８月３日（木） 晴れ

　　暑くなってきた。夏らしくなってきた。朝食（そぼろ御飯）を食べて、本を読んで、居眠り。昼食（素麺と肉野菜炒め）を食べて、本を読んで、居眠り。畳の上でウトウトしていると、網戸から入ってくる風が心地よい。夏を、夏休みを、感じるひととき。
　　就職試験で高知に帰っているＭさんから携帯電話にメールが届く。高知市役所の最終試験に合格したことを知らせるメールだった。そうか、受かったか。すぐに祝福の電話を入れる。Ｍさんはメールが返ってくると思っていたのか、電話の声はちょっと緊張気味で、「はい」とか「ありがとうございます」とか、日本語会話初級のテキストに載っているような返事をしていた。自分が生まれ育った街で、父親と同じ公務員として働くこと、それが彼女の希望だった。おめでとう。今夜は最高の一家団欒だろう。
　　夕方、散歩に出る。TSUTAYAで、森繁久弥主演の『駅前旅館』（1958年）のDVDを返却し、石原裕次郎主演の『錆びたナイフ』（1958年）のDVDを借りる。戦後日本のポピュラーカルチャーの研究は夏休みの課題の１つである。有隣堂で児玉喬夫『東京絵本』（日貿出出版社）を見つけたときは驚いた。昨日、丸善の「東京を描く画家たち展」で21万円もする彼の絵を、一瞬ではあるが、購入しようと思ったからである。『東京絵本』は東京消防庁の機関誌「東京消防」の表紙画として彼が描いた水彩画を中心にまとめたもので、2006年８月10日発行（と奥付に印刷されている）の新刊である。こちらはたったの2500円。もちろん購入。Ａ４判のノートとポストイット（ノート）も購入。このノートはポストイットを貼り付けて使う。一枚一枚のポストイットがパワーポイントのスライドに相当し、それをノートに貼り付けることによって、一種のアウトラインプロセッサーとして機能する。差し替えや入れ替えが簡単にできるところがミソである。見開き２ページに16～20枚のポストイットが貼れるので、普通の長さの論文のアウトラインの作成にはこれで十分である。講義の設計図などもこれで作成できる。
　　シャノアールでクリームソーダを飲みながら持参した山崎正和『社交する人間』（中公文庫）を読む。たぶんいま読んで、考えていることは、後期の授業「現代人の精神構造」の12月あたりに話すであろう内容に反映されるはずだ。切りのいいところまで読んで、シャノアールを出たのは午後７時。「早く帰ってきなさい」と妻からの電話が掛かってくる前に家に着かねばならない。

　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　暮れなずむ蒲田駅前