金木犀、薔薇、白木蓮

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208:繁田信一『御堂関白記』

2020-09-26 10:24:28 | 20 本の感想
繁田信一 『御堂関白記 藤原道長の日記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典』 (角川ソフィア文庫)
★★★★★

【Amazonの内容紹介】

王朝時代の事実上の最高権力者であり、
光源氏のモデルとされる藤原道長は、
どんな毎日を過ごしていたのだろうか。
抵抗勢力のために機能不全となる朝廷、
ごますり上手な武家の棟梁、道長政権の庇護者、
漢詩文の隆盛、2人の妻、親王誕生、金峰山参詣、息子の出家―。
本書は、道長の日記『御堂関白記』をわかりやすい現代語訳で読みこなす。
道長のすがおを通して、千年前の日々が時空を超えて甦る。
平安時代を知る基本図書。

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「ビギナーズ・クラシック」シリーズが
Kindleで60%オフになっていたため、まとめ買い。
『御堂関白記』も出てたのか~と思って読み始めたのだけど、
偶然にも直前読んでいた本と著者の先生が同じだった
(途中で著作の紹介があって気づいた)。

これは『御堂関白記』の記事の一部をピックアップしたもの。
具注暦へのメモだし、まとまった文章じゃないんでしょ? 
という認識で、あまり興味がなかったのだけど、
筆者の寸評の効果もあってか、意外なくらいに面白い。
道長が一条院が亡くなったときに
「崩じ給ふ」を間違って「萌え給ふ」と書いてしまった、
という話は知っていたけれど、間違いはそこばかりではなく、
漢字を書くのが苦手だったらしい。
実はたいして教養がなく、漢文もまともに書けないくせに
一条天皇にあわせて漢文学を愛好するふりをしていたという。

精進決斉の生活を続けている途中で、
「邸で犬が出産してしまった! 穢れた!」
と慌てているのが面白い。
「犬の出産による穢れ」は、
この本の中だけでも三回出てきている。

そして、藤原定家の『明月記』でも感じたけど、
嫡男とそれ以外の子の扱いって本当に違ったんだな。
倫子所生の嫡男・田鶴(頼通の幼名)ではなく、
明子所生の下の子が賞賛されたことで怒っちゃう道長。
その子だってあなたの子でしょうに。

コメント
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