気さが見える瞬間でした。

 

が終いに、教室に着いた時見せていた、優柔不断で自分に自信がないような

態度に戻って、もごもごと口のなかでつぶやくように「じゃぁ、ひとつでいい」

といいました。いかにも不満そうです。

でも、自分の言い分を通すほどの熱意もなさそうです。

すると、それを見たお母さんが、「じゃあ、持って帰るのやめておいたら?」と、

提案しました。

お母さんとしたら、グズグズ聞き分けがなかったAくんが

ひとつ納得しかかったところで、ここは、大人の言うことをちゃんと聞いてくれそうな

チャンスだと感じたのかもしれません。

 

引っ張りますが、次回に続きます。 


ひとりの子の興味が飛び火して……

2016-05-15 20:37:19 | こんなこと、やってみたい!

小学2年生の子たちのレッスンで。

Aちゃんは、少し前から深海魚に夢中です。

その様子は、深海魚がマイブームという記事にさせてもらっています。

 

すると、Aちゃんの興味がうつって、年中の弟くんも

海の底の深海魚の生息地帯を色画用紙にまとめてきてくれました。

 

深海生物の自由帳にびっしり深海生物の絵を描いてきてくれました。

 

 それを見た他の子らも、深海生物に興味しんしん。

ひとりの子の興味はみんなに飛び火して、

いつのまにかみんなの関心事になっていきます。

「深海生物の影絵劇をしようか?」と誘うと、大乗り気でした。

 

洗濯バサミで影絵用の白い布をつらし、コピーした深海生物の絵を切り抜いたり、

深海生物の絵を描いてペーぷサートを作ったりして大忙し。

 

 

紙を使って長い持ち手を作ることを提案したBちゃん。

お父さんに教わったという紙の丸め方を伝授しています。

 

一番、盛り上がっていたのは、背景の海の色を演出するための色水づくり。

本来、おまけのような作業なのですが、情熱の8割はここに注がれていました。

 

 劇の内容は、即席で「ちょうちんあんこうの冒険」?……

子どもたちの間ではすごく盛り上がっていました。

 

算数タイムにたし算やひき算をひっ算で解く練習をしました。

文章題を整理しながら解く方法も学びました。

みんな意欲的に取り組めました。


工作をするだけで国語が得意な子になっていく方法

2016-05-15 07:47:29 | 工作 ワークショップ

工作をするだけで、算数が得意な子になっていく方法に続いて、

工作をするだけで国語が得意な子になっていく方法を紹介します。


作品がどんな出来栄えでも、ただめちゃくちゃになぐり書きをしただけでも、

何を作ったのか言う時、子どもはとてもうれしそうです。

「ドレッサー」とか「お友だちの顔」とか「小鳥と私」とか「宇宙船」など

タイトルを漢字やカタカナまじりで紙に書いて、作品を飾るときに添えてあげます。


作品についての説明を子どもからよく聞いて、短い文章にして書いて、

いっしょに添えてあげるのもいいです。

子どもは自分の作品を捨てたがらず(どんなにゴミくずのような作品でも……)

タイトルを何度も読んでもらいたがったり、自分でも読もうとします。

子どもは勉強にために文字を学び始めるよりも、

誰かに思いを伝える手紙やメッセージカードや自分の作品につけるタイトルや

その日の出来事を書いた日記などで文字と親しんでいくことを好みます。

工作をするとき、このように文字や文章とも親しめるようにしておくと、

遊ぶ時や、能動的に創造的に活動する時に、文章を書くことを積極的に

取り入れるようになってきます。


工作をするとき、

身近な大人が「最初に」とか「だから」とか「それから」といった接続詞を使って、

ていねいに説明するようにすると、文章を組み立てるのが上手になってきます。

どうして工作をするとき……なのかというと、工作中はお手本を見せて解説することが

多いからなんです。

たとえば、ティッシュ箱で自動販売機を作るとしますね。

「まず、はじめにティッシュ箱の一番、面積が小さな面を下にして、立てるわね。

ほら、これ、ちっちゃいでしょ。こっちはでかい。小さな面が下よ。

それから、上にある同じように面積が小さい面に穴を開けます。

ここからジュースを入れるの。最後に、ジュースが出てくる穴を作らなきゃね。

どこに開けたらいいと思う?」

のように、「はじめに」「それから」「最後に」を使って、

何段階かの手順に分けて説明すると、こうした表現に慣れていきますよね。

 

工作というのは、子どもと素材とのコミュニケーションとも言えるし、

子どもとイメージの世界のコミュニケーションとも言えます。

上手な作品を作るということに縛られず、物作りを通して満たされる

自分の内面を外の世界にアウトプットしながら

それに形や言葉を与えていく過程を親子で楽しんでくださいね。


工作をするだけで、算数が得意な子になっていく方法 

2016-05-14 21:36:41 | 算数

子どもたちと工作をするとき、

私は ごく自然に「算数の世界で学ぶ言葉」を使うようにしています。

 

工作では、箱や折り紙などをよく使いますよね。そのある形や部分を指して、

「○○を貸してちょうだい?」「○○と△△どっちがいい?」など

たずねるときに、自然に、算数に関わる言葉を使うのです。


基本の基本は「形」を表す言葉。

「四角、三角、丸、だ円、五角形、正方形、長方形、二等辺三角形」などです。




たとえば、「四角い紙と、だ円の紙はどっちがいい?」などと使います。

立体を表わす「三角すい、四角すい、円すい、正20面体、立方体」などの

呼び名も自然に使います。

また、子どもとのやりとりの中で、「長さ、高さ、深さ、浅さ、広さ、

垂直、平行、直角、角度、拡大、縮小、重なり、○パーセント」など、

もどんどん使っています。

たとえば、「そこの面は、80パーセントくらいに色を塗ってね」など。


また、物差しや三角定規、分度器、コンパス、量り、メジャーといった

道具も2,3歳の子とする工作でも自然に使うようにしています。

(危険なものは、扱いは保管に注意しています)

子どもに教え込むことはひとつもありません。

子どもたちは、自然に家の中のテレビや冷蔵庫といった名前を覚えますし、

テレビのリモコンや電話の使い方を覚えますよね。それと同じように

算数に使う道具の使い方や目盛りの読み方もいつの間にか覚えてしまいます。

工作でそうした言葉に親しませるとき、

無理矢理教え込むことはいっさいしない方がいいです。

何度も何度も工作で遊ぶうちに、子どもたちはその言葉が何を表すのか、

身体にしみこむように理解していきます。

物差しの目盛りの読み方にしても、ただ読めるだけでなく、

単位の変換や小数点や分数の概念や、概数の意味まで理解していきます。

工作の世界では、「だいたい3センチくらいのひもがいる」ということがよくあります。

それは、概数について理解するチャンスです。

 


また、箱を切り開いて使用する工作をしていれば、

頭の中で図を自動的に組み立てることができるようになります。

展開図を見るだけで、それが立体になるとどのような形になるのか、

わかるようになってきます。



たとえば、3、4歳の子が、紙皿をちょっと切って工作するようなときにも、

「円の中心が知りたいわ。丸い形のおへそよ。」と言って、2回半分の折って、

交差する部分が円の中心にあたることや、

半径がどれにあたるかを見せてあげることができます。

もちろん、教え込む必要はないのです。

ただ、工作で得る知識は、無駄な先取りにはならず、とても実用的ですから、

「円の中心に穴を開けて、くるくる回る回転ずしを作りましょう」

「半径の長さに、コンパスをグーンと広げてね、足が痛いよって言うかな?

そして、くるんってバレエみたいに回ったら円が描けちゃうよ」

といった会話にすぐに使っていけます。

もちろん、一度にたくさん使う必要はなく、もう1ヶ月、

「毎日、毎日、紙皿で船作ってるわ」なんて時に、ついでに、水に浮かべるときに、

「指の上に、円の中心のところを乗せて、そーっとそーっと動かしてみよ」

といった楽しい誘いをしてみるといいですね。

 


基礎的な発見 14 <正方形の対角線は長い>

2016-05-14 08:15:00 | 子どもたちの発見

人形ごっこで大活躍する正方形のふろしき。

折り方によって、身体に巻いて前で結べたり、結べなかったり。

三角形に半分に折って、対角線を身体に巻くと

しっかり結び目が作れること、巻く部分の長さが長くなることは、

遊ぶうちに子どもが自然に発見することのひとつです 。

 


レジのレシートが出てくる部分の作り方

2016-05-13 21:49:09 | 工作 ワークショップ

1年生の自閉っ子のレッスンで、レジを作りました。

絵を描くのは好きだけど立体物を作るのに強い拒絶感のあるAちゃん。

「工作しない!」と繰り返していましたが、大好きなシールを見ると、

すんなりやる気になりました。ティッシュ箱に数字のシールを貼って、

バーコードを読み取る部分をつけました。

 

今、Aちゃんはお金の読み方を学んでいるところです。

レジにレシートが出てくる部分をつけることにしました。

 

<レシートが出てくる部分の作り方>

ストローにいらないレシートを貼ります。

ストローにモールを通し、(モールがなければ、ひもや細く切った紙でもOK)

モールの端をレジに貼り付けます。

 

レシートをくるくる巻きこんでセット。

 

引っ張ると、ストローが回転してレシートが出てきます。

「はい、350円です。400円いただいたから、おつりは50円ですね」

と遊べます。

 

 


親が自分のメタ認知能力を上げると、幼児の知力は自然に向上する?

2016-05-13 08:07:56 | 幼児教育の基本

虹色教室をしていてしみじみ感じるのが、

幼児の知力の向上と、親のメタ認知能力というか親が意識できている範囲の広さと、

とても関係が深いんじゃないかな?ということです。

 

もちろん、子ども自身、持って生まれた能力というのはあるでしょうが、

後天的に伸びていく部分は、身近な大人のあり方と密接につながっているように

思うのです。

子どもにこれこれさせた、こんな訓練をした、ということより

身近な大人が何を認識し、どんなことをよく思い出し、どんなことを口にしているか、

どんな発想をして、何に価値観を置いているかで、

子どもの育ちはずいぶん違うんじゃないかと感じています。

 

といって、頭が良い親じゃなきゃいけないとか、

理想的な何でもできる親じゃなけいけないというのではなくて、

ごくごく普通の能力の親でも、メタな視点を持つとか、

意識できている範囲を少し広げる努力を怠らないだけで、

子どもにあれこれさせようと焦らなくても、自然と子どもの知力は引き上げられる

と感じているのです。

 

たとえば、親御さんが思い出すことに愚痴や不満が多いか、

その日、子どもがうれしそうにしていたことや楽しかったことの振り返りが多いかで、

幼児の記憶力に各段の差が出るのです。

 

幼児って、快と不快を基準にして、

何度もしたがることと、嫌になって避けることを分けていきますよね。

ですから、嫌なことを思い出すことが多い親御さんの元だと、

過去を切り捨てて、すぐに忘れながら生活しようとするし、

楽しかったことを思い出して口にする親御さんの元だと、

記憶力をフルに使って、あった出来事を思い出そうとするのです。

 

また、親御さんが子どもの長所に気づきやすいか、短所に目が行きやすいかでも

子どもの能力は大きく違ってくると思います。

長所は少し刺激すれば急速に伸びるし、おまけに短所まで底上げされるものですが、

短所ばかり刺激すれば、自己肯定感が下がって

全てにやる気がない態度になりがちですから。

 

子どもの能力の伸びって、親の何気ないささいな一言にも影響されるものです。

たとえば、教室で子どもがひとつのおもちゃで遊んでいて、

次に別のおもちゃを触ったところで、「もう終わり?もうあれで遊ばないの?」

といった子どもの気持ちをちょっと下げて、小さな罪悪感を持たせがちな一言が

多い方っているものです。

もちろん、使ったおもちゃは片付けなきゃいけないのですが、

その場の雰囲気で、「2つ3つまでは出してもOKで、それ以上出したいときは

きちんとお片付け」くらいのルールで十分なごっこ遊びのような複数の物を必要とする

遊びの最中にも、つい手持ちぶたさで、子どもの楽しい気持ちを下げるような一言を

言ってしまうということがあると思うんです。

でもそうした大人の余計なひと言を、しょっちゅう浴びている子は、

遊んでいても、すぐに気持ちが沈んだり、つまらなくなって飽きたり、

気まぐれに感情を爆発させたりしやすくなるものです。

 

そうした時に、親が自分のつぶやく言葉に一線を設けて

子どもがよりいきいきと生産的に想像力を膨らませながら遊べるように

配慮してあげると、子どもはちょっと動くたびに気分が変動して落ち込むといったことが

なくなって、思考力をいっぱいいっぱいまで使って遊び出します。

 

虹色教室の乳幼児のレッスンでは、

親のメタ認知能力を上げたり、意識できる範囲を広げるために、

どんなことに気をつけたらいいかといったことを話題に親御さんたちといっしょに

おしゃべりをすることがよくあります。

そうした時間が子どもたちの成長に大きな影響を与えているなと実感しています。

 

写真は2歳3ヶ月の★くんと☆ちゃんのレッスンの様子です。

玉そろばんで数遊び中。

 

前回、子どもの想像力や思考力の広がり方や伸び方というのは、

身近な大人が何を認識し、どんなことをよく思い出し、どんなことを口にしているか、

どんな発想をして、何に価値観を置いているかと密接な関わりがあろようだ、

といったことを書かせていただきました。

 

それなら、具体的にどのような働きかけ方をしたらよいのか、

2歳3ヶ月の★ちゃん、☆ちゃんのレッスンで

親御さんたちに学んでいただいたことを中心に紹介させていただきますね。

 

★ちゃんは、後ろが開いたり閉ったりする車(本来は警察の護送車らしい)を手に、

「ゴミ収集車」と言って遊びだしました。

 

「ゴミ収集車」で連想できるものって何でしょう?

 

収集日があること。

街中回って、ゴミを集めること。

ゴミってゴミ袋に入ってますね。カラスがゴミに悪さしないように気をつけている

地域もあります。

ゴミ収集車のお家はどこでしょう? ゴミの焼却場でしょうか。

ゴミ収集車のお友だちは誰でしょう? 働く車たちでしょうか。

 

子どもが「ゴミ収集車」と言って遊び出したら、

いっしょに遊んであげている大人が、ちょっと頭をひねって

連想できるものをいろいろと遊びに取り入れると、

たちまち子どもも記憶力と想像力と思考力をフルに使って遊び始めます。

 

「そうだ、今日は月曜日だから、ゴミの収集日だわ。9時までにださなくちゃ。」と言って、

袋にゴミに見立てたものを入れて、

ゴミ出しの真似をすると、

子どもは喜んでそのゴミを収集して遊ぶだけでなく、

収集日は曜日で決められていたりするんだな、いろんなルールがあるんだな、

と直観的に学びますし、

カラスがゴミをつつきにくる、というストーリー展開を

楽しむこともできます。

 

2歳児と遊ぶときは、あまり説明的ではなく、(教え込んだり、わかっているか

たずねたりせずに)あくまでも雰囲気で、楽しくてワクワクする気持ちを

膨らませるために、さまざまな言葉を駆使して遊びます。

遊びのなかで、ゴミ収集車に「お家に帰りたい!」と言わせたり、

「お友だちと遊びたい!」と言わせたりして、

ゴミの焼却場や働く車たちを登場させるのもいいですね。

 

★ちゃんのお母さんによると、普段は、★ちゃんがこうして「○○車」と言って

遊び出すと、

「ふーん、ゴミ収集車なの」と言うだけでおしまい……となっていたそうです。

幼い子たちは親や年上の子らに誘われて、

イメージの世界を広げ、考える楽しさを学びます。

普段、身近な大人が、どのようにイメージを広げ、どのように思い出し、

どのように考えているかが、

そのまんま幼児の想像力と思考力が育まれるスペースであり環境となります。

 

かる~いねんど(100円)でクッキー遊び。

1回遊んだら、後は固まって遊べなかった~となる遊びもたまには必要。

無駄に見えますが、子どもの心に、柔らかかったものが、

固くなって2度と元に戻らなかったという経験が残ります。

 

★くんは、物をよく観察して、物の作りを記憶するのが得意です。

☆ちゃんは、お料理の手順のように流れのある作業を記憶することが得意です。

そうした子どもの得意な記憶がどのようなものか知っておくことで、

子どもといっしょにする遊びをより豊かにすることができます。

また、子どもに何かを見せてあげるときに、

子どもの得意な記憶がより鮮明なものになるよう

ていねいに見せてあげることができます。


2年生の算数遊び

2016-05-12 20:39:16 | 算数が得意?苦手?の分かれ目

 小学2年生の子たちとスーパーボールすくいをして遊んだ時のこと。

自分で作ったすくう道具で何グラムすくえるかバトルをすることになりました。

 

「この戦いは、ズルをなくすために公式ルールが存在します!!」と

弟くんのレッスンについてきていた5年生のお姉ちゃん。

「すくう道具の折目は、5㎜まで」と決め、厳しいチェックをすることになりました。

上の写真は、1㎝の折目をつけていた子の道具を5㎜で切っているところです。

 

戦いは、3回戦まで続きました。途中でリタイヤした子がふたり。

感心したのは、2年生の子たちも、得点の平均をどうやって求めるか

教わらなくてもわかっていたことです。

「そりゃあ、1回戦の時の重さと2回戦の時のと、3回戦の時のを足して、

それから、同じになるように3つにわけたらいいんでしょ?」とのこと。

普段から、算数の概念に触れて遊んでいるので、

日常のちょっとした場面に潜んでいる算数概念についてよく理解しています。

 

姉に「ズルをした!」と文句を言われながらも、555グラム分取ったAくん。

コップの量が多すぎて、量りに乗りませんでした。

子どもたちにどうすればいいか考えるよううながすと、

「コップを2つずつ乗せて、重さを量ってから足せばいい」と返ってきました。

 

スーパーボールすくいをリタイヤしたBくんとCくんは、ひたすらサイコロを振っては、

「ぼくが勝った」「ぼくの勝ち」「これ面白い面白い」と言いあっていました。

「表にして勝負したら?10回戦くらいでいい?」とたずねると、

「100回戦!!」との答え。

面白いことに、30回戦目までそれぞれの出た目の数を足すと、合計が同じでした。

 


相談 「子どもといっしょにするごっこ遊びがワンパターンになってしまいます」 

2016-05-12 09:20:15 | 幼児教育の基本

「家ではいつもごっこ遊びをしています。

毎回、遊びがワンパターンになってしまいます。

どうやって遊びを広げたらいいでしょうか?」という相談をいただきました。

そこで、2歳0ヶ月のAちゃん、2歳2ヶ月のBくん、2歳3ヶ月Cちゃん、

3歳2ヶ月のDくんのレッスンの様子を例に、

遊び発展のさせ方のヒントを紹介していきますね。

 

2歳~3歳の数や秩序に敏感になっていく時期の子たちには、

同じものをいくつか用意してあげると、いいおもちゃになります。

特にオススメなのは、100円ショップで売っている折り紙より少し大きいくらいの

サイズの無地のタオルハンカチです。

しわにならず、たたみやすくて、場所を取りません。

三角に折っておにぎりやサンドイッチを作ったり、

折ってからくるくる巻いてケーキを作ったりできます。

プレゼントやお弁当を包んだり、赤ちゃんごっこの時はおむつやおくるみにしたり、

ふとんや病院ごっこの包帯、人形をお風呂やプールに入れる時のバスタオル、

テント、触って当てるゲームでかぶせる布などにも使えます。

 

 写真は、お人形たちにかけぶとんをかけて寝かしつけているところです。

一人ひとりにふとんをかけてあげながら、「いやだ、いやだ!ねたくないよ」と

ぐずるストーリーで遊んでいます。

 

「えほんを読んであげるから寝ようね」と言って、

小さな絵本を読んで聞かせる真似をすると、

Aちゃんが喜んで遊びだしました。Bちゃん、Cちゃん、Dくんの3人も

絵本を読んで聞かせるシーンに強く惹かれたようでした。

 

ただお人形を寝かせるだけの遊びとはいえ、

この中に幼い子たちと遊びを魅力的なものにするヒントが3つ含まれています。

 

一つ目は、一対一対応がわかりはじめる数に敏感な時期の子たちは、

何体ものお人形の一体一体にふとんをかけてあげるとか、椅子に座らせてあげるとか、

食べ物を与えるとか、お風呂に入れてあげることが

楽しい遊びになるということです。

 

二つ目は、遊びの最中に「いやだいやだ寝ないよ」と人形に言わせることで

問題を解決する楽しさを作ることです。

お風呂に人形を入れてあげる時に、「シャンプーが目にしみたよ」と

お人形に言わせたり、

病院ごっこをする際、人形に「苦いお薬は飲みたくないよ」と言わせたりするのです。

 

みっつ目は、「絵本の読み聞かせ」のように

子どもの日常の体験をごっこに盛り込むことです。

ここで小さなサイズの絵本を使うと、他の子らも前のめりになって

遊びを覗きこんでいました。

でも、こういった小物はわざわざ購入する必要はないと思っています。

今回のレッスンでは、お家で使っていただくために

色画用紙を折って小さい絵本を作りましたが、

手を使って、絵本を開く真似をするだけでも十分楽しめると思います。

  

ごっこ遊びの中で、その子が熱心にやりたがるレベルの

手作業を用意してあげるのもいいです。

上の写真は、木片とひもを使ったアイス作り。

Dくんは、くるくるひもを巻きとってテープでとめる作業を

心から楽しんでいました。

 

この日、Dくんは、電車がぴったりおさまる駅や高いビルを作り、

その後、駅の屋根の部分にブロックを何重にも敷き詰めていく作業に夢中でした。

 

お家でたまごを割る体験をしてから、

卵の中に小物を入れておいて、カチカチ卵を打ち付けて、フライパンの上でカパッと

割る作業がDくんのお気に入りです。

 

ままごと中のAちゃんとCちゃんとメニュー表を作りました。

食べ物の絵を描いて、字を添えています。注文して遊びます。

写真はAちゃんが綿棒で、綿を伸ばしているところです。

 

写真は木片を三つつなげて作ったおにぎり型です。段ボールなどでも

すぐ作れます。

 

ラップを乗せて、黒い折り紙と赤い玉を入れて、

綿を押し込んでおにぎりを作っています。

遊びの中にこうした手間のかかる作業があることを

子どもはとても喜びます。綿を入れるのを手伝うところかはじめて、

全部自分でできるようになるととても喜びます。

 

同様の作り方でプリンもできます。

 

 

Bくんはトラックやゴミ収集車に物を入れるのを楽しんでいました。

そこで、お家に帰ってからも同様の遊びができるように

ブロックに装着する形の荷台を作りました。

箱を切って、輪ゴムを貼っただけです。

 

Bくんは動く仕掛けにとても興味がある子です。

ゴミ収集車のボタンを押すと、

ゴミが入っている部分が傾いて、中に入れたものが

ザーッと落ちてくることに興味を持っていました。

そこで、さきほどの荷台の部分に自動的に傾く機能をつけることにしました。

箱の下に木片を貼って補強してから、写真のように傾いた状態になるように

輪ゴムで引っ張っておきます。

それから、輪ゴムを引いて、ブロックの一部に引っかけて、

写真のように元の状態になるようにします。

引っかけているゴムをはずすと、傾きます。

 

Cちゃんが音のなる玉と鈴を振りながら音の違いを楽しんでいました。

音に敏感な時期のようです。

 

そこで、ヨーグルトのカップにいろいろなものを入れて

振って音を聞き分けるおもちゃを作りました。

Cちゃんは大喜び。

 

Dくんは、自分で全行程をやってみせて、とても得意そうでした。