金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

112:日本語を考える会 『読めそうで読めない不思議な漢字』

2018-12-03 11:33:33 | 18 本の感想
日本語を考える会『読めそうで読めない不思議な漢字』(角川文庫)
★★★☆☆

【Amazonの内容紹介】

町で見かけて気になりながら読めなかった看板や文字はないですか。
文字とも思えない流麗な平安文学や和歌の写本の仮名を
すらすら読む人に驚いた経験はありませんか。
確かに日本語なのに、読めない字はあるものです。
工夫を凝らした印鑑の字体や、絵で書かれたお経、
武将の用いた花押など、豊かな文字文化を楽しんでみましょう。
漢字に自信のある人も、ちょっと怪しい人も、
驚きの文字には目を見張るのではないでしょうか。

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変体仮名に書体、サインに絵文字、甲骨文。
まさに、文字を愛してやまない人たちのための本。

おもしろかったけど、ディープすぎてついていけない部分も多かった……。


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111:花村えい子 『マンガ古典文学 源氏物語〈下〉』

2018-12-03 10:51:55 | 18 本の感想
花村えい子『源氏物語 下: 創業90周年企画 (マンガ古典文学シリーズ)』(小学館)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

光源氏の華麗なる生涯、いよいよ佳境!

日本古典文学の名作を原典に沿ってコミック化する話題のシリーズ!
今回配本は『源氏物語』<下>。
千年の時を経てもなお人々を魅了してやまない
波瀾に富んだ愛憎の王朝絵巻の最終巻。
四十路をむかえ初老に達した光源氏のもとに
皇女三の宮が降嫁。
傷心の紫の上は病に臥してしまう。
源氏が紫の上を看まもるうちに、三の宮は柏木の子を懐妊する。
事情を知った源氏はふたりの過ちと、
己の若き日の不義を重ね合わせながらも、
生まれた子を我が子として抱く――。
栄華を極める源氏にも、ひそかに暗い影が忍び寄る。
嫉妬や哀しみを心に秘めて生きていく一途な女性たち、
そしてその生き様とともに、光源氏と紫の上の苦悩の晩年を、
フランス国立美術協会正会員でもあるベテラン漫画家・
花村えい子が繊細華麗な筆致で描写する。
<中>から引き続き、若菜上(其の二)、若菜下、柏木、横笛、鈴虫、
夕霧、御法、幻、雲隠までを収録。巻末寄稿は瀬戸内寂聴氏。

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女性たちの顔の描き分けもしっかりしているし、
ベテランらしい画力で安心して読んでいられたのだけど、
猫の描き方だけが笑っちゃうほどひどい。

光源氏の反省のなさといったら!
寄る辺ない身の上ゆえに源氏の色好みに鬱々とする紫の上に
「不自由ない生活を送らせてやってるでしょ!」
という源氏の恩着せがましさ。

六条御息所の怨霊は下巻でも登場。
ストーリー展開のために都合よく使われている気がしないでもない。
源氏も、
「執着に自ら身を滅ぼしてしまわれた、ああ、恋しく慕わしい御方よ」
じゃないよ!
お前のせいだろうが!!

今と感覚が違うのは百も承知だけども、
どう考えてもこの物語を読んだ昔の女性たちが皆、
「光源氏すてき~!! こんな恋がしたいわ~」
みたいに思って読んでいたとは思えないんだよね。
というのも、息子の夕霧も源氏を
しばしば「お前が言うな」と批判的な目で見ていて、
紫式部自身が、理想の男性として描いていたとは
到底思えない描写が多いんである。

柏木も、女三宮への思慕ゆえに姉の二宮を妻に迎えたものの、
「同じことならあちらの姫君を迎えたかった……」
とか勝手なことをほざきやがる。

夕霧―雲居の雁―落葉宮のゴタゴタは面白かった。
親友の未亡人に付きまとう夕霧のストーカーぶりが怖い。
勝手に家をリフォームするなよ!!


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110:花村えい子 『マンガ古典文学 源氏物語〈中〉』

2018-12-01 20:11:12 | 18 本の感想
花村えい子『源氏物語 中(マンガ古典文学シリーズ)』(小学館)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

花村えい子の繊細華麗な筆致で甦る源氏絵巻

日本古典文学の名作を原典に沿ってコミック化する話題のシリーズ!
第6回配本は、時代を問わず人々を魅了してやまない『源氏物語』の<中>。
平安王朝を舞台に数多の恋愛遍歴を繰り広げる栄華と苦悩の物語を、
その繊細華麗な筆致がパリ・ルーヴルの展覧会でも絶賛された
ベテラン漫画家・花村えい子が、いきいきと描きます。
<上>から引き続き、源氏の須磨に退去した侘びしさから始まり、
都に戻り、位人臣をきわめ、六条院に愛する女性たちを集め住まわせる――、
栄華の頂点にいたる「光の君」、三十代。
光源氏という希有なキャラクターとともに、
華やかに繰り広げられる王朝絵巻を介して、
波瀾に富んだ愛憎ドラマが展開します。
須磨、明石、澪標、蓬生、関屋、絵合、松風、薄雲、朝顔、少女、王髪、
初音、胡蝶、蛍、常夏、篝火、野分、行幸、藤袴、真木柱、梅枝、
藤裏葉、若菜上までを収録。

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光源氏、最低だな(2回目)。
 
頼むからもう六条御息所に構わないでやって!!

中巻は光源氏の気持ち悪さ大爆発。
六条御息所の娘・秋好中宮と、夕顔の娘・玉鬘。
かつての恋人たちの娘に言い寄るおっさん……
実の息子・夕霧にさえ「厭わしい」と感想を抱かせるほど。

自分を馬鹿にする源氏にすがるしかない末摘花もあわれなのだが、
生活の面倒を見てもらえるだけまだマシか。
身よりもなく、通ってくる男のいないとなると
当時の姫君にはもう生活の手段がないものね。

朧月夜が誠実な帝を選び、光源氏を拒否して
ちょっとだけ溜飲が下がった。
(また関係を持つとわかっているのだが……)


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109:花村えい子 『マンガ古典文学 源氏物語〈上〉』

2018-12-01 14:58:19 | 18 本の感想
花村えい子『源氏物語 上(マンガ古典文学シリーズ)』(小学館)
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

花村えい子の繊細華麗な筆致で甦る王朝絵巻

日本古典文学の名作を原典に沿ってコミック化する話題のシリーズ!
第5回配本は、紫式部が描いた王朝絵巻『源氏物語』に、
繊細華麗な筆致がパリ・ルーブルの展覧会でも絶賛された
ベテラン漫画家・花村えい子が挑みます。
桐壺帝の第二皇子として出生し、
才能・容姿ともにめぐまれながらも臣籍降下して源姓となった光源氏が、
平安王朝を舞台に数多の恋愛遍歴を繰り広げる栄華と苦悩の物語。
日本女流文学の最高傑作が、
多くの文芸・ミステリーを原作とする作品を手がけている
著者により、いきいきと甦ります。
「桐壺」「帚木」「空蝉」「夕顔」「若紫」「末摘花」
「紅葉賀」「花宴」「葵」「賢木」「花散里」「須磨 其の一」までを収録。

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漫画。
三巻にまとめているのでエピソードはかなり省略されているけど
原作通りの順にストーリーが展開されるので、入門編として便利。
和歌の現代語訳が枠外(ひどいときには別のページ)にあるのが
読みにくいのはマイナスだけど。

『源氏物語』は誰の小説版・漫画版を読んでも、
「光源氏は最低」以外の感想が出てこないな……。
今と倫理観が異なるとはいえ、
これほど共感できない登場人物もいないよ。

人妻に言い寄って夜這いしたけど人違い→
「ま、いっか! しかしこの女、初々しさないな~」
とか文句つけたり、ものにした女が不細工だからって
「なんでやっちゃたんだろ」と歌に詠んだり
他の女と会ってるときに不細工っぷりをネタにしたり。

六条御息所なんて、めちゃ理性的な人なのに
源氏に振り回された結果、
悪者にされてかわいそう。


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