金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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1:森鴎外 『舞姫 うたかたの記―他3篇』

2008-01-03 18:09:17 | 08 本の感想
森鴎外『舞姫,うたかたの記―他3篇』(岩波文庫)
★★★★☆

【収録作品】
「舞姫」
「うたかたの記」
「文づかひ」
「そめちがへ」
「ふた夜」

「舞姫」「うたかたの記」「文づかひ」は、
鴎外がドイツから帰国した後まもなく発表された
ドイツ土産三部作。
「ふた夜」はドイツの作家ハックレンデルの作品を
翻訳したもの。

再読の作品もあり、初読の作品もあり。
ドイツ土産三部作は、いずれも悲しくて美しい
ロマンチックな物語が雅文体で綴られているけれど、
やっぱり「舞姫」がいちばんかなあ。
白樺派の人々が「大事なところを書かない」というような
批判をしていたという話を読んだことがあるのだけど、
「舞姫」の「恍惚の間」のことなんだろうか。
主人公の豊太郎は、エリスと関係を結ぶときだとか、
なにか重大な決断をせまられるときには常に
「ショックで頭がぼんやりしてたんだよ~」とか
「知らないところでそうなっちゃったんだよ~」とか、
言い訳していて、本人が決断する前に
状況が進んでしまうのです。
逡巡とか決断の苦悩とかいうものが
ふわふわと表面的なところを漂っている感じ。
しかし文体と雰囲気は好きです。

「そめちがへ」は「」を使わずに会話を書いているので
非常に読みづらかった


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