バフェット氏、日本株に「追加投資を検討」 単独会見

米著名投資家のウォーレン・バフェット氏は11日、都内で日本経済新聞の単独インタビューに応じ、「追加投資を検討したい」と日本株に強気な見方を強調した。伊藤忠商事など5大商社株の保有比率がそろって7・4%に高まったことも明かした。バフェット氏の訪日は2度目。世界の市場関係者に言動が注目されており、海外マネーの日本株投資に影響する可能性がある。
米投資会社バークシャー・ハザウェイを率いるバフェット氏の来日は珍しい。2011年に初来日し傘下の企業が出資する超硬工具メーカーのタンガロイ(福島県いわき市)を視察した。今回は商社やタンガロイを訪問する。
バフェット氏は日本株について「今は5大商社の株しか持っていないが、次の投資先は常に頭の中にある。価格次第だ」と、割安感が強まったら追加投資に踏み切る考えを明らかにした。5大商社への投資が「バークシャーが持つ米国以外での最大の投資」に拡大したとも明らかにし、保有を「とても誇りに思っている」と強調した。
商社に着目した理由についてバフェット氏は「バークシャーと(事業が)非常に似ている」と理解しやすいことを強調。「世界の事情にも精通している」と評価した。さらに「将来、事業のパートナーとしての関係を築くことも不可能ではない」と株主としてだけではなく、事業上のつながりを持つ考えを示唆した。
バフェット氏は金融危機の際、割安になった資産を買ってきた。米シリコンバレーバンクの破綻を機に強まった金融危機については「(混乱は)続くかも知れないが、投資戦略は変わらない」と言明した。
バークシャーは20年8月にかけて伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事の五大商社株を5%超取得し、バフェット氏は当時の声明で「日本と5社の未来に参画できることをうれしく思う」と述べていた。22年秋には5社の保有比率をそれぞれ6%台まで高めたことを公表していた。
92歳のバフェット氏は競争力のある優良企業を割安な価格で買う投資手法で、運用収益を積み上げてきた。特に事業モデルに信頼を置く企業の株式は大量に購入し、長期にわたって保有する。
1980年代に買った米コカ・コーラ株を今なお持ち続ける。アップル株は2016年に初めて購入が明らかになって以降、継続的に買い増して保有額は1190億ドル(約15兆円)に達した。バフェット氏は株主総会や株主への手紙などで「お気に入り銘柄」の一つとして紹介している。
バークシャーが保有する株式の時価は22年末時点で約3090億ドル(約41兆円)。大半は米国企業で、海外企業の長期保有は電気自動車(EV)メーカーの比亜迪(BYD)など一部に限られる。22年の年次株主総会では日本の商社株取得を例に挙げながら、海外での投資拡大に意欲を示していた。
22年は金融引き締めで米株式相場が下げるなか、米石油・ガス大手オキシデンタル・ペトロリアム株を買い増すなど株式や事業投資を積極的に進めた。バークシャーは08年のリーマン・ショック後の株安局面で買い向かった経緯がある。