吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

無念の父「抜歯で亡くなるなんて」…支援学校生死亡、酸素チューブ誤挿入か その3

2023年12月23日 06時12分08秒 | 日記
 被害者の父の「抜歯しようとしただけで亡くなるなんて、誰が想像できただろう」という言葉は無念さを表しています。
 今回の事件は、昔から時々みられる事故です。この父親の言葉でも分かりますが「抜歯くらいで」とあるので、これら一連の処置が安全な処置であると誤解されているようです。今回の事故は抜歯処置によるものではなく「麻酔事故」です。
 まず抜歯処置に伴う死亡はほとんどないでしょう。しかし亡くなった被害者は被刺激性の高い障害者であるので意識下で抜歯を行うことは危険であります。まずその時点から「抜歯処置にはリスクが伴うこと」が大前提です。安全性については、処置時に安静の協力が得られる健常者と同じではありません。
 特に医療行為においては「絶対安全」はありえません。飛行機事故は10万フライトに1回と言われていますが、例えば医療行為10万回のうち1回でも死亡事故が起これば「なんでうちの子が・・」とご家族は思うでしょう。まずはスタートラインから十分な処置の危険性の説明とご理解を頂く必要がありました。