宇佐見りん『推し、燃ゆ』
★★★☆☆
【Amazonの内容紹介】
逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。
アイドル上野真幸を“解釈“することに心血を注ぐあかり。
ある日突然、推しが炎上し——。
デビュー作『かか』は第56回文藝賞及び第33回三島賞を受賞(三島賞は史上最年少受賞)。
21歳、圧巻の第二作。
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芥川賞受賞作。
話題になっていたので、タイトルだけ知っていた。
Amazon Audibleに入っていたので聞いた。
タイトルや、女子高生が主人公であるというところから、
ポップでライトな雰囲気を予想していたのだけども、予想外に重い。
はっきりとは書かれていないものの、主人公はおそらく発達障害で、
病院で診断が出ているにもかかわらず、家族に理解がある とは言えないし、
高校生活にも適応できず、中退することになる。
この発達障害の設定が必要だったのか? という感想も見かけたけども、
彼女の生きづらさというのが、
「推し」にのめり込む背景にもなっていたと思うので、
やはり必要だったのではないかな。
彼女は同情を誘わないタイプの人間なので、
フォローされない状況も、それを良しとは思わないけれども、
「周囲の反応も、まあ、そうなるだろうな……」
という納得感があるの だった。
ここまで何かにのめり込んだことはないけれども、
「推し」に認知されたくない、その他大勢の中に埋もれていたい、
という気持ちはよくわかる。
私も、どんなに好きな作家さんでも、会いたいとは思わないもんな。
美男美女の芸能人は生で見てみたいと思うけれども(テレビで見るより美しいらしいから)、
話したいとは思わない。
ただ健やかに幸せに、活躍していてくれ~と思うのみ。