金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

138:岡村泰之 『建築バカボンド』

2010-08-19 16:25:41 | 10 本の感想
岡村泰之『建築バカボンド 』(よりみちパン!セ)
★★★★☆

停滞していたよりみちパン!セ読破計画を再開。

建築家が、写真やイラストとともに語る家づくり入門。
家や部屋の写真を見るのは好きなので、
おもしろく読めました。
建築家と工務店、建て主の関係、
著者が家作りの際に大切に考えていることや
希望と予算の折り合いをどんなふうにつけていくか、
といったことを、ユーモアをまじえて
楽しく教えてくれる。
建築に関してだけでなく、仕事をしていく姿勢に
ついても学ぶところがある。
工務店の人の話もおもしろかったな。
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137:椎名誠 『岳物語』

2010-08-19 10:51:56 | 10 本の感想
椎名誠『岳物語』(集英社)
★★★★☆

これも断片的にしか読んだことなかったなあ……と
いうわけで読んでみた。
椎名誠が、息子にまつわる出来事を私小説として
描いた短編集。
実話だということを押し出さずに書いた最初の4編が、
お話としてまとまっていて好きだなあ。
子どもが親離れする前の、父と息子の蜜月を描いていて、
子どもらしい子どもと、彼をあたたかく見守る
お父さんの視線がやさしい。
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大阪覚え書き②

2010-08-18 20:06:34 | おでかけの記
二日めは、今回の大阪行きのメインイベント。
うつぼ(←漢字変換できない)テニスセンターで
全日本ジュニアの本選が行われていました。
帽子を忘れた!と日焼け覚悟で行ったのだけど、
第1コートは観客席に日陰ができていたし、
風もあって、思ったより涼しく快適。
関係者とプレスのほかは、
地元の人がちょっと見に来ているくらいで、
人が少ないなあ~という印象。
春に地元でやっていたジャパンオープンジュニアのほうが
にぎやかだったかも。
春に見た男の子も出てました。

今回泊まったホテルは「ドーミーイン」。
このホテルは金沢に行ったときも使ったのだけど、
安くてきれい、そしてケチってない。
温泉に備え付けのシャンプーやリンスって
「これ、どこのだよ?」って感じの
髪がパサパサになるようなのが多い気がするんだけど、
ここのはTSUBAKI。
ベッドもいい。洗濯機と洗剤がただで使えるのもうれしい。
朝食は利用したことがないのでわからないけど。
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136:井上靖 『天平の甍』

2010-08-17 21:57:23 | 10 本の感想
井上靖『天平の甍』(新潮文庫)
★★★★☆

天平の昔、第九次遣唐使派遣が行われ、
大安寺の僧・普照は、栄叡、玄朗、戒融とともに
留学僧として、荒れ狂う海を越えて唐に向かった。
唐で、何事もなさずして年月を過ごした先輩僧たちの
姿を見、留学僧仲間の出奔や脱落を経て、
普照は栄叡の熱意に動かされる形で
伝戒の師僧として高僧鑒真を日本へ招こうと
奔走することになる。

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ちょうど一年前の旅行のときに買ったものの、
読まずに放置していたのでした。
新幹線に乗ってるときって、ちょっと堅い本も
ぐっと集中して読めるからいいね。

何年もかけて唐で学んだこと・集めたものが、
航海の途中で、人間の生命と共に
あっけなく海の底に消えていってしまう。
消えていくものを運ぼうとしているのではないか、
徒労ではないかという疑いを抱きながら
命がけの船出に挑む無名の留学僧たちの生涯を描いたもの。
ドラマチックなはずの出来事を淡々と描いているので
読んでいる途中では物足りなく感じたのだけど、
読後はじーんと静かな感動に満たされる。
ずっと「なぜ『甍』?」と思っていたのだけど、
最後のあたりでそれがわかってしんみり。

時代背景に関する知識がないとやや厳しいかも。
作中でくわしく説明されているわけではないので、
ベースになる知識がないと、
栄叡や普照がそこまで必死になっている理由も
いまいちわからないだろうし、
高弟が、日本へ渡ろうとする鑒真を止めようと
「好意的な妨害者」として密告したりするんだけど、
「お前らどんだけ鑒真が好きなんだよ!?」
って、ただのファンクラブみたいに受け取られてしまいそう
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大阪覚え書き①

2010-08-17 15:02:14 | おでかけの記
先月、『ラブ・ストーリーを読む老人』に関連して
恋愛小説を読む?という話をしていたときに、
中学生の女の子たちが
「携帯小説なら読む。みんな同じような話なんだけど、
 『恋空』は理想の恋愛」
と言っており、恋空ね~ふーん……と思っていたら、
昨日テレビでやっていた。
滞在していた大阪のホテルで見たのだけど、
「えっ、これ、ダイジェスト!?」
って思うくらい、ディープなはずの話が
ライトにさくさく進行。
「いまこの話の流れで、学校の図書館で!?」
とか、前半は吹き出しっぱなしだった。
思うに、大人から見て「ベタ」でも、
中高生にとってはそれまでの蓄積がない分、
「ベタ」にはなりえないんだなあ。
悪役の臼田あさ美ちゃん、好きなのでもっと見たかった。

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さてさて、大阪に行ってきました。
行くのは二回めだけど、観光地としては
いまいち触手が動かない大阪。
観光が目的ではないので、
本当は日帰りでも良かったのだけど
ホテルが安いので二泊。
お昼にゆっくりしゃちほこ村を出て、
一日めは古文によく登場する住吉へ。
写真は住吉大社の反橋。
淀殿が寄進とのこと。

人が多くて写真は断念しましたが、
おいとしぼし社にある「おもかる石」も
体験してきました。
一度石を持ち上げて重さを確かめたあと、
願いごとをして再度石を持ち上げたとき、
軽く感じれば願いが叶い、
重く感じれば叶わない……とのこと。
重かった
人のことをお祈りしたのだけど、まあ、
本人たちに頑張ってもらうしかないということかしら。
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135:河合二湖 『バターサンドの夜』

2010-08-11 20:37:28 | 10 本の感想
河合二湖『バターサンドの夜』(講談社)
★★★☆☆

ある日出会ったアニメ『氷上のテーゼ』のワンシーンに
心を奪われ、その主人公の格好をしてみたいと
思うようになった中学一年生の明音。
本屋でモデルをやらないかと声をかけてきた女性・
白石智美の名刺を頼りに彼女を訪ねると、
そこは商店街にあるさびれた洋品店。
コスプレ衣装を作ってもらうことを条件に、
明音は彼女の作った服を着て、
ネットショップのモデルをつとめることになる。

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見事なまでに中二病!!

ストーリーとしてはオーソドックスな、
「本当のわたし」「わたしの居場所」系の話なんだけど、
コスプレっていうのが児童文学として新しかったのかしら。
いまどき「さらし」かよ!と激しくつっこみたいし、
家族の話がえらく表面的だなあ……という
物足りなさもあるのだけど、
女の子どうしがぶつかりあい、心を通わせるという
友情ものは基本的に好きなので、好印象。
智美さんのキャラクターもよかったな。

バターサンドが食べたい
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134:まはら三桃 『たまごを持つように』

2010-08-10 22:50:49 | 10 本の感想
まはら三桃『たまごを持つように』(講談社)
★★★☆☆

不器用で努力家の初心者・早弥と、
奔放な天才肌の実良、
アフリカ系の父をもつハーフの春。
弓道部に所属する中学二年生の男女三人が
スランプや口論を経ながらも心を通わせあい
成長していく姿を描く青春もの。

ストーリーとしては特に大きな事件も起らず、
地味に進んでいくのだけど、正統派の青春もので
嫌いになれないという感じ。
春のキャラクターはいい味出しているし、
せめて主要メンバーの三人に関してだけでも
もっと書き込まれていたらな~と惜しい。
淡すぎる恋にやきもき。
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133:中島義道 『哲学者というならず者がいる』

2010-08-01 19:36:04 | 10 本の感想
中島義道『哲学者というならず者がいる』(新潮社)
★★★★☆

「新潮45」に連載されていたエッセイ。
例のごとく、過剰な暖房や照明に怒り、
おせっかい放送に怒り、善良で鈍感な一般大衆に怒る。
前にも同じような話を読んだような?という部分も
あったのだけど、おもしろかった。
小谷野敦からの批判への返答もあり。
愚鈍な一般大衆の一人であるわたしは、
著者の怒りの行動が痛快で、読んでいて楽しい。

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132:関口尚 『空をつかむまで』

2010-08-01 09:08:35 | 10 本の感想
関口尚『空をつかむまで』(集英社文庫)
★★★★☆

膝の故障をきっかけにサッカーを諦めた中学三年生の優太は、
将棋部に入ったはずが、泳げないデブのモー次郎といっしょに
むりやり水泳部に入部させられる。
県の記録保持者である「姫」と3人しかいない水泳部は、
顧問の指示で、廃校が決まった美里中学の名前を残すため、
やったこともないトライアスロンの大会に出場することになる。

***************************************

これも入試でよく出てるな~という印象の本。
トライアスロンはあくまできっかけに過ぎず、
スポーツものというよりは友情と恋愛の青春ものと
いった感じ。

この著者の小説はこれで三冊めなんだけど、
毎回消化不良というか、もっと丁寧に書いてあったら
説得力もあっただろうに……と思うところや、
釈然としないところが多くて、もやもやしちゃう。
「もっと大切にしろよ!」って好きな女の子のことで
殴りあったりとか、いまどきあるの??
姫が優太に心を開くのも、いまいち納得できず。

ラスト40ページは(伏線があったものの)
やや唐突ではあるけれど、急展開。
釈然としなかった部分をすべて
吹き飛ばしてしまうくらいの素晴らしさ。
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