吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

全身やけどの青葉被告を救った主治医 死刑判決を受け「命の重み尊さを逆に実感したんじゃないか」「同情するつもりはない。罪の重さを思い知ってほしい」 その6

2024年03月09日 06時40分52秒 | 日記
 京都アニメーション放火殺人事件が結審しました。30人以上もの人を個人が殺害するという事件は未曾有の事件です。自分が注目したのは治療に当たった医師の救命のためのエネルギーでした。過去、自分も救命センター勤務時代に全身熱傷の人は何人も治療してきましたが熱傷面積が広いほど救命は難しくなります。まさに24時間、目が離せない状況が次々とおとずれます。2週間くらい治療側のスタッフが家に帰ることはもちろん、まともに寝ることすらできない状況が続きます。この肉体的、精神的に追い詰められた状態でいかに救命のための治療動機を維持するのは並大抵のことではありません。通常の事故であれば「この人を救命し社会復帰できれば本人ばかりか世の中のためにも有益である」ということになります。しかし本件のように救命したとしても極刑がでれば「救命したのはなんだったのか」ということになりますが、今回の取材で担当医師の思考背景がわかり大いに納得しました。
 亡くなられた方々のご冥福、ならびにご遺族の安寧もお祈りいたします。そして治療されたスタッフの方々の強靭な精神力には感服しました。本当にご苦労様でした。