金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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204:永井路子『炎環』

2020-09-13 22:51:48 | 20 本の感想
永井路子 『炎環
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

京の権力を前に圧迫され続けてきた東国に、ひとつの灯がともった。
源頼朝の挙兵に始まる歴史のうねりは、
またたくうちに関東の野をおおいはじめた。
鎌倉幕府の成立、武士と呼ばれる者たちの台頭――
その裏には、彼らの死にもの狂いの情熱と野望が激しく燃えさかっていた。
鎌倉武士たちの生きざまを見事に浮き彫りにした
傑作歴史小説にして第52回直木賞受賞作!

********************************
 
二十余年ぶりに再読。
たぶん、わたしが初めておこづかいで買った一般小説って、
これの文庫版だったんじゃないかな。

・阿野全成(頼朝の異母弟で、義経の同母兄)
・梶原景時
・阿波局(政子の妹で、全成の妻。実朝の乳母)
・北条義時

という主役級ではない「周辺」の人々の視点で
鎌倉幕府の成立前から執権政治の成立までを描いている。

頼朝や義経を冷静に見つめる全成の目、
そして気づかれずに彼を見ていた頼家の目。
全成や保子に芽生える野心、
親兄弟・夫婦であっても裏切り、奪い合う
したたかな北条家の人々が印象的。
義経関連の本から入ったから、梶原景時は
どうしたって悪者のイメージがついてしまっていたのだけども、
彼の視点での物語は、やはり従来のイメージとは異なった色で展開する。

最終話、京の官吏として幕府を支えてきた大江広元や三善善信が
よぼよぼのおじいちゃんとして出てきて
「後鳥羽院、討つべし」の意見を表明するところでなんだか泣けてしまう。
院政の始まりの時期からその流れはあったのだろうけれども、
幕府を作るってそれまでにない大事業だったのだなあ、と思って。

同じ著者の『絵巻』を読むついでに再読したのだけども、
やっぱりおもしろい。

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大河ドラマ「麒麟がくる」#23

2020-09-13 20:51:04 | 大河ドラマ「麒麟がくる」
義輝「夏は終わった……わしの夏は……」

連載漫画だったら、ラストページに持ってきて
足利義輝、甲子園にて初戦敗退――

とでもアオリを入れられそうなシーンだったな!

松永久秀は、すでに義輝には将軍としての価値がないと断じ、
藤孝までも義輝を見限って次の将軍を立てることを考えていると知り、
十兵衛しょんぼり。

でも、十兵衛自身の掘り下げがたいしてなされないまま進行してしまったので
彼がどうしてそこまで将軍に肩入れするのかもよくわからず。
エピソードがちゃんと積み重ねられていれば
切ない場面として盛り上がっただろうに……。もったいない。

朝倉義景に「うちが一番だよ☆」とマイホームパパみたいなことを言われて
今回は妻子のもとへ戻り、終了。

タイトルにからめた「麒麟」発言がどうにも取ってつけたようなのは
今後解消されるのかしらん。
世の中を平和に、って発想が本当に当時あったのかどうか
わたしは疑っているよ。

【その他いろいろ】

・佐々木蔵之介って別に猿顔じゃないと思うんだけど、
 ちゃんと猿顔に見えるようにしてあってすごい。

・ストーカー駒ちゃん。

・将軍を助けて!とお願いしにきた十兵衛を、
 信長がめっちゃ面倒くさそうにあしらってておかしかった。
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