斎藤憐『象のいない動物園 (偕成社文庫)』
★★★★☆
【Amazonの内容紹介】
戦争中、日本じゅうの動物園で
たくさんの動物がころされました。
空襲で動物園がこわれて猛獣がにげだしたら危険だ、
というのが理由です。
そうして象のいなくなった動物園にも、
ふたたび象をむかえる日がきます。
戦争でころされてしまった上野動物園の象
トンキーの一生と戦後に、
そのかなしい事実を知った子どもたちが
力をあわせて象をむかえるまでをえがく、
実話をもとにした物語。小学中級から。
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たぶん、私が生まれて読んで泣いた本は
小学校2年生のときのマンガ「かわいそうなぞう」なので、
このエピソードには思い入れもひとしお。
別にゾウは好きじゃないんだけど、子ども心に
「理不尽」とか「一市民の無力」、
それにともなう「やるせなさ」を感じたのだった。
この本では、再び象を迎えるという
「その後」が描かれることで
また考えさせられる内容になっている。
前半には、ゾウ側の視点とか、
逃げ出せた!と思ったらすべて夢だった、という
演出が入っていて、それがまたつらいんだ。