山川方夫『夏の葬列』(集英社文庫)
★★★☆☆
【収録作品】
「夏の葬列」
「待っている女」
「お守り」
「十三年」
「朝のヨット」
「他人の夏」
「一人ぼっちのプレゼント」
「煙突」
「海岸公園」
早世の作家・山川方夫の作品集。
「夏の葬列」「煙突」のみ既読。
「煙突」で主人公の心の動きをねっとりと描いているなあという
印象があったのだけど、苦悩したり逡巡したりしながら、
主人公が自らの胸の内をじっと見つめているようなこういう小説は、
最近は少ないよね。
「中学生は、昭和前期の『何も起こらない』小説が苦手」
みたいな話を大先輩がしていたのだけど、
確かにこういうスタイルの小説だと、
国語の問題として抜粋されたときに、内面を描いただけで
何も事件が起こらないまま規定の文字数に達してしまうので、
「だから、何が言いたいの?」→「文章がわからない」
になってしまうのだった。
「待っている女」「お守り」「十三年」等のショートショートのような
キレはないんだけど、祖父が家を出て余生を妾とともに過ごすと
言いだしたことに始まる家族の相克を描いた「海岸公園」がいちばん好き。
★★★☆☆
【収録作品】
「夏の葬列」
「待っている女」
「お守り」
「十三年」
「朝のヨット」
「他人の夏」
「一人ぼっちのプレゼント」
「煙突」
「海岸公園」
早世の作家・山川方夫の作品集。
「夏の葬列」「煙突」のみ既読。
「煙突」で主人公の心の動きをねっとりと描いているなあという
印象があったのだけど、苦悩したり逡巡したりしながら、
主人公が自らの胸の内をじっと見つめているようなこういう小説は、
最近は少ないよね。
「中学生は、昭和前期の『何も起こらない』小説が苦手」
みたいな話を大先輩がしていたのだけど、
確かにこういうスタイルの小説だと、
国語の問題として抜粋されたときに、内面を描いただけで
何も事件が起こらないまま規定の文字数に達してしまうので、
「だから、何が言いたいの?」→「文章がわからない」
になってしまうのだった。
「待っている女」「お守り」「十三年」等のショートショートのような
キレはないんだけど、祖父が家を出て余生を妾とともに過ごすと
言いだしたことに始まる家族の相克を描いた「海岸公園」がいちばん好き。