金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

186:銀色夏生 『詩集 小さな手紙』

2006-09-08 17:38:29 | 06 本の感想
銀色夏生『詩集 小さな手紙』(角川文庫)
★★★☆☆

初めて読んだ時期がそうだったからなのかもしれないけれど、
銀色さんの詩を読むと、思い浮かべるイメージはいつも高校生。
さわやかさを内包しながら、「かなしさ」が常につきまとう。
「冷たさ」と言いかえてもいいかも。
高校生だったわたしは、「愛はさめてしまったけれど」という詩の、

「愛はさめてしまったけれど
 別に平気
 料理はうまいし
 かわいいし
 邪魔しないから」

の部分で傷ついてしまったものです。

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185:柴崎友香 『フルタイムライフ』

2006-09-07 13:27:15 | 06 本の感想
柴崎友香『フルタイムライフ』(マガジンハウス)
★★★☆☆

大学を出て包装機器会社の事務職についた22歳の春子の
視点で、働く日常を描いた物語。
社内の出来事の描写が続き、話がどこへ向かっていくのかが
見えず、途中で放棄しかけてしまった。
いわゆる「会社勤め」をしたことがないので
興味深かったのだけど、結局中盤流し読みに。
でも、デザインの仕事をしたいと思いつつも
自分にその力が欠けているとあきらめつつ、
現在の仕事にのめりこむわけでもなく、
「必要なのは、なにかするべきことがあるときに、
 それをすることができる自分になることだと思う」
と現在を肯定する主人公に好感が持てた。
「夢」を追うことがカッコイイことだと言われがちだけど、
「したいこと」と「できること」とはちがう。
「夢」を免罪符にして働かず、周囲に迷惑をかける人を、
わたしは個人的に尊敬も肯定もできない。
(そういう人って、「まわりが理解してくれない!」って
 逆ギレしてる。なぜか)
本当に「できる」人は、働きながらだってできるし、
たとえ誰かに負担をかけていたって、それに感謝こそすれ
「助けてくれない」と恨み言を言ったりなんかしない気がする。
……なんだか本の感想じゃなくなってきたな……。
そんな「夢追い人」の日記を読んで
猛烈に腹を立てているところだったのです
だってもう大人なんだからさ~~。

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184:武田泰淳 『目まいのする散歩』

2006-09-06 23:04:36 | 06 本の感想
武田泰淳『目まいのする散歩』(中央公論社)
★★★★☆

高橋源一郎『一億三千人のための小説教室』、
高山なおみ『日々ごはん』でともに紹介されていた随筆。
武田泰淳は名前も知らず、先日近代文学史のページで
名前を発見して「ええっ!!」と驚きました。
(これでも文学部卒……!)
散歩をテーマに、子どもの頃の風景、奥さんとの日々、
幼かった娘のこと、ロシア旅行などなどの思い出を綴っている。
最後のロシア旅行の話はいまいち興味が持てなかったのだけど、
奥さんの豪傑ぶり、ふたりの信頼関係に、読んでいてにこにこ。
堅苦しさのないユーモラスな文章で読ませる。


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183:よしもとばなな 『イルカ』

2006-09-06 23:03:54 | 06 本の感想
よしもとばなな『イルカ』(文藝春秋)
★★★★☆

生物としての「女」、子を産み育てる母としての「女」を
描いた物語。
結婚も出産も感覚としてはまだ遠いけれど、
いつかそんな事態に直面したとき、
後ろ向きな気持ちを払拭してくれるであろうお話。
現時点では★3つくらいなのだけど、
未来に読み返したとき、今よりずっとよいと思えることが
今からはっきりわかっているので★プラスしました。

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よしもとばなな 『みずうみ』

2006-09-06 23:02:52 | 06 本の感想
本の感想182:よしもとばなな『みずうみ』(フォイル)
★★★☆☆

子どもの頃の親との関係は、大人になってからも
多分に影響する。
よくも悪くもその影響から逃れられないふたりの男女が、
寄り添って、歩み出すまでの軌跡の物語。
前向きなお話ではあるのだけど、陰鬱な印象がぬぐえず。
『N.P』も『白河夜船』も最初はそうだったけれど
時間を置いて再読したらまったく印象が違っていたので、
この本もまた、読む時期によって受け取るものが
違ってくるのかもしれない。

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銀色夏生 『ロマンス』

2006-09-06 12:40:22 | 06 本の感想
本の感想181:銀色夏生『ロマンス』(角川文庫)
★★★★☆

詩集。何度目かの再読。
わたしは自分のことをすごーく乙女チックな人間だと
思っているのだけど、今思うと、乙女開眼の発端は
まちがいなく、高校時代にひいさまから教えてもらった
よしもとばななと銀色夏生なのでした。
詩って教科書以外で読むものだと思わなかったし、
「こんなに短い言葉で、これだけのイメージを
 呼び起こすことができるのだ!」
と、高校生のわたしにはたいそう衝撃的でした。
最後の「ロマンスの道」には単純に、
すげえ!と思ったものです。

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近山晶 『鉱物・宝石の不思議』

2006-09-05 12:44:44 | 06 本の感想
本の感想180:近山晶 監修『鉱物・宝石の不思議』(ナツメ社)
★★★☆☆

ほとんど知ってることばかりだったので、
なにが「不思議」なのか全然わからないのだが……。
宝石を含む鉱物を、それぞれ1~2ページずつ紹介。
名前の由来や用途への言及がやや多い印象で、それはよい。
あとは宝石のページに、それぞれに類似した石
(イミテーションに使われやすい石)が紹介されているのも
意外にめずらしかったかも?
さすが「図解雑学」シリーズで、量は少ないながらも
雑学のページがおもしろい。

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三浦しをん 『むかしのはなし』

2006-09-03 22:59:38 | 06 本の感想
本の感想179:三浦しをん『むかしのはなし』(幻冬舎)
★★★★☆

昔話をモチーフにした短編集。
昔話そのままでなく、エッセンスがさりげなく
織り込まれている。
「ロケットの思い出」と「ディスタンス」は
つながりがわからなかったのだけど、
全編リンクしてたんでしょうか。
「ディスタンス」はおええ~でした。
年の差カップルは好きだけどロリコンは勘弁して!!
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雫井脩介 『火の粉』

2006-09-03 12:46:01 | 06 本の感想
本の感想178:雫井脩介『火の粉』(幻冬舎)
★★★★☆

退職した元・裁判官の隣家に、かつて自分が無罪判決をくだした
殺人犯の容疑者が引っ越してくる。
物腰穏やかで紳士的な男の人柄に家族は心を許していくが、
嫁の雪見は不審を抱き、その日から徐々に一家の日常が
ゆがみはじめる。
初めて読んだ作家さん。
けっこう厚かったのだけど、あっというまに読了。
おもしろかった!
なかなか尻尾をつまかせない犯人の巧妙なやりくち、
気づいた雪見がなすすべもなく排除されていく展開に
やきもきやきもき。
お父さんしっかりしろ~!と思っていたら、
あのラスト……唖然。

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