井上靖『天平の甍』(新潮文庫)
★★★★☆
天平の昔、第九次遣唐使派遣が行われ、
大安寺の僧・普照は、栄叡、玄朗、戒融とともに
留学僧として、荒れ狂う海を越えて唐に向かった。
唐で、何事もなさずして年月を過ごした先輩僧たちの
姿を見、留学僧仲間の出奔や脱落を経て、
普照は栄叡の熱意に動かされる形で
伝戒の師僧として高僧鑒真を日本へ招こうと
奔走することになる。
*********************************************
ちょうど一年前の旅行のときに買ったものの、
読まずに放置していたのでした。
新幹線に乗ってるときって、ちょっと堅い本も
ぐっと集中して読めるからいいね。
何年もかけて唐で学んだこと・集めたものが、
航海の途中で、人間の生命と共に
あっけなく海の底に消えていってしまう。
消えていくものを運ぼうとしているのではないか、
徒労ではないかという疑いを抱きながら
命がけの船出に挑む無名の留学僧たちの生涯を描いたもの。
ドラマチックなはずの出来事を淡々と描いているので
読んでいる途中では物足りなく感じたのだけど、
読後はじーんと静かな感動に満たされる。
ずっと「なぜ『甍』?」と思っていたのだけど、
最後のあたりでそれがわかってしんみり。
時代背景に関する知識がないとやや厳しいかも。
作中でくわしく説明されているわけではないので、
ベースになる知識がないと、
栄叡や普照がそこまで必死になっている理由も
いまいちわからないだろうし、
高弟が、日本へ渡ろうとする鑒真を止めようと
「好意的な妨害者」として密告したりするんだけど、
「お前らどんだけ鑒真が好きなんだよ!?」
って、ただのファンクラブみたいに受け取られてしまいそう
★★★★☆
天平の昔、第九次遣唐使派遣が行われ、
大安寺の僧・普照は、栄叡、玄朗、戒融とともに
留学僧として、荒れ狂う海を越えて唐に向かった。
唐で、何事もなさずして年月を過ごした先輩僧たちの
姿を見、留学僧仲間の出奔や脱落を経て、
普照は栄叡の熱意に動かされる形で
伝戒の師僧として高僧鑒真を日本へ招こうと
奔走することになる。
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ちょうど一年前の旅行のときに買ったものの、
読まずに放置していたのでした。
新幹線に乗ってるときって、ちょっと堅い本も
ぐっと集中して読めるからいいね。
何年もかけて唐で学んだこと・集めたものが、
航海の途中で、人間の生命と共に
あっけなく海の底に消えていってしまう。
消えていくものを運ぼうとしているのではないか、
徒労ではないかという疑いを抱きながら
命がけの船出に挑む無名の留学僧たちの生涯を描いたもの。
ドラマチックなはずの出来事を淡々と描いているので
読んでいる途中では物足りなく感じたのだけど、
読後はじーんと静かな感動に満たされる。
ずっと「なぜ『甍』?」と思っていたのだけど、
最後のあたりでそれがわかってしんみり。
時代背景に関する知識がないとやや厳しいかも。
作中でくわしく説明されているわけではないので、
ベースになる知識がないと、
栄叡や普照がそこまで必死になっている理由も
いまいちわからないだろうし、
高弟が、日本へ渡ろうとする鑒真を止めようと
「好意的な妨害者」として密告したりするんだけど、
「お前らどんだけ鑒真が好きなんだよ!?」
って、ただのファンクラブみたいに受け取られてしまいそう