King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

重い手をみに

2007年06月05日 23時37分21秒 | ライブ・コンサート・展覧会
今日は、トレーニングはオフにしようと思いました。
さて何をしようか。実は昨日、庭の除草をしたら
手に発疹が出て猛烈に痒くなりました。これは毎年
恒例の行事のようなもので、庭にかせる木か何かがあるのです。
いつも長袖、帽子、長靴、サングラスと防備をするのですが、
この間は、軽く初めてTシャツで帽子もかぶらず、直ぐにその夜に
発疹が出ました。それが3日で、次の日に中途半端な庭を
眺めてさらに徹底して除草しました。まだ、北側と東側がまったく
手付かずで、むしった草はそのままです。
二日目の夜に痒さがどんどんまして、朝起きてみるとかなり病的
な様相を呈しています。

まあ1週間もすればいつも消えるので、そのままにして今日は
何をしようかと新聞を開くとあの絵が目に入ります。
その絵とは、鶴岡政男の『重い手』です。これを街でポスターで
見たときから強い衝撃と今の気分そのままの絵だと思いました。
それが、17日まで群馬県立館林美術館でやっているとの
ことです。館林は何度も行ったところです。しかし、美術館など
有ったのでしょうか。ネットでさらうとバブル期の箱物行政の賜物と
してなぜか館林にできたということで評判は芳しくありません。

ただ、私はあのポスターを見たときから見てみたい絵だと思って
いたので、新聞に後を押されるように、昼頃でかけました。
途中色々話題に上っていためぬま道の駅にも寄りました。
これは期待ほどのこともなく、使いづらいセンスのない建物で
まだ秩父の道の駅の方が内容や出店の方の努力ともみる物が
あります。いつもは茂林寺のほうから入りますが、ナビのとおりに
行ったため刀水橋を渡り354号から行きました。
そして、大きな松林が見えて思わず車を止めて森の中を少し歩き、
彫刻の点在する小道を辿ります。

近くにこんな森があるといいなあというところです。
美術館はこの森のすぐ近くで、公園の駐車場が美術館の駐車場
のようです。徒歩では簡単に入れるのに、車だとよく解らない変な
アクセスです。建物もなるほどバブル仕様の無意味な建物で、
先日の山梨県立美術館とは大違い。いつも思うのですが、なぜ
建築様式が何のポリシーもなく、何かに寄ったとか無意味に金を使って
いると感じる建物ばかりが作られるのでしょうか。それに、日本なのに
日本的なよさとか、使い勝手とか市民に愛されるという点は度外視
され、とにかく金を使い意匠を奇抜にすることだけに精力を使った
物が多すぎます。

自治体の姿勢とか力量が表れるという感じです。しかし、テーマパークの
ような、万博に有りそうなこの建物は一度は訪れてみるべきでしょう。
山梨の何度も足を運んで楽しめるという感じより、この展覧会がある
から行って見たという、展示内容に頼る美術館でしょう。今回の鶴岡
政男は、私はすばらしい展示だと思います。全国の美術館に散らばる
鶴岡政男の作品が一同に介しているということで、見る価値があります。
ただ、私はこの作家のように画風がころころ変わる作家は好きでなく、
流行や自身の中の心とか精神が、確立されていないようなそんな危うさ
を感じます。それでも、戦後という虚脱した精神から、急激な復興と
めまぐるしい時代や美術界でも求められるものが激しく変わり、そこを
生きた作家ということで見ればこれこそは激動の昭和の生き証人で
あり、テレビや映画などが語れなかった日本人の心がここにあると
言ってもいいでしょう。

私が好きなのは、『重い手』であり、カンデンスキーの影響を色濃く強く
残す作品でありながら、構成や奇抜さと表現力は独特の説得力が
見るものの心を掴みます。魂を揺さぶられるという印象派の絵画群と
違い、自分の心を言い当てられたような、ビクッとさせるインパクトが
あります。膨大な作品群をざっと見た後にもう一度見たいなあと思い
ながら、美術館のレストランで一服します。前面がガラスの明るい
レストランですが、景色がつまらない人工的な芝生がただ広がり、
無粋な肥料やりの車とクレーン車と野球場のライトと何を狙ったのか
意味のない風景を見つつ、ボーとします。

とにかくお金だけはできてからもかかりそうな美術館です。
建物は、別館などはヨーロッパの古い農家の倉庫のような
趣で、実に金がかかっていますが、やはり建物の意匠や作意は
意味不明です。使っている石は気に入りましたが。
まあこのように歴史的背景とか、風土をまったく無視した西洋風な
モチーフと近くには、味わうべき沼や田園風景と松の森という
また何かあれば出かけとみようというちょっと散歩気分の美術館
探訪でした。
コメント
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