金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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81:池波正太郎 『乳房』

2008-08-25 12:03:33 | 08 本の感想
池波正太郎『乳房』(文春文庫)
★★★★☆

かつて同棲していた男から、
「まるで、不作の生大根をかじっているようなもんだ」
と罵られ、捨てられたお松。
偶然会ったその男を絞殺し、「阿呆鴉」の長次郎に
救われたところから、お松は数奇な運命をたどりはじめる。
鬼平犯科帳シリーズ番外編。

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最終巻が貸し出し中だったので、こっちを先に。
平蔵が盗賊改方に就任する前からの十三年間を、
お松の人生を軸に描いた物語。

子どもの頃に親に言われたことや
かつての恋人に罵られたことって、
大人になってからも引きずりやすいよね~。
周囲の人々に愛され、見た目も変わったお松が、
勘蔵の捨て台詞に縛られ、
「愛されている」のだと信じられないのが悲しい。
そんな彼女が呪縛から解放されるラストは
すばらしい
コメント
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