フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

4月24日(月) 曇り

2023-04-25 12:51:19 | Weblog

7時45分、起床。

ロールパン、目玉焼き、ソーセージ、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

本日の『らんまん』。高知に戻った万太郎は植物学のことはもうやめて、これからは造り酒屋の当主として精進するとみなを前に宣言する。万太郎は無理をしている、自分を偽っている、と竹雄にはわかる。おそらく姉も、母さえも、わかっているだろう。それぞれの思惑が交錯する週になりそうだ。

昨日のブログを書いてアップする。

11時半に蒲田駅で卒業生のメグさんと待ち合わせ「リトルミトン」へ行く。彼女は私が早稲田大学で教え始めた頃の学生の一人で、証券会社で働いている。今日は有給をとって横浜の方からやってきてくれた。

店内のテーブルも空いていたが、開放感のあるテラス席に座る。彼女と前回会ったのはコロナ禍の前、2019年の8月だったから、3年8カ月ぶりである。「月曜日は原稿をお書きになる日ですよね」と彼女が言った。はい、基本形はね。でも、私の日常生活の構造は硬直的なものではありません。今週は水曜日に会議の予定がないので、火曜日に原稿を書いて、水曜日に収録をすればよいのです。

私はキャロットケーキとバナナケーキとアメリカンコーヒー。彼女はソーセージパイと紅茶。

キャロットケーキは人気メニューのようだが、注文するのは初めて。バナナケーキは本来のサイズのものではなく、半端に残ったものをお買い得価格で。

お土産をいただいた。バースデープレゼントでもあるらしい。ありがとうございます。私のショルダーバッグには入り切らないので、自宅に寄って置いていくことにする。「リトルミトン」には1時間ほど滞在した。

チャイが玄関先に出て来たので、メグさんに抱っこしてもらう。彼女は私のブログの愛読者で、チャイのことはよく知っている。実物のチャイを抱っこできて大喜びである。チャイは人見知りをすることもなく、おとなしく抱っこされている。

セルフタイマーを使って玄関先で写真を撮る。実物のチャイに触った人には幸運が・・・招き猫かな(笑)。

二軒目のカフェは池上の「ハナコーヒー」をめざすして、呑川沿いを散歩する。歩きながらの話題は相続税対策(!)。一緒に暮らしておられるお父様(私より5歳ほど年長)はまだまだお元気なのだが、証券会社にお勤めの彼女は先々生じるであろう相続問題(平たく言えば、税金でもっていかれる額をいかに小さくするか)について一般の人より知識と熱意がある。私の娘より一回りほど年長の彼女の話は私にも有益なものであった。

途中、養源寺に立ち寄る。花の寺として知られている。

いまは丘の斜面に植えられたツツジが見頃である。

「ハナコーヒー」に到着。彼女はここは初めてだが、ブログの写真ではよく見ていて、「ああ、ここが・・・」と言った。TVドラマのロケでよく使われるカフェに来たときみたいに。

古き良き時代のアメリカのコーヒーショップのイメージである。

先客が一組いたが、お気に入りの席は空いていた。お気に入りのカフェにはたいていお気に入りの席ができる。しかし、そこが空いていることが多いということは、私のお気に入りは必ずしも他の客のお気に入りと同じではないということを意味するだろう。好みは人それぞれというのはよいことである。お気に入りの席をめぐる争奪戦が過熱しないから。

私は玉子サンドのセット(紅茶とミニカステラ)。彼女はぽーぐエッグマフィンのルイボスティー。

玉子サンドとポークエッグマフィンはシェアして食べた。

空いている時間帯だったので、マダムとおしゃべりをして写真も撮らせていただいた。「ハナコーヒー」はせフルサービスの店で、マダムは基本的に厨房の中にいる。

マダムも「お撮りしましょうか?」とわれわれの写真を撮ってくれた。統計をとっているわけではないが、こういう立ち位置の場合、女性は首を内側に傾けることが多い。もちろん真っすぐの人もいる。しかし、外側に傾ける人はめったにいない。いや、一度もないかもしれない。私は・・・基本真っすぐで、たまに内側に傾けるかな(笑)。

「ハナコーヒー」には1時間ちょっと滞在した。

三軒目のカフェは彼女はまだ行ったことのない「燈日」にしようかと思ったが、インスタで調べたら今日はお休みであった(不定休なのだ)。それで蒲田西口のアーケード(サンロード)街にある「テラスドルチェ」にいくことにした。ここは私の普段使いのカフェで、あまり卒業生を連れて行くことはないのだが、いま世間では人気のある「昭和の(な)喫茶店」である。親子二代でやっているので、年中無休である。今日は二代目マスターのお父さま・お母さまが店に出られていた。

この店の売りはサイフォンで淹れてくれるコーヒーである。サイフォンを客のテーブルに持ってきて、店の方がカップに注いでくれる。ローストビーフを客のテーブルの横で切ってくれるパフォーマンスに似ている。でも、コーヒーを注文したのは私だけで、コーヒーの苦手なメグさんは紅茶を注文した。

スイーツは二人ともプリン。ケーキはちょっと重い、でもスイーツはほしいというときにプリンは相応しい。ちなみにスイーツはほしいが、固形物は重いというときには、私はココアを注文することにしている。

「テラスドルチェ」には1時間ほど滞在した。時刻は4時半。ちょうどよい時間である。今日巡った三軒はどれも彼女にとって「初めての店」であった。そういうリクエストは多い。でも、いくら行きつけのカフェが多い私とは言え、ずっとそのリクエストに応え続けることはできない。私はあまり新規開拓に熱心な方ではないからだ。行きつけのカフェと疎遠にならないように(あまり間隔が空かないように)気を遣いながら、繰り返し通うタイプなのだ。

メグさんとの次のカフェがいつになるかはわからないが、まだ多少「初めての店」のストックはあるかな(笑)。

帰宅してしばらくして、お向かいのMさんがまたお庭で獲れたサクランボをおすそ分けに来てくださいった。

サクランボを別の容器に移して冷蔵庫に入れてから、サクランボの入っていた器を洗って、拭いて、そこにメグさんからいただいたばかりのお土産をおすそ分けにして、妻がMさんのお宅に返しに伺った。普段、ご近所づきないなどしない大学生でも、空の器を返すというのは「それはないだろう」という感覚は理解されると思う。そう、「おすそわけ」という贈与の交換こそが社交には大切なのだ。社交の「交」は交換の「交」である。そこで交換されるものは物に限らない。むしろそこに添えられる「言葉」(さきほどはありがとうございました)が大切なのだ。こういうことを「めんどくさい」と思うところから地域社会の砂漠化は始まるのである。(演習「現代人と社交」の受講生のためのミニ講義でした。)

松本市議会議員選挙に立候補した「栞日」の店主の菊地徹さんは、見事、トップ当選を果たした。おめでとうございます。松本の文化の発展のためこれからもご尽力下さい。彼にとっての松本の文化とは松本に住む人、松本を訪れる人が交流を通して生み出していくものであり、そういう交流をしやすくする土壌作りを意味している。こういう人がひとりでもふたりでも市町村議員になることで地域社会は潤いのあるものになっていくだろう。

夕食は豚肉生姜焼き、鮪と昆布の佃煮、大根の味噌汁、ごはん。

食事をしながらNHK杯将棋トーナメント一回戦、千田七段対出口七段戦(録画)を観る。千田七段は解説の聴き手の女性棋士から「今日はどんな将棋を指したいですか?」と聞かれ、「後手番なので最初の一手を先に指さないように注意したいと思います」と答えた。何のことが一般の人にはわからないだろうが、昨年12月、彼は順位戦(B級1組)という棋士にとって極めて重要な対局で後手番なのに(勘違いして)最初の一手を指してしまい、即反則負けという衝撃的は事件を起こしていたのである。「後手番なので最初の一手を先に指さないように注意したいと思います」という受け答えは彼一流のリップサービスだったのである。将棋は出口七段が勝ったが、私は千田七段のファンになった。

本日提出されたレビューシートのチェックを終えてから、『街とその不確かな壁』の第三部、そして「あとがき」を読んだ。きっとこれから読もうとしている人もいることだろうか、内容に踏み込んだ感想はここでは書かない。2つよかったことがある。第一に、近年目の具合が悪くて長い小説(本)はもう読めないかもしれないと思っていた私だが、それが読めたこと。第二に、村上春樹が長年(40年くらいの)の「宿題」についに決着をつけられたこと。彼が「あとがき」を書くことはきわめて珍しいが(文庫版ではなく単行本ではもしかして初めて?)、そのことが彼にとってこの小説がもつ重要性を語ってあまりあるものである。

裏表紙の裏に「69才 春」と記入して、本を閉じた。

風呂から出て、今日の日記を付ける。

1時半、就寝。