金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

154:内田樹 『街場のアメリカ論』

2012-11-28 08:51:27 | 12 本の感想
内田樹『街場のアメリカ論』(文春文庫)
★★★★★

日米関係、ファースト・フード、アメリカン・コミック、
統治システム、戦争経験、児童虐待、シリアル・キラー、
身体と性、キリスト教、社会関係資本、裁判をテーマにした
11章からなるアメリカ論。
読むのに肩が凝りそうだなあ……と思ってたんだけど、
読み始めたら止まらない。
深夜で眠いのを我慢して、最後まで読んでしまった。
非常におもしろかったので、おすすめ!

首相の靖国参拝になぜアメリカが抗議しないのか、
太平洋戦争中、インドシナ半島で日仏両軍の間に
戦闘が起こらなかったのはなぜか、
「なるほど」と思う内容が満載。
アメリカ映画やアニメの子供がかわいくないのは、
「子供嫌い」の伝統のためだったのか。
アメリカの子どものミスコンも、写真を見ると、
子どもらしい純真さ、かわいらしさを売りにした子より、
大人の女性の縮小版みたいなけばけばしい子が多いよね。
「子ども」に対するイメージが全然違うんだろうな。

その他、「なるほど」と思ったところ。

・「有事法制」はアメリカあるいはアメリカの許諾を得た外国が
 日本領内に侵略してくる可能性を勘定に入れていない。
 日本にとっての真の軍事的危機は「ありえない」ものとされている。

・アメリカン・コミックで繰り返し描かれるヒーローの苦しみや孤独は
 国際関係におけるアメリカのセルフ・イメージ

・アメリカは「自分の運命を自分で決める」という生き方を標準として定めた。
 アメリカのような国はアメリカ以前には存在しなかった。

・アメリカの統治システムは、愚鈍で無能な統治者が社会にもたらす
 ネガティブな効果を最小化するように制度化されている。
 アメリカは理想の国をすでに達成した状態からスタートしたため。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする