吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

国内14年ぶり狂犬病発症 来日者、フィリピンで感染か 愛知・豊橋 その3

2020年05月28日 06時30分59秒 | 日記
 「傷は大したことないです。抗菌薬出します。傷口に消毒薬を付けたガーゼをつめてありますのでまた明日外来に来てください。ハイ、じゃあいいですよ」と帰そうとした。するとその男はなんで狂犬病の治療しない、入院しなくていいのか、狂犬病だったらお前はどう責任とるのか、おい早く何とかしろ!などと罵詈雑言を浴びせてきた。
 自分も若かりし頃である。売り言葉に買い言葉、「おお、いいですよ、もし狂犬病だったら責任取って自分も腹切りましょう、いいですね! さあとっとと帰りましょうか!」と啖呵を切ってやった。
 救急外来は次の患者が沢山待っている。こんな患者にかまっているわけにはいかなかった。でも追い返したはいいが狂犬病になるわけはないが、もし創感染でも起こしたらどうしようとか急に不安になった。もちろんそれで死にはしないがそっちの方も怖い。このような患者はどんな角度からでもクレームをつけてくる「達人」である。
 まあひやひやしながら経過を見ていたが創もすぐに治癒し、その後1年以上何も音沙汰はなかったのである。
 狂犬病と聞くと、これは治療のしようがないので怖いのであるが、自分は別の意味でも怖くなるのである。