金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
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大河ドラマ「麒麟がくる」#23

2020-09-13 20:51:04 | 大河ドラマ「麒麟がくる」
義輝「夏は終わった……わしの夏は……」

連載漫画だったら、ラストページに持ってきて
足利義輝、甲子園にて初戦敗退――

とでもアオリを入れられそうなシーンだったな!

松永久秀は、すでに義輝には将軍としての価値がないと断じ、
藤孝までも義輝を見限って次の将軍を立てることを考えていると知り、
十兵衛しょんぼり。

でも、十兵衛自身の掘り下げがたいしてなされないまま進行してしまったので
彼がどうしてそこまで将軍に肩入れするのかもよくわからず。
エピソードがちゃんと積み重ねられていれば
切ない場面として盛り上がっただろうに……。もったいない。

朝倉義景に「うちが一番だよ☆」とマイホームパパみたいなことを言われて
今回は妻子のもとへ戻り、終了。

タイトルにからめた「麒麟」発言がどうにも取ってつけたようなのは
今後解消されるのかしらん。
世の中を平和に、って発想が本当に当時あったのかどうか
わたしは疑っているよ。

【その他いろいろ】

・佐々木蔵之介って別に猿顔じゃないと思うんだけど、
 ちゃんと猿顔に見えるようにしてあってすごい。

・ストーカー駒ちゃん。

・将軍を助けて!とお願いしにきた十兵衛を、
 信長がめっちゃ面倒くさそうにあしらってておかしかった。
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203:安田政彦『平安京のニオイ』

2020-09-12 17:18:09 | 20 本の感想
安田政彦 『平安京のニオイ
★★★☆☆3.5

【Amazonの内容紹介】

藤原道長が栄華を誇った時代。
都ではどのようなニオイがしたのか。
排泄・廃棄物・動物・死など、暮らしと切り離せない
さまざまなニオイを再現。
一方で、薫香の文化を芸術にまで昇華させた
貴族の心性を浮き彫りにする。

********************************
 
まあ、風呂もときどきしか入らないし、
髪もめったに洗わないし、臭いに決まってるよね……。
香の文化が発達したのは体臭を隠すため、というのは
知っていたけれど、トイレのシステムも発達していないし、
死骸を放置しているから死臭がするし、
牛車を使っているから牛糞もあちこちに放置されていただろうし、
京自体がすさまじい悪臭に覆われていたかもしれない。
でも、それが当たり前の社会だったら、
取り立てて気にならなかったのかも。
前に別の本で読んだ、
「ノミがあちこちにいたが、当たり前すぎて
 文学作品にそれが書かれていない」
というのと同じで。

大殿油や篝火の匂いって、どんなふうだったのだろう。

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202:松薗斉『王朝日記論』

2020-09-12 17:01:45 | 20 本の感想
松薗斉 『王朝日記論
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

9世紀末から10世紀にかけて、律令時代とは異なる情報環境下に
おかれるに至った平安王朝の天皇・貴族らは、
政務や儀式を執り行う上で必要な情報を収集・蓄積するために、
日記を記し始めた。
かかる「公事情報」の装置として、やがて「家」の日記、
「日記の家」が生み出され、「家記のネットワーク」も形成される。
藤原定家『明月記』にみる公事への関心と認識、
説話作家たちによる日記の利用、
日記や文書の移動と戦火からの避難に用いられた「文車」の考察なども含め、
「情報史」の視点から、王朝日記の発生・変質・衰退の過程、
その機能と意義を追究する。

********************************
 
定家の明月記に関する章を読みたくて手にとったのだけど、
他の章もおもしろかった。

「明月記」に関する章は、定家を和歌から切り離して、
祖先から伝わる「家記」がないために
それを自ら作ろうとしたひとりの貴族として取り上げる。
孤軍奮闘して子孫のためにノウハウを書き留めるも、
息子は書かれているものに関心がなく、
定家が目指したようには日記が活用されずじまい。
切ない。

醍醐天皇の日記には、世間には流布しているバージョンとは
異なるものが皆載っているバージョンがあるとして
その争奪戦が起こる……というの、
書物好きとしてはわくわくする設定だな。

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199-201:長谷川法世 『マンガ日本の古典 源氏物語』上・中・下

2020-09-04 19:32:09 | 20 本の感想
長谷川法世 『マンガ日本の古典 源氏物語上・中・下』
★★★★☆

【Amazonの内容紹介】

空蝉、六条御息所、夕顔、藤壺、末摘花、朧月夜、若紫―。
さまざまな女性との恋愛を通して、
たぐいまれなる美貌と才能を発揮してゆく光源氏の青春時代。
吹抜屋台、逆遠近などの伝統描法を大胆に取り入れて描いた
平成版源氏物語絵巻。
平成九年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞。

********************************
 
漫画。読み放題にて。
これはちょっとびっくりした。
源氏物語絵巻風の引目・鉤鼻のキャラクターデザインで、
ところどころ画面の構成も絵巻物風。
引目・鉤鼻といっても、絵柄がかなり洗練されていて
デザイン性が高く、現代の感覚でもちゃんと美醜がわかる。
建物や調度なんかもしっかり描いてあって、
絵を見るのがすごく楽しかった。
子どもの絵が可愛いよ~!!

ただ、ストーリーはダイジェストで不親切。
「これで源氏物語の内容を押さえよう!」という人には向いていない。
たとえば、頭中将はずっと頭中将ではなく、
「内大臣」になったり「致仕大臣」と呼ばれたりするようになるのだけど、
それについて「前に出てきたあの人と同じ人ですよ」という説明が
たまにしかついていない。
源氏物語の原作自体がそうなので、その点でも原作に忠実なのだけど、
名称が固定されないと初心者は話を追っていけないよね。
そういう点でも、「話を知っている人が楽しむ漫画」という感じ。
当時の風俗に忠実で、
「女性たちを識別できるように描き分けよう!」
というキャラデザにもなっていないし。

わたしはとても好き。





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192-198:最近読んだ本

2020-09-04 19:31:35 | 20 本の感想
五味文彦『中世社会のはじまり〈シリーズ日本中世史 1〉 (岩波新書)

知らないことがいっぱいあった。
「平安時代」「鎌倉時代」と時代区分はされるけれど、
その境目でがらっと社会の様相が変わるわけじゃなく、
平安後期から中世への移行は始まっているのだなあとわかる。



王朝物語秀歌選 (上) (岩波文庫)

上巻は定家の「物語二百番歌合」と「風葉和歌集」。
下巻は「風葉和歌集」と「源氏物語歌合」。
こういう形で、今はもう存在しない散逸物語の痕跡が
残されていることにロマンを感じる。

三條凛花 『365日のとっておき家事: もっと暮らしやすい家と時短のしくみづくり (単行本)

「自分もやってみよう」とは思わないんだけど、
やっていることがすてきだし、
本のデザインが好き。



藤田素子 『和宮内親王』

漫画。読み放題にて。
和宮と家茂がただただひたすらに可愛い。
天璋院はじめとする脇役も、
キャラや関係性がきちんと立っていてよし。

森園みるく/川田弥一郎 『まんがグリム童話 平安京の検屍官 検非違使・坂上元継の謎解き帖』

漫画。読み放題にて。
なぜ「グリム」なのか謎だが、検非違使が主人公というのに惹かれて。
ちゃんと「謎解き」はしているのだが、エロ要素が合わなかった。
絵柄の問題もあるのかしら。

大竹直子 『花洛夢がたり 源平紅雪綺譚』

漫画。読み放題にて。
前に「美しい絵だなあ」と思っていた漫画家さん。
ベースはBLなのだけれども、あからさまではないので
そこまで抵抗も感じず。
ドラマ性が高く、ムードがある。

山下京子 『MASAKO 北条政子 その波乱の一生』

描かれているのは数日間のできごとのみなのに、
「一生」と銘打っているのはこれいかに。
歴史に詳しくない人が描いているのだろうなあ……というのは
端々から感じられて、ツッコミどころ満載なのだけど
(個人的には「国民」がいちばんひっかかった)、
漫画としてはおもしろい。
キャラやテンポがいいんだよね。
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