旅と歴史

全国各地の史跡を取り上げて紹介しています。

智恩寺

2009年10月28日 | 旅 歴史
 京都府宮津市字文珠にある智恩寺です。
 日本三文殊のひとつで通称切戸(又は久世戸)の文殊堂として知られている文殊菩薩の霊場です。天橋立と陸地は「切戸(きれど)」によって分断されているのです。智恵を授かる文殊さんとして有名で「知恵の文殊」とも呼ばれています。
 茶屋通りに面する智恩寺山門は黄金閣とも呼ばれています。朝廷より黄金を下賜されたことからこの名がついたそうです。宮津市の指定文化財です。
 山門の楼上には釈迦如来を中央に両脇士・十六羅漢を安置しています。禅宗様式・三間三戸二重門の丹後地方最大の山門です。
 重要文化財に指定されている智恩寺の多宝塔です。室町時代の明応9年(1500)丹後守護の一色氏の武将延永修理之進春信(のぶながしゅりのじょうはるのぶ)が寄進したそうです。
 春信は病気全快を感謝して、一宮別当大聖院の僧、智海(ちかい)に建てさせたそうです。2万2000㎡の広い境内にマッチしています。
 文殊堂内にある本尊は善財童子(ぜんざいどうじ)、うてん王を従えた文殊騎獅像です。亀岡文殊(山形県高畠町の大聖寺)、安倍文殊(奈良県桜井市の崇敬寺)とともに日本3文殊に数えられています。
 鎌倉時代の鉄湯船です。国の重要文化財に指定されています。現在は手水鉢として使われていますが昔は寺院の大湯屋において寺僧の施浴に用いられたそうです。
 鎌倉時代の石造宝篋印塔(ほうきょういんとう)があります。宝篋印陀羅尼を納める塔です。後に供養塔、墓碑塔として建てられました。呉越王の銭弘俶の八万四千塔が原型になっているそうです。ここ石塔は和泉式部の歌塚と伝えられているそうです。丹後守藤原公基が日置金剛心院で式部が書き捨てた和歌を持ち帰り、なみだの磯(涙が磯)に埋めて鶏塚としたそうです。
 その反古の一首が
「いつしかと待ちける人に一声も
   聞せる鶏のうき別れかな」
 その後、明応(1492-1501)の頃、砂に埋まった塚を掘り出して文殊堂の傍らに建てたのが今の歌塚だそうです。



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天橋立

2009年10月28日 | 旅 歴史


 今日は京都府宮津市文珠にある天橋立を紹介します。
 松島、宮島と並んで日本三景の一つである天橋立は、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が立てかけた天と地とを行き来していたはしごが、眠っている間に倒れてしまって天橋立になったと「丹後国風土記」には記されています。
 天橋立は、別名「天に通う神秘の橋」と言われ、この地に残る伝説には、様々な神が登場してきます。全長3.6kmにも及ぶ「海の回廊」には8千本もの松が生い茂っています。
 伊邪那岐命が天上に通うための道であった天橋立。そしてその子孫が投げた宝珠が天へと通じる御橋となり、そこを天女たちが降りてきたという神話も残っています。
 現実には宮津湾奥の野田川や天橋立北側の川から流出する土砂が、南への海流で運ばれて堆積し、氷河期と間氷期に海水面が上下した作用で現在のような珍しい地形が出来たと考えられています。まさに数千年の歳月を経てできたものなのです。
 宮津湾北岸の江尻から南西にのびる全長約3.6km、幅20mから70mの細長い砂嘴(沿岸流によって運ばれた砂礫が湾口の一方の端から海中に細長く堆積したもの)です。
 砂嘴の白砂は美しいクロマツにおおわれています。古来よりこの風景が神秘的であったため数多くの神話や伝説を生み出しています。
 「大江山 いくのの道は 遠ければ
    まだ ふみもみず 天の橋立」
 有名な小式部内侍の歌です。
 明治20年(1887)頃になると、地域の海路、陸路の整備が進むにつれ、観光資源として本格的に意識されはじめました。明治38年(1905)には内務省の地盤国有公園、大正10年(1921)には国の名勝に指定されました。
 大正13年(1924)の舞鶴・宮津間の鉄道開通が、観光客の急激な増加をもたらし、観光地としての天橋立を確立することとなりました。大正13年4月舞鶴・宮津間が開通し、翌年7月に天橋立駅が設置されたのです。
 椋平虹伝説というのがあります。虹を見た時から3日のうちにどこかで地震がおきるというのです。椋平廣吉が17歳の時、対岸の黒崎という岬の上に虹のきれはしのような雲を見つけ不思議な虹の観測をはじめたのです。彼の予知的中は全国に伝わり、以後「椋平虹」論争が繰り広げられたのです。



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