金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

149:岡嶋二人 『クラインの壷』

2012-11-19 10:44:46 | 12 本の感想
岡嶋二人『クラインの壷』(講談社文庫)
★★★★☆

ゲームブックの原作として応募した作品が、
新しいゲームの原作として見いだされ、
イプシロン・プロジェクト研究所に二百万でそれを売った彰彦。
イプシロン・プロジェクト研究所は、
あらゆる感覚をリアルに再現できるヴァーチャルリアリティ・システム
『クライン2』の開発をしていた。
美少女女子大生・梨紗とともに、彰彦はテストプレイヤーとして
『クライン2』のバーチャル・リアリティの世界に入り込むが、
次々に不審な出来事が起こり始める。

************************************

まったく予備知識がなかったため、
裏表紙のあらすじに「美少女・梨紗」と出てきた段階で
電撃文庫系のライトノベルを想像し、
「美少女とムフフ」な話なんだろ!と思ってました。ごめんなさい。
実際は、SFをベースにしたミステリー&サスペンス。
現実と仮想現実の世界の区別がつかなくなる、というストーリーは
今となっては目新しくはないのだろうけど、
1989年の作品だと思うとすごいよね。
1989年ってファミコンの時代だし、パソコンもそれほど普及しておらず、
ヴァーチャル・リアリティという言葉も一般には知られていなかったはず。
ミステリー&サスペンス仕立てにしているので、
今読んでも陳腐な印象はまるでない。
読んでいる間は、主人公と一緒に、
「どちらにいるのか」がわからずに不安で仕方なくなってしまう。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする