午前中に事務所に出向き、採点簿を提出し、肩の荷を下ろす。生協文学部店に行ったら、閉まっていて(8月中は31号館の工事のため休業とのこと)、入口に貼られた紙に「安藤文人先生の『院単』は本部キャンパスのブックセンターで販売しております」と書いてあった。これって、買いに来る学生が多いってこと? 9月18日に文学研究科の修士課程の入試があるから、夏休み中に『院単』で最後の仕上げをしようという受験生がけっこういるのかもしれない。増刷ということになったらご馳走してくれると安藤先生が言っていたから、楽しみにしております。五郎八で昼食。ご主人が入院されて天ぷらを揚げる人がいないとのことで、天せいろではなく、にしん蕎麦(+お稲荷さん一ヶ)にする。ご主人の一日も早い職場復帰を待っています。成文堂を覗いたら拙著『きみたちの今いる場所』(数研出版)が3冊も置いてあった。店頭で見かけることはめったにないので、1冊購入。6年前に出た本だが増刷という話は聞かない(しょぼぼ~ん←こういうときに使う言葉です)。増刷って大変なことなのだ。
帰り道、丸善に立ち寄る。3階の新刊コーナーで出口裕弘『坂口安吾百歳の異端児』(新潮社)という本を見つけた。今年は安吾生誕百年である。もっと盛り上がるかと思っていたが、それほどでもない。来年は清水幾太郎生誕百年なのだが、安吾でこの程度では、多くは期待できそうもない。支払いのときに「早稲田大学」で領収証をお願いしたら、店員が「早稲田大学」という字が書けないので面食らった。丸善よ、お前もか…。「早い稲の田んぼ」と説明したのだが、「稲」の字をど忘れしてしまったようなのだ。私や他の客、隣のレジの店員の視線を浴びて目の前の店員の顔が一瞬にして上気するのがわかった。私が「早稲田大学って案外知られてないんなだぁ…」と軽口を言いながら、紙に「稲」の字を書いて示すと、その店員は照れ笑いをしながら「稲」の字を書いた。これまでは、領収証の宛名は「大久保」(大きい、久しい、保つ)にしてもらうことが多かったのだが、例の研究費の不正受給問題があってから、それでは駄目だというお達しがあって(使途の公私の区別がつかないからというのが理由である)、「早稲田大学文学学術院大久保孝治」(!)と書かなくてはならなくなった。無論、行列の出来ているレジでそんな長い宛名を書かせるのはいい迷惑だから、「早稲田大学」とだけ書いてもらって以下はあとから自分で補足するのだが(それは構わないそうである)、今回のように「早稲田」という字が書けない店員と遭遇することがたまにある。「慶応」の先生も同じような経験をしているのだろうか。4階の洋書売り場に行って、お目当ての、ジェイ・ルービン訳でペンギンクラッシックスに入った芥川龍之介の短編集Rashomon and Seventeen Other Stories(村上春樹がIntroductionを書いている)を購入。ついでに同じフロアーで開催中の「第8回 東京を描く画家たち展」(無料)を見物する。児玉喬夫という人の描いた「浅草伝法院通り」というポップな水彩画が気に入って、価格は21万円だったが、一瞬、購入を考えた。もちろん「一瞬」のことで、すぐに冷静な判断力を取り戻した。危ないところだった。採点表を事務所に提出して、名実共に夏休みに突入し、気がゆるんだのであろう。
帰り道、丸善に立ち寄る。3階の新刊コーナーで出口裕弘『坂口安吾百歳の異端児』(新潮社)という本を見つけた。今年は安吾生誕百年である。もっと盛り上がるかと思っていたが、それほどでもない。来年は清水幾太郎生誕百年なのだが、安吾でこの程度では、多くは期待できそうもない。支払いのときに「早稲田大学」で領収証をお願いしたら、店員が「早稲田大学」という字が書けないので面食らった。丸善よ、お前もか…。「早い稲の田んぼ」と説明したのだが、「稲」の字をど忘れしてしまったようなのだ。私や他の客、隣のレジの店員の視線を浴びて目の前の店員の顔が一瞬にして上気するのがわかった。私が「早稲田大学って案外知られてないんなだぁ…」と軽口を言いながら、紙に「稲」の字を書いて示すと、その店員は照れ笑いをしながら「稲」の字を書いた。これまでは、領収証の宛名は「大久保」(大きい、久しい、保つ)にしてもらうことが多かったのだが、例の研究費の不正受給問題があってから、それでは駄目だというお達しがあって(使途の公私の区別がつかないからというのが理由である)、「早稲田大学文学学術院大久保孝治」(!)と書かなくてはならなくなった。無論、行列の出来ているレジでそんな長い宛名を書かせるのはいい迷惑だから、「早稲田大学」とだけ書いてもらって以下はあとから自分で補足するのだが(それは構わないそうである)、今回のように「早稲田」という字が書けない店員と遭遇することがたまにある。「慶応」の先生も同じような経験をしているのだろうか。4階の洋書売り場に行って、お目当ての、ジェイ・ルービン訳でペンギンクラッシックスに入った芥川龍之介の短編集Rashomon and Seventeen Other Stories(村上春樹がIntroductionを書いている)を購入。ついでに同じフロアーで開催中の「第8回 東京を描く画家たち展」(無料)を見物する。児玉喬夫という人の描いた「浅草伝法院通り」というポップな水彩画が気に入って、価格は21万円だったが、一瞬、購入を考えた。もちろん「一瞬」のことで、すぐに冷静な判断力を取り戻した。危ないところだった。採点表を事務所に提出して、名実共に夏休みに突入し、気がゆるんだのであろう。