フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

4月2日(日) 曇りのち晴れ

2023-04-03 13:05:17 | Weblog

7時半、起床。

トースト、カレー、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

昨日のうちに書き上げた昨日のブログをアップして、8時前に家を出る。行ってくるよ、チャイ。

年度が替わるタイミングでの恒例の松本旅行である。

いつもの新宿10時発のあずさ13号に乗車。

昨日の日記(4月始まりのほぼ日手帳)を付け、今日の行動プランを考える。

山梨市の周辺ではピンクの花をつけた低木が植えられた畑が目に付くようになった。桃畑だ。「まちやん」のピーチメルバに使う川中島という品種の桃は山梨産である。

11時半過ぎに松本に到着。

駅前には外国人の観光客が目に着く。コロナ前の観光都市に戻りつつあるようだ。

定宿にしているリッチモンドホテルにチェックイン(荷物を預けるだけのつもりだったが、部屋の準備がすでにできていた)。

部屋もベッドもデスクもゆったりしている。これで会員価格+早割+前回の宿泊(昨年11月)で貯まっているポイント(1500)を使って料金は2泊で8700円である。

持参したノートパソコンを設置する。ホテルのWi-FiのIDとパスワードは部屋ごとに違う。

さて、街歩き開始である。まずはホテルの近くの高砂通りから。

この通りには人形店が多い。端午の節句のための鎧兜や鯉のぼりが飾られている、

今夜の夕食用のサンドイッチ(ホテルの部屋で食べる)を買いに「サンドイン」というサンドイッチ専門店へ行ったら「本日完売しました」の貼り紙が出ていた。

11時開店でまだ午後1時ですよ。それで完売とはなんという人気店であろう。去年の秋に初めて来て、その美味しさに感動したのだが、感動したのは私だけではないようである。月曜・火曜は定休日であるから、今回の旅行で食べる機会はない。残念である。

中町通りへ。

松本での最初の食事(ランチ)は「chiiann」(チーアン)でと決めている。

「chiiann」は細い路地の奥にある。

「こんにちは」と店主さんご夫妻に挨拶。事前にお伝えしているわけではないが、私がこの時期に来ることはわかっているから、一瞬「おっ」という表情をされたが、「いらっしゃい」と普段の口調で挨拶を返される。

入口から見て一番奥のテーブルに座る。

私のブログの読者の方(女性)が娘さんと一緒にここ数日、毎日いらしゃいましたと奥様に教えていただく。ブログの読者であれば、この時期に私が松本に来ることはご存じのはずで、もしかしたら私が来ているのではないかと期待されたようであるが、それは惜しかったですね(笑)。どこかのカフェで私を見かけたらお声がけください。

茄子とベーコンとパスタ(2種類)を注文。

サラダとピクルスの彩りがきれい。

デザートはガトーレモン。

先月から自家製のジンジャーシロップの販売を始められた。「松本の蜂蜜と瀬戸内のレモンが恋をしたジンジャーシロップ」というコピーはご主人が考えたのか奥様が考えたのか、ちょっとベタで恥ずかしい(笑)。

小瓶を購入。奥様の掌においていただいて写真を撮る。いつも奥様は掌だけのブログ出演である。

明日も明後日も来ますね。

高砂通りの「田園ベーカリー」に顔を出す。

市中にあるのになぜ「田園」なのかというと、店主さんの名前が「園田」さんでそれをひっくり返して「田園」とされたのである。

では、なぜひっくり返したのかというと、奥様が大田区の田園調布のご出身であるからだ。という話を、数年前(コロナになる前のことだ)、初めて来店したときに伺って、地元大田区の話題で話が盛り上がり、それから松本に来たときは必ず顔を出すようになったというわけである。

イートインができる店である。クリームパンと紅茶を注文する。

クリームパンはこの店の看板商品である。

夕食用にハムとチーズのバケット、角煮バーガー、あんずジャム入りのクリームパンを購入。

同じ高砂通りにある古本と中古レコード・CDの店「アガタ」。

旅先で本を購入するのは荷物になるので控えたいのだが、店頭の200円均一の棚を眺めていて一冊の本の背表紙が目に飛び込んできた。

菅野昭正『明日への回想』(筑摩書房、2009年)。先日、新聞で訃報に接したフランス文学者(私にとっては文芸時評家)の回想録である。こういうのは邂逅というのは大げさだが、一つの縁である。棚にこの本があったのは偶然であるが、私がそれを見つけたのは必然である。菅野さんへの関心が私の中にあったからこの本の存在に気づいたのである。世界というものは主体(個人)の関心や欲望によって遠近法を与えられるのである。つまり関心のあるものは見つけやすいのである。これは「ライフストーリーの社会学」の授業の中で「人生の転機の物語」のメカニズムを説明するときにいつも学生に話していることである。今日もそれが実証されたというわけだ。

購入したシロップ、パン、本をホテルの部屋に置きに戻り、ちょっとベットで一休み。街歩きのときにホテルの部屋で休息できるというのが街中に宿をとることの大きなメリットである。

女鳥羽川沿いを歩く。桜が満開だ。松本の桜が3月に開花するのはとても珍しい。桜の開花も早かったのは東京だけではないのだ。

桜は蒲田でたっぷり観たが、松本で観る桜はまた格別である。

四柱(よはしら)神社に挨拶に行く。

穏やかな世の中でありますように。私は神社・仏閣で個人的なことをお願いすることはほとんでない(両親の墓参りの時は別である)。

縄手通りは人が多い。

見事な枝垂桜である。

ちょっと横道に入ると閑散としている。

そこを抜けて、

上土通りに出る。

ブックカフェ「想雲堂」。月曜・火曜は定休日なので今日来ることに決めていた。

ご主人に挨拶して、コーヒーを注文する。

カウンター席の横の本棚を眺めていて、一冊の本が目に止まった。

W.H,ホワイト『都市という劇場ーアメリカン・シティライフの再発見』(日本経済新聞社、1994年)。原著の出版は1988年。私が演習「現代人と社交」で読んでいるオルデンバーグの『サードプレイ』と同時期である。オルデンバーグはカフェという小さな空間の中での社交(他人とのおしゃべり)に注目したが、ホワイトは都市という劇場における社交に注目している。二人に共通しているは現代社会における他人への無関心(本来は儀礼的であった無関心がただの無関心に堕落してしまった)への危機感である。2000円で購入。厚みのある本でまた荷物が増えた。

時刻は5時。「想雲堂」と同じく月曜・火曜は定休日のギャラリーカフェ「Grgas」(ガルガ)にこの後行くことにしている。

「Gargas」は午後7時閉店であるから急がねばならない。

ところがブックカフェ「栞日」の前を[通ったときに店主の菊地さんと目が合ってあってしまった。「やぁ、いらっしゃい」の笑顔である。「栞日」には明日顔を出すつもりであったが、この笑顔を見ては入店しないわけにはいかない。

「Chiiann」のご主人から「栞日さんに行かれたビッグニュースが聴けますよ」と言われていたので、その旨を菊地さんに告げ、「ビッグニュースって何ですか?」と尋ねると、彼はニッコリしながら、パンフレットを渡してくれた。ほぅ、今回の市議会議員選挙に立候補されたのである!

彼はこれまで松本の文化の発展のためにあれこれの活動をされてきた。その延長線上に今回の決断がある。

あなたのような人が市議会議員になることは、松本にとってのビッグニュースであり、グッドニューになるはずです。「勝算は?」と尋ねると、彼は「どうでしょう」と言ってちょっと首を傾げたので、自信をもってくださいと、Ⅴサインをしてもらって一枚。頑張って下さいね。

ホットジンジャーを注文して二階に上がる。

30分だけ滞在することにする。

お気に入りの窓際のデスクが空いていたが、ここは長時間滞在するときの場所(ものを書いたりする)である。

今回は短時間の滞在なのでこちらのソファーにすわる。

運ばれてきたホットジンジャーを読みながら店内の本を手に取る。

永井宏『雲ができるまで』(信陽堂、2022年)という本を購入する。「カフェ、音楽、雑貨、アート、詩、写真、花、料理……
90年代のはじめ、湘南葉山の〈サンライト・ギャラリー〉を舞台に、夢と憧れを手がかりにして自分らしい生きかたを模索する若者たちの姿」が描かれている。

店を得る前に自撮りを一枚。

「Gargas」に着いたのは6時になろうとするころ。閉店まで1時間だ。

店主さんご夫妻にご挨拶をして、いつも注文するチキンカレー(小)を注文する。

今月のギャラリーはアクセサリーだった。私が身に着ける種類のものではなく、妻はアクセサリーを自分で作る人なので、お土産に買っていくには及ばない。二階のギャラリーから降りてきて、店主さんご夫婦に「今回は購入するものがありませんでした」というと、「そうだと思いました」と奥様が笑って言われた。

滞在時間40分ほどで店を出る。

宿に戻る途中、「栞日」の前を通る。

明日か明後日、じっくり滞在させていただきますね。

ホテルに戻る。昼間は暖かかったが、夕方からは冷えた。さっそく風呂を入れて、体を温める。

風呂から出て、『どうする家康』をリアルタイムで観ながら、「田園ベーカリー」でテイクアウトしたパンと部屋の備品のコーヒー(カップオンドリップ)で夕食。

今日撮った写真の整理(ブログの構成)をしてから、私にしては早めの12時に就寝。しかし、体は疲れているはずなのに(今日の歩数は1万歩を越えた)コーヒーや紅茶をたくさん飲んだせいか、枕が替わったせいか、なかなか寝付かれなかった。